閉経とは?定義や平均的な年齢、その前後の更年期に現れる不調について解説

2024年09月18日

2024年11月11日

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「閉経って何だろう?」

「閉経の前後に起こる不調にはどんなものがあるのかな?」

閉経までの過程は個人差が大きく、閉経したのか分からないと感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。

また閉経前後に表れる不調に不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

閉経とは月経が永久に停止した状態のことです。

月経がない状態が12カ月以上続いたときに、1年前の時点のことをいいます[1]。

閉経は加齢に伴い卵巣の機能が低下することで起こります。

閉経前後の時期は更年期と呼ばれ、女性ホルモンのバランスが乱れることでさまざまな不調が生じます

この記事では、閉経の定義や平均的な年齢、閉経前後に現れる不調について詳しく解説していきます。

閉経について知り、自身の体調とうまく付き合っていく参考にしてくださいね。

[1] 公益社団法人 日本産科婦人科学会「更年期障害

1.閉経とは

お腹に手をあてている女性

閉経とは加齢によって卵巣の活動が低下し、月経が永久に停止した状態のことです。

具体的には、12カ月月経が来なかった時点で、その12カ月前を閉経とします[2]。

閉経までの過程は個人によってさまざまで、徐々に経血の量が減少したり間隔が不順になったりする方もいれば、ぱったりと月経が来なくなる方もいます。

なかには、しばらく月経がなく閉経したと思っていたら半年ぶりに再開したといったパターンもあります。

メモ
子宮摘出後などで月経による判断ができない場合は、血液検査で「卵胞刺激ホルモン」とエストロゲンのホルモン値を調べます。これらの値をもって閉経の診断がされます。

厚生労働省によると、日本人の閉経の平均年齢は50.5歳です[3]。

しかし個人差が大きく早い方だと40歳代前半、遅い方では50歳代後半に閉経を迎えます[2]。

メモ
40歳未満で3カ月以上月経が無い状態を「早発閉経」といいます[4]。一般的に自然妊娠の可能性は低いとされていますが、妊娠希望の有無にかかわらず治療が必要です。放置すると骨がもろくなったり、心臓や脳の血管に異常が起こりやすくなったりします。

閉経は加齢に伴い卵巣の機能が低下し、女性ホルモンの分泌が減少することで起こります

これによりホルモンバランスが崩れ、心身にさまざまな不調を来すのです。

次の章では閉経に伴う不調がなぜ起こるのかについて詳しく解説します。

[2] 公益社団法人 日本産科婦人科学会「更年期障害

[3] 厚生労働省 ヘルスケアラボ「更年期障害とは?

[4] 一般社団法人 日本内分泌学会「早発卵巣不全

【関連情報】 「更年期障害とは?さまざまな症状や発症の要因、治療法を徹底解説」についての記事はこちら

2.閉経と更年期障害の関係

「閉経と更年期ってどう違うんだろう?」

「閉経したら更年期障害になるのかな……」

閉経する年代になると「更年期障害」が起こると聞いたことのある方もいらっしゃるでしょう。

閉経を挟んだ前後5年を合せた10年間を「更年期」といいます[5]。

更年期には卵巣のはたらきが低下し、女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌が大きく揺らぎながら減少していきます

エストロゲンとは
卵巣から分泌される女性ホルモンの一つです。成長とともに分泌量が増え、生殖器の発育や排卵、月経、妊娠などに深く関わります。また女性に特徴的な体形やつややハリのある肌をつくる他、骨量維持や脳への血流増加などさまざまなはたらきを持ちます。

これによりホルモンバランスが崩れることで心身にさまざまな不調が引き起こされます

更年期に起こるこうした不調を「更年期症状」といいます。

またこの症状が日常生活に支障を来すほど重い場合に更年期障害と呼びます。

こうした不調は更年期の女性全てに生じるわけではなく、ストレスや性格などの心理的な要因や職場や家庭などの社会的要因が重なることで発症するといわれています。

更年期障害については以下の記事で詳しく解説しています。

更年期障害とは?さまざまな症状や発症の要因、治療法を徹底解説

[5] 厚生労働省 ヘルスケアラボ「更年期障害とは?

3.更年期障害の症状と治療法

「更年期障害の症状にはどんなものがあるんだろう?」

「更年期障害にはどんな治療法があるのかな?」

このように疑問に思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。

更年期障害の症状は個人によってさまざまなため、症状に合った治療を行います。

この章では、更年期障害の症状と治療法について詳しく解説します。

3-1.更年期障害の症状

更年期障害の症状はさまざまで、その程度にも個人差があります。

更年期障害の症状は100種類程といわれ、代表的な症状は以下のようなものがあります[6]。

【更年期障害の代表的な症状】

  • 火照りやのぼせ、発汗、冷えなどの血管の収縮や拡張に関係する症状
  • 肩こり、腰痛、関節痛などの関節の症状
  • イライラ、抑うつ、無気力、不眠、情緒不安定などの精神症状
  • 目まい
  • 耳鳴り
  • 頭痛
  • 動機(どうき)
  • 息切れ
  • 疲れやすさ
  • 乾燥やかゆみ、湿疹などの皮膚症状 など

このような症状は、閉経に伴うエストロゲンの分泌量低下にストレスや家庭環境などが複雑に関与して起こります

このため、起こる症状の種類や程度は個人差が激しいことが分かっています。

なお、閉経後に体がエストロゲンの少ない状態に慣れてくることで、こうした症状は次第に落ち着いてくるといわれています。

もし、気になる症状がある場合は産婦人科を受診しましょう。

[6] 厚生労働省 ヘルスケアラボ「更年期障害とは?

3-2.更年期障害の治療法

更年期障害の治療法には薬物療法やカウンセリングなどがあります。

更年期障害には女性ホルモンの減少という身体的要因に加え、心理的要因や社会的要因が複雑に関わるため、一人一人症状の現れ方が異なります。

このためまずは十分に問診を行った上で、生活習慣の改善や心理療法を試みます

それでも改善しない場合、「ホルモン補充療法」、漢方薬の投与、「向精神薬」の投与といった薬物療法が行われます。

ホルモン補充療法は女性ホルモンを補う治療法で、主に「ホットフラッシュ」に有効だといわれています。

ホットフラッシュとは
更年期障害の代表的な症状の一つです。上半身がのぼせる、汗が止まらなくなる、急に顔が熱くなるといった症状が数分持続し消失します。このような症状が一日に何回も繰り返し出現します。

ホルモン剤には飲み薬や貼り薬の種類があり、投与方法もさまざまなため、自身の体質や生活スタイルに合った治療法を選択できます

また漢方薬には心と体のバランスを整えるはたらきがあります

頭痛やイライラ感などの原因がはっきりしない症状の改善が期待できるため、症状に合わせてさまざまな処方が行われます。

不眠や情緒不安定など、精神症状が特に深刻な場合には抗うつ薬や抗不安薬といった向精神薬が処方されます

これら以外にも「自律神経調整薬」や睡眠薬などが使われることもあります。

自律神経調整薬とは
自律神経の乱れを整える作用のある薬です。頭痛や動悸、だるさなどの症状を改善するはたらきがあります。

なお更年期障害にはストレスや性格なども関連するため、薬物療法だけでは十分に症状を改善できない場合があります

処方された薬を飲んでも症状が改善しない場合は主治医に相談し、ご自身に合った治療を見つけましょう。

4.閉経に伴って発症のリスクが高まる病気・不調

閉経に伴う女性ホルモンの低下により発症リスクが高まる病気があります。

【閉経に伴って発症のリスクが高まる病気・不調】

  • 骨粗しょう症
  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 内臓脂肪型肥満

この章では、閉経とこれらの病気がどのように関係しているのか解説します。

4-1.骨粗しょう症

腰に手を当てている高齢女性

閉経すると骨の密度が急激に減るため「骨粗しょう症」を発症しやすくなります。

骨粗しょう症とは
骨の密度が減ってもろくなり、骨折しやすくなる病気です。

エストロゲンには骨の健康を維持するはたらきがあります

このため閉経が近くなって女性ホルモンの分泌が低下すると、骨の新陳代謝のバランスが崩れます。

メモ
骨には骨をつくる「骨芽細胞」と古くなった骨を吸収する「破骨細胞」が存在しています。本来、新たな骨の形成と骨吸収のバランスは保たれているものの、このバランスが崩れて骨吸収が上回った状態が続くと骨量は減少します。その結果、骨がもろくなり骨粗しょう症になります。

これにより徐々に骨の密度は低下し続け、骨折のリスクが高まるのです。

特に骨量が著しく減少する閉経後は、骨密度の検査を行いましょう

4-2.高血圧

血圧計

女性は閉経すると高血圧になる可能性があります。

閉経に伴って血圧が高くなる主な原因は、加齢やエストロゲンの減少により血管の弾力性が低下することだと考えられています。

エストロゲンにはコラーゲンの生成を促す作用があり、これにより血管の弾力性や柔軟性が保たれています。

しかし閉経でエストロゲンの分泌量が低下するとコラーゲンが劣化するため、高血圧になりやすくなるのです。

またエストロゲンの減少により自律神経のバランスが乱れると、適正な血圧を維持できなくなります

自律神経とは
全身に張り巡らされている神経の一つです。意識とは関係なく呼吸や血圧、心拍、発汗、体温、消化といった生命の維持に欠かせない機能を調整しています。

女性ホルモンの分泌量は、脳の「視床下部」や「脳下垂体」がつかさどっています。

視床下部は女性ホルモン以外に自律神経や免疫系、内分泌系、感情などもコントロールしています。

閉経が近づき女性ホルモンの分泌が減少すると、脳は分泌量を増やすように指令を出します。

しかし、はたらきの悪くなった卵巣は十分に女性ホルモンを分泌できないため、脳が混乱します

その結果、同じ視床下部のつかさどる自律神経などにも影響が及んでしまうのです。

血圧は自律神経が調整しているため、閉経に伴って自律神経が乱れることでも高血圧に陥りやすいのですね。

4-3.脂質異常症

血液検査の結果票

女性は閉経すると脂質異常症になりやすくなります。

脂質異常症とは基準値よりも血液中の脂肪の濃度が高過ぎたり、低過ぎたりすることをいいます。

血液中の脂質を検査する項目にはいくつかあり、以下の一つでも当てはまると脂質異常症と診断されます。

  • 血管にあぶらを溜め込む悪玉コレステロールの値が高い
  • 血管に溜まった余分なあぶらを取り除いてくれる善玉コレステロールの値が低い
  • 肥満を招く中性脂肪の値が高い

エストロゲンにはコレステロールのバランスを整えるはたらきがあります。

閉経し女性ホルモンの分泌が減ると、血液中の悪玉コレステロールと中性脂肪が増加する一方で、善玉コレステロールが減少します

脂質異常症は動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞といった重篤な病気を引き起こします。

動脈硬化とは
心臓から送り出される血液が通る「動脈」の壁が厚く硬くなってしまうことです。

これらの病気を予防するためにも日頃から油分やカロリーの多い食事は避けるなど食生活に注意して過ごしましょう。

4-4.内臓脂肪型肥満

ジーンズにお腹がのっている人

「閉経後は太りやすくなるって本当かな……」

このように不安に感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。

閉経とともにエストロゲンの分泌が少なくなると「内臓脂肪型肥満」になりやすくなります。

メモ
肥満のタイプは脂肪が蓄積される場所によって内臓脂肪型肥満と「皮下脂肪型肥満」の二つに分類されます。内臓脂肪型肥満は内臓周りに脂肪が蓄積するのに対し、皮下脂肪型肥満は皮膚のすぐ裏側に脂肪が蓄積します。

エストロゲンには脂肪の燃焼を促すはたらきがあり、分泌量が減ると脂肪がつきやすくなります

またエストロゲンは内臓脂肪をため込む酵素を抑えるはたらきを持つことが分かっています。

酵素とは
体内で起こるほぼ全ての化学反応に必要なたんぱく質のことで、ヒトが摂取した食べ物を消化や吸収、代謝する際に触媒として関わります。それぞれに異なるはたらきをするため体内には約5,000種類の酵素が存在するといわれています[7]。

閉経に伴いエストロゲンの分泌が減少すると、この酵素を抑えられなくなるため、内臓脂肪が蓄積しやすくなるといわれています。

加えて、加齢による筋肉量の減少が基礎代謝を低下させることも太りやすくなる要因といえるでしょう。

基礎代謝とは
生命活動を維持するために消費される最小限のエネルギーのことです。

特に内臓脂肪型肥満は高血圧や脂質異常症の発症リスクが高いことも指摘されているため注意が必要です。

[7] 公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット「酵素の働きと健康効果

5.不調を感じたら早めに受診しましょう

カルテを書いている女医

閉経の近い年齢になり、月経不順や疲労などの不調を感じたら早めに病院を受診しましょう。

閉経に伴って女性ホルモンのバランスが崩れると月経周期が不規則になったり、すぐに疲れてしまったり、さまざまな不調が現れることがあります

我慢せずに病院を受診し、自分に合った治療を受けることで症状を和らげることができますよ。

また更年期症状に似た病気が隠れている場合もあるため、早期に受診して確認することも重要ですよ。

6.閉経についてのまとめ

閉経とは12カ月以上月経がない状態のことで、閉経を挟んだ前後5年を合わせた10年間を更年期と呼びます[8][9]。

閉経は卵巣の機能が低下することで起こり、女性ホルモンの分泌が減少します。

このため更年期には更年期症状と呼ばれるさまざまな不調が生じやすくなります

更年期の症状は個人によってさまざまで、日常生活に支障を来す場合は更年期障害と呼ばれます。

また、閉経に伴って発症のリスクが高まる病気には、骨粗しょう症や高血圧、脂質異常症や内臓脂肪型肥満などがあります。

これらは放置すると重篤な病気を来す恐れがあるため注意が必要です。

また更年期症状に似た病気が隠れていることもあるため不調を感じたらすぐに病院を受診しましょう。

閉経や更年期障害に不安を感じている方はこの記事を参考に対策や治療につなげてくださいね。

[8] 公益社団法人 日本産科婦人科学会「更年期障害

[9] 厚生労働省 ヘルスケアラボ「更年期障害とは?

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