「腹式呼吸は普通の呼吸とどう違うんだろう?」
腹式呼吸が健康に良いというイメージは何となくあるものの、その効果や正しいやり方は知らないという方は多いかもしれませんね。
腹式呼吸は体の緊張をほぐしたり、腰痛を予防したりといった効果が期待できる呼吸法です。
この記事では腹式呼吸の基礎知識や、得られる効果、正しいやり方をご紹介します。
腹式呼吸は手軽にどこでも行えますので、正しいやり方を覚えて生活に取り入れてくださいね。
1.腹式呼吸とは
「腹式呼吸って何だろう?」
腹式呼吸は普通の呼吸と違うのか、気になる方もいらっしゃるでしょう。
呼吸は大きく腹式呼吸と胸式呼吸に分けられます。
腹式呼吸と胸式呼吸では使われる筋肉が違います。
腹式呼吸とは「横隔膜」を使う呼吸法のことで、横隔膜呼吸とも呼ばれています。
腹式呼吸では横隔膜が下がることによって肺が伸び、空気を取り込みます。
横隔膜に引っ張られることによって肺が広がりやすく、取り込む空気の量が多いことが特徴です。
一方、胸式呼吸とは「肋間筋」を使う呼吸法のことです。
胸式呼吸では肋間筋で肋骨を上下させることで呼吸します。
また、これらの呼吸法を用いたエクササイズにヨガとピラティスがあります。
ヨガは腹式呼吸を用いるエクササイズです。
腹式呼吸では副交感神経が優位になるため、ヨガを行うと体をリラックスした状態にすることができます。
一方、ピラティスは胸式呼吸を用いるエクササイズです。
胸式呼吸では交感神経が優位になるため、ピラティスを行うと体を活動的にしたり気持ちを奮い立たせたりする効果があります。
どちらが良いということではなく、体を休めたいときには腹式呼吸を、活動的になりたいときには胸式呼吸をと行い使い分けると良いのですね。
2.腹式呼吸の正しいやり方
「腹式呼吸ってどうやるんだろう?」
腹式呼吸をしてみたいけど、やり方が分からないという方は多いかもしれませんね。
この章では腹式呼吸の正しいやり方についてご説明します。
【腹式呼吸の正しいやり方】
- 背筋を伸ばし鼻から息を吸い込む。このときおへその下に空気をためるイメージでおなかを膨らませます。
- 吐くときはおなかをへこませながら口からゆっくり息を吐き出します。吸うときの倍くらいの時間をかけて吐き出すことがポイントです。
あおむけになると腹式呼吸をしやすくなるため、慣れないうちは横になって行うと良いでしょう。
慣れてきたら座ったり立ったりした状態で行ってみてくださいね。
3.腹式呼吸に期待できる効果
「腹式呼吸にはどんな効果があるんだろう?」
効果を知っていれば、腹式呼吸を取り入れるモチベーションも上がることでしょう。
ここでは腹式呼吸をすることで得られる効果を六つご紹介します。
あまり知られていない意外な効果もありますのでぜひお読みくださいね。
3-1.リラックス
腹式呼吸をするとリラックス効果を得ることができます。
腹式呼吸で使う横隔膜には自律神経が集中しているため、腹式呼吸では副交感神経が優位になります。
副交感神経が優位になると、心機能が安定し心身の緊張がほぐれやすくなります。
また眠る前に腹式呼吸を行うと、体がリラックスするため質の良い睡眠をとることができますよ。
腹式呼吸をゆっくりと数回行うことで、寝付きも良くなるでしょう。
3-2.声量の強化
腹式呼吸をすると声量の強化にもつながります。
腹式呼吸を行うことでおなかから声を出せるようになり、喉への負担が軽くなります。
腹式呼吸を使った発声には大きな声を出せる、長時間会話していても疲れにくくなるというメリットがあります。
腹式呼吸を意識しながらの発声は難しいと感じるかもしれませんが以下のように段階を踏んで少しずつ慣らしていくと良いでしょう。
【腹式呼吸を意識した発声】
- 腹式呼吸で息を吐き出すときに「ハー」と声にならない程度の発声をしてみる。
- ゆっくりと腹式呼吸を意識しながら「ハー」「アー」と声を出して言う。
- 普段の会話でもこの発声法を取り入れて話すことを意識してみる。
人前で話す機会のある方は、ぜひ腹式呼吸を活用して発声をしてみてくださいね。
3-3.消化機能の改善
腹式呼吸には消化機能を改善する効果もあります。
腹式呼吸では横隔膜を大きく動かすため、おなかの中の圧力が高まります。
おなかの中の圧力が高まると、排便をサポートしてくれるため便秘の改善につながります。
また腸が刺激され便意も起こりやすくなります。
便秘にお悩みの方は食事の改善などと合わせて腹式呼吸も行うと良いでしょう。
3-4.基礎代謝の向上
腹式呼吸をすると基礎代謝が向上します。
これは、腹式呼吸をすることにより普段あまり使われていない筋肉が鍛えられ筋肉量が増えるためです。
腹式呼吸で使う横隔膜は「インナーマッスル」の一つです。
腹式呼吸では横隔膜の他に、腹横筋などのインナーマッスルも鍛えられるといわれています。
筋肉はエネルギーをたくさん使うため、筋肉量が増えると基礎代謝が高まるのです。
ダイエットしたい方は腹式呼吸をしてエネルギー消費を目指しましょう。
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝」
3-5.腰痛予防
腹式呼吸には腰痛予防の効果も期待できます。
ヒトの内臓は腹膜で囲まれており、腹膜は腹圧(腹腔内圧)と筋肉で支えられています。
腹圧が下がると腹膜がしぼみ、筋肉のバランスが崩れることで腰に負担がかかってしまう恐れがあります。
腰痛予防には正常な腹圧を保つことと、おなか周りの筋肉を鍛えることがポイントです。
腹式呼吸は腹圧を高めたり、腹筋を鍛えたりする効果があります。
腰痛予防に効果的なトレーニングとして、あおむけの状態で腹式呼吸を行うドローインがあります。
ドローインは、あおむけになり膝を曲げた姿勢で行います。
ゆっくりと息を吐きながらおなかをへこませて、その状態をキープします。
おなかを膨らませて大きく息を吸い込み元に戻します。
ドローインではおなか周りをコルセットのように覆っている筋肉が鍛えられるため、腰への負担を軽くすることができます。
腰痛にお悩みの方は腹式呼吸をぜひお試しくださいね。
3-6.姿勢の改善
腹式呼吸は姿勢の改善にもつながります。
姿勢が悪くなる原因は、利き手や利き足、足の組み方といった個人の癖によって手脚などの骨の周りの筋肉のバランスが崩れることです。
筋肉のバランスが崩れると、脊柱が曲がってしまいます
腹式呼吸を意識すると、腹圧が高められるため脊柱を安定させることができます。
姿勢改善にも腹式呼吸は効果を発揮するのですね。
4.腹式呼吸についてのまとめ
腹式呼吸とは横隔膜を動かして行う呼吸のことで、多くの空気を取り込めることが特徴です。
腹式呼吸を行うと副交感神経が優位になるためリラックスできます。
腹式呼吸はヨガの呼吸法としても取り入れられています。
正しい腹式呼吸では、まずおへその下に空気をためるイメージでおなかを膨らませて鼻から息を吸い込みます。
息を吐くときはおなかをへこませて口からゆっくりと息を吐き出します。
腹式呼吸にはリラックス、消化機能の改善、基礎代謝の向上、腰痛予防、姿勢の改善などの効果があります。
腹式呼吸は慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、慣れてしまえばどこでもできます。
ぜひこの記事を参考に、日々の生活に腹式呼吸を取り入れてくださいね。