ノンレム睡眠とは?レム睡眠との違いや睡眠のメカニズムについて紹介

ノンレム睡眠とは?レム睡眠との違いや睡眠のメカニズムについて紹介

2024年04月22日

2024年04月18日

「ノンレム睡眠ってどういう意味なんだろう?」

ノンレム睡眠やレム睡眠という言葉を聞いたことはあっても、詳しい内容までは知らないという方も多いでしょう。

ノンレム睡眠は睡眠の状態の一つです。

ヒトは眠っている間、ノンレム睡眠とレム睡眠を交互に繰り返しています。

脳の活動状況の違いから、ノンレム睡眠は「大脳の睡眠」、レム睡眠は「体の睡眠」と呼ばれることがあります。

ヒトは目的が異なる二つの睡眠を使い分けることで、疲労やストレスから回復しているのです。

この記事ではノンレム睡眠とレム睡眠の違いや睡眠のメカニズム、ノンレム睡眠が関係する睡眠障害などをご紹介します。

睡眠の質を高めるポイントも解説するので、ぜひ参考にしてくださいね。

1.ノンレム睡眠とは

ノンレム睡眠とは睡眠状態の一つです。

睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠という二つの段階があります

メモ
レム(REM)睡眠という名前は、レム睡眠中に起こる急速眼球運動(rapid eye movement)の英語の頭文字に由来します。ノンレム(non-REM)睡眠は、レム睡眠ではないという意味です。

眠りにつくとまずノンレム睡眠が始まり、その後は約90〜120分周期でレム睡眠とノンレム睡眠が交互に現れます[1]。

朝方になるにつれてレム睡眠は短くなり、目覚めるための準備が始まります。

通常は一夜の睡眠でノンレム睡眠が約80%、レム睡眠が約20%という割合になります[1]。

ではそれぞれの睡眠はどのような役割を担っているのでしょうか。

ノンレム睡眠には起きている間に酷使した「大脳皮質」を冷却し、休ませる役割があります

大脳皮質とは
脳の一番外側に当たる部分のことです。五感や運動機能、言語、記憶、思考などの高度なはたらきをつかさどっています。

ノンレム睡眠中は主に脳が休息をとることから「大脳の睡眠」と呼ばれることもあります。

一方、全身の筋肉を緩ませて体を休めるのがレム睡眠の役割です。

主に体が休息をとることから「体の睡眠」とも呼ばれます。

このとき、脳は活発にはたらいており、記憶の整理と定着が行われます。

またレム睡眠中の人を起こすと約80%の割合で夢を見ていたと答えるため、レム睡眠は夢を見る睡眠段階だと考えられています[1]。

ヒトはノンレム睡眠とレム睡眠という二つの睡眠を使い分けることで、心身の疲労やストレスから回復しているのです。

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「レム睡眠

2.睡眠のメカニズム

睡眠は「睡眠欲求」と「覚醒力」という二つのメカニズムで成り立っています

睡眠欲求とはヒトの体が睡眠を求める仕組みのことです。

睡眠欲求は疲労がたまっていたり、起きている時間が長かったりするほど強くなります。

普段寝つきが悪い人でも、徹夜をした後はすぐに寝つき、深い眠りに落ちます。

睡眠欲求はいったん眠りにつくと急速に減少していき、十分に眠ることができると消失します。

覚醒力とはヒトが目を覚ますために必要な力のことです。

覚醒力は「交感神経」の活性化、覚醒作用のあるホルモンの分泌、脳の温度の上昇などによってもたらされます。

交感神経とは
血圧や呼吸など、ヒトが意識しなくても自動的にはたらく仕組みをつかさどる自律神経の一つです。自律神経にはストレスや緊急事態に備えてはたらく交感神経と、エネルギーを温存するためにはたらく副交感神経があります。交感神経が活発になると血圧や心拍数が上昇し、副交感神経が活発になるとこれらが抑制されます。

覚醒力は起床前から増大していき、徐々に強まる睡眠欲求に打ち勝つ力をヒトに与えます。

仮に覚醒力がなければ日中の睡眠欲求を抑えることができず、眠気のせいで質の高い社会生活を送ることができなくなってしまうでしょう。

覚醒力は普段就寝する時刻の数時間前に最も強くなりますが、就寝時間の1〜2時間前には急速に低下し、眠気が表れます[2]。

ヒトは蓄積した疲労から回復するために眠る必要があります。

ヒトは睡眠欲求と覚醒力のバランスを保つことで、疲労から回復しつつ、日中に活動するための力を得ているのですね。

[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「眠りのメカニズム

3.ノンレム睡眠が関わる主な睡眠障害

「睡眠障害」のなかには、ノンレム睡眠が関係するものもあります。

睡眠障害とは
睡眠に関連する60種類以上の病気の総称です[3]。

ここではノンレム睡眠が関わる主な睡眠障害を二つご紹介します。

[3] 国立精神・神経医療センター 精神保健研究所 睡眠・覚醒障害研究部「睡眠障害国際分類(ICSD-3:2013年)

3-1.睡眠時遊行症

睡眠時遊行症はノンレム睡眠の最も深い段階で起こる睡眠障害です。

症状としては眠ったまま無意識に歩く、走る、何かをつぶやくといったものがあります

発症した方のほとんどは眠っている間にしたことを覚えていません。

「夢遊病」という呼び名の方がしっくり来る方も多いかもしれませんね。

睡眠時遊行症は小児期の後期と青年期に最も多く見られます。

睡眠不足の他、就寝前に目がさえるような行動をすると起こりやすくなります

具体的にはカフェインの摂取、運動、興奮するようなテレビの視聴などが挙げられます。

ものにぶつかってけがをするようでなければ特別な治療は必要ありません

睡眠時遊行症によるけがを予防するには以下のような対策が有効です。

【睡眠時遊行症によるけがを予防するための対策】

  • 無理に目を覚まさせようとすると興奮することがあるため、ベッドに戻るよう優しく諭す。
  • 邪魔になりそうな障害物はあらかじめ排除しておく。
  • 窓には鍵をかけておく。
  • 低めのベッドを用意するか、床に布団を敷いて寝るようにする。
  • 寝室のドアにアラームを設置する。

3-2.夜驚症

夜驚症はノンレム睡眠の最も深い段階から目覚めたときに起こる睡眠障害です。

寝ている最中に急に起き上がる、悲鳴を上げる、腕を振り回すといった症状が見られます。

またとてもおびえた様子で目を見開き、心臓の鼓動が速くなります。

苦しそうに見えますが、発作が起きたときの記憶が残ることはありません。

逆に目を覚まさせると、本人がより強い恐怖を感じることがあるため、不用意に覚醒させないようにしましょう

夜驚症は小児に多く見られますが、通常は成長するに連れて自然と起こらなくなります。

精神的な問題につながることもないので、あまり深刻に考える必要はありません。

注意!
夜驚症や睡眠時遊行症などの睡眠障害が青年期以降にもなくならない場合は、治療が必要になることがあります。また発生頻度が高く、家族の負担になっている場合や、キャンプや修学旅行などの宿泊を伴う活動に支障を来しそうな場合は精神科・神経科に相談しましょう。

4.睡眠の質を高めるポイント

ヒトはノンレム睡眠とレム睡眠という二つの睡眠を使い分けることで疲労から回復します。

そのため、睡眠の質が高ければ目覚めたときにしっかり休んだ感覚が得られます。

この章では睡眠の質を高め、脳と体をしっかり休めるためのポイントを七つご紹介します。

ポイント1 規則正しい生活を心掛ける

枕と目覚まし時計

睡眠の質を高めるには規則正しい生活を心掛けることが重要です。

質の高い睡眠をとるには、できるだけ毎日同じ時間に眠るようにしましょう。

ヒトの体の活動のリズムは「体内時計」と呼ばれる機能によって制御されています。

体内時計とは
地球上の生物が持つ同調機能のことです。生物は地球の自転に伴う昼夜の変化に合わせてほぼ1日周期で体内環境を積極的に変化させています[4]。

体内時計は睡眠のタイミングを決めるだけではなく、ホルモンを分泌したり、生理的な活動を調整したりして睡眠に備えています

体内時計のはたらきは自分ではコントロールできません。

そのため体内時計に合わせて規則正しい生活を送ることが、良質な睡眠をとるためには重要です。

[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「体内時計

ポイント2 自分に合った寝具を選ぶ

寝室

睡眠の質を高めるには自分に合った寝具を選びましょう。

寝具を選ぶ際のポイントは、体への負担が少ない姿勢を保てることと吸湿性・保湿性・放湿性が良いことです。

就寝中、ヒトは深い眠りを保つために放熱し、体温が下がります。

過剰な放熱、発汗による体温の低下を防ぐため、掛け布団は保温性に優れたものを選ぶと良いでしょう。

寝ている間に汗をかくことを考えると、吸湿性放保湿性が良いことも重要です。

就寝中、体を支えるマットレスはどうでしょうか。

ヒトの体は後頭部から首と胸にかけてと胸から腰にかけて、背骨が二つのS字カーブを描くようにできています。

マットレスはこの二つのS字カーブをバランス良く支えてくれて、自分にとって快適な寝相を保ちやすいものを選びましょう

やわらか過ぎると背骨が曲がってしまい、硬過ぎると圧を感じるので注意してくださいね。

枕は呼吸がしやすく、頭部をしっかり支えてくれるだけの弾性があることがポイントです。

寝返りをうって横向きになった場合に備え、肩先から側頭部全体を支えられるだけの奥行きがあるものを選ぶとさらに良いでしょう。

ポイント3 就寝前はスマホやパソコンの使用を控える

スマホを手にする人

睡眠の質を高めるには、就寝前にスマートフォンやパソコンの使用を避けることが重要です。

スマホやパソコンなどのディスプレイの光には「ブルーライト」が多く含まれています。

ブルーライトは網膜に到達する光のなかで、紫外線に最も近いエネルギーを持つ光です。

網膜がブルーライトから強い刺激を受けると、脳は朝だと判断し、「メラトニン」という眠気を発するホルモンの分泌を抑制します

そのため就寝前にスマホやパソコンを使用してしまうと、寝付きが悪くなったり、眠りが浅くなったりしてしまいます

またスマホでニュースや動画を見たり、ゲームをしたりすることで脳が刺激を受けて興奮することも入眠を妨げます。

就寝する1時間前からそれらの機器は操作しない方が良いでしょう[5]。

就寝前の操作頻度を下げるには、寝室にスマホを持ち込まない、通知を非通知にしておく、寝る前には返信をしないなどの工夫が必要です。

[5] 厚生労働省 e健康づくりネット「良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない睡眠のこと

ポイント4 起きたら明るい光を浴びる

カーテンを開ける女性

起きたときに明るい光を浴びると睡眠の質を高めることができます

実はヒトの体内時計は、地球の1日である24時間より長い約25時間周期です[6]。

このため、毎日ずれを修正しないと体内時計がどんどん遅れていってしまいます。

このずれを修正することができない状態が長引くと、眠りたい時間に眠り、起きたい時間に起きることができなくなります。

体内時計のずれは食事や運動、通勤・通学など、外部のさまざまな刺激によって修正されます。

なかでも最も強力にずれを修正するのが光です。

起床後に朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、睡眠・覚醒のリズムが整うのです。

また日中にたくさん光を浴びると夜間にメラトニンの分泌量が増し、眠りにつきやすくなりますよ。

[6] 厚生労働省 e-ヘルスネット「概日リズム睡眠障害

ポイント5 適度な運動を心掛ける

ジョギングしている人

適度な運動は睡眠の質を高めてくれます

習慣的に運動をしている方ほど寝付きが良くなり、深い眠りにつきやすいことが分かっています[7]。

ただし激しい運動は逆に睡眠を妨げることがあるため、ウォーキングやジョギングなどの体への負担が少なく継続しやすい「有酸素運動」がおすすめです。

有酸素運動とは
酸素を使い、体内の糖質と脂質をエネルギー源とする運動のことです。筋肉にかかる負荷が比較的軽いため、長時間続けることができます。ウォーキング、ジョギング、水泳、エアロビクスダンスなどが有酸素運動に該当します。

睡眠の質をさらに高めたいという方は、運動をするタイミングにも気を配ると良いでしょう。

夕方から夜の就寝の3時間ほど前に運動をすると、より質の高い睡眠をとることができます[7]。

眠気は脳の温度が下がったときに表れやすいといわれています。

運動をすると脳の温度が一時的に高くなり、運動をしなかったときよりも、就寝時の脳の温度低下量が大きくなります。

このため、結果的に睡眠の質が上がりやすくなるのです。

[7] 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣

ポイント6 入浴するタイミングを調整する

バスタイム中の人の足

入浴するタイミングを工夫すると睡眠の質を高めることができます

運動の場合と同じで、入浴をすると体温と脳の温度が上がります。

このため就寝の2〜3時間前に入浴すると、就寝時に脳の温度が大きく低下し、寝付きを良くすることができます[8]。

就寝直前に入浴すると深い睡眠をとれるとされていますが、寝付きが悪くなってしまうことがあるため注意が必要です。

寝付きの良さを優先するなら、少し時間を空けた方が良いでしょう。

[8] 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣

ポイント7 就寝前はカフェインなどの刺激物を控える

タバコと氷のはいったグラス

就寝前にカフェインやアルコール、ニコチンなどの刺激物を摂取すると睡眠の質が低くなるため控えましょう

コーヒー、紅茶、チョコレートなどに含まれるカフェインには覚醒作用があるため、眠りを妨げます

カフェインに敏感な方は、就寝の5〜6時間前から摂取を控えると良いでしょう[9] 。

たばこに含まれるニコチンも刺激剤として作用するため、就寝前の喫煙もおすすめできません。

また眠る前にアルコールを摂取すると寝付きは良くなるものの、明け方の睡眠が妨げられます。

睡眠薬代わりの寝酒はやめましょう。

[9] 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣

5.ノンレム睡眠についてのまとめ

ノンレム睡眠は睡眠状態の一つです。

睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠という二つの種類があり、 睡眠中はこの二つが繰り返されます。

睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠という二つの段階があります。

ノンレム睡眠は大脳が休むことから「脳の睡眠」と呼ばれ、レム睡眠は全身の筋肉が弛緩することから「体の睡眠」と呼ばれています

ヒトはこの二つの睡眠状態によって、日中に蓄積した疲労やストレスから回復しています

また睡眠には「睡眠欲求」と「覚醒力」という二つの力が関わっています。

睡眠欲求は脳と体を休息させるために眠気を生じさせる力で、覚醒力は睡眠欲求に打ち勝って日中行動するための力です。

ノンレム睡眠中に起こる睡眠障害としては「睡眠時遊行症」「夜驚症」などがあります。

どちらも小児にはよく見られる症状で、重症の場合や青年期以降も残る場合以外は特に治療は必要ありません。

睡眠の質を高めるには規則正しい生活を送り、朝日を浴びるようにしましょう

運動や入浴のタイミングを調整し、自分に合った寝具を選ぶことも重要です。

また就寝前にカフェインなどの刺激物を摂取したり、スマホやパソコンを見たりするのはやめましょう。

ノンレム睡眠の効果をより高めるため、この記事の内容を参考に睡眠の質を改善させてくださいね。

SNSでシェア
ジャンルから探す

MediPalette公式SNS

MediPalette公式SNS

MediPalette By LOTTE

© LOTTE MediPalette Co.,Ltd. All rights reserved.