「中途覚醒って何で起こるのだろう?」
「何度も目が覚めるから、仕事中も眠い……」
睡眠中に何度も目が覚めて、朝までしっかり休めない……そんな状況に悩んでいませんか?
なかなか寝付けないと熟睡感が得られず、日常生活にも支障をきたす恐れがあります。
この記事では、中途覚醒とは何か、中途覚醒が起こる原因や具体的な対策について解説します。
1.中途覚醒は不眠症の一種
中途覚醒とは、睡眠中に目が覚めてしまう不眠症の一種です。
睡眠の質が低下し、深い眠りに入れないため、夜中に何度も目が覚めます。睡眠が途切れてしまうことから、翌日の体調に悪影響を及ぼしかねません。
主な症状として、日中の倦怠感や集中力・意欲・食欲の低下などが挙げられます。
中途覚醒は、高齢者に多く見られる症状です。なぜなら、高齢になると生活習慣や体内時計の変化、慢性的な病気や薬の影響などで睡眠のリズムが乱れやすくなるためです。
【関連情報】 「睡眠不足の悪影響とは?質の高い睡眠をとるためのポイントも解説」についての記事はこちら
2.中途覚醒が起こる原因
中途覚醒の原因として、主に四つ挙げられます。
- 生活リズムの乱れ
- ストレス
- 睡眠環境
- 病気によるもの
それぞれ、詳しく説明します。
2-1.生活リズムの乱れ
中途覚醒の原因として、生活リズムの乱れが挙げられます。生活リズムが乱れると、睡眠に関わるホルモンであるメラトニンの分泌が正常に行われません。
メラトニンは眠気を誘う物質で、日中は分泌量が少なく、夜になると増加します[1]。
しかし、日中に十分な日光を浴びなかったり、夜遅くまで起きたりしているとメラトニンの分泌量が低下します。
その結果、眠りが浅くなったり、睡眠中に目が覚めたりしてしまうのです。
2-2.ストレス
ストレスも、中途覚醒を引き起こす原因の一つです。
ストレスを感じると、交感神経が活発になるため、体や脳が興奮状態になってしまいます。この状態が続くと、心身ともにリラックスできず、なかなか寝付けなくなります。
2-3.睡眠環境
睡眠環境が悪いと、睡眠の質や量に影響を与えるため、中途覚醒を引き起こす恐れがあります。
例えば、寝室の温度が適切でない場合、体温調節がうまくいかず、発汗や冷えで目が覚めやすくなります。
また、寝具が自分の体型や姿勢に合っていないと、首や肩に負担がかかり、筋肉が緊張してしまい寝付きが悪くなることもあるでしょう。
2-4.病気によるもの
中途覚醒が起こる背景として、病気が潜んでいるかもしれません。病気によっては、睡眠の質に悪影響をもたらすことがあるためです。
例えば、以下のような病気が不眠症を引き起こす可能性があります。
高血圧や心臓病、呼吸器疾患、腎臓病、前立腺肥大、糖尿病、関節リウマチ、アレルギー疾患、脳出血や脳梗塞など
体の不調や痛み、頻尿、薬の副作用などで睡眠を妨げるうつ病など
気分や思考がネガティブになり、不安や悲しみで眠れなくなる
これらの病気は、中途覚醒だけでなく、さまざまな症状を引き起こす可能性があります。
もし上記の症状が見られる場合は病院へ受診し、早期に診断や治療を受けることをおすすめします。
3.中途覚醒を改善するための方法
中途覚醒は睡眠の質を妨げてしまうため、なかなか寝付けないと感じたら、早めに対処することが大切です。ここでは、中途覚醒を改善するための方法をご紹介します。
3-1.毎日同じ時刻に就寝・起床する
中途覚醒を改善するには、体内時計を整える必要があります。
体内時計とは、体温や自律神経など、体のさまざまな機能を約25時間周期でコントロールするシステムです[2]。
睡眠・覚醒リズムの調整をしているのも、体内時計のはたらきによるものです。
毎日同じ時刻に就寝・起床することで、睡眠リズムをコントロールしている体内時計を調整することができます。
夜更かしや昼寝のし過ぎは、体内時計を乱す要因になります。
そのため、平日や週末問わず、決まった時間に就寝・起床するよう心掛けることが大切です。
これにより、体内時計が整えられ、睡眠の質を高められます[3]。
また、夜に強い光を浴びると、体内時計を遅らせてしまい、生活リズムの乱れにつながります。
就寝前はスマートフォンを見ないようにしたり、暖色系の照明で過ごしたりするようにしましょう。
3-2.起床後は日光を浴びる
起床後は日光を浴びるのがおすすめです。日光には、体内時計を調整するはたらきがあります。
前述したとおり、体内時計は25時間周期であるものの、1日は24時間周期であり、約1時間の時差が生じることから、このズレを調整しなければなりません。
早朝に日光を浴びることによって、目に光が入り、体内時計がリセットされます。
また、朝の日光を浴びた約15時間後に、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が盛んになるため、自然と眠気が促され、寝付けるようになります。
3-3.適度な運動習慣を身に付ける
睡眠の質を向上させるために、適度な運動習慣を身に付けることも大事です。適度な肉体的疲労は、心地良い眠りを促します。
おすすめなのは、軽く汗ばむ程度の運動です。ウォーキングやジョギング、水泳などが適しています。
逆に激しい運動は、交感神経を刺激し、寝付きにくくさせてしまうため避けましょう。
3-4.ぬるめのお湯にしっかりつかる
ぬるめのお湯にしっかりつかることで、副交感神経が優位になり、リラックスした状態で寝付きやすくなります。
38℃くらいのぬるめのお湯に30分程度つかることにより、血行が促進され手足から深部体温が放散されやすくなります。
深部体温が下がることで、眠気が強くなります。そのため、就寝の2〜3時間前の入浴が理想的です。ただし、入浴後は冷えないように注意しましょう。
そのほか、半身浴も睡眠の質を高めるのに効果的です。腹部まで湯船につかり、約40℃のお湯で30分ほど汗をかきます。
これにより、血行を良くし新陳代謝を高められます。
3-5.就寝前のアルコールやカフェイン、喫煙は避ける
就寝前のアルコールやカフェイン、喫煙はなるべく避けましょう。
アルコールは一時的に寝つきを良くしますが、眠りが浅くなるため夜中に目が覚めやすくなります。
コーヒーや緑茶に含まれるカフェインには覚醒作用があります。そのため、就寝前の5〜6時間前からカフェインを控えることがおすすめです。
たばこに含まれるニコチンにも同様の覚醒作用があるため、就寝前に喫煙するのは控えましょう。
3-6.睡眠環境を整える
中途覚醒を改善するための方法として、睡眠環境を整えることも大切です。
寝室の温度は約20℃前後、湿度は40〜70%程度に保つのが理想です。温度が高過ぎたり、低過ぎたりすると目が覚めやすくなります。
枕は、マットレスや敷布団の表面から首の角度が約5度になっているものがおすすめです。
枕の高さが合っていないと首や肩・胸の筋肉に負担がかかり、寝心地が悪くなります。
マットレスや敷布団は、仰向けになった際に背骨のS字カーブがキープできる、かつ適度な硬さのものを選ぶことが大切です。
硬過ぎると体圧が分散されず、痛みやしびれで目が覚めます。一方で、柔らか過ぎると姿勢が悪くなり、腰痛の原因にもなるので注意しましょう。
4.中途覚醒についてのまとめ
中途覚醒とは、睡眠の質を低下させる不眠症の一種で、生活リズムの乱れやストレス、睡眠環境や病気などが原因で起こります。
中途覚醒を改善するには、日頃の生活習慣を見直すことが大切です。
まずは生活リズムを整えるよう、毎日決まった時間に就寝・起床するよう意識したり、日光を浴びたりしましょう。
また、適度な運動習慣やぬるめのお湯にしっかりつかることは、睡眠の質向上にもつながります。
一方、寝付きにくくならないよう、寝る前にアルコールやカフェイン、喫煙を控えることも大事です。
この記事を参考に、睡眠環境を整えてリラックスし、快適な睡眠を目指しましょう。
この記事の監修者
おだかクリニック
副院長
【経歴】
総合病院・大学病院での勤務を経て、2018年よりおだかクリニックの副院長として診療・経営にあたる。専門の循環器疾患(虚血性心疾患、心不全、不整脈など)はもちろんのこと、高血圧や高脂血症、糖尿病等の生活習慣病や内科疾患全般の診療に従事。現在は、医療コンサルト・アドバイザー業務や、ライティング業務などにもあたっている。
【おだかクリニックのHP情報】
»医療法人日和会 おだかクリニック