ビタミンB12が不足する原因とよくある症状は?摂取しやすい食品も紹介

ビタミンB12が不足する原因とよくある症状は?摂取しやすい食品も紹介

2021年08月31日

2024年04月18日

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「ビタミンB12ってどんな栄養素なんだろう」

「貧血対策に摂ると良いって聞いたけど、本当に効くのかな?」

このような疑問をお持ちの方も多いでしょう。

ビタミンB12は動物性の食品に含まれており、体内で血液がつくられる際に重要な役割を果たしている栄養素です。

不足すると貧血の他、うつ病などになってしまう場合もあるといわれています。

この記事ではビタミンB12のはたらきや不足すると現れる症状から、豊富に含む食品まで、詳しく解説していきますね。

1.ビタミンB12とは?

「ビタミンB12にはどんなはたらきがあるんだろう?」

というのがまず気になるポイントですよね。

そこで、早速どのような栄養素で、どんな作用があるのかを分かりやすくご説明していきましょう。

1-1.ビタミンB12のはたらき

同じビタミンB群の仲間である葉酸とともに、ビタミンB12は血液をつくるのに重要な役割を果たしています

また欠乏すると神経痛や神経麻痺など神経に障害が起こるため、神経の機能を保つ作用があるといわれています。

さらに葉酸やビタミンB6と同様に、動脈硬化の危険因子とされている「ホモシステイン」の血中濃度を正常に保つはたらきもあります。

ホモシステインとは
体に必須なアミノ酸の一つ「メチオニン」が代謝されることで生成されるアミノ酸の一種です。

1-2.ビタミンB12は不足しにくい栄養素

ビタミンB12は肉類や魚類など動物性の食品に含まれています

そのため、野菜不足になりがちな方でも比較的摂りやすく、不足しにくい栄養素だと考えられます。

実際に「令和元年国民健康・栄養調査」という統計データを見ても、日本人の平均摂取量は厚生労働省によって定められた食事摂取基準を上回っています[1]。

メモ
食事摂取基準や、実際の摂取量については後ほど詳しく解説します。

また、ビタミンB12は体内で腸内細菌によってつくり出されることもあるため、一般的な食生活を送っているかぎりは欠乏症の心配はあまりありません

さらに、ビタミンB12は必要なときに備えて肝臓に十分な量が蓄えられています。

これらの理由から、比較的不足しにくい栄養素といえるのですね。

[1] 厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査

2.ビタミンB12が不足すると現れる症状は?

他の栄養素と比べれば不足しにくいといっても、何らかの理由で欠乏してしまうと体にさまざまな悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。

特にビタミンB12は血を作るのに重要な役割を果たしているため、不足すると貧血を招くことがよく知られています。

また、貧血以外にもさまざまな症状が出てしまうリスクもあります。

ここではビタミンB12が不足していると現れる可能性がある症状について確認していきましょう。

2-1.貧血

貧血

血をつくるのに必要なビタミンB12が欠乏すると貧血が起こります

欠乏によって起こる貧血は「巨赤芽球性貧血」といい、赤血球の外側の構造をつくることができなくなってしまうというものです。

巨赤芽球性貧血になると動悸や息切れ、疲労感などの貧血の症状が発生します。

欠乏で起こった巨赤芽球性貧血の治療はビタミンB12の注射をすることから始まりますが、貧血が改善した後も治療を継続することが必要となります。

メモ
巨赤芽球性貧血の代表的なものは「悪性貧血」といいます。悪性貧血は胃の萎縮を引き起こす病気で、日本で巨赤芽球性貧血を起こす患者さんの半数以上を占めています。

【関連情報】 「貧血の解消につながるビタミンC」についてもっと知りたい方はこちら

2-2.手足のしびれなどの障害

足のしびれ

ビタミンB12が不足すると末梢神経に障害が発生し手足がしびれたり痛んだりする場合があります。

こうした神経障害が進行すると動きや感覚をコントロールする神経線維が損傷を受け、全身の筋力が低下したり手足がしびれたりする「亜急性連合性脊髄変性症」になる可能性もあります。

これらの神経系の症状は貧血が同時に発症しないケースもあり、見つかりづらいため早めの診断と治療が必要です。

「なんだか手足の感覚が変かも……」

などと感じた際には、できるだけ早めに受診するよう心掛けましょう。

2-3.その他の症状

その他にもビタミンB12の欠乏により記憶障害やうつ病などの症状が現れる場合もあるといわれています。

体の機能に問題が生じるだけでなく、精神や認知の機能に異常をきたしてしまうこともあるのです。

また欠乏症になると疲労感や衰弱、便秘、食欲不振、体重減少などの症状が出るともいわれています。

このように、ビタミンB12が不足すると体にさまざまな悪影響が生じてしまう可能性があるのですね。

3.ビタミンB12不足になりやすい方とは?

「こんなにいろいろな症状があるんだ……でも、不足しにくい栄養素なんじゃないの?」

と疑問に感じた方もいらっしゃるかもしれませんね。

比較的不足しにくい栄養素であることは確かですが、不足しやすい方がいるのも事実です。

ここではビタミンB12不足がどのような方に起こりやすいのかを詳しく解説していきましょう。

3-1.高齢の方

高齢者

高齢の方は若い方に比べ不足しやすいといえるでしょう。

加齢により体内に蓄えられていたビタミンB12が減少する上、胃酸の分泌量が減って食品からの吸収率も低下する傾向にあるためです。

また歳を取って健康志向になったり食べ物の好みが変わったりしたことで、ビタミンB12が含まれる動物性食品を避けがちになる方もいらっしゃるかもしれません。

欠乏しないよう十分注意したいですね。

【関連情報】 「高齢の方が気をつけるべき糖質制限のリスク」についてもっと知りたい方はこちら

3-2.胃や小腸の疾患・手術歴がある方

医者

胃や小腸などの疾患がある方、胃の切除などの手術を行った方も不足になる可能性があります。

胃や小腸はビタミンB12の吸収に関わるため、手術で切除したり病気があったりすると十分な量吸収できなくなってしまうのです。

吸収が不十分な場合、ビタミンB12が治療薬として処方される場合があります。

3-3.菜食主義の方

野菜

ビタミンB12は植物性の食品にはほぼ含まれておらず、動物性の食品から摂取しなければならないため、野菜のみを食べる方(菜食主義者)は不足しやすいといえます。

日本人の健康な女性ビーガンを対象とした調査でも、ビタミンB12の摂取量が不足していたという結果が報告されています[2]。

特に妊娠中・授乳中の女性は注意が必要です。

動物性食品を摂取しない方が母乳のみで育児をした場合、お子さまもビタミンB12不足になる可能性があるのです。

アメリカでは栄養士会が菜食主義者や乳卵菜食主義者の方に対して、妊娠中や授乳中はビタミンB12をサプリメントで摂るよう推奨しています[3]。

不足が気になる方は医師に相談してみましょう。

[2] 湯川法子、細見亮太、福永健治、吉田宗弘「日本人成人女性ビーガンのビタミンB12摂取量の評価」(『微量栄養素研究』2012年29号p28-31)

[3] 厚生労働省 「統合医療」情報発信サイト「海外の情報 ビタミンB12

4.ビタミンB12不足にならないためには?

「それじゃあ、どれくらい摂ればいいんだろう?」

というのが気になるところですよね。

ここからは摂取量の目安と、摂取しやすい食材についてご説明します。

注意事項
重度の貧血や病気や手術が原因でビタミンB12の吸収に問題があると診断された場合、医師による治療が必要だと考えられます。医療機関にて不足していると言われた場合は、医師の判断を仰ぐようにしましょう。

4-1.ビタミンB12の摂取量の目安

不足しにくい栄養素だとはいえ、どれくらいの量を摂れば良いのかは気になりますよね。

厚生労働省は1日当たりのビタミンB12の食事摂取基準を以下のように定めています。

【ビタミンB12の1日当たりの食事摂取基準】

年齢 推定平均必要量 推奨量
18歳以上 2.0μg 2.4μg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

また妊娠中・授乳中の女性はさらに多くの量を摂るべきだとされています

【妊婦と授乳婦のビタミンB12の食事摂取基準】

推定平均必要量 推奨量
妊婦 2.3μg 2.8μg
授乳婦 2.7μg 3.2μg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

ちなみに厚生労働省が行った「令和元年国民健康・栄養調査」の結果によれば日本人は全体平均で1日当たり6.3μg摂取しており、年代別に見ても平均摂取量が推奨量を下回っているケースはありません [4]。

多くの方が十分な量を摂取できていると考えられますね。

メモ
ビタミンB12は過剰に摂取しても体内に吸収されないため、たくさん摂りすぎることによって体に害が生じることはほとんどありません。

[4] 厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査

4-2.ビタミンB12を含む食品

野菜

「ビタミンB12を摂りたいんだけど、何を食べたら良いの?」

と気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「ビタミン」というと野菜に多く含まれているイメージをお持ちの方も多くいらっしゃるかもしれませんね。

しかし植物性食品にはほとんど含まれず、肉類や魚類などの動物性食品に含まれる栄養素です。

牛のレバーから発見された栄養素ですが、牛に限らず豚や鶏のレバーにも多く含まれています

そのほか二枚貝や魚類にも多く含まれているといえます。

さらに詳しく、特に多く含む食品を見てみましょう。

【ビタミンB12を多く含む食品と可食部100g当たりの含有量】

食品名 加工状態など 含有量
しじみ 68.0μg
焼きのり - 58.0μg
牛レバー 53.0μg
あさり 52.0μg
鶏レバー 44.0μg
はまぐり 28.0μg
豚レバー 25.0μg
たらこ(すけとうだら) 18.0μg
さんま(皮付き) 16.0μg
ホタルイカ 14.0μg

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成

貝類やレバーなどには非常に多く含まれていることが分かりますね。

また以下のような身近な食品にも含まれています。

【身近な食品の可食部100g当たりのビタミンB12含有量】

食品名 加工状態など 含有量
プロセスチーズ - 3.2μg
1.1μg
牛乳 - 0.3μg

文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成

牛乳や卵、チーズなら冷蔵庫に常備しているという方も多いのではないでしょうか。

動物性食品が不足している方はこれらの食品で補うようにしましょう。

【関連情報】 「ビタミンB12を含む食べ物」についてもっと知りたい方はこちら

動物性食品が摂りたいあなたにおすすめ

5.ビタミンB12不足の症状や摂取しやすい食品についてのまとめ

ビタミンB12は血液をつくったり神経の機能を正常に保ったりするのに重要な役割を果たす栄養素です。

比較的摂りやすい栄養素の一つではありますが、不足すると貧血や手足のしびれなどさまざまな症状が現れる場合があります。

高齢の方、胃や小腸の疾患がある方、菜食主義の方などは不足しやすい傾向にあるため、意識して摂ると良いでしょう。

ビタミンB12は植物性の食品にはほとんど含まれていないため、可能であれば肉類や魚類など動物性の食品を日々の食生活に取り入れることがおすすめです。

動物性食品を食べられないという方は、海藻類などの食品で摂取したり、医師に相談してサプリメントを摂ったりするようにしてくださいね。

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