「便秘を解消したいけど何をしたらいいのかな……」
つらい便秘を早く解消したいと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
便が出ないことに伴う不快感が生じるのが便秘ですが、解消せずに放っておくと体にさまざまな悪影響を及ぼします。
便秘への対処法は原因によって異なりますが生活習慣が原因となっていることも多いため、生活リズムや食事内容などを見直すことも大切です。
この記事では、便秘を解消するために取り入れたい生活習慣やおすすめの食べ物などについてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
1.便秘の症状と原因
便秘は「便が十分かつ快適に出せない状態」のことをいいます。
分かりやすくいうと、便が十分に出ないことによる「おなかの張り」や「出てもすっきりしない」「便が硬くて出にくい」「便意はあるが便を出すことができない」などの症状を来すことが便秘であるといえるでしょう。
また、便秘は便が排出しづらくなるだけではなく、痔や肌荒れの原因になったり腸内環境の悪化によって老化を促進したり生活習慣病のリスクを高めたりします。
このように体にさまざまな悪影響を及ぼす便秘は、大きく分けると二つの種類に分類されます。
その二つとは、大腸の機能が低下することで起こる「機能性便秘」と腸の病気などが原因で起こる「器質性便秘」です。
器質性便秘を改善するには、便秘の原因となっている病気の治療が優先されます。
一方、機能性便秘は生活習慣などを見直すことで改善できる可能性が高いといわれています。
ほとんどの便秘が機能性便秘であるといわれているため、便秘解消のためには食事内容など生活習慣を見直してみることが重要なのですね。
2.便秘解消のために摂りたい食べ物
「便秘に効く食べ物ってあるのかな?」
摂取することで便秘解消が期待できる食べ物があれば、積極的に食べたいものですよね。
便秘を解消するには腸内環境を整えることが重要で、そのためには「善玉菌」の摂取や、善玉菌を増やすものを積極的に摂るのが良いといわれています。
ここでは、便秘解消のために摂りたい食べ物について詳しく解説していきます。
2-1.発酵食品
おなかの調子を整えるものといえば「乳酸菌」が思い浮かぶ方も多くいらっしゃるでしょう。
乳酸菌は善玉菌に分類されるものの代表例です。
発酵食品には乳酸菌をはじめとした善玉菌が含まれているため、腸内環境を整え便秘解消に役立つといえます。
発酵食品は乳酸菌の他、納豆菌、麹(こうじ)菌など、人間にとって有用なはたらきを持つ微生物によって作られる、風味や栄養価、保存性が高められた食品です。
代表的なものにはヨーグルトやチーズ、ぬか漬け、キムチなどがあります。
乳酸菌などの善玉菌を生きたまま取り入れられるため、直接的に善玉菌を増やせると考えられるでしょう。
2-2.食物繊維を多く含む食べ物
腸内で善玉菌を増殖させるためには、善玉菌の栄養源となるものを合わせて摂取することも必要です。
「食物繊維」は善玉菌のえさになるといわれる代表的なものの一つです。
食物繊維は人間の消化酵素で分解されない成分で、私たちにとって有用なはたらきを持つことで知られています。
いろいろな種類の食物繊維がありますが、大別すると水に溶けない「不溶性食物繊維」と水に溶ける「水溶性食物繊維」に分類されます。
なかでも善玉菌のえさになりやすいといわれているのが水溶性食物繊維です。
一方、不溶性食物繊維には便のかさを増やしたり腸を刺激して便通を促進したりする作用があります。
不溶性、水溶性どちらの食物繊維も、便秘を解消するのに役立つ食べ物であるといえそうですね。
【食物繊維を多く含む食品と100g当たりの含有量】 ※横にスクロールできます
食品名 | 加工状態など | 食物繊維総量 | 不溶性食物繊維 | 水溶性食物繊維 |
---|---|---|---|---|
カットわかめ | 乾 | 39.2g | - | - |
切り干し大根 | 乾 | 21.3g | 16.1g | 5.2g |
じゃがいも | 皮つき(生) | 9.8g | - | - |
枝豆 | 冷凍 | 7.3g | 5.9g | 1.4g |
プルーン | 乾 | 7.1g | 3.8g | 3.4g |
糸引き納豆 | - | 6.7g | 4.4g | 2.3g |
ごぼう | 生 | 5.7g | 3.4g | 2.3g |
大根おろし | 生 | 5.1g | 3.7g | 1.4g |
ブロッコリー | 生 | 5.1g | 4.3g | 0.9g |
えのきたけ | 生 | 3.9g | 3.5g | 0.4g |
ぶなしめじ | 生 | 3.0g | 3.2g | 0.3g |
玄米 | 穀粒(生) | 3.0g | 2.3g | 0.7g |
こんにゃく | 生いもこんにゃく | 3.0g | 3.0g | 微量 |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
2-3.オリゴ糖を多く含む食べ物
オリゴ糖も善玉菌の栄養源となる成分です。
さまざまな種類のオリゴ糖がありますが、善玉菌の栄養源となるオリゴ糖の特徴は食物繊維と同じように人間の消化酵素で分解されない「難消化性」であるということです。
難消化性のオリゴ糖は消化・吸収されず大腸まで届き、善玉菌を増やします。
代表的なオリゴ糖には玉ねぎ・にんにく・バナナなどに含まれるほか、ショ糖から作られる「フラクトオリゴ糖」、乳糖から作られる「ガラクトオリゴ糖」、大豆などに含まれる「大豆オリゴ糖」などがあります。
これらのオリゴ糖は、善玉菌を増やす作用から「おなかの調子を整える」などといった特定保健用食品(トクホ)の成分としても認められている成分です。
オリゴ糖を含む食べ物を摂取する他、「おなかの調子を整える」トクホを活用することでも腸内の善玉菌を増やし便秘を解消することにつながる可能性があるのですね。
*1 厚生労働省e-ヘルスネット「オリゴ糖」
3.便秘解消のために取り入れたい生活習慣
便秘を解消するためには生活習慣を見直すことも必要です。
食事を抜くことが多かったり運動不足だったりすることで、便秘になってしまう可能性もあります。
ここでは、便秘解消のために取り入れたい生活習慣について解説します。
3-1.こまめに水分補給をする
水分をこまめに補給することは、便秘解消に役立ちます。
便を軟らかくしたり腸の動きを活発にしたりして、便を排出しやすくするためには十分な水分摂取量が必要です。
水分の摂取量が少ないと便は硬くなり、腸内をスムーズに移動できず便秘になってしまいます。
普段水分をあまり摂らないという方は、意識して摂るようにしてみましょう。
*2 厚生労働省「健康のため水を飲もう講座」
3-2.朝食を摂る
体内リズムを整え排便を促すためには、朝食を摂ることが大切です。
人間は、食べ物が胃の中に入ると大腸が動き出し便を直腸に送り出そうとする「胃・大腸反射」というシステムを持っています。
実は、この胃・大腸反射がより強くはたらく時間帯は朝であることが分かっています。
そのため、朝食を摂ることは排便習慣をつけ便秘を解消することに役立つといえるでしょう。
また、朝食後にトイレに座る時間を確保すると排便リズムが整いやすくなります。
朝は忙しくて食事を抜いてしまいがちという方は、前日の夕食時間や就寝時間なども含めて生活リズムを整える工夫をしてみてくださいね。
3-3.適度に体を動かす
適度に体を動かすことは腸の動きを促すことにつながります。
軽めの運動でも便秘解消には効果的です。
なるべく歩くようにしたり仕事や家事の合間にストレッチをしたりと、負担にならない範囲で体を動かすことを習慣にしてみましょう。
3-3-1.ウォーキング
便秘解消に効果が期待できる手軽な運動がウォーキングです。
ウォーキングのような全身運動を取り入れることで血流が良くなり、腸の動きも活発になります。
背筋を伸ばし呼吸を整えることを意識して歩いてみましょう。
3-3-2.腹筋
腹筋を鍛えることも便秘解消につながります。
腸の動きを促したり便を押し出したりするために必要な筋肉が腹筋です。
腹筋を鍛えることでいきむ力が高まり、スムーズに便を排出することにつながります。
毎日少しずつでも腹筋運動を継続して、適度に腹筋を鍛えておくことが大切です。
3-3-3.便秘に効く体操
おなか周りを動かす体操は便秘解消に効果的です。
おなかをひねったり伸ばしたりする動作は腸に刺激を与え、便の詰まりだけではなくガス溜まりにも効果を発揮します。
【簡単にできる便秘に効く体操】
- 椅子に浅く座り姿勢を正し、背もたれに手をかけてゆっくりと息を吐きながら上体をひねる
- あおむけになり、両膝を胸に押し付けるように抱えてゆっくりと深い呼吸を繰り返す
また、体操は便意が起きやすい朝に行うのもおすすめです。
【朝に効果的なバタ足&お尻たたき体操】
- うつぶせになり、腕に顔を乗せる
- 膝を伸ばしたまま上下に足を動かす(バタ足体操)
- 同じ体勢のまま左右交互に足を動かして、かかとでおしりをたたく(お尻たたき体操)
これらの体操は便秘の解消に重要な腹筋の発達にも役立つので、ぜひ試してみてくださいね。
4.便秘解消のための生活習慣や食べ物について まとめ
便秘とは便を十分かつ快適に出せない状態のことを指します。
便秘は便が出にくくなる以外にも体にさまざまな悪影響を及ぼします。
便秘の対処法は原因によって異なりますが、生活習慣が原因となって生じる便秘も多いため日々の生活を振り返ってみることも大切です。
毎日の食生活や運動不足など、気になる点があれば改善を心掛けてみましょう。
この記事を参考に、自分に合った便秘解消法を見つけてみてくださいね。