筋トレの直後に眠くなるのはナゼ?3つの原因と対策を紹介

2024年02月08日

2024年11月11日

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「筋トレした後に眠くなるのはなぜだろう?」

「筋トレした後にすぐ寝るのは大丈夫なの?」

普段から健康や美容のために日常的に筋トレを取り入れている方のなかには、このような疑問を持つこともあるのではないでしょうか。

特にハードな運動をした後は、眠気が生じるケースも珍しくありません。とはいえ、筋トレ後の睡眠は問題ないのか気になりますよね。

そこで今回は、筋トレ後に感じる眠気の原因と、それに伴う体の反応について解説します。

加えて、筋トレ後の仮眠の効果や眠気を和らげる方法もご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。

1.なぜ筋トレ後に眠くなる?

はてなマークと女性

筋トレなどの運動後に眠気が現れる現象は、多くの方に当てはまることではないでしょうか。

運動後に眠気に襲われる原因は、いくつか存在しています。ここでは、筋トレと眠気の関係について解説します。

1-1.副交感神経が優位の状態で眠くなる

筋トレ後に眠気が生じる理由の一つに、自律神経のバランスが影響していると考えられます。

自律神経には、意志とは関係なく、環境の刺激に反応して体内の生理機能を調節する役割があります。

例えば、暑い場所で汗が出るなどは自律神経の働きが関与しています。

また、自律神経には「交感神経」と「副交感神経」に分類されて、それぞれのはたらきに役割があります。

私たちの体調や状態に応じてバランスを調整しながらはたらいています。

  • 交感神経:体が活発なときが優位になり、興奮状態になるため眠気が覚めて活動的になります。
  • 副交感神経:休息中やリラックスするときが優位になり、体を休めるために眠気などが生じます。

筋トレを含む運動中は、心拍数が増大し、運動が終わるにつれて徐々に心拍数は減少していきます。

このとき、心拍数の増大に伴い交感神経は優位になりますが、心拍数の減少に伴い副交感神経が優位になることが知られています。

そのため、運動後の安静時に副交感神経が亢進することで、体はリラックス状態に代わり、眠気が生じていると考えられます。

1-2.血糖値の低下で眠くなる

筋トレ後の血糖値の変化が眠気の原因になることもあります。血糖値とは、血液中のブドウ糖の濃度を示す値です。

通常は食事などで糖質を摂取することで血糖値が上昇します。血糖値が上昇するとともに、すい臓からインスリンと呼ばれるホルモンが分泌されて、血糖値が低下します。

この血糖値の働きと筋トレは密接に関わり合っています。

有酸素運動はインスリンの機能の改善に役立つといわれており、2型糖尿病患者の療法としても取り組まれているのです。

また、筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を、繰り返して実施するレジスタンス運動も行われています。

例えば、レジスタンス運動筋トレを行うと、筋肉量や筋力の増加とともに、インスリン抵抗性が改善されることも確認されています。

血糖値が下がると、体はブドウ糖を分解して補おうと努めます。そして、脳の主要な活動エネルギーはブドウ糖に依存しているため、その供給が不足すると、集中力の低下や眠気を感じることがあります。

この仕組みが、筋トレ後の眠気の一因として考えられているのです。

1-3.疲労がたまっているから

単純に疲れがたまっている場合も、眠気を感じるようになります。

このような場合に生じる眠気は、大脳皮質の温度を下げ、休養させるために現れます。

疲れが蓄積されるほど、日常活動中であっても強い眠気を感じることが増えるでしょう。

睡眠は私たちの体と脳を保護し、維持するための自然な反応ともいえます。

筋トレを行うと、筋肉だけでなく脳にも多くのエネルギーが必要です。そのため、筋トレ後の疲労は特に強く、眠気として現れやすくなります。

この疲労や眠気は、しっかり休むことで解消されることが多いので、適切な休息も筋トレの一部と言えるでしょう。

2.筋トレ後にすぐ寝るのはOK!

眠る女性

ついつい筋トレを終えた後に、ひと眠りしたくなることもあるかもしれません。筋トレ後の適切な睡眠をとることは体の回復に非常に有効です。ここでは、筋トレ後の睡眠について詳しく解説します。

2-1.約15分の仮眠で体をスッキリ

午後からの予定を控えていたが、午前中に筋トレをして「眠気がする……」と困ることもあるでしょう。

午後の眠気を抑制するのに約15分の睡眠は有効といわれています。

また、仮眠することは筋トレ中においても、その後の運動パフォーマンスに効果的なことも報告されています[1]。

ただし、長時間の仮眠はかえって眠気や疲労感が生じる可能性があります。夜の入眠にも悪影響が出ることから仮眠するときには注意が必要です。

[1] 短時間仮眠が午後の運動パフォーマンスに及ぼす効果

2-2.次の日も「眠くなる」「倦怠感がある」場合は注意

筋トレを習慣化していて眠気や倦怠感が続くと感じる場合は、体からの警告信号として受け取るべきかもしれません。

特に筋トレやそのほかの運動において、体に与える過負荷が続くことで起こるオーバートレーニング症候群に注意しましょう

具体的な症状として、睡眠障害や全身の倦怠感、食欲不振などが挙げられます。

筋トレは毎日行う必要はありません。筋肉の回復や成長を促すためには、休息が必要です。2・3日に1度、週2〜3回程度の頻度が推奨されています[2]。

筋トレの効果を得るためにも、体のサインを見逃さず、適切な休息を取り入れることが大切です。

次の日も続く眠気や倦怠感には十分な注意を払い、適度なトレーニング頻度を心掛けましょう。

[2]厚生労働省 e-ヘルスネット「レジスタンス運動」

3.筋トレ直後に眠くならないための対策

色々なフルーツや体重計など

日中のスケジュールは、仕事や家事、趣味といった活動が詰まっており多忙です。

そんななか、筋トレを取り入れて健康的な生活を目指している方も多いでしょう。

筋トレ後に襲ってくる眠気は、日中の活動に支障をきたすことがあります

集中力や仕事効率の低下などの問題を防ぐため、筋トレ後に眠くならないための対策を解説します。

3-1.軽い筋トレに留める

次の予定がある場合や、その日のコンディションが良くないときは、軽めの運動に留めることをおすすめします。

ハードなトレーニングを行うと、疲労の蓄積や体への負担が増加し、結果的に眠気を感じやすくなります

さらに、腰痛や関節症などの体調不良を引き起こすリスクも高まるでしょう。

トレーニングにおいては、以下三つの原理を理解することが大切です[3]。

  • 過負荷の原理:通常の負荷よりも高い刺激を与える必要があります
  • 特異性の原理:トレーニングの効果は、特定の筋肉や動作に限定されることが多いです
  • 可逆性の原理:一定期間トレーニングを行わないと、筋肉の量や力は減少します

これらの原理を考慮しながら日々のトレーニング計画を立てることで体への過度な負担を避け、眠気を抑えることにつなげられます。

[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「運動プログラム作成のための原理原則 -安全で効果的な運動を行うために」

3-2.筋トレ前に軽食を摂る

筋トレを行う際にエネルギーとして利用される栄養素が不足していると、筋肉のダメージの回復に時間がかかる可能性が高まります。

また、空腹で運動を行うと、低血糖を引き起こしやすくなります。筋トレ後の血糖値の過度な低下を防ぐため、筋トレ前の食事は欠かせません。

血糖値が低下すると、眠気や集中力の低下、めまいなどの症状が現れることがあります。

悪化すると意識レベルの低下といった危険な状態にもなり得るため、注意が必要です。

軽食を摂ったあとは、30分は時間を空けましょう。バナナや野菜ジュースなど、消化の早い食べ物がおすすめです。

筋トレまで1〜2時間程度の余裕がある場合には、エネルギーに変わるスピードが早い、おにぎりやパンなどの軽食が良いでしょう。

なお低血糖を避けるためには、空腹時の筋トレや運動は避けることも大切です。

3-3.筋トレ後にホワイトチョコレートを摂る

筋トレ後の栄養補給として、ホワイトチョコレートが注目されています。

ホワイトチョコレートは糖質と牛乳の組み合わせを持っているため、マウスで行った実験ではインスリンの分泌を促進し、運動後の筋肉の回復を高めるという報告があります。

具体的には、糖質のみの摂取と比較して、ホワイトチョコレート摂取は食欲の低下を招くことなく、より豊富なエネルギー補給が期待できます

さらに、インスリン分泌の増強効果により、筋グリコーゲンの回復が促進される可能性があると示唆されています[4]。

ただし、ホワイトチョコレートの過剰摂取は避けるよう注意しましょう。

[4] 日本スポーツ栄養学会「運動後のホワイトチョコレートの摂取がマウスの摂食行動およびグリコーゲン回復に及ぼす影響」

4.筋トレ後に眠くなることについてのまとめ

筋トレ後にすぐ寝るのは問題ありませんが、仮眠は約15分が適切とされています。

眠気や倦怠感を継続して感じる場合は、オーバートレーニング症候群のサインである可能性もあるため、メニューや時間を見直しましょう。

さらに日中の活動に支障をきたさないようにするためには、筋トレ前の適切な軽食摂取や、筋トレ後のホワイトチョコレートの摂取が有効です。

適切なリカバリーや食事管理で、健康的な筋トレライフを維持しましょう。 

この記事の監修者

井上 志穂
井上 志穂
内科認定医・がん治療認定医

【経歴】
国立大学医学部医学科卒業後、公立病院にて初期研修の2年を終了後、3年目からはがん治療を専門としながら幅広く内科疾患の診療に従事。治療が必要となる前の生活習慣の改善、また病気についての正しい知識が大事であることを実感し、病気についての執筆活動にもあたっている。

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