いびきとは?音が出る仕組みや原因、いびきによる問題を徹底解説

2024年07月25日

2024年10月30日

「家族にいびきがうるさいと言われる……」

「自分のいびきはひどいのかな?」

このように、いびきに関するお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

いびきとは睡眠中に鼻や喉が狭まることで呼吸に伴って出る音のことをいいます。

疲れているときやお酒を飲んだとき、また風邪をひいているときなどの一時的ないびきは異常なものではありません。

しかし慢性的ないびきは命に関わる危険性もあり、適切な治療が必要です。

この記事では注意すべきいびきはどのようなものなのか、またいびきの原因や治療法についても詳しく解説します。

いびきを改善するための生活習慣のポイントについてもご紹介するので、参考にしてくださいね。

1.いびきとは

枕を抱えて床に座っているパジャマの人

「いびきをかくのは体のどこかが悪いからなのかな?」

このように不安を感じている方もいらっしゃるかもしれませんね。

寝ているときは舌の付け根が奥へ下がりやすく、舌周辺の筋肉も緩んでいるため誰でも喉が狭くなり空気が喉を通る際に振動音が出ます。

ただし通常であれば喉が極端に狭くなることはなく、寝息程度の振動音しか出ません。

つまりいびきは何らかの異常により喉がひどく詰まってしまうことで起こるのです。

またいびきは一緒に寝ている人の眠りを妨げるだけでなく、睡眠が不安定になり睡眠不足を招きます。

慢性的ないびきは生活に支障を来たしたり健康を害したりする恐れがあるので改善が必要です。

2.いびきの主な原因

「いびきの原因は何だろう?」

このように気になる方もいらっしゃいますよね。

ここではいびきの主な原因やいびきをかきやすい人の特徴について解説します。

2-1.肥満

脇腹をつまむ男性

肥満はいびきの大きな要因の一つです。

首にも脂肪が蓄積すると喉が狭まってしまいます

睡眠中に気道が圧迫され、ひどいいびきが生じるケースは特に男性に多いとされています。

また体重が増えると舌も大きくなるため、舌の根元部分が落ち込みやすく気道が狭くなることも、いびきの原因となります。

2-2.鼻詰まり

ベッドで鼻をつまんでいる男性

鼻詰まりもいびきの原因となります

花粉症や鼻炎などで鼻が詰まっているとき、いびきをかいていると指摘されたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

鼻が詰まっていて鼻での呼吸が苦しいと、つい口呼吸をしてしまいますよね。

この呼吸がいびきの原因となるのです。

口呼吸をしているときは口が開いたままになるため、喉が炎症を起こし気道が狭くなりやすい傾向にあります。

またあおむけの姿勢で寝ている場合、舌が気道に落ち込みやすくなることもいびきの原因です。

なお、横になっていると鼻と心臓の高さが水平になるため、鼻の粘膜から心臓に血液が戻りにくくなることで鼻詰まりが悪化します。

このため起きているときは鼻呼吸をしていても、寝ているときは口呼吸になってしまう場合もあるのです。

また「鼻中隔湾曲症」や鼻腔の周りにある副鼻腔が炎症を起こす「副鼻腔炎」などの病気に伴い、いびきが起こることもあります。

鼻中隔湾曲症とは
左右の鼻腔を隔てる真ん中の仕切りである鼻中隔が強く曲がっており、鼻が詰まる、においが分からない、いびきがひどいなどの症状が現れる状態のことをいいます。
副鼻腔炎とは
主に細菌やウイルス感染により鼻腔の周りにある副鼻腔が炎症を起こす病気です。

鼻づまりはさまざまな病気の症状として現れるため、原因となる病気を把握し適切に治療することが重要と考えられますね。

2-3.飲酒

ビールのはいったグラスで乾杯する人

アルコールを飲み過ぎるといびきをかきやすくなります

アルコールには筋肉を緩める作用があるため、お酒を飲むと気道周辺の筋肉が緩み、舌が落ちやすくなります。

そのためいびきをかくことがあります。

なかでも肥満の人がお酒を飲み過ぎるといびきが大きくなる傾向にあります。

またアルコールは血流を良くする作用も有しています。

これによりお酒を飲むと鼻の血管も広がり粘膜が腫れるため、鼻詰まりも起こしやすくなります。

3.いびきを改善するための生活習慣のポイント

「いびきを改善するにはどうしたら良いんだろう……。」

いびきを改善したいと思っている方もいらっしゃいますよね。

ここでは生活習慣のなかで取り組める改善ポイントについてご紹介します。

3-1.肥満を解消する

いびきを改善するには肥満を解消することが重要です。

肥満の場合は適正体重まで減量し、その体型を維持することでいびきの軽減が期待できます。

適正体重とは
標準体重とも呼ばれ、BMIが22のときの体重です。[身長(m)の2乗]×22で計算できます[1]。BMIは肥満度を表すために国際的に用いられている指標で、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]という式で求められます[2]。標準体重は最も病気になりにくい状態であるとされており、日本では体脂肪が過剰に蓄積しBMIが25以上の場合、肥満に分類されます[3]。

また適正体重に近い体重の方は肥満にならないよう体重を維持することがいびきの予防になると考えられます

なお、体重はエネルギー摂取量(摂取カロリー)とエネルギー消費量(消費カロリー)のバランスによって変化します。

体重を減らすには食事から摂取するエネルギー(カロリー)を運動などで消費するエネルギーよりも少なくすることが必要です。

ダイエットの方法については、詳しくは以下の記事をご覧ください。

ダイエット成功のためにすべきこととは?健康的に痩せる7つのコツ

[1] 日本医師会「健康の森

[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康

[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「BMI

3-2.アルコールを控える

就寝前のアルコールを控えることで、いびきの軽減や予防効果が期待できます

酒量が多くならないよう意識し、お酒を飲む場合も就寝の直前にならないように注意しましょう。

なお、厚生労働省は「節度ある適度な飲酒」を純アルコール量で1日平均約20gとしています[4]。

純アルコール量とは
お酒に含まれるアルコール量のことです。[酒の量(mL)]×度数/100×0.8という式で算出できます[4]。

身近なお酒の純アルコール20gに相当する量は以下のとおりです。

純アルコール20g相当のお酒の種類と量

公益社団法人 アルコール健康医学協会「お酒と健康 飲酒の基礎知識」をもとに執筆者作成

日頃これ以上のお酒を飲んでしまっているという方は減酒に努めましょう。

[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「飲酒量と単位

3-3.横向きに寝る

横向きに寝ることで、いびきを改善できる場合があります

あおむけの姿勢で寝ると舌が下がるため喉が塞がってしまい、いびきの原因となります。

このため寝るときの姿勢を横向きにすること舌で気道に下がりにくくなり、いびきの軽減につながります。

横向きの姿勢で寝ることが難しい場合は、横向きで寝やすい枕や抱き枕などを活用して、横向き姿勢をとれるように工夫すると良いでしょう。

3-4.いびき対策アイテムを活用する

いびき対策グッズを試してみるのもおすすめです。

鼻詰まりを解消する効果が期待できるものや、唇に貼って口呼吸を予防するテープなどを活用してみるのも良いでしょう。

また寝る際にマスクをすることで口の周りの湿度を保ち、鼻詰まりの解消につながる場合があります。

他に気道を広げる効果が期待できるいびき用のマウスピースなどもあります。

マウスピースは自分の歯型に合っていないと効果が得られませんが、歯科医院では専用のマウスピースを製作してくれる場合もあるので、相談してみると良いでしょう。

いびきの原因によっても効果が出るグッズは異なるので、まずはいびきの原因を明確にすることが大切です。

4.睡眠時無呼吸症候群とは

ベッドであくびをする男性

「毎日眠いのはいびきをかいているせいかな?」

このように日中眠気を感じるほどの慢性的ないびきは、注意が必要です。

「睡眠時無呼吸症候群」という睡眠中に呼吸が止まってしまう病気の恐れがあります

眠っている間に呼吸が止まると、血液中の酸素濃度が低下して目を覚ますため再び呼吸を始めますが、眠り出すとまた呼吸が止まってしまいます

このため睡眠時無呼吸症候群では熟睡することができなくなり、日中に強い眠気を感じます。

眠気により学業や仕事に支障が出るだけでなく、居眠り運転などの重篤な事故を起こしてしまうケースもあります。

また酸素濃度が低下すると心臓は不足を補おうとしてはたらきを強め、高血圧や動脈硬化を招きます。

メモ
高血圧は血圧(心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す力)が慢性的に高い状態のことです。動脈硬化動脈の壁がしなやかさを失い厚く硬くなった状態のことです。血管が狭くなったり裂けやすくなったりするため、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血などの重篤な病気を招きます。

命に関わる重篤な事態を招く恐れもあるのですね。

いびきがひどい場合や睡眠中の呼吸停止がある場合には、速やかに検査や治療を受けることが必要です。

5.睡眠時無呼吸症候群を伴ういびきの治療

ベッドで横になり両手で顔を覆う男性

「いびきにはどんな治療法があるんだろう……」

いびきにはどんな治療法があるのか気になりますよね。

いびきについては呼吸器科や耳鼻科を受診して相談するのが一般的ですが、いびき外来を設けている睡眠障害専門の機関もあるので、受診前に確認してみましょう

ここでは実際に行われているいびきの治療法について解説します。

5-1.マウスピース

専用のマウスピースを着用し喉を広げやすくすることでいびきの発生を抑制する治療法があります。

歯列矯正などに使用されるマウスピースと同じような歯型の装置で、就寝時に口の中に装着します。

このマウスピースを付けることで下顎が前に出て、気道が広がり空気が通りやすくなります。

持ち運びが容易、装着しても目立ちにくいというメリットもありますが、マウスピースだけでは重症の睡眠時無呼吸症候群を十分に改善することは難しいとされています。

5-2.CPAP治療

中等から重症の睡眠時無呼吸症候群で最も多く行われている標準的な治療法としてCPAP療法があります。

CPAP療法とは機械で圧力をかけた空気を鼻から気道に送り込み、気道を広げることで睡眠中の無呼吸を防ぐ治療法です。

CPAP治療解説図

常に一定の圧力をかける場合と呼吸がないときに圧力を強める場合があり、どちらにするかは状況に応じて医師により決定します。

CPAP療法は個人に合ったマスクを選定することが重要で、実際に装着して相談しながら合うマスクを選択していきます

CPAP療法のマスクには大きく分けて鼻タイプや鼻孔タイプ、フルフェイスタイプなどがあります。

最も一般的なのは鼻を覆う「鼻タイプ」と呼ばれる種類のマスクです。

空気の漏れが少なく装着感も安定しているといわれていますが、ベルトを強く締め過ぎると顔にマスクの痕が残ることがあります。

鼻腔に直接、器具を差し込む鼻孔タイプは、寝返りなどによりずれやすく空気が漏れやすいものの顔への圧迫感が少ないため、顔にマスク痕が残りづらいのが特徴です。

その他、鼻から口まで覆われるフルフェイスタイプは、鼻づまりなどにより鼻呼吸が困難な場合などに選択されます。

治療効果には個人差があるものの、一般的には熟睡感が得られたり、日中の眠気が軽減したり治療効果を実感する場合が多いとされています。

良質な睡眠により生活の質の向上も期待できますね。

5-3.外科的治療

いびきの原因によっては外科的な治療を行うことで改善する場合があります

一般的に「のどちんこ」と呼ばれている「口蓋垂」がいびきの原因となるケースがあり、この場合には切除することでいびきの改善が見込まれます。

また扁桃肥大やアデノイド肥大が原因で喉が塞がれている場合にも手術による摘出や切除が有効です。

扁桃肥大やアデノイド肥大などによるいびきは小児に多いといわれており、軟口蓋がいびきの原因となるのは成人にみられるといわれています。

メモ
扁桃は呼吸によって鼻や口から入ってくるウイルスや細菌が気管や肺に入るのを防いでいる組織です。鼻の奥の「咽頭扁桃(アデノイド)」、舌の付け根に位置する「舌根扁桃」、耳とつながっている「耳管扁桃」、口蓋垂の四つの組織で構成されています。

口蓋垂によるいびきは成人に、扁桃肥大やアデノイド肥大によるいびきは小児に多い傾向にあるといわれています。

また鼻中隔湾曲症の場合は基本的に手術が適応されますが、鼻中隔は思春期頃まで成長するため子どもの場合は思春期以降に行うのが一般的です。

外科的治療はリスクや再発の恐れもあり、医師と十分に話し合い選択することが重要です。

5-4.耳鼻科的治療

アレルギー性鼻炎や花粉症、副鼻腔炎などにより鼻詰まりが起こっている場合は、耳鼻科を受診し鼻詰まりを解消することでいびきが改善する場合があります。

耳鼻科での鼻詰まり治療には薬を用いる場合の他、「ネブライザー」を用いる場合などがあります

ネブライザーとは「吸入器」とも呼ばれ、吸入薬を霧状にし、直接気管支に送るための器具です。

経口薬よりも少ない量で高い効果があるといわれています。

鼻詰まりはいびきだけでなく起きている間の不快感の原因にもなるので、早めの治療を心掛けましょう。

6.いびきについてのまとめ

いびきとは睡眠中に鼻や喉が狭まることで呼吸に伴って出る音のことです。

疲れているときやお酒を飲んだとき、また風邪をひいているときなどの一時的ないびきは異常なものではありませんが、慢性的ないびきは改善が勧められます

いびきの改善には、肥満の解消や減酒の他、横向きに寝たり、いびき対策グッズを使用したりすることが有効だと考えられます。

また日中に眠気を感じるほどひどいいびきをかいている場合、睡眠時無呼吸症候群の恐れがあります。

睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に呼吸が止まる病気で、高血圧や動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクを高めます

ひどいいびきや睡眠中の呼吸停止が見られる場合は早急に受診しましょう

睡眠時無呼吸症候群の治療ではマウスピースやCPAPなどを利用します。

自分に合った治療法を選択することが重要なので、十分に医師と話し合いましょう。

いびきについては呼吸器科や耳鼻科を受診して相談するのが一般的ですが、いびき外来を設けている睡眠障害専門の機関もあるので事前の確認がおすすめですよ。

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