どうしても「朝が起きられない……」6つの原因と対策を紹介!

2024年01月18日

2024年11月10日

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「朝にササッと起きられず、二度寝してしまった……」
「目覚ましが鳴っても気付けなくて遅刻した……」

朝に起きられず、会社や学校などに遅刻した経験がある方もいるのではないでしょうか。

特に社会人になると周囲からは「甘え」や「怠けている」と言われることも少なくありません。しかし、気持ちだけの問題ではないことも考えられます。

まずは、冷静に原因と対策を考える必要があります。

この記事では、朝が起きられない根本的な原因とその対策を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

1.ナゼ?朝起きられない原因

右腕の血圧を測る女性

根本的に解決するためにも、まずはどうしても朝起きられない原因について知ることが大切です。

【関連情報】 「睡眠は時間だけでなく質も重要!ぐっすり眠るための7つの秘訣とは?」についての記事はこちら

1−1.体内時計の調節異常で起きられない

生活習慣の乱れなどによって、体内時計が乱れて睡眠と覚醒のリズムが崩れている可能性があります。

約1日の睡眠と覚醒のリズムは体内時計が制御していることが知られています。

睡眠と覚醒のリズム以外にも、自律神経や内分泌ホルモン系なども調節しており、この周期を「概日リズム」と呼びます。

概日リズムの機構によってヒトはたとえ隔離された環境でも、ほぼ規則正しい「睡眠」と「覚醒」を行います。

ただし、ヒトの体内時計の周期は地球の周期よりも1時間ズレており、約25時間と言われています。

この約1時間の差異を調整するために、日常生活でさまざまな刺激を受け、地球の周期に同調(同調機構)します。

朝の光や夕方の光、食事などの生活習慣が重要な役割を果たしているのです。

睡眠不足や夜更かしなどによって生活習慣が乱れると、同調機構がうまく働かなくなります。

その結果、睡眠・覚醒リズムが乱れ、朝起きられなくなってしまうのです。

1−2.低血圧で起きられない

血圧は、心臓が血液を送り出す力のことで、低ければ低いほど血管にかかる圧力が小さくなります。

低血圧とは、一般的に上の血圧(収縮期)が100mmHg以下、下の血圧(拡張期)が60mmHg以下の状態のことです。

血圧が低過ぎると、全身に十分な血液が供給されません。血液は細胞に酸素や栄養素を運ぶ役割をしているので、不足すると栄養素を十分に受け取れなくなります。

そのため、めまいや立ちくらみ、朝起きられないなどの症状があらわれるケースも珍しくありません。

一般的に男性よりも女性の方が低血圧の症状が出やすいです。朝起きられないだけでなく、以下の症状に悩みを抱えていたら低血圧の疑いがあります。

  • 立ちくらみやめまいがある
  • 頭痛がある、頭が重い感じがする
  • 倦怠感や疲労感がある
  • 肩こりが気になる
  • 動悸がする

1−3.薬や刺激物で起きられない

普段の寝つきが悪く、睡眠不足によって朝が起きられない可能性もあります。

不眠の原因の一つに治療薬が作用していることもあります。

一部の薬には不眠を誘発することもあるのです。例えば、降圧剤や甲状腺製剤、抗がん剤などが挙げられます。

また、刺激物の摂取も安眠を妨げます。

たばこに含まれるニコチン、コーヒーや紅茶のカフェインなどには、覚醒作用があり、睡眠の質に大きな影響を与えるでしょう。

これらが原因になると、睡眠不足によって朝起きられなくなります。

2. 実は朝に起きられないのは病気?

寝起きの悪い男性とアラーム

たとえ大人でも目覚ましのアラームに気付かないほど朝が起きられないこともあります。

アラームを大音量にしても起きられず、たびたび遅刻してしまう……と日常生活に支障が出ている場合は、何かしらの病気である可能性も考慮しましょう。

ここでは、朝起きられないときに考えられる病気と症状を紹介します。思い当たる節があれば、病院への受診も検討してみてください。

2ー1.概日リズム睡眠障害

どうしても朝起きられない場合は、睡眠障害の可能性が考えられます。睡眠障害とは、睡眠に関するあらゆる病気の総称のことです。

冒頭でも説明したとおり、朝しっかり起きられるためには、体内時計を調節することが大切です。

睡眠障害のなかでも概日リズム睡眠障害は、体内時計が24時間周期に適切に同調できなくなります。

概日リズム睡眠障害は、大きく二つに分類されます。

一つは、人為的・社会的な要因が引き金となり、体内時計の周期を短期間に変えなければいけないものです。

例えば、時差症候群や交代勤務睡眠障害などが当てはまります。それぞれの特徴は以下です。

  • 時差症候群……4~5時間を超える時差がある場所に高速で移動することによって、体内時計が外界とズレてしまいます。

    夜になっても寝ることができず、睡眠不足が続くことで昼間に過度の眠気などが現れることがあります。

  • 交代勤務睡眠障害……昼夜逆転しやすい勤務が増えて頻繁に睡眠時間が変化すると、睡眠を始め精神や体に異常をきたす症状があらわれます。

    起床後に疲労感が抜けず、すっきりと起きられずに二度寝をしてしまうこともあるでしょう。

もう一つは、外界の周期に合わせるための同調機能に異常がある場合に引き起こる、内因性概日リズム睡眠障害に分類されます。

また、内因性リズム障害はさらに三つの種類があり、それぞれの特徴は以下のとおりです。

  • 睡眠相後退症候群……理想的な就寝・起床の時刻に入眠および覚醒が難しく、しばしば午前3時~6時の特定の時刻になるまで眠れない症状が見られます。

    重要な予定がある日でも決められた時間に起床できないため、午前中には眠気などの身体的不調が起こり、学業や仕事に支障をきたすことがあります。

  • 睡眠相前進症候群……夕方の眠気や早朝覚醒が特徴的で、主に高齢者に見られる症状です。

  • 非24時間睡眠覚醒症候群……通常の外部環境の影響を受けずに、約25時間の睡眠・覚醒周期となる障害です。

    この症状では、一定の時刻に睡眠・起床することが極めて難しく、毎日30~60分ずつ入眠時刻が遅れていきます。

一般的に高照度光治療器やメラトニンと呼ばれるホルモンを使用して体内時計の同調を促す方法で治療が行われます。

2-2.OD(起立性調節障害)

OD(起立性調節障害)は、思春期の子どもに多く見られており、朝起きられない、立ち眩み、倦怠感、頭痛、などの症状が特徴的です。

自律神経が適切に機能せずに、起立時などに血圧低下や脳血流の不足が発生することで発症します。

この症状が長く続いていると、社会的な成長において大きな問題を引き起こすケースも珍しくありません。

不登校や引きこもり、その後の社会生活に支障が生じることがあります。

2-3.うつ病

うつ病は、心と体の両方から症状が現れる病気です。うつ病の発症は、環境要因が大きく影響します。

例えば、大切な何かを失ったり、人間関係や家庭内でのトラブルがあったり、職場や家庭での役割が変わったりすることなどがストレスとなって、うつ病を引き起こす可能性があります。

心の症状 体の症状
・気分が落ち込んでいる
・何をしても楽しめない
・自分に自信がない
・やる気が出ない
・物事に集中できない
・消えてしまいたいと感じる
・眠れない/起きられない
・食欲がない
・口が渇く
・疲れやすい
・頭痛や肩こりなどの痛みがある
・動悸やめまいがする

また、うつ病の症状として、朝の調子が最も悪く、午後から夕方に改善していくことがよくあります。

朝起きられずに、仕事や学校に間に合わず、午後から調子が戻っていくと、周囲からは怠けていたりサボっていたりしていると見えるかもしれません。

しかし、うつ病は脳内の神経伝達物質である「セロトニン」と「ノルアドレナリン」が関与していると考えられています。

この伝達物質は精神的な安定や、意欲を調節する役割を果たしているため、減少すると憂うつな状態になるとされています。

重要なことは、うつ病は怠けているなど気持ちの甘えではないということです。

また、一生のうち約15人に1人が発症するありふれた病気の一つと言われており、早期に適切な治療が必要です[1]。

[1]厚生労働省「こころの病気について知る-うつ病-」

3.「朝起きられない」を生活習慣から改善!

光浴をする女性

とにかく朝起きられないと感じている方に、生活習慣の改善が大きな助けになることをお伝えします。

気持ちの良い朝を迎え、充実した一日をスタートさせるために、以下のアドバイスをご覧ください。

3ー1.光浴の習慣

光は体内時計を24時間周期に調節するのに役立ちます。

先述したとおり、ヒトの体内時計は外界の24時間よりも少し長いため、朝の光を浴びて周期を調節することが大切です。

例えば、起床直後はカーテンを開けて自然光を部屋に取り込むのも効果的です。

現時点で朝起きることが困難な場合は、昼間の光を浴びましょう。昼と夜のメリハリをつけることにもなります。

また、夜に分泌されるメラトニンと呼ばれるホルモンが増加されて睡眠をサポートします。

3-2.食習慣

実は、食習慣も睡眠には重要です。睡眠不足を改善して朝起きられるようにするには、食生活を見直して、睡眠の質を向上させましょう。

3食はしっかりと摂取しなければ夜の睡眠にも影響します。特に朝食を摂らなければ日中のエネルギー量が減少して夜の睡眠に悪影響を与えます。

朝食を摂る習慣のない人は、食べやすく栄養価の高い食品から始めましょう。

例えば、牛乳やヨーグルト、果物、野菜ジュースなどを選び、徐々に朝食を整えることがおすすめです。

3-3.就寝時の習慣

布団に入る時間を一定にすることで、体内時計が安定し自然に眠りに入れるようになります。

ただし、カフェインやニコチンは神経を興奮させて、覚醒作用をもたらすため避けましょう。

カフェインは体内で約5〜6時間かけて分解されるため、就寝前に摂取すると、眠りにくくなったり、浅い眠りになったりします。

喫煙も同様に眠りの妨げになります。

アルコールも一時的には眠気を誘いますが、眠りが浅くなり、途中で目が覚めやすくなるのでおすすめできません。

4.朝、起きられない原因についてのまとめ

朝に起きられず、遅刻した経験がある方も少なくありません。それは「甘え」や「怠けている」というわけでなく、睡眠障害の可能性も考えられます。

まずは生活習慣を見直して、入眠や覚醒の時間を一定にすることが大切です。

それでも改善が見られない場合は、病気であることも視野に入れて、家族や友人、医師に迷わず相談しましょう。

この記事の監修者

小鷹 悠二
小鷹 悠二
おだかクリニック
副院長

【経歴】
総合病院・大学病院での勤務を経て、2018年よりおだかクリニックの副院長として診療・経営にあたる。専門の循環器疾患(虚血性心疾患、心不全、不整脈など)はもちろんのこと、高血圧や高脂血症、糖尿病等の生活習慣病や内科疾患全般の診療に従事。現在は、医療コンサルト・アドバイザー業務や、ライティング業務などにもあたっている。

【おだかクリニックのHP情報】
»医療法人日和会 おだかクリニック

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