「離乳食は初めてで、どのくらいの量をあげて良いか分からない……。」
「あまり食べないけど何を工夫したら良いのかな?」
このように離乳食の量についてお悩みの方は多いのではないでしょうか。
特に初めての方は、分からないことだらけで不安に感じることもあるかもしれませんね。
この記事では、初期から完了期の各時期における離乳食の目安量や、それに関する悩みの対処法についてご紹介します。
離乳食を進める際の参考にしてくださいね。
【関連情報】 「離乳食の進め方全般について解説している記事」はこちら
1.離乳食の目安量
離乳食とは、母乳やミルクから幼児食へ移行する期間の間に与える食事のことです。
成長に伴って栄養素やエネルギーが母乳やミルクでは足りなくなるため、それを補完するために与えられます。
離乳食の目安量は、厚生労働省が発表している「授乳・離乳の支援ガイド」で提示されています。
各時期の目安量について詳しく紹介していきましょう。
1-1.初期(5カ月〜6カ月)
離乳食初期は食べ物の味や食感に慣れ、飲み込むことを覚えていく時期です。
まずはつぶしがゆを1さじずつ与えることから始めていきます[1]。
慣れてきたら少しずつ量を増やし、野菜や果物、豆腐や白身魚、卵黄などのたんぱく質も試しましょう。
量を増やすスケジュールは下の図を参考にしてください。
開始から1〜2カ月で主食を5さじ、野菜・果物を5さじ、たんぱく質を3さじくらいまで増やすイメージで進めていくと良いでしょう[3]。
ただし食べられる量には個人差があるので、必ずしもこの量に届かなくても大丈夫です。
スプーンに慣れて飲み込むことができるようになれば、食べられなかったとしても問題はありません。
初期の進め方についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
離乳食初期(5〜6カ月)の進め方は?スケジュールや調理方法も解説
[1] 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド 」
[2] 東大阪市「はじめての離乳食」
[3] 富士見市「離乳初期(生後5か月~6か月頃)」
1-2.中期(7カ月〜8カ月)
離乳食中期は1日2回食になり、舌でつぶせる固さのものが食べられるようになる時期です[4]。
下記の量を目安に、食事の量を増やしていきましょう。
【離乳食中期における1回あたりの目安量】
穀類 | 全がゆ50g〜80g |
野菜・果物 | 20〜30g |
たんぱく質 | 10〜15g |
肉 | 10〜15g |
豆腐 | 30〜40g |
卵 | 卵黄1個〜全卵3分の1個 |
乳製品 | 50〜70g |
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」をもとに執筆者作成
上記の量は一つの食材を使うときの目安量なので、レシピで複数の食材を使うとき(魚と豆腐を使う、2種類〜3種類の野菜を使うなど)は量を調整するようにしてください。
この時期はまだ、必要な栄養の多くを母乳やミルクから得ています。
母乳やミルクは離乳食後に与え、さらに母乳は授乳のリズムに沿って子どもが欲しがるだけ、ミルクは1日3回程度を目安に与えましょう[4]。
中期の進め方についての詳細はこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
離乳食中期(7~8カ月)のポイントは?進め方や調理方法を解説
[4] 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」
1-3.後期(9カ月〜11カ月)
後期からは1日3回食になり、歯ぐき(歯茎)でつぶせる固さのものが食べられるようになります*5。
以下の目安量を参考に、子どもの食欲に合わせて量を増やしていきましょう。
【離乳食後期における1回あたりの目安量】
穀類(全がゆ) | 全がゆ90g〜軟飯80g |
野菜・果物 | 30〜40g |
たんぱく質 | 魚 |
肉 | 15g |
豆腐 | 45g |
卵 | 全卵2分の1個 |
乳製品 | 80g |
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」をもとに執筆者作成
野菜やたんぱく質など同じ食品群で複数の食材を使うときは、それぞれの食材の量を調節してください。
離乳食でおなかいっぱいになれば、食後の母乳やミルクは飲まなくなることもあります。
しかし栄養面ではまだ母乳やミルクは必要な時期なので、離乳食後以外のタイミングで飲ませるようにしましょう。
母乳は授乳のリズムに沿って子どもが欲しがるだけ、ミルクは1日2回程度与えてください*5。
後期の具体的な進め方についてはこちらの記事 で解説しています。
離乳食後期(9〜11カ月)の進め方は?献立づくりのポイントも紹介
*5 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」
1-4.完了期(12カ月〜18カ月)
完了期になると、1日3回の食事と1〜2回の補食で、必要なエネルギーや栄養素の大半を補うようになります*6。
形のある食べ物をかみつぶせるようになり、手づかみ食べからだんだんと道具を使うことを覚え、自分で食べる準備をしていく時期でもあります。
完了期における離乳食の目安量は以下のとおりです。
【離乳食完了期における1回あたりの目安量】
穀類 | 軟飯90g〜ご飯80g |
野菜・果物 | 40〜50g |
たんぱく質 | 魚 |
肉 | 15〜20g |
豆腐 | 50〜55g |
卵 | 全卵2分の1〜3分の2個 |
乳製品 | 100g |
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」をもとに執筆者作成
中期・後期と同様に、複数の食材を使うときは量の調整をするようにしてください。
母乳やミルクは、子どもの離乳食の進み具合に応じて与えます。
離乳の完了は母乳やミルクを全く飲まない状態ではないので、やめることにこだわらなくても大丈夫です。
*6 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」
2.離乳食の量に関する悩みの対処法
「頑張って食べさせているけど、なかなか食べてくれない……。」
「食べてもまだ欲しがるけど、食べ過ぎは問題ないのかな?」
このように離乳食の量について悩んだり困ったりしている方もいるかもしれませんね。
ここからは離乳食の量に関する悩みについて、考えられる理由やその対処法を解説していきましょう。
2ー1.食べる量が少ないとき
離乳食をなかなか食べない、食べるけれど量が少ないというときは、いくつかの理由が考えられます。
開始したばかりの頃は食べ物に慣れていないために、なかなか食べてくれないことがあります。
食べないときは無理をせず、別の日に与えてみましょう。
離乳食用スプーンに抵抗を示す子どももいるので、材質が違うものに変えてみたり、口に入れる前に軽く唇に当てて安心させてあげたりという工夫も必要かもしれません。
おなかが空いていなくて食べられない、ということも考えられます。
授乳の間隔が空いているか、補食の時間や量、内容を見直してみましょう。
合間で散歩に行ったり遊んだりして、体を動かすよう促して空腹感が持てるようにすることも大切です。
食材の大きさや固さ、味付けを変えたり、調理方法を工夫したりすると食べてくれるようになることもあります。
特に1歳を過ぎると味覚が発達してくるため、あまり薄味だと物足りなくなるかもしれません。
この時期になると調味料も使えるようになりますので、少量使って味付けをしてみると良いでしょう。
2-2.量を食べ過ぎるとき
離乳食を食べ過ぎるときは、食べるスピードに注目してみましょう。
もしすぐに飲み込んでしまうようなら、噛む回数が足りないのかもしれません。
食材を少し大きめにしてみたり、固さを変えたりしてみてください。
口の中に食べ物をとどめて噛むようになれば、食べる量が落ち着いてくることがあります。
2-3.食べる量にムラがあるとき
昨日はよく食べていたのに今日は食べない、最近急に食べなくなったなど、食べる量が一定せずムラが見られることがあります。
離乳食に慣れて飽きたり、成長に伴って興味関心が広がったりして、しっかり食べないことも多いです。
体調や気分にも左右されるので、1回の食事量にこだわり過ぎず、食事そのものを楽しむことを大切にしましょう。
子どもを追いかけてまで食べさせようとすることは、食事と遊びのメリハリが付けられなくなるので避けた方が良いでしょう。
食べる量は少量でも良いので、食事と遊び、睡眠の生活リズムを付けることを心掛けてください。
食事量については、1週間くらいの長い目線で見るようにすると良いでしょう。
3.離乳食で大切なのは「食事を楽しむ」こと
離乳食の目安量は必ず食べさせなければならない量ではないので、気にし過ぎる必要はありません。
食欲や成長発達は子どもによって差があるので、食べる量にも個人差があって当然のことです。
育児書に書かれているスケジュールだけに従うのではなく、子どもの様子に合わせて進めていくようにしましょう。
離乳食をあげるときに注目したいポイントは、食べた量ではなく子どもの反応や表情です。
無理に食べさせようとするとかえって嫌がることもあるので、焦らず見守ってあげてください。
子どもにとって離乳食は食べる能力を獲得する機会であると同時に、食事の楽しさを知る機会でもあります。
準備する保護者の方も無理をせず、子どもと一緒に食事を楽しむことを大切にしましょう。
4.離乳食の目安量についてのまとめ
離乳食は初期〜完了期の各時期で目安量が提示されています。
それを参考にしながら、子どもの食欲や成長発達に合わせた量を与えてみてください。
最初はなかなか慣れずに食べてくれなかったり、順調に食べていたのに急に食べなくなったりすることもあるでしょう。
そのようなことは珍しいことではないので、上手くいかないと焦る必要はありません。
大切なことは目安量をきちんと食べることではなく、食事を楽しむことです。
頑張り過ぎずに子どものペースに合わせながら、離乳食を進めていきましょう。