「こむら返りの激痛、どうやったら解消できるんだろう……」
「よくこむら返りが生じるんだけど、予防策はないのかな?」
突然のこむら返りの激痛に苦しんだ経験のある方は多いのではないでしょうか。
こむら返りとは、主にふくらはぎの筋肉が異常に収縮してけいれんを起こすことです。
「こむら」とはふくらはぎのことを指しますが、同様の症状は太ももや足の指、足の裏、胸など全身に発生し、他の部位で生じたものもこむら返りと呼ぶ場合もあります。
こむら返りは運動中や就寝中などを中心に、老若男女を問わず誰にでも起こる可能性があります。
この記事ではこむら返りが生じた際、つらい痛みを和らげるための応急処置法を紹介します。
加えてこむら返りが生じる原因と、毎日の生活のなかでできる予防策も解説するので、参考にしてくださいね。
1.こむら返りの応急処置法
「こむら返りの痛みを今すぐなんとか和らげたい……」
「こむら返りが生じたら、どう対処すれば良いんだろう?」
こむら返りの激痛を今すぐ解消するにはどうすれば良いのかが一番気になるところですよね。
この章では、こむら返りが生じた際の応急処置法を紹介します。
1-1.筋肉を伸ばす
こむら返りが生じたら、まずけいれんを起こしている筋肉を伸ばしましょう。
ふくらはぎでこむら返りが生じた場合は、床に膝を伸ばして座り、足先を手でつかんで手前に引き寄せ、ふくらはぎの筋肉を伸ばします。
足先に手が届きにくい方は、タオルなどを足先に掛けて引っ張りましょう。
運動中などに立ちながら伸ばす場合は、こむら返りが生じた足を後ろにし、アキレス腱を伸ばすときのような体勢でふくらはぎを伸ばします。
この際無理に伸ばし過ぎると、筋肉を痛めて肉離れを起こす危険があります。
焦らず慎重に、ゆっくり伸ばすよう注意してください。
ふくらはぎ以外にこむら返りが生じた場合にも、まずはけいれんを起こしている筋肉を伸ばすことを考えましょう。
1-2.マッサージを行う
痛みが収まってきたら、こむら返りが生じた筋肉を優しくマッサージしましょう。
マッサージはあくまで優しくゆっくりと行いましょう。
痛みがなかなか引かない場合は、患部を手のひらで圧迫するか、さするようなマッサージを行ってください。
筋肉を伸ばすのが難しい太ももやすね、胸などでこむら返りが生じた場合も、落ち着いてマッサージを試みましょう。
1-3.患部を温める
こむら返りは、温めることで痛みが和らぐ場合があります。
蒸しタオルやお湯などを使い、こむら返りが生じた患部を温めてみましょう。
2.こむら返りが生じる原因
こむら返りが生じるメカニズムはまだよく分かっていませんが、いろいろな原因によって引き起こされると考えられています。
それぞれの原因は互いに関係し合っているものも多く、複数の原因が重なることもあります。
この章では、こむら返りを引き起こすとされる原因を紹介していきます。
こむら返りが心配な方は、自分にどれくらい当てはまるかチェックしてみてくださいね。
原因1 ミネラル不足
こむら返りの最も大きな原因とされるのがミネラル不足です。
ミネラルのなかでも、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウムなどは筋肉の動きを調節するはたらきがあります。
そのため、これらのミネラルが不足すると筋肉のけいれんが起こりやすくなると考えられています。
ミネラルは食事から摂取する必要があり、多忙やダイエットなどの理由で偏食が続いていると、ミネラル不足に陥りやすくなります。
またミネラルは汗や尿と共に排出されやすいため、運動や力仕事などで汗を多くかいた場合に不足することもあります。
原因2 水分不足
体の水分が不足した場合も、こむら返りが生じやすいため注意が必要です。
汗をかくのは暑い季節や運動時などと思われがちですが、冬場の暖房などでも汗をかいています。
また眠っている間にも、一晩で500ml程度の汗をかいているといわれています[1]。
自分では意識していなくても、水分不足に陥っている可能性があるのですね。
原因3 筋肉の疲労
筋肉の疲労もこむら返りの原因になります。
運動で筋肉を使うと、ミネラルが急速に消費されていきます。
ミネラルが不足すると筋肉が過敏になって調整が難しくなり、こむら返りが生じやすい状態になります。
あまり運動してこなかった方が運動を始めた場合や、日常的に運動している方でも運動量を増やした場合などは、筋肉への負荷が急に大きくなるため注意が必要です。
特に、サッカーやテニスのような足に大きな負担がかかる運動は、こむら返りを引き起こしやすいので注意しましょう。
原因4 血行不良
血行が悪くなるとこむら返りが生じやすくなります。
血行不良は主に運動不足やストレス、食生活の乱れなどによって起こるといわれています。
体が冷えて筋肉がこわばってしまったときや長時間座り仕事を行ったとき、また体をほとんど動かさない就寝時などは血行が悪くなりやすいため注意が必要です。
それ以外にも、妊娠、加齢、動脈硬化などでも血行は悪くなります。
原因5 体の冷え
体が冷えることでもこむら返りが生じやすくなります。
筋肉が冷えて緊張することで血管が収縮し、血行が悪くなることがこむら返りにつながります。
寒い季節だけでなく、夏場の冷房などによっても体は冷えてしまうため注意しましょう。
特に、就寝時に室温を下げ過ぎたり布団を掛けずに寝たりして足が冷えていると、こむら返りが生じやすくなります。
就寝時には室温を下げ過ぎないよう注意しましょう。
原因6 妊娠
妊娠している方は、妊娠後期を中心にこむら返りが生じやすいといわれています。
出産が近くなり、おなかがより大きくなると足の静脈を圧迫するため、血行が悪くなってこむら返りが生じやすくなります。
また妊娠に伴って分泌が増える「プロゲステロン」という女性ホルモンの一種も血流が悪くなる一因だとされています。
さらに、胎児に栄養を送るために血液が薄くなり、ミネラルバランスが崩れやすいことも原因の一つです。
これ以外にも、おなかが重くなることで体の重心が傾き、足の筋肉の負担が増大することも関係しているといわれています。
妊娠中はこむら返りが生じやすい状況が重なっているといえるのですね。
原因7 加齢
加齢によっても、こむら返りが生じやすくなります。
これは、加齢によって筋肉量が減ることで筋肉内部の血行が悪くなりやすいためです。
中高年になると自分では軽い運動だと思っても、筋肉量の減少によって予想以上に筋肉が疲労し、こむら返りにつながることがあります。
また高血圧や高血糖などによる動脈硬化で血行が悪くなっている場合もあります。
加齢によるさまざまな影響によって、こむら返りが生じる可能性が高くなるといえるでしょう。
原因8 熱中症
熱中症の「熱けいれん」と呼ばれる症状によって、こむら返りが生じることがあります。
熱中症は屋外で長時間仕事やスポーツをした場合に起こりやすいとされますが、暑い室内で過ごしていた場合にも起こります。
原因9 なんらかの病気
なんらかの病気が原因で、こむら返りが生じることもあります。
糖尿病、肝硬変、腎疾患、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症、脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、下肢静脈瘤などを患っている場合は、こむら返りが起こりやすくなるといわれています。
また抗がん剤やホルモン剤、利尿薬など、病気の治療薬の副作用でこむら返りが起こりやすくなる場合もあります。
こむら返りが慢性的に続く場合や、腰痛、足がむくむ、手足がしびれるといった症状が併発している場合は、速やかに医療機関を受診してください。
3.こむら返りの予防策
「こむら返りを生じさせないためにはどうしたら良いのかな?」
こむら返りを生じさせないための予防策を知りたい方も多いのではないでしょうか。
完全にこむら返りを防ぐことは困難ですが、日々の生活習慣を見直すことで予防することができます。
ここで紹介する予防策を日常生活に取り入れてみてくださいね。
予防策1 ミネラルを十分に摂取する
こむら返りを防ぐためには、ミネラル不足に陥らないためのバランスの良い食事が重要です。
筋肉の動きを調節する役割を持つマグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウムなどのミネラルが不足するとこむら返りが生じやすくなるといわれています。
そのため、日々の食事でこれらのミネラルを十分に摂取するよう心掛けましょう。
マグネシウムはあさりやかつお、きんめだいなどの魚介類、納豆、豆腐のような大豆製品、また玄米やナッツ類などにも多く含まれています。
カルシウムを多く含む食品は牛乳やチーズのような乳製品、煮干しやしらす干しといった魚介類、大豆製品、海藻類や緑黄色野菜などです。
カリウムはアボカドやほうれんそう、にんじんなどの野菜やバナナ、キウイフルーツなどの果物に加え、昆布やわかめなどの海藻類にも多く含まれています。
ナトリウムはしょうゆやみそなどの食塩(塩化ナトリウム)を含んだ調味料や、漬物、ハムなどの加工食品に多く含まれています。
ただし日本人の食塩の摂取量は全年代で目標とすべき摂取量(成人男性7.5g未満/日、成人女性6.5g未満/日[2])を大きく上回っており、基本的に食事でナトリウムを意識的に摂取する必要はありません。
これらのミネラルを十分に摂取するためには、バランスの良い食事を摂ることが重要だといえるでしょう。
マグネシウム、カルシウム、カリウムについては以下の記事で詳しく解説しています。
マグネシウムを多く含む食べ物は?1日の摂取推奨量やはたらきを解説
カルシウムを多く含む食品と効果的な摂り方は?骨の健康を守ろう!
予防策2 適切な水分補給
水分不足もこむら返りの原因となるため、適切な水分補給を行うようにしましょう。
運動や力仕事、炎天下にいる場合などでは汗から水分とミネラルが失われやすいため、こむら返りが生じやすくなります。
そのような場合は、スポーツドリンクなどで積極的に水分とミネラルを補給するようにしましょう。
また冬場の暖房でも汗をかく場合があるため、水分不足に注意が必要です。
加えて人間は眠っている間にも500ml程度の汗をかいている[3]ため、就寝前の水分補給もこむら返りの予防策となります。
就寝中のこむら返りの予防には、効率良くミネラルを摂取できるスポーツドリンクを飲んでも良いでしょう。
予防策3 入浴や衣服の調整による冷え対策
体の冷えは血行不良をもたらし、こむら返りの原因となります。
そのため、体を冷やさないように工夫することでこむら返りを予防できます。
仕事や通勤などで体が冷える場合は、暖かい衣服を選ぶ、膝掛けや使い捨てカイロを活用するなどして寒さから体を守りましょう。
冬場だけでなく、夏場の冷房の効き過ぎも体の冷えにつながります。
冷房をつけっぱなしにして眠る場合も十分注意しましょう。
また入浴時はシャワーだけで済ませず、しっかり湯船につかって体を温めることを心掛けましょう。
就寝時に体を冷やさないためには、丈の長いナイトウェアや靴下を着用することも有効です。
予防策4 適度な運動
筋肉量が減少すると筋肉の血行が悪くなるため、こむら返りの予防には適度な運動が重要です。
こむら返りの多くはふくらはぎで起こるため、ウォーキングやスクワットなどの脚の筋肉を使う運動が効果的です。
また運動をする前後にはストレッチを行って、筋肉の疲労を防ぎましょう。
適切な運動の強度は、体力や年齢、運動習慣などによって大きく異なります。
疲れが残るような運動をすると逆にこむら返りが生じやすくなってしまうため、無理をしないようにしましょう。
ウォーキング、スクワットについては以下の記事で詳しく解説しています。
予防策5 ストレッチとマッサージ
こむら返りの予防にはストレッチやマッサージも有効です。
運動の前後だけでなく、長時間の歩行や立ち仕事などで筋肉が疲れた場合、体が冷えて血行が悪くなっている場合などにも意識的にストレッチやマッサージを行いましょう。
入浴後や就寝前などの習慣として、毎日の生活に取り入れても良いですね。
ストレッチでおすすめなのは、太ももとふくらはぎの筋肉を伸ばせる「波止場のポーズ」です。
まず椅子などに片足を乗せ、その足に体重をかけます。
もう片方の足は床につき、かかとを上げないようにして太ももとふくらはぎの筋肉を伸ばします。
筋肉が伸びた状態を維持しながらゆっくりと息を吐きます。
足を入れ替えながら何セットか行いましょう。
またストレッチに加えてマッサージも行うとより効果的です。
床に座り、片膝を立てた状態でふくらはぎに手のひらを添え、足首側から膝裏まで軽くもみましょう。
強くもみ過ぎると筋繊維を傷めてしまうことがあるため、優しく手を滑らせるようにもんでください。
予防策6 疲れやすい靴を避ける
こむら返りの予防には、疲れやすい靴を避けることも重要です。
ハイヒールなどのかかとの高い靴は足が疲れやすく、足指の神経に強い負担がかかります。
できるだけかかとが高過ぎず、滑りにくくフィット感のある靴を選びしましょう。
仕事などで疲れやすい靴を履かなくてはならない場合は、入浴後や就寝前に念入りにマッサージするようにしましょう。
予防策7 重い布団を避ける
重い布団を避けることで、就寝時のこむら返りを予防することができます。
あおむけで重い布団を掛けていると、足首の関節が伸びて、こむら返りが起こりやすくなります。
そのため、掛け布団を軽いものに変えると予防になることがあります。
また寝るときの姿勢を横向きに変えることも有効です。
4.こむら返りについて まとめ
こむら返りが生じたら、すぐにけいれんを起こしている筋肉を伸ばし、痛みが落ち着いたらマッサージを行って温めましょう。
こむら返りの原因は詳しく分かっていませんが、ミネラル不足や水分不足、筋肉の疲労、体の冷え、血行不良などによって起こると考えられています。
またこむら返りは妊娠や加齢、病気などによっても起こりやすくなります。
こむら返りを生じさせないためには、ミネラルや水分をしっかり補給することが重要です。
また適度な運動やストレッチ、マッサージを行って血行を良くし、入浴や衣服の調整などで体を冷やさないようにすることでこむら返りを防ぐことができます。
こむら返りは誰にでも起こりますが、慢性的に続く場合や、腰痛、足がむくむ、手足がしびれるなどの症状がある場合は病気の可能性があるため、速やかに医療機関を受診しましょう。