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カロテノイドとは?体内でのはたらきや摂取源、効率的な摂取法を紹介

2023年8月7日

ボディコンディション

「カロテノイドってなんだろう?」

「カロテノイドにはどんな効果があるのかな?」

と疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

カロテノイドは自然界に存在する黄色・赤色の色素成分です。

体内でビタミンAに変換されたり、生活習慣病を予防したり健康維持のためには重要な成分となります。

この記事ではカロテノイドの体内でのはたらきや過不足による影響、効率良く摂取する方法を解説します。

1.カロテノイドとは

にんじん

カロテノイドとは自然界に存在する黄色または赤色の色素で、大きく分けるとカロテン類とキサントフィル類に分類されます。

カロテン類には緑黄色野菜に多く含まれる「β-カロテン」やトマトなどに含まれる「リコピン」などがあり、キサントフィル類にはみかんに含まれる「β-クリプトキサンチン」、とうがらしに含まれる「カプサンチン」などがあります。

メモ
一般的に緑黄色野菜は緑色や黄色・赤色などの色の濃い野菜と認識されています。厚生労働省の基準においては「原則として可食部100g当たりカロテン含量が600マイクログラム(μg)上の野菜」と定められています[1]。

カロテノイドは数百種類以上存在していますが、ヒトの体内ではたらく主なカロテノイドはリコピン、α-カロテン、β-カロテン、ルテイン、ゼアキサンチン、β-クリプトキサンチンの6種です[2]。

このうち、α-カロテン・β-カロテン・β-クリプトキサンチンはビタミンAに変換される代表的な「プロビタミンA」です。

ビタミンAは皮膚や粘膜の健康に役立つと知られています。

さらに、カロテノイドは強い「抗酸化作用」を持ち、動脈硬化や老化の予防などにも有効といわれています。

抗酸化作用とは
活性酸素の発生やはたらきを抑制する作用のことを指し、このような作用をもつ物質を抗酸化物質といいます。活性酸素は呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部が活性化したもので、増え過ぎると生活習慣病や免疫機能の低下などの原因となるとされています。

このようにカロテノイドは体内で抗酸化物質として作用し、またビタミンAに変換されるものもあるため、摂取しておきたい成分といえます。

カロテノイドのはたらきについては次の章で詳しく解説しますね。

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「緑黄色野菜」

[2] 独立行政法人 農畜産業振興機構「野菜・果物に多い天然色素(カロテノイド)は飲酒と喫煙は毒消しに役立つか?!」

2.カロテノイドの体内でのはたらき

「カロテノイドは具体的にどんなはたらきをしているんだろう?」

と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

カロテノイドは皮膚や粘膜の健康を維持したり、活性酸素による悪影響を防いだりします。

ここからはカロテノイドのはたらきについて詳しく見ていきましょう。

2-1.皮膚や粘膜の健康を維持する

自分の腕をさする女性

カロテノイドは皮膚や粘膜の健康を維持するのに重要な役割を持ちます

カロテノイドのなかでもβ-カロテンは効率良くビタミンAに変換されることが分かっています。

ビタミンAには皮膚の「ターンオーバー」を整えるはたらきがあるため、お肌の潤いには欠かせない栄養素です。

ターンオーバーとは
古くなった角層細胞(角質)が剥がれ落ち、新しい角層細胞へ生まれ変わるサイクルのことを指します。肌の潤いを保つ天然保湿因子もこのターンオーバーの過程で作られています。

私たちの肌は日々紫外線などのさまざまな要因によってダメージを受けています。

肌がダメージを受けると、ターンオーバーの周期を早めて新しい角層細胞を作り、肌の内側を守ろうとはたらきます。

急いで作られた角層細胞は天然保湿因子がうまく作られないまま形成されてしまい、乾燥やしわなどの肌トラブルを起こす原因になるといわれています。

そのため潤いのある肌の維持にはターンオーバーを整えることが重要であり、その作用を持つビタミンAは積極的に摂取したい栄養素だといえます。

また、ビタミンAは肌の潤い以外にもドライアイを防いだり、目のダメージを回復したりする効果もあります。

スマートフォンの使い過ぎによる目の酷使や空気の乾燥、加齢によって乾きやすくなります。

目が乾燥したいわゆるドライアイの状態になると、目の表面に傷ができることがあります。

ビタミンAは涙を目の表面にためるよう作用したり、目の粘膜である角膜の細胞の産生を促して傷を修復したりするはたらきがあります。

このように肌や目の健康維持には、カロテノイドの持つプロビタミンAとしての効果が重要だといえますね。

2-2.活性酸素の発生を抑え取り除く

青空の下で笑顔の女性

カロテノイドには、ビタミンAとしての機能以外に抗酸化作用があります。

抗酸化作用は免疫機能を維持し、動脈硬化や老化を予防するために重要だといわれています。

私たちの体は酸素を取り込み、食事から栄養を摂ることで日常生活に必要なエネルギーを作り出しており、その過程では酸素の一部が活性酸素へ変化します。

微量な活性酸素は免疫機能を保つなどの良い作用をもたらします。

ヒトの体にウイルスなどが侵入すると免疫細胞が活性酸素を産生して攻撃したり、抗体を作ったりすることによって体から除去するようはたらいています。

そのため免疫機能の維持には、免疫細胞や活性酸素のはたらきが欠かせません。

しかし、ストレスや食品添加物、たばこ、激しい運動、多量の飲酒、紫外線などによって活性酸素が大量に生成されると、細胞を傷つけたり過酸化脂質を作り出したりして悪影響を招くのです。

過酸化脂質とは
老化を進行させたり、動脈硬化や肝臓に関する病気を招くリスクがあったりするといわれている物質です。発がん性があるのではないかという点も疑われています。

活性酸素が過剰に発生してしまうと、免疫細胞のはたらきを弱めてしまい免疫機能が正常に維持できない可能性もあります。

また、活性酸素によって血液中の脂質が酸化されると血管内に沈着し、動脈硬化が進行する恐れもあります。

動脈硬化とは
動脈の血管が硬くなり弾力性が失われた状態のことで、喫煙・コレステロール過多・高血圧・肥満・運動不足などが重なることによって発症しやすくなるといわれています。

動脈硬化は「生活習慣病」の一つであり、悪化すると狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの重大な病気を発症する原因となります。

生活習慣病とは
生活習慣が原因で起こる疾患の総称を指し、動脈硬化症・糖尿病・高血圧症・脂質異常症などが含まれます。これらは日本人の三大死因であるがん・脳血管疾患・心疾患などの危険因子です。

その他にも、紫外線などによって皮膚の細胞で活性酸素が過剰に発生するとしわやたるみなどの老化を招くこともあります。

このように、活性酸素は過剰になることによって免疫機能の低下や動脈硬化、老化などを引き起こす要因となるのです。

カロテノイドの持つ抗酸化作用には、活性酸素の発生を防いだり取り除いたりする効果があることが分かっています。

活性酸素の過剰発生やそれに伴う過酸化脂質の産生を防いだりすることによって、免疫機能を維持したり動脈硬化や老化を予防したりと、重要な役割を果たしているのですね。

3.カロテノイドの過不足による影響

「カロテノイドが足りなかったり摂り過ぎたりするとどうなるの?」

と疑問に思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

カロテノイドは必要量だけがビタミンAに変換され、残りは脂肪組織に蓄えられたり排泄されたりします。

そのため、カロテノイドの過剰や不足は起こりにくいといわれています。

しかしカロテノイドは皮膚の角質層、表皮、皮下脂肪層に沈着しやすい性質を持っているため、過剰に摂取すると手のひらや足の裏が黄色くなる「柑皮症」が起こる場合があります。

柑皮症は健康への害はなく、カロテノイドを多く含む食品を制限することによって症状は改善するとされています。

また、万一プロビタミンAの一種であるカロテノイドが不足した場合は、体内でビタミンAの合成量が不足する可能性もあります。

ビタミンAが不足すると薄暗いところでものが見にくくなる「夜盲症」を発症する恐れなどがあります。

また、皮膚の乾燥などが生じる可能性があるともいわれています。

通常の食事であれば過剰や不足が生じることはないとされているため、無理なダイエットや過剰なサプリメントの摂取などは控えるようにしましょう。

日頃からバランスの取れた食生活を心掛けることが重要ですね。

4.カロテノイドの摂取源となる食品

鮮やかな野菜と果物の画像

「カロテノイドはどんな食べ物に含まれているの?」

と気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

カロテノイドは緑黄色野菜や果物、海藻類、甲殻類、魚類などから摂ることができます。

特に色の濃い野菜には多くのカロテノイドが含まれています。

ここでは、カロテノイドを摂取できる主な食品についてご紹介しますね。

カロテノイドの摂取源となる食品

にんじんや海藻類の甘のりにはα-カロテンやβ-カロテンが豊富であり、β-カロテンはしそやほうれん草にも多く含まれています。

メモ
のりにはいくつかの種類がありますが、焼きのりや味付けのりになる一般的なのりが甘のりです。

トマトに含まれていることで知られるリコピンは、すいかやピンクグレープフルーツからも摂ることができますよ。

その他にも、温州みかんや柿にはβ-クリプトキサンチン、えびやかになどの甲殻類や鮭にはアスタキサンチン、パプリカやとうもろこしにはゼアキサンチンが豊富です。

このように、カロテノイドは身近な食べ物に多く含まれていることが分かります。

特に緑黄色野菜や果物からはより多くのカロテノイドを摂取することができるため、毎日の食卓にバランス良く取り入れていくようにしましょう。

5.カロテノイドを効率良く摂取する方法

にんじん料理

カロテノイドを含む食品は油を使って加熱調理して食べるようにしましょう。

カロテノイドは油に溶けやすい性質があることが分かっており、炒めたり揚げたりして食べると体内で吸収されやすくなります

しかしなかには「できるだけ油の使用は控えたい」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような場合には、卵や肉類などの脂質が多い食べ物と一緒に食べるようにすると同様の効果を得ることができますよ。

またカロテノイドを含む野菜などをより多く摂取したい場合には、火を通して野菜のかさを減らす方法もお勧めです。

サラダなどの生野菜はボリュームがあるためたくさんの量を摂りづらい傾向があるほか、消化されずにそのまま排泄され体内では吸収されにくい性質があるといわれています。

そのため、カロテノイドを含む食品を食べる際には火を通して野菜のかさを減らすように心掛け、脂質と共に摂取することでカロテノイドを効率良く取り込めるようにしてみてくださいね。

6.カロテノイドについてのまとめ

カロテノイドは天然に存在する黄色または赤色の色素であり、緑黄色野菜や果物を中心に、海藻類や甲殻類、魚類などから摂ることができます。

カロテノイドは体内で必要に応じてビタミンAに変換されており、皮膚や粘膜の健康にとって重要なはたらきをしています

また抗酸化物質として作用するため、動脈硬化や老化の予防や免疫機能の維持にも有効といわれています。

カロテノイドを効率良く摂取するためには油を使って加熱調理したり、卵や肉類などの脂質と一緒に摂ったりするようにしましょう。

カロテノイドを効率良く摂取して、健康な体づくりへ活かしてみてくださいね。

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