「ビタミンB群ってどんな栄養素なんだろう?」
ビタミンは体に必要だということは分かっていても、ビタミンB群とはどのような栄養素なのかご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ビタミンB群には、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチンの八つの種類があります。
「そんなに種類があるの?」
と驚いた方もいらっしゃるかもしれませんね。
これらの栄養素は体内でさまざまなはたらきをしており、健康を維持するためにも欠かせません。
このためビタミンB群の摂取量が不足した場合、体の不調を招く恐れがあります。
この記事では、ビタミンB群に属する各ビタミンのはたらきや適切な摂取量について詳しく解説します。
ビタミンB群を豊富に含む食材や、効率良く摂取するためのポイントもご紹介しますよ。
日々の食生活に活かしてくださいね。
1.ビタミンB群とは
「ビタミンB群にはどんなものがあるのかな?」
まずはビタミンのことからご説明しましょう。
ビタミンはヒトの体の機能を正常に保つために欠かせない物質で、13種類存在しています[1]。
性質の違いから「水溶性ビタミン」と「脂溶性ビタミン」に分類されます。
水溶性ビタミンは水に溶けやすく、油脂には溶けにくい性質を持つビタミンです。
一方脂溶性ビタミンは水に溶けない性質で、脂肪組織や肝臓に主に貯蔵されています。
ビタミンB群とは、水溶性ビタミンのうちのビタミンCを除くビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチンのことです。
ビタミンB群の多くは、「代謝」に関わる「補酵素」としてはたらいています。
代謝とは、栄養素を体に必要なエネルギーや物質に変える、生命の維持に必要なはたらきです。
代謝などの体内で起こる化学反応には、「酵素」と呼ばれるたんぱく質が触媒として必要です。
酵素のなかには単体で作用するものと、作用するために補酵素を必要とするものがあります。
ビタミンB群は、補酵素として体の機能を正常に保つはたらきに関与しているのですね。
水溶性ビタミンについては以下の記事でさらに詳しく解説しています。
水溶性ビタミンとは?9種類のビタミンのはたらきや食事摂取基準
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「ビタミン」
2.ビタミンB群のはたらき
「それぞれのビタミンB群はどんなはたらきをしているのかな?」
ビタミンB群の多くは補酵素としてはたらきますが、それ以外にもそれぞれが異なるはたらきを有しています。
いずれも体に欠かせない栄養素です。
ここでは、ビタミンB群のはたらきについてご説明しましょう。
種類 | 主なはたらき |
---|---|
ビタミンB1 | ・糖質からのエネルギー代謝に関わる ・皮膚や粘膜の健康維持に関わる |
ビタミンB2 | ・エネルギー代謝に関わる ・成長を促進する ・皮膚や粘膜を保護する |
ナイアシン | ・脂肪酸の合成、ステロイドホルモンの合成などに関わる ・「活性酸素」に対抗するはたらきに関わる ・皮膚や粘膜の健康維持に関わる |
ビタミンB6 | ・たんぱく質の代謝に関わる ・免疫機能の維持に関わる ・皮膚や粘膜の健康維持に関わる |
ビタミンB12 | ・アミノ酸や脂質の代謝に関わる ・赤血球の形成を助ける |
葉酸 | ・アミノ酸の代謝やたんぱく質の合成、DNAの合成などに関わる ・赤血球の形成を助ける |
パントテン酸 | ・エネルギーを生み出す過程や脂質の代謝に関わる ・皮膚や粘膜の健康を維持する |
ビオチン | ・糖や脂肪酸、アミノ酸の代謝に関わる ・皮膚や粘膜の健康維持を助ける |
2-1.ビタミンB1のはたらき
ビタミンB1は分岐鎖アミノ酸や糖質の代謝における補酵素としてはたらいています。
糖質はエネルギー源の一種です。
ビタミンB1が不足すると、糖質からエネルギーを生み出すはたらきに支障を来し、糖質を主なエネルギー源とする神経や脳に影響を及ぼす危険があります。
エネルギー源として重要な糖質は、体内で作用するためにビタミンB1という補酵素を必要とするのですね。
さらに、ビタミンB1は皮膚や粘膜の健康維持にも関わっています。
なお代表的なビタミンB1の欠乏症として「脚気(かっけ)」が知られています。
脚気は、全身倦怠(けんたい)感や食欲不振、手足のしびれ、足のむくみなどの症状を引き起こします。
重症化すると命の危険に関わる病気で、主食が玄米から精白米に変わり始めた江戸時代から明治、大正時代に大流行し国民病と呼ばれていたこともあります。
ビタミンB1は不足がないように摂取したい栄養素の一つですね。
ビタミンB1については以下の記事でさらに詳しく解説しています。
2-2.ビタミンB2のはたらき
ビタミンB2はエネルギーを生成するための補酵素としてのはたらきを持っています。
またビタミンB2には成長を促したり、皮膚や粘膜を保護したりするはたらきがあるため、不足すると成長障害や脂漏性皮膚炎、口内炎などを招くことがあります。
脂漏性皮膚炎は頭皮や顔、髪の生え際、耳の周りなど、皮脂腺が多い皮膚に炎症が起こり、脂ぎった黄色っぽいふけやうろこ状の皮膚のくずが生じる病気のことです。
皮膚を健康に保つためにも、ビタミンB2は重要な栄養素なのですね。
ビタミンB2については以下の記事でさらに詳しく解説しています。
2-3.ナイアシンのはたらき
ナイアシンにはさまざまな酵素の補酵素としてのはたらきがあります。
ナイアシンは、エネルギー源をつくるはたらきや、ビタミンCやビタミンEを介した活性酸素に対抗するはたらきに関わっています。
ビタミンCやビタミンEは活性酸素のはたらきを抑える抗酸化作用を持ったビタミンなのです。
またナイアシンは脂質(脂肪)の構成要素である脂肪酸やステロイドホルモンの合成にも関与しています。
その他ナイアシンは皮膚や粘膜の健康維持にも関わっています。
このためナイアシンが不足すると「ペラグラ」と呼ばれる皮膚炎や下痢、精神神経症状などを伴う病気を発症する場合があります。
ただし日本でのペラグラの発症は稀(まれ)です。
一方、ナイアシンを過剰に摂取すると一時的に顔が赤くなったり、むずがゆくなったりする「フラッシング症状」と呼ばれる症状が見られる場合があります。
この他、胃腸や肝臓に異常を来す場合もあります。
ナイアシンは補酵素としてのはたらきをはじめ、体の正常な機能の維持に関わっているといえますね。
ナイアシンについては以下の記事でさらに詳しく解説しています。
2-4.ビタミンB6のはたらき
ビタミンB6は炭水化物やたんぱく質、脂質の補酵素として代謝に関与しています。
特にたんぱく質の代謝において重要で、たんぱく質の摂取量に応じてビタミンB6の必要量は増えます。
このため、たんぱく質はエネルギー源になる他に筋肉や皮膚、髪、骨などの材料となります。
摂取したたんぱく質をしっかり利用するにはビタミンB6の存在が欠かせないのですね。
またビタミンB6は神経伝達物質の一種である「生理活性アミン」の代謝にも補酵素として関わっています。
その他、赤血球のヘモグロビンの合成、免疫機能の維持にも関わっています。
ビタミンB6が不足すると湿疹や口角炎、舌炎、脂漏性皮膚炎、貧血、聴覚過敏、脳波異常、免疫機能の低下などが起こります。
一方で、1日当たり数グラムの過剰摂取を続けると感覚神経や末梢神経に障害が生じたり、骨が痛んだり、筋肉が弱まったりすることが分かっています。
また精巣の萎縮や精子数の減少も起こることがあるといわれています。
ビタミンB6については以下の記事でさらに詳しく解説しています。
2-5.ビタミンB12のはたらき
ビタミンB12は微生物によって合成されるため、植物性食品にはほとんど存在しないビタミンです。
ミネラルの一種「コバルト」を含むビタミンの総称で、いくつかの種類が存在します。
体内ではそれらのうちのメチルコバラミンとアデノシルコバラミンがアミノ酸や脂質の代謝の補酵素としてはたらいています。
ビタミンB12は、たんぱく質や脂質などの代謝の補酵素としてはたらきます。
またたんぱく質やDNAの合成にも関わっています。
その他、ビタミンB12は神経の修復作用や、同じくビタミンB群である葉酸と共に造血作用(血つくる作用)にも関わります。
ビタミンB12が不足すると、赤血球が正常につくられない「巨赤芽球貧血」を招く恐れがあるため注意が必要です。
これらの不調を招かないためにも、ビタミンB12は十分に摂取したい栄養素の一つですね。
ビタミンB12については以下の記事でさらに詳しく解説しています。
ビタミンB12が不足する原因とよくある症状は?摂取しやすい食品も紹介
2-6.葉酸のはたらき
葉酸は補酵素としてDNAやたんぱく質の合成、アミノ酸の代謝などに関わっています。
細胞の増殖において重要なはたらきをするといわれています。
また、胎児の成長に必要な栄養素であるため、妊娠を計画している方や妊娠初期の方などには特に積極的な摂取が推奨されている栄養素です。
受胎前後から妊娠初期までの間に母体が葉酸を摂取することで、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを減らすことが知られています。
さらに葉酸には動脈硬化の危険因子である「ホモシステイン」と呼ばれる物質を、アミノ酸の一種である「メチオニン」に変換するはたらきがあることが分かっています。
ホモシステインは、動脈硬化性疾患の危険因子として注目されている物質ですが、葉酸などのビタミン類はホモシステインの産生を抑制することが明らかとなっています。
このため葉酸が不足すると血中のホモシステイン濃度が高い「高ホモシステイン血症」の状態になります。
また葉酸は細胞分裂や造血機能に異常を来すために、神経障害や腸機能障害、巨赤芽球性貧血などを生じることがあります。
葉酸については以下の記事でさらに詳しく解説しています。
2-7.パントテン酸のはたらき
パントテン酸の名前はギリシャ語で「至るところに存在する酸」という意味の言葉に由来しています。
名前のとおりさまざまな食品に含まれる他、腸内細菌によっても合成されるため不足することは稀です。
パントテン酸は糖や脂肪酸の代謝に関わっています。
不足すると成長停止や副腎の異常、手足のしびれ、灼熱感、頭痛、疲労、不眠、胃の不快感を伴う食欲不振などが見られることがあります。
パントテン酸は幅広い食品に含まれているため、バランスの良い食生活がパントテン酸を十分に摂るポイントといえますね。
パントテン酸については以下の記事でさらに詳しく解説しています。
パントテン酸とは?はたらきや摂取目安量、摂取源となる食品を紹介
2-8.ビオチンのはたらき
ビオチンは腸内細菌によって合成されますが、体内で合成される量だけでは十分ではないため、他のビタミン同様、食品から摂取する必要があります。
ビオチンは体内で糖をつくる「糖新生」や、分岐鎖アミノ酸と脂肪酸の合成、エネルギー代謝などの補酵素として関わっています。
その他ビオチンには、抗炎症物質を生成しアレルギー症状を和らげる作用もあるといわれています。
ビオチンが不足すると皮膚が乾いてうろこ状になる皮膚炎や、萎縮性舌炎、食欲不振、むかつき、吐き気、憂うつ感、顔面蒼白(そうはく)、性感異常、胸の前側の痛みなどが引き起こされる場合があります。
一方でビオチンを多く摂っても尿を通じて排せつされるため過剰摂取による不調は見られません。
ただし、妊娠中の哺乳動物に多量のビオチンを投与すると、胎盤および卵巣の萎縮が起こるといわれています。
ビオチンについては以下の記事でさらに詳しく解説しています。
3.ビタミンB群の摂取源となる食べ物
「ビタミンB群はどんな食べ物に含まれているのかな?」
ビタミンB群がどんな食材に含まれているのか気になりますよね。
ここでは、ビタミンB群の主な摂取源となる食べ物をご紹介します。
ビタミンB群を含む食べ物については以下の記事でもご紹介しています。
ビタミンB群を豊富に含む食べ物は?それぞれの食事基準や作用も解説
3-1.ビタミンB1の摂取源となる食べ物
ビタミンB1は穀類やナッツ類、肉類などに多く含まれています。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
豚ヒレ肉(赤肉) | ||
うなぎ | ||
たらこ(すけとうだら) | ||
豚ロース(脂身付き) | ||
豚肩ロース(脂身付き) | ||
カシューナッツ | ||
ピスタチオ | ||
玄米 | ||
グリンピース | ||
そば |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
ビタミンB1は、間食をナッツ類にしたり主食を玄米にしたりすると効率良く摂取できそうですね。
ビタミンB1を含む食べ物については以下の記事でもご紹介しています。
ビタミンB1が豊富に含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
3-2.ビタミンB2の摂取源となる食べ物
ビタミンB2は内臓肉などに多く含まれています。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
豚レバー | ||
牛レバー | ||
焼きのり | ||
鶏レバー | ||
鶏ハツ | ||
豚ハツ | ||
アーモンド | ||
うずら全卵 | ||
しじみ | ||
モロヘイヤ |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
焼きのりをご飯と食べたり、しじみをみそ汁に入れたりしてビタミンB2を摂り入れることができそうですね。
ビタミンB2を含む食べ物については以下の記事でもご紹介しています。
ビタミンB2が手軽に摂れる食べ物は何?効果や食事摂取基準も紹介
3-3.ナイアシンの摂取源となる食べ物
体内でナイアシンとしてはたらく物質には主に「ニコチンアミド」「ニコチン酸」「トリプトファン」があります。
ニコチンアミドは動物性食品に含まれ、ニコチン酸は植物性食品に含まれます。
またトリプトファンはたんぱく質を構成する必須アミノ酸の一種で、食事から摂取したトリプトファンの60分の1は体内でナイアシンに変換されます[2]。
このため食品のナイアシン含有量は、ニコチンアミドおよびニコチン酸の含有量にトリプトファンから合成されるナイアシンの量を足した「ナイアシン当量(mgNE)」で表されます。
ナイアシンは魚介類や肉類に多く含まれています。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
たらこ(すけとうだら) | ||
らっかせい | ||
びんながまぐろ | ||
かつお(春獲り) | ||
かつお(秋獲れ) | ||
きはだまぐろ | ||
くろまぐろ | ||
豚レバー | ||
鶏ささみ | ||
鶏むね肉(皮なし) |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
肉や魚などさまざまな食品をバランス良く摂ることで、ナイアシンも摂取できそうですね。
[2] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3-4.ビタミンB6の摂取源となる食べ物
ビタミンB6は赤身魚や肉などから摂取できます。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
にんにく | ||
ピスタチオ | ||
みなみまぐろ(赤身) | ||
びんながまぐろ(天然、赤身) | ||
かつお(春獲り) | ||
かつお(秋獲り) | ||
鶏レバー | ||
鶏むね肉(皮なし) | ||
鶏ささみ |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
バランスの取れた食事を心掛けることが、ビタミンB6を十分に摂ることにつながりますね。
ビタミンB6を含む食べ物については以下の記事でもご紹介しています。
3-5.ビタミンB12の摂取源となる食べ物
ビタミンB12は貝類や内臓肉などに豊富に含まれています。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
しじみ | ||
焼きのり | ||
牛レバー | ||
あさり | ||
鶏レバー | ||
あんこう肝 | ||
はまぐり | ||
豚レバー | ||
かき(養殖) | ||
たらこ(すけとうだら) |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
ビタミンB12は野菜類や豆類などの植物性食品にはあまり含まれていませんが、さまざまな動物性食品に含まれていますね。
ビタミンB12を含む食べ物については以下の記事でもご紹介しています。
ビタミンB12を含む食べ物は?過不足の影響と食事摂取基準も解説
3-6.葉酸の摂取源となる食べ物
葉酸は内臓肉や葉物野菜などに多く含まれています。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
焼きのり | ||
鶏レバー | ||
牛レバー | ||
豚レバー | ||
えだまめ | ||
モロヘイヤ | ||
ブロッコリー | ||
アスパラガス | ||
水菜 |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
野菜を積極的に食べることが、葉酸をしっかり摂取することにつながりそうですね。
葉酸を含む食べ物については以下の記事でもご紹介しています。
葉酸が多く含まれている食べ物とは?効果や摂取基準もあわせて解説
3-7.パントテン酸の摂取源となる食べ物
パントテン酸は内臓肉や鶏肉などに豊富に含まれています。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
鶏レバー | ||
豚レバー | ||
牛レバー | ||
鶏ハツ | ||
たらこ(すけとうだら) | ||
納豆 | ||
らっかせい(大粒種、いり) | ||
鶏ささみ | ||
鶏むね肉(皮なし) | ||
モロヘイヤ |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
バランスの良い食生活を心掛け、不足のないようにしたいですね。
3-8.ビオチンの摂取源となる食べ物
ビオチンは内臓肉やナッツ類、魚介類などに多く含まれています。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
鶏レバー | ||
らっかせい | ||
ヘーゼルナッツ | ||
豚レバー | ||
牛レバー | ||
まいたけ | ||
鶏卵(全卵) | ||
まがれい | ||
あさり | ||
たらこ(すけとうだら) |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
これらの食品を食卓に取り入れ、ビオチンを十分に摂りましょう。
4.ビタミンB群の適切な摂取量
「ビタミンB群はどのくらい摂ったら良いのかな?」
今の食生活でビタミンB群が足りているのか気になりますよね。
ここでは、ビタミンB群の適切な摂取量をご紹介します。
4-1.ビタミンB1の適切な摂取量
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1歳以上の男女についてビタミンB1の「推定平均必要量」および「推奨量」が設定されています。
性別 | 男性 | 女性 | ||
---|---|---|---|---|
年齢 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 推定平均必要量 | 推奨量 |
1〜2歳 | ||||
3〜5歳 | ||||
6〜7歳 | ||||
8〜9歳 | ||||
10〜11歳 | ||||
12~14歳 | ||||
15~17歳 | ||||
18~29歳 | ||||
30~49歳 | ||||
50~64歳 | ||||
65~74歳 | ||||
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
また妊婦、授乳婦には年代別の推定平均必要量と推奨量に付加量が設定されています。
推定平均必要量 | 推奨量 | |
---|---|---|
妊婦 | ||
授乳婦 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
なお、1歳未満の乳児には目安量が設定されています。
男児 | 女児 | |
---|---|---|
0〜5カ月 | ||
6〜11カ月 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
水溶性ビタミンは余分なものは尿として排出されるため、ビタミンB1の過剰摂取の悪影響が出ることはあまりないといわれています。
4-2.ビタミンB2の適切な摂取量
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」は、1歳以上の男女についてビタミンB2の「推定平均必要量」と「推奨量」を設定しています。
性別 | 男性 | 女性 | ||
---|---|---|---|---|
年齢 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 推定平均必要量 | 推奨量 |
1〜2歳 | ||||
3〜5歳 | ||||
6〜7歳 | ||||
8〜9歳 | ||||
10〜11歳 | ||||
12~14歳 | ||||
15~17歳 | ||||
18~29歳 | ||||
30~49歳 | ||||
50~64歳 | ||||
65~74歳 | ||||
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
また妊婦、授乳婦には年代別の推定平均必要量と推奨量に付加量が設定されています。
推定平均必要量 | 推奨量 | |
---|---|---|
妊婦 | ||
授乳婦 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
1歳未満の乳児には目安量が定められています。
男児 | 女児 | |
---|---|---|
0〜5カ月 | ||
6〜11カ月 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
通常の食事をしている場合は、ビタミンB2の過剰摂取の心配はないといわれています。
4-3.ナイアシンの適切な摂取量
厚生労働省は1歳以上の男女についてナイアシンの「推定平均必要量」「推奨量」および「耐容上限量」を設定しています。
ナイアシンの推定平均必要量は以下のとおりです。
性別 | 男性 | 女性 | ||
---|---|---|---|---|
年齢 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 推定平均必要量 | 推奨量 |
1〜2歳 | ||||
3〜5歳 | ||||
6〜7歳 | ||||
8〜9歳 | ||||
10〜11歳 | ||||
12~14歳 | ||||
15~17歳 | ||||
18~29歳 | ||||
30~49歳 | ||||
50~64歳 | ||||
65~74歳 | ||||
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
また妊婦の方には付加量はありませんが、授乳婦の方には年代別の推定平均量に下記のとおり付加量が設定されています。
推定平均必要量 | 推奨量 | |
---|---|---|
妊婦 | ||
授乳婦 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
1歳未満の乳児には、目安量が設定されています。
男児 | 女児 | |
---|---|---|
0〜5カ月 | ||
6〜11カ月 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
ナイアシンは摂り過ぎると健康に悪影響を及ぼす恐れがあるため耐容上限量が設定されています。
なお動物性食品に含まれるニコチンアミドと、植物性食品に含まれるニコチン酸では異なる耐容上限量が設定されています。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
1〜2歳 | ||
3〜5歳 | ||
6〜7歳 | ||
8〜9歳 | ||
10〜11歳 | ||
12〜14歳 | ||
15〜17歳 | ||
18〜29歳 | ||
30〜49歳 | ||
50〜64歳 | ||
65〜74歳 | ||
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
1〜2歳 | ||
3〜5歳 | ||
6〜7歳 | ||
8〜9歳 | ||
10〜11歳 | ||
12〜14歳 | ||
15〜17歳 | ||
18〜29歳 | ||
30〜49歳 | ||
50〜64歳 | ||
65〜74歳 | ||
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
ナイアシンの不足や過剰な摂取にならないように気をつけましょう。
4-4.ビタミンB6の適切な摂取量
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1歳以上の男女についてビタミンB6の「推定平均必要量」と「推奨量」および「耐容上限量」が設定されています。
ビタミンB6は過剰に摂取すると感覚神経障害や骨の痛み、筋肉の脆弱、精子数の減少、精巣委縮などの健康障害を招く恐れがあるため、耐容上限量が設定されています。
性別 | 男性 | 女性 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
年齢 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 耐容上限量 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 耐容上限量 |
1~2歳 | ||||||
3~5歳 | ||||||
6~7歳 | ||||||
8~9歳 | ||||||
10~11歳 | ||||||
12~14歳 | ||||||
15~17歳 | ||||||
18〜29歳 | ||||||
30〜49歳 | ||||||
50〜64歳 | ||||||
65~74歳 | ||||||
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
また妊婦、授乳婦には年代別の推定平均必要量と推奨量に付加量が設定されています。
推定平均必要量 | 推奨量 | |
---|---|---|
妊婦 | ||
授乳婦 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
1歳未満の乳児には下記のとおり、目安量が設定されています。
男児 | 女児 | |
---|---|---|
0〜5カ月 | ||
6〜11カ月 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
ビタミンB6の付加量は、妊婦では胎児に必要なたんぱく質の量、授乳婦では母乳に含まれるビタミンB6の濃度などを考慮し、設定されています。
4-5.ビタミンB12の適切な摂取量
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」は、1歳以上の男女についてビタミンB12の「推定平均必要量」と「推奨量」を設定しています。
性別 | 男性 | 女性 | ||
---|---|---|---|---|
年齢 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 推定平均必要量 | 推奨量 |
1〜2歳 | ||||
3〜5歳 | ||||
6〜7歳 | ||||
8〜9歳 | ||||
10〜11歳 | ||||
12~14歳 | ||||
15~17歳 | ||||
18~29歳 | ||||
30~49歳 | ||||
50~64歳 | ||||
65~74歳 | ||||
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
また妊婦、授乳婦には年代別の推定平均必要量と推奨量に付加量が設定されています。
推定平均必要量 | 推奨量 | |
---|---|---|
妊婦 | ||
授乳婦 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
1歳未満の目安量は以下のとおりです。
男児 | 女児 | |
---|---|---|
0〜5カ月 | ||
6〜11カ月 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
なお正常な胃の機能を持った健康な成人における食品中のビタミンB12の吸収率は、およそ50%程度とされています[3]。
[3] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
4-6.葉酸の適切な摂取量
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」は、1歳以上の男女について葉酸の「推定平均必要量」と「推奨量」および「耐容上限量」を設定しています。
性別 | 男性 | 女性 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
年齢 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 耐容上限量 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 耐容上限量 |
1~2歳 | ||||||
3~5歳 | ||||||
6~7歳 | ||||||
8~9歳 | ||||||
10~11歳 | ||||||
12~14歳 | ||||||
15~17歳 | ||||||
18〜29歳 | ||||||
30〜49歳 | ||||||
50〜64歳 | ||||||
65~74歳 | ||||||
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
なお葉酸の耐容上限量はサプリメントや葉酸が強化された食品に含まれる葉酸に対して設定されたものです。
また妊婦、授乳婦には年代別の推定平均必要量と推奨量に付加量が設定されています。
推定平均必要量 | 推奨量 | |
---|---|---|
妊婦 | ||
授乳婦 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
1歳未満の目安量は以下のとおりです。
男児 | 女児 | |
---|---|---|
0〜5カ月 | ||
6〜11カ月 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
葉酸は、胎児の成長のためにも妊娠中は特に意識して摂りたい栄養素の一つですね。
4-7.パントテン酸の適切な摂取量
厚生労働省は、パントテン酸の「摂取目安量」を設定しています。
性別/年齢 | 男性 | 女性 |
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0~5カ月 | ||
6~11カ月 | ||
1~2歳 | ||
3~5歳 | ||
6~7歳 | ||
8~9歳 | ||
10~11歳 | ||
12~14歳 | ||
15~17歳 | ||
18~29歳 | ||
30~49歳 | ||
50~64歳 | ||
65~74歳 | ||
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
妊婦、授乳婦の摂取目安量は下記のとおり設定されています。
目安量 | |
---|---|
妊婦 | |
授乳婦 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
パントテン酸は幅広い食品に含まれているため、さまざまな食品から手軽に摂取することができるでしょう。
4-8.ビオチンの適切な摂取量
厚生労働省は、ビオチンの「摂取目安量」を設定しています。
性別 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
年齢 | ||
0~5カ月 | ||
6~11カ月 | ||
1~2歳 | ||
3~5歳 | ||
6~7歳 | ||
8~9歳 | ||
10~11歳 | ||
12~14歳 | ||
15~17歳 | ||
18~29歳 | ||
30~49歳 | ||
50~64歳 | ||
65~74歳 | ||
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
妊婦、授乳婦の摂取目安量は下記のとおり設定されています。
目安量 | |
---|---|
妊婦 | |
授乳婦 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
ビオチンは糖新生や脂肪酸の合成に関わっているため空腹時と、食後にアミノ酸などが余剰になったときに必要量が高まります。
5.ビタミンB群を効率良く摂取するポイント
「ビタミンB群をしっかり摂るために工夫できることはないのかな?」
ビタミンB群が不足していないか心配されている方もいらっしゃるでしょう。
ここではビタミンB群を効率良く摂取するポイントをご紹介します。
ポイント1 ゆで汁や煮汁も摂取できる料理にする
ビタミンB群を効率良く摂取するには、ゆで汁や煮汁も摂取できる料理をすると良いでしょう。
ビタミンB群はいずれも水溶性ビタミンであるため、水に溶けやすい性質を持っています。
特にビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6はゆでることで食材からゆで汁や煮汁に溶け出し、含有量が減ってしまうことが知られています。
このため、ゆで汁や煮汁も一緒に摂取することで無駄なくこれらを摂取できるのです。
ポイント2 食材を炒める・揚げる調理法を採る
ビタミンB群を効率良く摂取するには、食材を炒めたり揚げたりする調理法を選択するのがおすすめです。
炒める、揚げるといった調理法は、水溶性ビタミンの流出が少ないといわれています。
ビタミンB群をしっかり摂るために、調理の際の参考にしてくださいね。
ポイント3 サプリメントは正しく活用する
ビタミンB群を効率良く摂取するには、サプリメントを正しく活用することも選択肢の一つです。
個人の体質や食生活、状況などによってはサプリメントやビタミンを強化した食品などを利用することが有効な場合もあります。
例えば妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の女性は胎児の神経管閉鎖障害のリスクを下げるため、通常の食品以外にもサプリメントや葉酸が強化された食品などから1日当たり400μg摂取することを勧められています[4]。
またビタミンB12は植物性食品にはほとんど含まれないため、菜食主義の人では不足してしまう恐れがあります。
ビタミンを過不足なく摂取するには、普段の食生活でどれくらいのビタミンが摂取できているのか把握した上で、不足を補う食品を選ぶことが重要です。
ビタミンは多く摂れば良いというものではないので、適量を摂取することが勧められています。
またサプリメントやビタミン強化の食品を選ぶ際は、品質が保証されているかという点も確認が必要です。
服薬中の場合は各々の薬では見られなかった作用が現れたり、薬の効き目が変わったりするなどの相互作用を避けるため必ず医療機関に相談しましょう。
[4] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
6.ビタミンB群についてのまとめ
ビタミンB群とは、水溶性ビタミンのうちのビタミンCを除くビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチンのことです。
これらのビタミンB群の多くは、代謝に関わる「補酵素」としてはたらいています。
その他、ビタミンB1やビタミンB2、ナイアシンは皮膚粘膜の健康維持を保つはたらきがあります。
ビタミンB1は穀類やナッツ類、肉類、ビタミンB2は内臓肉、ナイアシンは魚介類や肉類などに多く含まれています。
またビタミンB6は、赤血球のヘモグロビンの合成や免疫機能の維持に関わっており、赤身魚や肉などから摂取できます。
ビタミンB12と葉酸はDNAの合成や造血作用に関わっています。
特に葉酸は胎児の神経管閉鎖障害のリスクを減らすことが知られており、妊娠を計画している方や妊娠初期の方などには特に積極的な摂取が推奨されている栄養素です。
ビタミンB12は貝類や内臓肉、葉酸は内臓肉や葉物野菜などに多く含まれています。
パントテン酸は糖や脂肪酸の代謝に関わっており、さまざまな食品に含まれています。
ビオチンには、アレルギー症状を和らげる作用があるといわれ、内臓肉やナッツ類、魚介類などに多く含まれています。
ビタミンB群は健康を維持する上で重要な栄養素で、各ビタミンB群には、過不足なく摂取することが重要です。
ビタミンB群を効率良く摂取するには、ゆで汁や煮汁も摂取できる料理や、食材を炒めたり揚げたりする調理法を選ぶと良いでしょう。
また個人の体質や食生活、状況などによってはサプリメントやビタミンを強化した食品などを利用することが有効な場合もあります。
ただし、服薬している薬がある場合は医療機関に相談するようにしましょう。
バランスの良い食生活を心掛けて、過不足なくビタミンB群を摂取してくださいね。