「目がチカチカする原因は何?」
「目がチカチカして困っているけれど、どうすれば良い?」
目がチカチカすると、どうして良いかわからずに不安になる方がおられるかもしれません。
目がチカチカするといっても、さまざまな原因が考えられ、対処法も異なります。
放っておいても自然に治ることもありますが、場合によっては、重篤な病気のサインである可能性もあります。
そのまま放置しておくのは危険だといえるでしょう。
この記事では、目がチカチカする原因と対処法を解説します。
原因や対処法を知ることで、目がチカチカしたときに適切な対応ができるようにしましょう。
目がチカチカする原因はさまざまなものが考えられるため、一人で判断せずに、少しでも気になる症状がある場合は医者にかかるようにするのも大切です。
1.目がチカチカするときの症状
目がチカチカするといっても、さまざまな症状があります。具体的には次のとおりです。
- 光の線が見える
- 視界にほこりや糸くずのようなものが見える
- 明滅する光が見える
目がチカチカしたとしても、必ずしも緊急の受診が必要なわけではありません。
しかし、以下のようなケースでは注意が必要です。
- 閃光がくりかえし見えるようになった
- 視野の一部が影に覆われたように見える
- 目が痛い
これらの場合は、何かの病気や疾患である可能性もあります。
そのため、目がチカチカしたときには原因と対処法をきちんと知ることが大切です。
2.目がチカチカする理由【目が原因の場合】
目がチカチカする理由は何なのでしょうか。ここでは、目が原因だと考えられた場合の八つの理由をご説明します。
2-1.光視症
光視症は、網膜がなんらかの刺激を光だと誤認して、視野の端の方にいなずまのような光が走る症状のことです。
頭や目をぶつけたり、指で目を強く押したりすると見えることもあります。
目の中にある「硝子体」の収縮が原因であるため、放っておいても問題ないでしょう。
2-2.白内障
白内障とは、目の中にある「水晶体」と呼ばれる部分が白く濁る病気です。
おもに老化が原因で起こりますが、喫煙、紫外線、活性酸素、アルコールなども白内障になる可能性を高めます。
白内障の症状は、水晶体の濁り方によりさまざまなものがありますが、一般的には視力の低下や目がかすむなどが挙げられます。
放置すると、目の中心部が濁り、瞳孔部分が白色あるいは黄色に変色します。
気になった場合は、早めに眼科を受診するようにしましょう。
2-3.眼精疲労
眼精疲労とは、目を使う仕事を続けることで、眼痛・目のかすみ・まぶしさ・充血などの目の症状が出ることです。
また、頭痛・肩こり・吐き気などの全身症状も出現します。
眼精疲労の特徴として、休息や睡眠をとっても十分に回復しないことが挙げられます。
近年はパソコンやスマートフォンの普及により、眼精疲労になることが増えているのです。
眼精疲労だと感じたら、原因を把握して、取り除くことが大切です。
2-4.ドライアイ
涙には、目の表面に広がって崩れない性質があります。
しかし、ドライアイではその性質が失われ、涙が崩れやすくなり、目の不快感や見えにくさが生じます。
日本においては、およそ2,200万人の患者がいるといわれているほどです[1]。
ドライアイになる主な原因は以下の三つが挙げられます。
- エアコンの使用による室内の乾燥
- コンタクトレンズの長期使用
- パソコンやスマートフォンの使用による瞬きの減少
また、上記以外にも加齢による涙の質・量の低下、夜型の生活や運動不足なども原因だといわれています。
まれに重篤なドライアイの可能性もあるため、気になる場合は眼科へ行きましょう。
2-5.飛蚊症
飛蚊症は、硝子体に混濁物が入ることで、黒い影のようなものが見える現象のことです。
加齢が原因で起こるのであれば自然になくなります。
しかし、見える黒い影が増えたり、しつこく見える場合は、網膜剥離の前兆である可能性も否めません。
そのような場合はすぐに眼科を受診しましょう。
2-6.網膜裂孔
網膜裂孔は、網膜の一部が引っ張られて裂けたり、薄くなって孔が開いたりした状態のことです。
放っておくと次章で説明する「網膜剥離」になってしまうため、すぐに治療する必要があります。
原因は加齢によることが多いですが、目に強い衝撃を受けたり、頭をぶつけたりした場合も網膜裂孔になることもあります。
2-7.網膜剥離
網膜剥離とは、眼球の内側にある「網膜」という膜が剥がれて、視力が低下する病気のことです。
原因は、加齢や糖尿病網膜症のような病気、外傷などが挙げられます。
治療せずに放置すると失明のリスクがあるため、疑われた場合は必ず眼科を受診しましょう。
2-8.ぶどう膜炎
ぶどう膜炎は目の中に炎症を起こす病気の総称です。
「内眼炎」とも呼ばれ、視力の低下や眼痛、充血のような症状がみられます。
片目だけに症状が見られることもあれば、両目や交互に見られることもあるのが特徴です。
放置するとだんだん悪くなるものもあれば、良くなったり悪くなったりをくりかえすものもあります。
症状が続くようであれば、放置せずに眼科を受診しましょう。
3.目がチカチカする理由【目以外が原因の場合】
ここまでは、眼球そのものが原因で目がチカチカする理由を解説しました。それでは、眼球以外にはどのような原因があるのでしょうか。
目以外が原因の場合、考えられるものは次のとおりです。
- 閃輝性暗点(せんきせいあんてん)
- 妊娠高血圧症候群
- 立ちくらみ
- シックハウス症候群
くわしく解説しますね。
3-1.閃輝性暗点(せんきせいあんてん)
閃輝性暗点は、視野にいなずまのようなものが突然現れ、徐々に広がって次第にその部分が暗くなって見えなくなる症状のことです。
また、見えなくなったのちに片頭痛が現れたら、閃輝性暗点である可能性が高いといえます。
閃輝性暗点は明確な原因が分かっていないものの、疲労やストレス、飲酒が引き起こす原因だと考えられています。
3-2.妊娠高血圧症候群
妊娠している女性で目がチカチカしている場合、妊娠高血圧症候群が考えられます。
妊娠高血圧症候群は「妊娠中毒症」ともいわれ、妊婦の約5~10%発症する病気です[2]。
明確な原因は分かっていませんが、妊娠初期に胎盤が上手く作られていなかったり、妊婦のもともともっている病気や遺伝的な理由があったりすることが考えられています。
妊娠高血圧症候群の自覚症状として、頭痛やむくみ、目がチカチカするようなことがあります。
3-3.立ちくらみ
立ちくらみは一次的な血圧の低下に伴って現れる症状のことで、急に立ち上がると目がチカチカすることがあります。
上体を起こしたり、立ち上がったりしたときに血圧が極度に下がることで、数秒間から数分間にわたって気が遠くなります。
ふらつき、めまい、混乱、かすみ目などの症状が起こることもありますが、横になるとすぐに治るのが特徴です。
通常の場合、原因は血液量の減少や薬剤の使用、ホルモンを分泌する副腎の活動低下などが挙げられます。
しかし、長期的に立ちくらみが起こっている場合は、加齢に伴う血圧調節の変化や自律神経系の機能不全も考えられます[3]。
3-4.シックハウス症候群
シックハウス症候群も目がチカチカする症状を引き起こします。
具体的な症状は次のとおりです。
- 目がチカチカする
- 鼻水が出る
- のどが乾燥する
- 吐き気、頭痛がする
ただし、個人差があるため、同じ場所にいても症状がある人もいれば、まったくない人もいます。
4.目がチカチカしたときの治し方【目の場合】
次に、目が原因でチカチカしたときの対処法を解説します。
ただし、チカチカする原因が目にあるのかどうかを自分で判断することは難しいといえます。
そのため、症状が出たらまずは眼科を受診し、専門医に診てもらいましょう。
原因ごとの対処法をくわしく解説します。
4-1.光視症
光視症の多くは、目の中にある「硝子体」の収縮によるものであるため、治療の必要はないとされています。
しかし、症状が続くのであれば、網膜剥離のような重篤な病気の可能性もあるため、早めに眼科を受診した方が良いでしょう。
4-2.白内障
白内障は症状の重さにより、対処法が異なります。
日常生活に支障がないくらいであれば、点眼薬を使用し、様子見のみとなるケースもありますが、根本的な改善には局所麻酔を用いた手術が必要です。
点眼薬では治癒はせず、症状を遅らせるだけだからです。
手術では、混濁した水晶体を取り除き、眼内レンズを挿入することで白内障を改善します。
4-3.眼精疲労
現状、眼精疲労に特効薬はないため、ビタミン剤の配合された点眼薬や内服薬が処方されます。
また、メガネの度数が合っていなければ作り直したり、その他の病気が発見された場合は治療したりして対処します。
4-4.ドライアイ
ドライアイは軽い症状であれば、市販の目薬でも改善できます。
眼科では、涙の不足成分を補ったり、目の炎症を抑えたりする目薬や涙点に栓をして涙をためる治療などで改善を目指します。
また、画面を見る作業やコンタクトレンズの装用を減らしたり、エアコンを調整したり、加湿器を使うこともあります。
4-5.飛蚊症
飛蚊症はあらゆる年齢層に起こります。
高齢者で近視の人ほど多く見られますが、一般的には問題ないケースがほとんどであり、特に治療はされません。
ただし、一度でも飛蚊症の症状が見られたら、網膜剥離や眼底出血などの病気である可能性も否めません。
念のため眼科の受診をし、検査を受けた方が良いでしょう。
4-6.網膜裂孔
網膜裂孔では、検査用の目薬で瞳を開き、眼底検査をします。
そこで網膜裂孔があれば、レーザーによる網膜光凝固術をすることで治療します。
レーザー照射後は凝固するまで7日~10日間かかりますが、その間に剥がす力が掛かったり、新たな裂孔が生じたりすると、網膜剥離に進行してしまいます。
そのため、できるだけ視線を動かさず、頭や体に振動を与えないように気をつける必要があるのです。
4-7.網膜剥離
網膜剥離の場合も、まずは瞳孔を大きくするための目薬を点眼し、網膜が剥離していないかどうかを眼底検査で調べます。
他にも超音波を用いた検査を必要に応じてすることもあるでしょう。
検査の結果、症状が網膜裂孔だけであれば、レーザーによる網膜光凝固術あるいは網膜冷凍凝固術をすることで、網膜剥離への進行を防げます。
しかし、網膜剥離が進行していた場合は、複数回の手術が必要となることもあるのです。
4-8.ぶどう膜炎
ぶどう膜炎は、全身の免疫異常や細菌・ウイルスの感染が原因かもしれません。
そのため、一般的な眼科検査に加えて、血液検査・胸部X線検査などの全身検査をすることもあります。
基本的には薬による治療法になりますが、目の炎症が強いときは目の周りの組織に注射することもあるでしょう。
5.目がチカチカしたときの治し方【目以外の場合】
次に、目がチカチカした原因が目以外であったときの対処法をご説明します。
原因が目ではない場合、もしかすると脳であるかもしれません。
ただし、いきなり脳外科や脳神経外科を受診するよりも、眼科を受診したのちに必要に応じて受診するのが良いでしょう。
5-1.閃輝性暗点(せんきせいあんてん)
現状、閃輝性暗点そのものに対する治療法はありません。
ただし、閃輝性暗点は頭痛を伴うことが多いため、頭痛に特化した薬である「トリプタン系薬剤」が使用されることがあります。
一般的な市販の鎮痛剤は効かないことが多く、頭痛を引き起こす可能性のある不規則な生活やカフェインの摂取なども避けた方が良いでしょう。
また、発作予防のためには、抗うつ剤や抗てんかん剤などが使用されます[4]。
5-2.妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群になった場合は、基本的に自宅安静になります。
しかし、症状が重いときには管理入院をすることもあるでしょう。
妊娠高血圧症候群には合併症として、「常位胎盤早期剥離」や「胎児発育不全」などが挙げられます。
そのため、万一妊娠高血圧症候群への対処が遅れてしまうと赤ちゃんが亡くなるケースもあります。
具体的な治療方法は次のとおりです。
- 安静、食事療法
- 高血圧に対して降圧薬(血圧を下げるための薬)の使用
- 子癇発作の予防や治療のための鎮痙薬の投与
- 分娩
妊娠しているときに目がチカチカした場合は、念のためすぐに病院で診てもらう方が良いでしょう。
5-3.立ちくらみ
立ちくらみの原因はさまざまなため、それぞれに応じた治療法をします。
【立ちくらみの原因と治療法】
原因 | 治療法 |
寝不足 | ・睡眠時間の確保 ・寝る前の喫煙・カフェインの摂取をやめる |
貧血 | 胃潰瘍のほかに、女性であれば月経などが原因となる場合があり、それぞれの症状に応じた治療をする |
脱水症 | こまめな水分補給 |
自律神経の乱れ | ・ストレスの発散 ・規則正しい生活習慣を身につける |
ただし、立ちくらみは数秒間から数十秒間程度しか起こらず、横になることで症状が改善することも少なくありません[5]。
5-4.シックハウス症候群
シックハウス症候群には具体的な治療方法がありません。
そのため、住宅環境や日常生活でカビやダニが発生しないように喚起や掃除をするのが対処法となります。
また、家を建てる前やリフォームする前であれば、ハウスメーカーに相談し化学物質の少ない材料を選ぶことで、シックハウス症候群の症状が出ることを予防できます。
6.目がチカチカする理由や対処法についてのまとめ
今回の記事では、目がチカチカする原因と対処法をそれぞれ解説しました。
目がチカチカした場合は何もない場合もありますが、重篤な病気が隠れているかもしれません。
さまざまな理由が考えられるため、気になる場合はすぐに眼科を受診した方が良いでしょう。
重篤な病気でないことがわかれば、精神的にも落ち着き、万一何かの病気のサインであったとしても、すぐに対処することで悪化を防げます。
目がチカチカしたときは自己判断で終わらせずに、なるべく専門医に診てもらうことが大切です。