小松菜から摂取できる栄養素とは?おいしく食べるためのコツも紹介

2023年12月05日

2024年11月11日

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「小松菜にはどんな栄養素が含まれているんだろう……」

と気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

小松菜には腸内環境を整えるのに有効な食物繊維や、皮膚や粘膜の健康に関わるビタミンなどが多く含まれています

しかし小松菜の栄養素には水や油に溶けやすい性質のものがあるため、調理方法を工夫する必要があります

この記事では小松菜に含まれる栄養素やその効果などを詳しく解説します。

加えて小松菜をおいしく味わい、かつ栄養を効率良く摂取するための調理方法をご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

1.小松菜の基礎知識

ザルにのった小松菜

小松菜は埼玉県や茨城県、東京都など関東圏での栽培が多い緑黄色野菜です。

緑黄色野菜とは
厚生労働省の基準で「原則として可食部100g当たりのカロテン含有量が600μg以上の野菜」のことです[1]。ほうれん草やにんじん、かぼちゃなどが該当します。

小松菜の名前は、現在の東京都江戸川区の小松川の地名を取って名付けられたのが由来です。

江戸時代にその場所を訪れた8代将軍徳川吉宗が、タカ狩りの際に食べたすまし汁に入っていた冬菜を気に入り、命名されたといわれています。

小松菜は現在も関東風の雑煮には欠かせない野菜です。

小松菜は品種改良が盛んで、福島県の「信夫菜」、新潟県の「大崎菜」、関西の「若菜」など数十種類の品種があるとされています。

このように小松菜は地方における品種も多く、地産地消される野菜の一つです。

小松菜はあくが少ないため下ゆでの必要がなく、調理しやすいのが特徴です。

小松菜は主にハウス栽培されており年間を通して入手しやすいですが、冬が旬の時期に当たります

寒さに強く、霜にあたると甘みが増すため、冬場はよりおいしくなりますよ。

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット 「緑黄色野菜」

2.小松菜に豊富に含まれる栄養素

小松菜

「小松菜に豊富な栄養素って何だろう?」

「小松菜のカロリーってどのぐらいなのかな?」

と気になっている方も多いでしょう。

小松菜は生の状態で、可食部100g当たり13kcalと非常に低カロリーな野菜です[2]。

主な葉物野菜のカロリーは以下のとおりです。

【主な葉物野菜100g当たりのカロリー】

食品名 カロリー
ほうれん草(生) 18kcal
水菜(生) 23kcal
からし菜(生) 26kcal

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

一方で食物繊維やビタミン、ミネラルなど体に必要な栄養素は多く含まれています

メモ
この章では食品表示基準の100kcal(または100g)当たりの基準にのっとり、「豊富」に含まれるといえる栄養素を解説していきます[3]。ただし小松菜はカロリーが低く、100kcalは770gに相当するため、小松菜からこれらの栄養素を十分に摂取することは難しいと考えられます[2]。小松菜に含まれる栄養素のなかでも鉄、ビタミンA、ビタミンK、葉酸、ビタミンCは100g当たりの基準にのっとっても「豊富」と表現できるため、特に豊富だといえるでしょう[2]。

カロリーが低い上にさまざまな栄養素が摂れるのはうれしいポイントですね。

小松菜に豊富に含まれる栄養素と、それらのはたらきについてご紹介しますのでぜひ参考にしてください。

【小松菜に含まれる主な栄養素とその含有量(100g当たり)】

栄養素 含有量
たんぱく質 1.5g
食物繊維 1.9g
ビタミンA 260μg
ビタミンE 0.9mg
ビタミンK 210μg
ビタミンB1 0.09mg
ビタミンB2 0.13mg
ナイアシン 1.6mg
ビタミンB6 0.12mg
葉酸 110μg
パントテン酸 0.32mg
ビオチン 2.9μg
ビタミンC 39mg
カリウム 500mg
カルシウム 170mg
マグネシウム 12mg
2.8mg
0.06mg
亜鉛 0.2mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

[2] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[3] 東京都保険医療局「栄養成分表示ハンドブック」

2-1.たんぱく質

小松菜には100g当たり1.5gのたんぱく質が含まれています[4]。

たんぱく質は「エネルギー産生栄養素」の一つで、体内で合成できないため食物から摂取しなければならない栄養素です。

エネルギー産生栄養素とは
体に必須の成分のうち、エネルギー源となるたんぱく質、脂質、炭水化物の総称です。

たんぱく質は筋肉や臓器、皮膚、髪の毛などとしてヒトの体を構成する他、酵素やホルモンなどとして体の機能を調整します。

そのためたんぱく質が不足すると筋力や体力、免疫機能が低下するといわれています。

さらに食事量が低下した高齢者では、たんぱく質の摂取量も低下しやすく「フレイル」や「サルコぺニア」になる恐れがあるといわれています。

フレイルとは、加齢に伴い心身の活力が低下し日常生活に支障を来している状態のことです。

健康な状態と要介護状態の中間の段階とされ、適切な介入や支援によって生活機能の維持・向上が可能です。

メモ
フレイルは運動器の障害などで身体機能が低下した状態を指す「身体的フレイル」、定年退職などによって引き起こされるうつ状態などを指す「精神・心理的フレイル」、社会とのつながりが希薄化することで生じる独居や経済的困窮の状態を指す「社会的フレイル」の三つに分けられます。

サルコペニアは身体的フレイルの一つで、高齢になるにつれて筋肉量が減少していく現象を指します。

フレイルを予防するにはバランスの良い食事をすること、特にたんぱく質を適切に摂取することなどが重要です。

筋力や体力、免疫機能を維持し、健康的な毎日を送るために積極的にたんぱく質を摂るよう心掛けたいですね。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」において、たんぱく質の摂取推奨量が定められています。

メモ
推奨量は、摂取不足の予防を目的として対象年齢のほとんどの人が充足している量を意味しています。

たんぱく質の1日当たりの摂取推奨量は男性の場合18~64歳で65g以上、65歳以上で60g以上です[5]。

女性の場合18歳以上で50g以上です[5]。

[4] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[5] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-2.食物繊維

小松菜には食物繊維が100g当たり1.9g含まれています[6]。

食物繊維は食べ物に含まれている、人の消化酵素で消化することのできないものを指し、整腸作用によって便秘を防ぐのに欠かせない栄養素です。

食物繊維には体内で脂質や糖質などとくっついて体の外へ出すはたらきがあるため、糖尿病や高血圧などの「生活習慣病」予防やダイエットに効果があるといわれています。

生活習慣病とは
食事や運動、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が原因で発症する病気の総称を指します。生活習慣病にはがんや、動脈の血管が硬く弾力性が失われた状態である動脈硬化症、糖尿病、高血圧症、脂質異常症などがあります。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、食物繊維の摂取目標量が定められています。

メモ
目標量は、生活習慣病の予防のため日本人が当面目標とすべき摂取量とされているものです。

食物繊維の1日当たりの摂取目標量は男性の場合18~64歳で21g以上、65歳以上で20g以上です[7]。

女性の場合18~64歳で18g以上、65歳以上で17g以上です[7]。

[6] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[7] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-3.ビタミンA

小松菜にはレチノール活性当量としてビタミンAが100g当たり260μg含まれています[8]。

メモ
ビタミンAの摂取推奨量は「レチノール活性当量(RAE)」で算出されています。レチノール活性当量とは食品に含まれるレチノールと、体内でビタミンAと同様の効力を示す物質に変換されるものを合わせた量のことです。

ビタミンAは目の機能を正常に保ち、皮膚や粘膜の健康を維持します。

そのためビタミンAが不足すると、「夜盲症」や皮膚・粘膜の乾燥などを生じることがあります

夜盲症とは
暗い所で物が見えにくくなる病気です。通常ヒトが明るい場所から暗い場所に入ると、目の「暗順応」によって次第に暗さに慣れて周りが見えるようになります。しかしその機能に障害が起こると夜や暗い所で物が見えにくくなります。夜盲症は先天的な場合と後天的な場合があり、進行すると最悪の場合失明に至ることがあります。

ビタミンAはレチノイドとも呼ばれ、構造の違いによってレチノール、レチナール、レチノイン酸に分類されます。

ビタミンAはレチノールとして食品から取り込まれる他に、プロビタミンAとして摂取することもできます。

プロビタミンAは体内でビタミンAと同様の効力を示す物質に変換されるものを指し、代表的なものには「カロテノイド」があります。

カロテノイドとは
動植物に広く存在する黄色または赤色の色素のことをいいます。カロテノイドにはカロテン類とキサントフィル類の2種類があります。カロテン類にはβ-カロテンやリコピンなどがあり、キサントフィル類にはルテインやアスタキサンチンなどがあります。

カロテノイドには「抗酸化作用」があり、動脈硬化などの予防に効果があるといわれています。

抗酸化作用とは
「活性酸素」の発生を抑えたり、取り除いたりする作用のことです。活性酸素は呼吸によって取り込まれた酸素が通常より活性化されたもので、微量であれば免疫機能として体に有用なはたらきをします。しかし増え過ぎると細胞を傷つけ、動脈硬化や老化、免疫機能の低下などの原因となります。

小松菜には、カロテノイドのなかでもレチノールに変換されやすい性質を持つβ-カロテンが100g当たり3,100μg含まれていますよ[8]。

ビタミンAの1日当たりの摂取推奨量は男性の場合、18〜29歳で850μgRAE、30〜64歳で900μgRAE、65~74歳で850μgRAE、75歳以上で800μgRAEです[9]。

一方、18〜29歳の女性で650μgRAE、30〜74歳で700μgRAE、75歳以上で650μgRAEとされています[9]。

[8] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[9] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-4.ビタミンE

小松菜には、ビタミンEの一つであるα-トコフェロールが100g当たり0.9mg含まれています[10]。

メモ
食品に含まれるビタミンEは、主としてα-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロールの四つです。そのなかでも体内で最も多く存在し、強いはたらきを持つのはα-トコフェロールです。そのため食事摂取基準でもα-トコフェロールの値がビタミンEの基準として採用されています。

ビタミンEには抗酸化ビタミンの一つで抗酸化作用があり、また細胞内に「過酸化脂質」がつくられるのを抑えるはたらきがあります

過酸化脂質とは
血液中の脂質が活性酸素によって酸化されたものをいいます。

過酸化脂質が血中に蓄積すると血管が狭くなり、動脈硬化が進行して心筋梗塞などを発症する恐れがあるといわれています。

このようにビタミンEには体内の脂質が酸化するのを防ぎ、健康に良いはたらきがあるのですね。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」ではビタミンEの摂取目安量が定められています。

メモ
目安量は、十分な科学的根拠が得られず、「推定平均必要量」や推奨量が設定できない場合に設定される数値です。一定の栄養状態を維持するのに十分な量とされています。推定平均必要量は摂取不足の回避を目的として設定され、半数が必要量を満たす量です。

ビタミンEの1日当たりの摂取目安量は男性の場合18~49歳で6mg、50〜74歳で7mg、75歳以上で6.5mgです[11]。

女性の場合18~29歳で5mg、30〜49歳で5.5mg、50〜64歳で6mg、75歳以上で6.5mgです[11]。

[10] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[11] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-5.ビタミンK

小松菜にはビタミンKが100g当たり210μg含まれています[12]。

ビタミンKは血液凝固や骨の形成に関わる栄養素です。

ビタミンKが不足すると鼻血などで出血した際に血が固まりにくくなることがあります。

さらに慢性的な不足によって「骨粗しょう症」や骨折を引き起こすといわれています。

骨粗しょう症とは
骨からカルシウムが溶け出す「骨吸収」と骨へカルシウムが沈着する「骨形成」のバランスが崩れてもろく折れやすくなった状態のことです。骨をつくるのに必要な栄養素の不足や運動不足、加齢などが原因で起こるといわれています。

特に閉経後の女性の場合は、女性ホルモンの減少によって骨粗しょう症のリスクが高まることが分かっているため、ビタミンKを意識した食生活を心掛けたいですね。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」ではビタミンKの摂取目安量が定められています。

ビタミンKの1日当たりの摂取目安量は男性、女性共に18歳以上で150μgです[13]。

[12] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[13] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-6.ビタミンB1

小松菜にはビタミンB1が100g当たり0.09mg含まれています[14]。

ビタミンB1は糖質などの「代謝」に関与する栄養素です。

代謝とは
食物などを体内で分解したり、他のものへ合成したりするはたらきです。

糖質などの代謝における「補酵素」としてはたらくため、エネルギー産生を助けるはたらきをします。

メモ
酵素には体内に取り込んだ食べ物の分解や吸収をするはたらきがあります。しかし多くの酵素は単独でははたらかず、補酵素とつながることで効果を発揮します。補酵素の多くはビタミンを材料としてつくられます。

そのためビタミンB1が不足すると、糖質を主なエネルギー源としている神経や脳に影響が出ることがあります

食事からの摂取が慢性的に不足したり、糖質の多い食品やアルコールを大量に摂取したりすると、ビタミンB1不足が起こりやすくなるため注意しましょう。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」において、ビタミンB1の摂取推奨量が定められています。

ビタミンB1の1日当たりの摂取推奨量は、男性の場合18~49歳で1.4mg、50〜74歳で1.3mg、75歳以上で1.2mgです[15]。

女性の場合18〜74歳で1.1mg、75歳以上で0.9mgです[15]。

[14] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[15] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-7.ビタミンB2

小松菜にはビタミンB2が100g当たり0.13mg含まれています[16]。

ビタミンB2には「エネルギー代謝」の補酵素として成長促進や皮膚、粘膜の保護といったはたらきがあります。

エネルギー代謝とは
食物をさまざまなエネルギーに変換し、身体活動や生命維持に利用するはたらきです。

そのため食事からの摂取量が減ることなどが原因でビタミンB2が不足すると成長障害や口内炎、皮膚炎などを引き起こすといわれています。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、ビタミンB2の摂取推奨量が定められています。

ビタミンB2の1日当たりの摂取推奨量は男性の場合18~49歳で1.6mg、50〜74歳で1.5mg、75歳以上で1.3mgです[17]。

女性では18〜74歳で1.2mg、75歳以上で1.0mgです[17]。

[16] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[17] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-8.ナイアシン

小松菜にはナイアシン当量として、ナイアシンが100g当たり1.6mg含まれています[18]。

メモ
ナイアシンの摂取推奨量は「ナイアシン当量(NE)」で算出されています。ナイアシン当量とは食品に含まれるナイアシンと、体内で一部がナイアシンに変換される「トリプトファン」を合わせて算出された量のことです。トリプトファンの活性はナイアシンの1/60とされています[19]。

ナイアシンは糖質や脂質、たんぱく質の代謝に欠かせない栄養素で、皮膚や粘膜を正常に保つはたらきを有します

ナイアシンが欠乏すると「ペラグラ」を発症することがあるといわれています。

ペラグラでは主に発疹などを伴う皮膚炎や、下痢、認知機能の低下などが生じるとされています

ペラグラは、日本での発症はまれといわれていますよ。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、ナイアシンの摂取推奨量が定められています。

ナイアシンの1日当たりの摂取推奨量は男性の場合18~49歳で15mgNE、50〜74歳で14mgNE、75歳以上で13mgNEです[19]。

女性では18~29歳で11mgNE、30〜49歳で12mgNE、50~74歳で11mgNE、75歳以上で10mgNEです[19]。

[18] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[19] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-9.ビタミンB6

小松菜にはビタミンB6が100g当たり0.12mg含まれています[20]。

ビタミンB6はたんぱく質、脂質、糖質の代謝の補酵素としての作用を有し、ホルモンの調整や皮膚の健康維持を助けるはたらきをします。

ビタミンB6が不足すると湿疹、口角炎、貧血などが生じ、免疫機能が低下するといわれています。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、ビタミンB6の摂取推奨量が定められています。

ビタミンB6の1日当たりの摂取推奨量は男性の場合18歳以上で1.4mg、女性では18歳以上で1.1mgです[21]。

[20] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[21] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-10.葉酸

小松菜には葉酸が100g当たり110μg含まれています[22]。

葉酸はたんぱく質やDNA、RNAの合成、細胞の生産に関わる栄養素です。

たんぱく質の合成を促進し細胞の生産や再生をサポートするため、体の発育に欠かせません。

そのため葉酸は細胞増殖が活発な胎児にとって特に重要な栄養素です。

妊婦が葉酸を十分に摂取することで、胎児の「神経管閉鎖障害」のリスクを下げることができます。

神経管閉鎖障害とは
脳や脊髄などの元となる神経管がうまくつくられないために起こる胎児の先天異常の一つです。運動や排せつなどに障害が起こることがあります。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、葉酸の摂取推奨量が定められています。

葉酸の1日当たりの摂取推奨量は男性、女性共に18歳以上で240μgです[23]。

胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低減させるには、妊娠を計画している女性や妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦が葉酸を積極的に摂取するよう推奨されています。

通常の食事からの葉酸摂取に加えて、栄養補助食品から1日400μg摂取しましょう[24]。

[22] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[23] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

[24] 厚生労働省 e-ヘルスネット「葉酸とサプリメント‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果」

2-11.パントテン酸

小松菜にはパントテン酸が100g当たり0.32mg含まれています[25]。

パントテン酸はエネルギー代謝に深く関わっており、皮膚や粘膜の健康維持を助けるはたらきをします。

パントテン酸が不足すると疲労感や食欲低下、頭痛、動悸(どうき)などが起こるといわれています。

しかしパントテン酸は多くの食品に含まれており、通常の食事をしている場合であれば不足することはありません。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、パントテン酸の摂取目安量が定められています。

パントテン酸の1日当たりの摂取目安量は、男性の場合18~49歳で5mg、50歳以上で6mg、女性の場合18歳以上で5mgです[26]。

[25] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[26] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-12.ビオチン

小松菜にはビオチンが100g当たり2.9μg含まれています[27]。

ビオチンは糖質や脂肪などの代謝における補酵素としてはたらき、エネルギー産生に関わっています。

ビオチンが不足すると食欲不振や吐き気、うつ症状などを生じる恐れがあります。

しかしビオチンはさまざまな食品に含まれているため、通常の食生活で不足することはないといわれています。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、ビオチンの摂取目安量が定められています。

ビオチンの1日当たりの摂取目安量は、男女共に18歳以上で50μgです[28]。

[27] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[28] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-13.ビタミンC

小松菜にはビタミンCが100g当たり39mg含まれています[29]。

ビタミンCは皮膚や軟骨などを構成する「コラーゲン」をつくるのに必要な栄養素です。

コラーゲンとは
皮膚や血管、腱(けん)、軟骨などを構成する繊維状のたんぱく質をいいます。ヒトの体内に存在するたんぱく質の約30%がコラーゲンです[30]。

その他にもビタミンCには抗酸化作用や鉄の吸収を高めるはたらきがあります。

ビタミンCが不足すると倦怠(けんたい)感や疲労感を生じ、さらにはコラーゲンがつくられず血管がもろくなり、歯肉出血や皮下出血などを起こすこともあります

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、ビタミンCの摂取推奨量が定められています。

ビタミンCの1日当たりの摂取推奨量は男性、女性共に18歳以上で100mgです[31]。

[29] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[30] 厚生労働省 e-ヘルスネット「コラーゲン」

[31] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-14.カリウム

小松菜にはカリウムが100g当たり500mg含まれています[32]。

カリウムは体に必要な「ミネラル」の一つでほとんどが細胞内に存在しています。

また血液やリンパなどの細胞外液にもわずかに含まれています。

ミネラルとは
主にヒトの体を構成する元素である酸素、炭素、水素、窒素以外のものの総称です。代表的なものにカルシウム、リンなどがあります。

カリウムにはナトリウム(塩分)と共に「浸透圧」を調整し、体に水分を保つはたらきがあります

浸透圧とは
水と食塩水など濃度の異なる水を「半透膜」で隔てた際に、濃度の低い方から濃度の高い方に水が引っ張られる力をいいます。半透膜とは、ある大きさ以下の粒子のみを通す膜のことです。

その他にもナトリウムを体の外に出しやすくするため、塩分の摂り過ぎを調節します

カリウムが不足すると脱力感や食欲不振、不整脈などの症状が生じることがあります。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、カリウムの摂取目標量が定められています。

カリウムの1日当たりの摂取目標量は18歳以上の男性で3,000mg以上です[33]。

女性の場合18歳以上で2,600mg以上です[33]。

カリウムはサプリメントなどを使用しない限り、過剰となることは少ないといわれています。

ただし腎機能が低下している場合には、カリウムをうまく排出できず血中のカリウム濃度が高まり、体に悪影響を及ぼす恐れがあるため注意しましょう。

[32] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[33] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-15.カルシウム

小松菜にはカルシウムが100g当たり170mg含まれています[34]。

カルシウムはヒトの体に最も多く含まれるミネラルで、骨や歯を形成しています。

通常、骨では骨吸収と骨形成のバランスが保たれており、成長期には骨形成が骨吸収を上回って骨量が増加します。

しかしカルシウム不足などが原因で骨吸収が上回った状態が続くと、骨粗しょう症を招きます。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、カルシウムの摂取推奨量が定められています。

カルシウムの1日当たりの摂取推奨量は男性の場合、18〜29歳で800mg、30〜74歳で750mg、75歳以上で700mgです[35]。

女性では18〜74歳で650mg、75歳以上で600mgです[35]。

[34] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[35] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-16.マグネシウム

小松菜にはマグネシウムが100g当たり12mg含まれています[36]。

マグネシウムにはカルシウムなどと共に骨を形成するはたらきがあります。

また体内のさまざまな酵素を活性化させるはたらきをになっており、筋肉の収縮や神経情報の伝達、体温や血圧の調整などのはたらきも担っています。

そのためマグネシウムが不足すると骨の形成が正常に行われなかったり、高血圧や筋肉のけいれん、うつ症状が生じたりすることがあります

通常の食生活では問題ありませんが、サプリメントなどでマグネシウムを摂り過ぎると下痢を起こすことがあるので注意が必要です。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、マグネシウムの摂取推奨量が定められています。

1日当たりの摂取推奨量は18〜29歳の男性で340mg、30〜64歳で370mg、65〜74歳で350mg、75歳以上で320mgです[37]。

女性では18〜29歳で270mg、30〜64歳で290mg、65〜74歳で280mg、75歳以上で260mgです[37]。

[36] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[37] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-17.鉄

小松菜には鉄が100g当たり2.8mg含まれています[38]。

鉄は体に必要なミネラルの一つで、赤血球に含まれる「ヘモグロビン」の構成成分です。

ヘモグロビンとは
主に鉄を含む「ヘム」という色素と、たんぱく質がくっついてできた血色素のことをいいます。ヘモグロビンは酸素を全身へ運ぶはたらきがあります。

鉄が不足するとヘモグロビンも減少し、「鉄欠乏性貧血」の状態になります。

鉄欠乏性貧血では、酸素が全身へ運ばれにくくなって体が疲れやすくなったり、頭痛や息切れを生じたりします。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、鉄の摂取推奨量が定められています。

鉄の1日当たりの摂取推奨量は18〜74歳の男性で7.5mg、75歳以上で7.0mgです[39]。

女性では18〜64歳で6.5mg、65歳以上で6.0mg、月経がある場合は18〜49歳で10.5mg、50〜64歳で11.0mgです[39]。

[38] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[39] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-18.銅

小松菜には銅が100g当たり0.06mg含まれています[40]。

銅はミネラルの一つで、体内では主に骨や筋肉、血液に含まれています。

銅はたんぱく質とくっついて酸素の運搬などをしたり、鉄と共に血液をつくったりするはたらきをしています。

健康な方が通常の食生活を送っている場合には、銅の欠乏はほとんど起こらないといわれていますよ。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、銅の摂取推奨量が定められています。

銅の1日当たりの摂取推奨量は、男性の場合18~74歳で0.9mg、75歳以上で0.8mgです[41]。

女性の場合18歳以上で0.7mgです[41]。

[40] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[41] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-19.亜鉛

小松菜には亜鉛が100g当たり0.2mg含まれています[42]。

亜鉛はミネラルの一つで、体内では筋肉や骨、皮膚、肝臓などに存在しています。

亜鉛は多くの酵素に含まれており、たんぱく質の合成や細胞の成長などにおいて重要なはたらきをします

亜鉛が欠乏すると皮膚炎や味覚障害、慢性下痢などが起こることがあります。

亜鉛の1日当たりの摂取推奨量は18~74歳の男性で11mg、75歳以上で10mgです[43]。

女性の場合は18歳以上で8mgです[43]。

日本人は高齢者を中心に亜鉛不足の状態にあるとされています。

実際に複数の疫学調査の論文において、日本人の 20-30%が亜鉛欠乏の状況にあると報告されています[44]。

亜鉛が含まれる食品を、意識して食事に取り入れることで、亜鉛不足にならないようにしましょう。

[42] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[43] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

[44] 神戸 大朋「亜鉛トランスポーターの解析から亜鉛の生理機能を探る」(日本栄養・食糧学会誌 第 76 巻 第 4 号 207‒216(2023))

3.小松菜の栄養素を効率良く摂取するポイント

小松菜のおひたし

「小松菜の栄養素をしっかり摂るにはどうしたら良いんだろう?」

と気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

小松菜にはビタミンやミネラルなどが多く含まれており、それらの栄養素のなかには水や油に溶けやすい性質のものがあります。

ビタミンは水に溶けやすい水溶性ビタミンと油に溶けやすい脂溶性ビタミンに分けられます

水溶性ビタミンには「ビタミンB群」とビタミンCがあります。

ビタミンB群とは
ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチンのことです。

水溶性ビタミンは、ゆでたり煮たりするとゆで汁などに流れ出てしまう特徴があります。

そのため食品への栄養素をできるだけ残すには炒めたり揚げたりする調理方法がおすすめです。

また水溶性ビタミンのうちビタミンB1、B2、B6とナイアシンは、ゆで汁や煮汁も一緒に飲むことで無駄なく摂ることができますよ。

ビタミンCは非加熱調理、加熱調理共に食品中から減少しやすいと分かっています。

しかし非加熱調理の方が比較的ビタミンCが保たれやすいため、和えたり漬けたりすると良いでしょう。

葉酸はビタミンCに次いで調理による減少が大きいといわれていますが、十分に分かっておらず、その他のビタミンB12、パントテン酸、ビオチンなどは十分な調査が行われていません。

一方、脂溶性ビタミンにはビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKがあります

脂溶性ビタミンについては十分な調査が行われていませんが、加熱調理をしても比較的よく保たれるといわれています。

加熱調理のなかでも炒めるなどの調理方法よりは、ゆでたり煮たりする方が食品へ残りやすいです。

ただし植物油を使用する場合には、油に含まれるビタミンEが食品中に移行するため、よりも多くのビタミンEが摂取できといわれていますよ。

その他にカリウムにも煮たりゆでたりすると水に溶け出す性質があります

煮汁ごと食べられる調理方法で食べると良いでしょう。

また小松菜はアク抜きをせず食べられる野菜のため、電子レンジを使って調理しあえ物などにして摂ることもおすすめです。

無駄なく栄養素を摂るには、さまざまな調理法を組み合わせて食べることが重要なのですね。

4.小松菜の選び方と保存方法

茹でる前の小松菜

「おいしい小松菜の選び方を知りたい」

と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

栄養たっぷりの小松菜を、おいしく食べられたらうれしいことですよね。

この章ではおいしい小松菜の選び方や、おいしさを保つための保存方法を解説します。

ぜひ参考にしてくださいね。

4-1.小松菜の選び方

茹でる前の小松菜

小松菜を選ぶ際には葉や茎、根などの状態をそれぞれチェックしましょう

葉は緑色が濃く、厚いものを選ぶと良いでしょう。

株が大ぶりで茎から葉先までハリとみずみずしさがあり、根付きの場合は根が長いものがおすすめです。

ただし大き過ぎる小松菜は、筋張った口当たりを感じることがあるため好みに合わせて選んでくださいね。

4-2.小松菜の保存方法

小松菜を鍋で茹でているところ

小松菜をおいしいまま保存するには、適切な保存場所で新聞紙などのアイテムを上手に活用する必要があります

小松菜は湿らせた新聞紙に包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で立てて保存します。

そうすることで数日程度保存することができます。

しかしすぐに食べ切ることが難しい場合もあるかもしれませんね。

その場合は軽くゆでてしっかり水を切り、小分けして冷蔵庫か冷凍庫で保存すると良いでしょう。

5.小松菜の栄養素についてのまとめ

小松菜は埼玉県や茨城県、東京都など関東での栽培が多い緑黄色野菜です。

旬である冬の時期には、霜にあたって甘みの増した小松菜を入手することができるでしょう。

小松菜にはたんぱく質、食物繊維、ビタミンAやビタミンCなどのビタミン、カリウムやカルシウムなどのミネラルが豊富に含まれています

小松菜に含まれる水溶性ビタミンやカリウムなどの栄養素は、水に溶けやすい性質があります。

水溶性ビタミンを無駄なく摂るには炒め物などにすると良いでしょう。

ビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、カリウムはスープなどにして、煮汁ごと飲めるようにすることがおすすめです。

また脂溶性ビタミンについては十分な調査が行われていませんが、ゆでたり煮たりすると比較的食品へ栄養素が残りやすいとされています。

ただし植物油を使用する場合には、油に含まれるビタミンEが食品中に移行しより多くのビタミンEが摂取できるといわれていますよ。

小松菜を買う際には、葉が濃い緑色で厚いもの、茎から葉先までハリとみずみずしさがあるものを選ぶと良いでしょう

小松菜を保存する場合は、湿らせた新聞紙に包んでポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存し、食べ切れないときには軽くゆでて水を切り、小分けして冷蔵庫か冷凍庫で保存してください

さまざまな栄養素が多く含まれている小松菜を、おいしく食べられるように工夫してみてくださいね。

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