「入浴にはどんな効果があるんだろう?」
入浴した後はシャワーで済ませたときよりも、疲れがとれたように感じますよね。
これは湯船につかることで体にさまざまな作用がはたらくためです。
この記事では入浴が体に与える影響について解説します。
また、目的別に入浴のポイントもご紹介します。
入浴の効果を詳しく知りたい、入浴の効果を高めて健康な体づくりをしたいという方はぜひ参考にしてくださいね。
1.入浴が体に与える影響
「入浴すると体にはどんな影響があるのかな」
お湯につかると体には三つの物理的な作用、温熱・水圧・浮力がはたらきます。
お湯の温熱作用は体を温めて血管を広げ、血液やリンパの巡りを良くします。
血の巡りが良くなると、疲労物質や老廃物の排出が促されます。
また体が温まることで筋肉のこりや緊張がほぐれます。
さらに、ぬるめのお湯につかると副交感神経が優位になり、心身ともに落ち着いた状態になります。
お湯の水圧作用は、体表面の静脈に圧をかけ下半身にたまりがちな血液を心臓に戻りやすくします。
これは水圧が胴や胸周りを数cm小さくする程度の適度な力をかけているためです。
また水圧によって、横隔膜が上に押し上げられると肺の容量が少なくなり、呼吸数が増えることで心臓が活発にはたらくため血行が良くなります。
お湯の浮力作用は、普段体を支えている筋肉や関節への負荷を小さくします。
これにより筋肉の緊張がほぐれ、腰痛などの痛みを緩和してくれます。
また体が軽くなって浮遊感を感じるため、リラックスできます。
【関連情報】 「血行を促進させる方法とは?生活習慣で気を付けたいポイントを解説」についての記事はこちら
2.入浴に期待できる効果
「入浴にはどんな効果があるんだろう?」
入浴にはさまざまな健康効果がありますが、全ての効果を知っている方は少ないかもしれませんね。
入浴には以下のような効果があります。
【入浴に期待できる効果】
- 疲労回復
- 快眠
- リラックス
- 肩こりや腰痛の改善
- むくみの改善
- 新陳代謝の促進
この章ではこれら六つの効果をさらに詳しくご紹介します。
ぜひ自分の悩みに合った効果を見つけてみてくださいね。
2-1.疲労回復
入浴には疲労回復の効果があります。
お湯につかると、体には温熱と水圧がかかります。
この温熱と水圧のはたらきによって血行が促進されるため、体にたまった老廃物や疲労物質が排出されやすくなります。
また体が適度に温まると、体の修復にはたらき掛ける副交感神経が優位な状態となります。
これらのはたらきによって入浴すると疲労が回復します。
2-2.快眠
入浴には快眠を促す効果もあります。
眠気は脳の温度が下がる際に生じやすいといわれています。
入浴によって体を温めると一時的に脳の温度も上がるため、その後の脳の温度の低下幅が大きくなります。
また入浴すると皮膚の血管が広がり、熱が放出されやすくなります。
一時的に体温を上げてから熱を放出することで、入眠しやすい状態になるのですね。
2-3.リラックス
入浴ではリラックス効果を得ることができます。
お湯の浮力の作用で、重力に対して体を支えていた関節や筋肉の緊張が緩和されます。
また、入浴は副交感神経を優位にするため心身がくつろいだ状態になります。
入浴で気分が安らぐのは気持ちの問題だけではなく、こうした体へのはたらきかけがあるからなのですね。
2-4.肩こり・腰痛の改善
入浴は肩こりや腰痛の改善にも効果的です。
腰痛は疲労や運動不足などによって血流が悪くなり、筋肉の柔軟性がなくなることが原因で起こります。
このため入浴で体の芯まで温めることで、筋肉のこりがほぐれ痛みが緩和される効果が期待できます。
また、お湯の浮力の作用で体が軽くなることで筋肉や関節の緊張が緩み、腰痛の緩和に役立ちます。
腰痛のなかでも日常的にある軽度のものや、寒い時期になったら痛むもの、筋肉痛と似た痛みのあるものは入浴の効果を感じやすいといわれていますよ。
肩こりは運動不足や姿勢の悪さが原因で起こります。
慢性的な肩こりは温めることで血流の循環が促され、改善することができます。
肩こりにお悩みの方はぬるめのお湯に首までつかると良いでしょう。
2-5.新陳代謝の促進
入浴すると新陳代謝も促進されます。
入浴して体を温めると血流が良くなるため新陳代謝が活発になります。
新陳代謝が上がると、体内にたまっていた老廃物や疲労物質が除去されやすくなります。
このため疲労が回復しやすくなり、肌の調子も改善します。
新陳代謝が活発な状態は、運動前に軽いウォーミングアップをした際と同じような状態です。
運動中のけがが心配という方は、体を温めてから行うとけがをしにくくなるといわれていますよ。
2-6.むくみの改善
入浴はむくみの改善にも効果的です。
むくみは下半身に血液がたまってしまうことなどが原因で起こります。
入浴では体全体が温まり、水圧がかかった状態になるため心臓へ血液が戻りやすくなります。
また入浴中は副交感神経が優位となり、血管が広がるためより血行が良くなります。
さらに水圧によって肺の容量が減り呼吸数が増えるため、心臓が活発にはたらいて全身の血液循環が良くなります。
3.入浴のポイント
「入浴の効果を上げるポイントはあるのかな?」
入浴には求める効果別に押さえておくべきポイントがあります。
この章では、疲労回復、快眠、肩こり・腰痛改善、むくみ改善の効果を上げるための入浴のポイントをご紹介します。
ぜひご自身の目的に合わせてポイントを押さえ、入浴の効果を上げてくださいね。
3-1.疲労回復を目的とする場合のポイント
疲労回復を狙う場合はぬるめのお湯で半身浴をしましょう。
半身浴では下半身だけに水圧がかかり、足にたまった血液を効率的に心臓に戻してくれるため、血流の改善が期待できます。
また半身浴は全身浴に比べて体への負担が少ないのもメリットです。
熱いお湯は交感神経を活発にするといわれており、リラックスには向かないためぬるめのお湯に入ることが勧められます。
さらに入浴剤を使うことで、温熱効果をより高めることもできます。
特に炭酸ガス系の入浴剤には血管を広げて血行を良くする効果があるため、新陳代謝が活発になり疲労が回復しやすくなりますよ。
3-2.快眠を目的とする場合のポイント
快眠のためには、夕方あるいは夜の入浴が効果的であるといわれています。
就寝直前の入浴はかえって寝つきを悪くする恐れがあります。
寝つきを良くするためには就寝2〜3時間前に入浴を済ませておくと良いでしょう[1]。
また体温の上昇は0.5度程度でも寝付きを良くする効果は認められており、あまり熱いお湯に長くつかることは体への負担が大きくなるため勧められません[1]。
38度のお湯なら25〜30分、42度のお湯なら5分程度が適当だとされています[1]。
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」
3-3.肩こり・腰痛改善を目的とする場合のポイント
肩こりの改善のためにはぬるめのお湯に首までつかるのが効果的であるといわれています。
体の芯まで温まり汗が出てくる程度を目安にすると良いでしょう。
また浴槽から出た後、こっている部分に熱めのシャワーをかけることでさらに血行が良くなるといわれています。
腰痛の改善を目的とする場合はぬるめのお湯での半身浴がおすすめです。
このとき体は後ろに反らし、汗をかくまでゆっくりつかると良いとされています。
3-4.むくみの改善を目的とする場合のポイント
むくみの改善にはぬるめのお湯に半身浴するのが効果的です。
むくみを解消するには体を温め、下半身にたまった血液を心臓に戻してあげることが重要です。
このためマッサージをしながらゆっくりと半身浴することが勧められます。
脚は血液が流れやすいようにひざを立てずにまっすぐに伸ばすか、少し上に上げると良いでしょう。
3-5.リラックス効果を目的とする場合のポイント
リラックス効果を高めるには入浴剤を使うことがポイントです。
これは入浴剤の香りが脳の「大脳辺縁系」という快感に関わる部分に伝わることで、自律神経にはたらきかけ、副交感神経を優位にするためです。
このような香りによってリラックス効果を得る方法を「アロマテラピー」といいます。
心身を休ませたいときには、入浴剤を入れるなどしてゆったりと湯船につかってみましょう。
4.入浴についてのまとめ
お湯につかると全身が温められ、体には圧と浮遊感を感じます。
これはお湯の温熱、水圧、浮力によるものです。
入浴するとこれらの物理的作用により、さまざまな効果が得られます。
入浴の効果には、疲労回復、快眠、リラックス、肩こり・腰痛の改善、むくみの改善、新陳代謝の促進などがあります。
適切な入浴方法は求める効果によって異なるため、目的に応じてお湯の温度や量、つかる時間などを調節しましょう。
ぜひこの記事を入浴の効果を高めるために役立ててくださいね。