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メラトニンとはどんなホルモン?はたらきや分泌を促すポイントを紹介

2023年8月8日

ボディコンディション

「メラトニンってどんなはたらきがあるんだろう……」

「メラトニンの分泌を促すためのポイントを知りたい」

このようにメラトニンがどのようなはたらきを持っているのか知らないという方もいらっしゃるかもしれません。

メラトニンは人間を含むあらゆる動物の生体リズムに重要な役割を持っているホルモンです。

メラトニンが正常に分泌されないと眠りが浅くなったり、睡眠時間が減ったりと睡眠に影響が出ると考えられています。

この記事では私たちの生体リズムに欠かせないメラトニンのはたらきや分泌を促すためのポイントについて紹介します。

睡眠トラブルを抱えている人もぜひお読みくださいね。

1.メラトニンとは

メラトニンとは脳の「松果体(しょうかたい)」という器官から分泌されるホルモンの一種です。

メラトニンは必須アミノ酸の一つである「トリプトファン」からつくられます。

メラトニンは季節リズムや概日リズムなど、さまざまな生物に欠かせない生体リズムに重要な役割があります。

概日リズムとは
約24時間周期で示される体温やホルモン分泌といった体の基本機能のリズムのことで、サーカディアンリズムとも呼ばれています[1]。

また睡眠を促すはたらきがあることから「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「体内時計」

2.メラトニンのはたらき

「メラトニンってどんなはたらきを持つホルモンなの?」

生体リズムに重要な役割を持つといわれるメラトニンが体内でどんなはたらきをしているのか気になりますよね。

ここからはメラトニンの主なはたらきである生体リズムの調整機能、催眠作用、抗酸化作用について解説していきます。

2-1.生体リズムを調整する

睡眠時間と書かれた積み木と時計

メラトニンには生体リズムを調整するはたらきがあります。

生体リズムとは季節リズムや睡眠・覚醒リズム、ホルモン分泌リズムなどの概日リズムのことをいいます。

生体リズムは「体内時計」とも呼ばれ、これが乱れると日中に眠くなったり、食欲不振になったりと体にさまざまな影響が出てしまいます。

生体リズムを整えるためにもメラトニンの分泌を促す必要があるといえます。

2-2.睡眠を促す

ベッドであくびをする女性

メラトニンには睡眠を促す催眠作用があります。

メラトニンが分泌されるのは就寝時間の1~2時間前といわれており、このタイミングで「覚醒力」が低下するため、一気に眠気が増大します[2]。

覚醒力とは
1日の決まった時間に人を目覚めさせ睡眠欲求に打ち勝たせるための体内時計のはたらきのことです。

メラトニンは明るい光の下では分泌されなくなるため、スムーズに就寝したいのであれば、寝るときには照明を落とすと良いでしょう。

メラトニンはその睡眠作用から欧米で睡眠薬としてドラッグストアで販売されています。

日本ではインターネットでの並行輸入という形で購入が可能です。

しかし、メラトニンの睡眠作用は不眠症を改善するほどの効果はなく、就寝前に服用しても寝付きを少し良くする程度のものとされています。

[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「眠りのメカニズム」

2-3.老化を抑える

女性の口元

メラトニンは抗酸化作用が期待できるホルモンといわれています。

抗酸化作用とは蓄積することで老化やがん、しわ、しみなどの原因になる「活性酸素」から体を守る作用のことです。

メラトニンの抗酸化作用は抗酸化物質として知られるビタミンCやビタミンEよりも強いといわれています。

実際にメラトニンの抗酸化作用によって、マウスの寿命を延ばす効果や神経細胞を守る効果があることが報告されています[3]。

このようにメラトニンは抗酸化作用が期待できるため、老化やしみ、しわなどの予防につながるかもしれませんね。

[3] 日本比較生理生化学会 服部 淳彦「メラトニンとエイジング」

3.メラトニンとセロトニンの関係

メラトニンについて知るにあたって、合わせて確認しておきたいのが「セロトニン」というホルモンの知識です。

セロトニンとは
運動調節や意欲・学習に関わる神経伝達物質「ドーパミン」や、ストレスを感じたときに放出される神経伝達物質「ノルアドレナリン」を制御し、精神を安定させるはたらきをする脳内の神経伝達物質の一つです。メラトニンと同様に必須アミノ酸であるトリプトファンから生合成されます。

セロトニンは朝になるにつれ分泌されるのに対し、メラトニンは夜になると分泌されるため、二つのホルモンの関係は一見対立しているように感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、セロトニンはメラトニンの生合成に欠かせないホルモンであり、とても深い関係があるといえます。

セロトニンは夜になると松果体でメラトニンの原料へと変化します。

つまりセロトニンの分泌量がメラトニンの分泌量を左右するため、メラトニンを十分に分泌させるためには日中にセロトニンが十分に分泌されることが重要といえます。

メラトニンにとってセロトニンは不可欠なホルモンということが分かりますね。

4.メラトニンの分泌量による影響

「メラトニンの分泌量が少ないとどんな影響があるのかな?」

生体リズムに関わるメラトニンが体にどのような支障が出るか気になる方もいらっしゃるでしょう。

メラトニンが不足すると睡眠に影響を及ぼす可能性があります。

メラトニンには睡眠・覚醒リズムを調整する作用があるため、分泌量が減少してしまうと、眠りが浅くなったり、夜中に何度も起きたりするようになります。

また、メラトニンは加齢とともに分泌量が減少するといわれています。

実はメラトニンの分泌量は子どもの1~3歳頃をピークに思春期以降徐々に減少していきます[4]。

若い頃に比べてぐっすり眠れなくなったという人や睡眠時間が短くなったという人は、メラトニンの分泌量が減り睡眠・覚醒リズムの調整機能が衰えている可能性もあるでしょう。

メラトニン不足によって満足に睡眠がとれずにいると体の抵抗力まで低下してしまい、かぜをひきやすくなることもあります。

[4] 日本比較生理生化学会 服部 淳彦「メラトニンとエイジング」

5.メラトニンの分泌を促すポイント

「メラトニンの分泌を促すにはどんなことに気を付ければ良いのかな?」

メラトニン不足によって生体リズムが崩れないように、メラトニンの分泌を促す方法を知りたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここからはメラトニンを分泌させるために欠かせない三つのポイントを紹介します。

どれも日々の生活に気軽に取り入れられるので、実践してみてくださいね。

メラトニンの分泌を促すポイント

ポイント1 就寝前は部屋の照明の明るさを抑える

電気のスイッチを押す指

メラトニンの分泌には就寝前から部屋の照明の明るさを抑えることが重要です。

夜に浴びる光には家庭用の照明程度の明るさであっても体内時計を遅らせる力があり、夜遅くなるにつれさらにその力が強まります

可能であれば部屋の照明を昼白色のものから暖色系のものに変えるのが望ましいでしょう。

また就寝前のパソコン、スマートフォンなどの使用もメラトニンの分泌に悪影響を与える可能性があることが報告されています。

スマホやパソコンから出るブルーライトを夜間に浴びると、体が昼間だと判断しメラトニンの分泌を抑えてしまうと考えられています。

実際布団に入った後にスマホを含む携帯電話を会話のために使用する頻度が高い人ほど、睡眠の問題を抱えている割合が高いことが判明しています[5]。

また欧米の一部の国では就寝前のスマホ使用に関する規制が出たこともあります。

メラトニンの分泌を促し快適な睡眠をとるために、就寝前はスマホやパソコンを使用せず照明の明るさを抑えた部屋で休むようにしましょう。

眠る前はスマホやパソコン以外を使ってリラックスする方法を見つけてみてくださいね。

[5] 厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」

ポイント2 日光を浴びる

日光を浴びる女性

メラトニンの分泌を促すには日光を浴びることが重要です。

これは、日光を浴びることでセロトニンが分泌されるためです。

メラトニンは日中に分泌したセロトニンが原料となって分泌されます。

そのため日中にしっかりセロトニンを分泌させることが重要です。

また朝に日光を浴びることで体内時計をリセットし、メラトニンの分泌を停止させることができます。

メラトニンは覚醒後14~16時間後に再分泌されるため[6]、普段23時に就寝するなら7~9時までには起きて日光を浴びる必要があるでしょう。

外に出るのが難しい場合にはカーテンを開けて窓辺で日光を浴びるのも良いでしょう。

日光に当たれない場合には照明を使い部屋を明るくして、体内時計のスイッチを入れましょう。

[6] 一般社団法人 加古川医師会「ゲーム・スマホとメラトニン」

ポイント3 セロトニンの材料となる栄養素を摂取する

セロトニンの材料となる栄養素を摂取することもメラトニンの生合成を促すことにつながります。

セロトニンを生成するには材料となるトリプトファンのほか、炭水化物や「ビタミンB6」も欠かせません

ビタミンB6とは
水溶性ビタミンの一種で野菜類、穀類、魚介類、種実類などさまざまな食品に多く含まれています。補酵素としてアミノ酸の代謝を助ける他、赤血球のヘモグロビン、神経伝達物質の合成といった生理作用もあり、脂質の代謝などに関与しています。

ここからはトリプトファン、炭水化物、ビタミンB6がそれぞれどんな食品に多く含まれているか確認していきましょう。

紹介した食品を普段の食事にも取り入れてみてくださいね。

メモ
セロトニンの材料となる食品は朝食時に摂取するのが良いでしょう。メラトニンは覚醒後から半日以上経ってから分泌されるため、朝食時にメラトニンの材料となるセロトニンに必要なものを摂取する必要があります。

ポイント3-1 トリプトファンを含む食品

桜えび

トリプトファンが多く含まれる食品は以下のようなものがあります。

【トリプトファンを含む食品と可食部100g当たりの含有量】

食品名加工状態など含有量
さくらえび素干し660mg
きな粉-530mg
かずのこ520mg
焼きのり-520mg
ナチュラルチーズ-410mg
油揚げ360mg
納豆-250mg
木綿豆腐-100mg
大豆ゆで220mg

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成

動物性たんぱく質に含まれる「BCAA」にはトリプトファンを脳へ移行させにくくするするはたらきがあります。

BCAAとは
「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」の3種類の必須アミノ酸の総称で、分岐鎖アミノ酸とも呼ばれます。筋肉のたんぱく質に多く含まれており、持久力を高めたり、筋肉痛を軽減したりと運動時に重要な役割を果たしています。

そのためトリプトファンを摂取する際は植物性たんぱく質から摂取すると効率が良いといえるでしょう。

トリプトファンを含む植物性たんぱく質には、油揚げ、納豆、豆腐など日本人にとってなじみ深い食品も多くあるため、日頃の食事にも取り入れやすいといえますね。

ポイント3-2 炭水化物を含む食品

炊きたてご飯

炭水化物はたんぱく質や脂質と並びヒトの体のエネルギーとなる栄養素です。

エネルギーとなる糖質とヒトの消化酵素では消化できない食物繊維に分けられます。

炭水化物を多く含む食品は以下のとおりです。

【炭水化物を含む食品と可食部100g当たりの含有量】

食品名加工状態など含有量
コーンフレーク-83.6g
うるち米-77.6g
もち米-77.2g
うどん56.8g
さつまいも33.1g
ながいも27.1g

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成

炭水化物はブドウ糖や果糖などから構成されており、体内で分解されることで血液中にブドウ糖として取り込まれます。

ブドウ糖や砂糖には「インスリン」の放出を促し、脳内へのトリプトファンの輸送を促進させるはたらきがあります。

インスリンとは
糖の代謝を調整し、血糖値を下げるはたらきを持つホルモンです。膵臓のランゲルハンス島と呼ばれる場所から分泌されます。

このように炭水化物は摂取したトリプトファンを脳に送るのに重要な役割があると分かりますね。

しかし炭水化物の摂り過ぎは肥満につながる恐れがあるので、1日に摂取するエネルギーの50~65%に収めるようにしましょう*7。

例えば1日の摂取エネルギーが2,000kcalの場合、炭水化物は1gで約4kcalなので、おおよそ250~325gが理想的な量といえます[7]。

[7] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

ポイント3-3 ビタミンB6を含む食品

マグロの刺身

ビタミンB6を多く含む食品は以下のとおりです。

【ビタミンB6を含む食品と可食部100g当たりの含有量】

食品名加工状態など含有量
にんにく1.53mg
みなみまぐろ 赤身1.08 mg
とうがらし1.00 mg
びんながまぐろ0.94mg
かつお0.76mg
ささみ0.66mg

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成

ビタミンB6は補酵素としてアミノ酸の代謝を助けるはたらきがあるため、アミノ酸の一種であるトリプトファンの代謝にも不可欠です。

ビタミンB6は野菜類から魚介類、肉類とさまざまな食品から摂取できるため、比較的摂取しやすい栄養素といえるでしょう。

6.メラトニンをサプリメントから摂取する際に注意すべき点

メラトニンをサプリメントから摂取する場合、いくつか注意すべき点があります。

メラトニンには催眠作用があることから、欧米では睡眠薬としてドラッグストアで購入でき、日本でも並行輸入で購入することができます。

適正に摂取する場合には安全といわれていますが、多量摂取は睡眠・覚醒リズムが崩れてしまう可能性があるといわれています。

また妊娠中の摂取や小児への複数回の摂取は危険性が示唆されているため、摂取を避けるようにしましょう。

小児がメラトニンを摂取した場合には、生殖腺の発達に影響が出る可能性もあります。

授乳中の摂取は信頼できる情報が不十分であるため同様に摂取を避けてください。

その他にも、過去にはメラトニンを経口摂取した際にアレルギー性皮膚反応が出たという報告も見られています。

眠気を引き起こす恐れがあるため、摂取後数時間は運転を避けるようにしましょう。

メラトニンを摂取する際は必ず医師の指示に従い、自己判断で摂取しないようにしてくださいね。

7.メラトニンについて まとめ

メラトニンとは松果体から分泌されるホルモンの一種です。

主に季節リズムや睡眠・覚醒リズムなどの生体リズムを調整するはたらきがあります。

快適な睡眠をとることができたり、決まった時間に起きられるようになったりと規則正しい生活が送れるのは、メラトニンがしっかり分泌されているおかげといえます。

反対にメラトニンの分泌量が不足すると、眠りが浅くなり夜中に何度も目が覚めてしまうなどの睡眠障害を招く恐れがあります。

メラトニンの分泌を促し生体リズムを整えるには、生活習慣を整えることが重要です。

就寝前には暗い部屋で休んだり、パソコンやスマホの使用を控えたりしてスムーズな入眠を促してください。

朝起きたら日光を浴びて体内時計をリセットさせセロトニンの分泌を促したり、トリプトファン、ビタミンB6、炭水化物を含む食品を摂取したりしましょう。

サプリメントでメラトニンを摂取することもできますが、自己判断で摂取せず医師の指示の下適切な用量で取り入れるようにしましょう。

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