「アーモンドって美容にいいって聞いたことあるけど、どんな効果があるの?」
「アーモンドを食べると太ったりニキビができたりするって聞いたことあるけど……」
アーモンドに関する情報は、体に良いというものから肌や体型維持に良くないというものまで、さまざまなものが飛び交っています。
アーモンドには脂質が多く含まれているため、特に美容や健康に気を付けている方には肌や体型への影響が気になるところかもしれませんね。
しかし、アーモンドは肌や内臓、血液など体のさまざまな器官に大切な栄養素をたっぷり含んでおり、むしろ健康的で間食にもおすすめの食べ物だといえます。
この記事ではアーモンドに多く含まれる栄養とその効果、食べ方などをご紹介します。
1.アーモンドの効果は?どんな栄養が含まれているの?
アーモンドはさまざまな栄養素を豊富に含んでおり、健康な体を作るために効果的な食品の一つです。
TVや雑誌などでアーモンドの美容・健康効果を見たり聞いたりしたことがある方は多いのではないでしょうか。
まずはアーモンドに豊富に含まれている栄養素と、その効果についてご説明します。
【アーモンドに含まれている代表的な栄養素とその効果】
- ビタミンE:抗酸化作用
- 食物繊維:整腸作用、肥満・生活習慣病の予防・改善
- 不飽和脂肪酸:悪玉コレステロールの低減、血圧降下
- ビタミンB2:肌の健康維持
栄養素1 ビタミンE:抗酸化作用
アーモンドに含まれているさまざまな栄養素の中でも特に注目したいのが、「ビタミンE」です。
ビタミンEには「抗酸化作用」があり、しみやシワ、老化の予防効果が期待できます。
アーモンドは食品のなかでも特にビタミンEが豊富で、例えば30gのアーモンドには8.7mgものビタミンEが含まれています。
厚生労働省が発表する「日本人の食事摂取基準(2020年版)」ではビタミンEの1日当たりの摂取目安量は男性で6.5mg、女性で6.0mgとされているので、アーモンドなら1日の目安量を簡単に摂取することができますね[1]。
アーモンドは、活性酸素によるしみやシワなどの影響を防ぐビタミンEを摂るためにぴったりな食品といえるでしょう。
[1] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
【関連情報】 「ビタミンE」についてもっと知りたい方はこちら
栄養素2 食物繊維:整腸作用、肥満・生活習慣病の予防・改善
アーモンドには食物繊維がたっぷりと含まれています。
「食物繊維がおなかの調子を整えてくれる」と聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
食物繊維には便の材料となったり、腸内環境を改善してくれるビフィズス菌などの「善玉菌」を殖やしたりする効果があるため便通を整えて便秘を防ぐ上では欠かせません。
さらに、食物繊維には肥満や生活習慣病を予防する効果も期待できます。
【食物繊維の主なはたらき】
- おなかの調子(腸内環境)を整える
- 血糖値の上昇を緩やかにしたり、糖などを排出したりして脂肪をつきにくくする
- 生活習慣病の原因の一つである血中コレステロールを低下させる
このようにさまざまな効果のある食物繊維ですが、実は日本人の多くは十分な量の食物繊維を摂取できていません。
この記事を読んでいるあなたも食物繊維が不足している状況にある可能性があります。
不足している食物繊維を補うためにはアーモンドがおすすめです。
食物繊維といえば野菜などに多く含まれていることが知られていますが、忙しい日々のなかでいきなり野菜をたくさん食べるのは大変ですよね。
アーモンドなら片手間につまんで手軽に食物繊維の摂取量を増やすことができます。
実はアーモンドの食物繊維含有量は総重量の1/10超にも上り、食物繊維が多く含まれていると思われているごぼうの倍近い食物繊維を含んでいるのです。
[2] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
【関連情報】 「食物繊維」についてもっと知りたい方はこちら
栄養素3 不飽和脂肪酸:悪玉コレステロールの低減、血圧降下
アーモンドは約半分が脂質でできています。
脂質と聞くと肥満の原因になったりコレステロール値が上がったり、美容や健康に悪いイメージがあるかもしれません。
しかし脂質にも種類があり、アーモンドの脂質のほとんどを構成しているのは肥満やコレステロール値の上昇を引き起こす主な原因となる脂質「飽和脂肪酸」とは異なる「不飽和脂肪酸」と呼ばれるものです。
飽和脂肪酸は体内で合成が可能であるため食事から摂る必要のない栄養素です。
一方不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられ、多価不飽和脂肪酸は食事からの摂取が必須な栄養素だとされています。
アーモンドの脂質の多くは「オレイン酸」という一価不飽和脂肪酸の一種で、悪玉コレステロールを低減させる作用があります。
また、血圧を下げる効果のある多価不飽和脂肪酸の一種「リノール酸」も多く含んでいます。 体に悪いイメージのある脂質ですが、アーモンドの脂質は適度な量であればむしろ体に良い効果をもたらしてくれるのですね。
栄養素4 ビタミンB2:肌の健康維持
アーモンドにはビタミンB2も含まれています。
ビタミンB2には摂取した栄養をエネルギーに変えるはたらきに関わったり肌や粘膜の健康を保護したりするはたらきがあり、健康維持には欠かせない栄養素です。
ビタミンB2が不足すると皮膚炎や口内炎の原因になるほか、成長期の子どもの場合は成長障害を起こすこともあります。
2.太る?ニキビができる?アーモンドについてよくある疑問
このようにアーモンドは体にさまざまな良い影響を与え、健康の維持に効果的な食品といえます。
しかし「脂肪が多いので太る」「食べるとニキビができてしまう」といったマイナスの印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、世間で持たれがちなアーモンドの悪い印象は誤解であり、デメリットは度を超えた量を食べた場合にしかないといえるでしょう。
こちらでは、アーモンドについてよくある疑問に詳しくお答えしていきます。
【アーモンドについてよくある疑問】
- 食べ過ぎると太る?カロリーは?
- ニキビはできない?
- 毒性はない?
疑問1 アーモンドを食べ過ぎると太る?カロリーは?
アーモンドは約半分が脂質で構成されており、カロリーは30gで182kcalと決して低くはありません。
しかし、アーモンドの脂質の多くはコレステロールを下げるはたらきのあるオレイン酸などで、肥満の危険因子とされている飽和脂肪酸は少ししか含まれていません。
またアーモンドには肥満の予防や改善に効果が期待できるとされている食物繊維も豊富に含まれています。
カロリーが高いのは確かですが、他の食品に比べて太りやすいわけではないといえます。
さらにアーモンドは歯応えがあり、食べる際にはしっかりと噛む必要がありますよね。
「よく噛むと太りにくい」と聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私たちの体は食べ物を噛むと分泌される「神経ヒスタミン」という物質が満腹中枢を刺激することで「おなかがいっぱいだ」と判断する仕組みになっています。
つまりよく噛んで神経ヒスタミンの分泌を促すことで、食べすぎを抑えることができると考えられるのですね。
アーモンドなら、結果的に他のお菓子などに比べ少ない量で満腹感を得られるかもしれませんね。
また、よく噛むことで食後のエネルギー消費が大きくなることも分かっています[3]。
[3] ロッテ 噛むこと研究室「噛むことダイエット ゆっくり噛むと消費エネルギーが増大!? 」
疑問2 アーモンドを食べてもニキビはできない?
自分の健康、特に肌の美容に関心のある方はニキビができないように油っこいものを控えているということもあるでしょう。
アーモンドには脂質が多く含まれるので、
「健康に良さそうだけど、食べたらニキビができやすくなるのでは?」
と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、結論からいうとアーモンドを食べたからといって必ずしもニキビができやすくなるとはいえません。
ニキビができる原因の一つとして皮脂の分泌が多くなってしまうことが挙げられ、ビタミンや食物繊維を多く摂ることがニキビの改善につながるといわれています。
アーモンドはビタミンB2などのビタミンや食物繊維を豊富に含む食品です。
そのため、適量であればアーモンドの摂取がニキビの増加に直結する可能性は低いと考えられるでしょう。
疑問3 アーモンドに毒性はない?
アーモンドには毒がある、なんてことを聞いたことがある方もいるかもしれません。
しかし普段食べているアーモンドには毒性はほとんどありません。
実はアーモンドには「甘味種」と「苦味種」の二種類があり、食用にされているのは害のない甘味種の方です。
「毒性があるのでは……?」となんとなくアーモンドを避けていた方も、これを機に安心して手に取ってみてくださいね。
3.アーモンドのおいしい食べ方は?
アーモンドにはさまざまな体に良い成分が含まれていることが分かりましたね。
「じゃあ、1日にどれくらい食べると良いの?」
と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
また、どのような食べ方があるのか気になる、という方もいるかもしれません。
ここではアーモンドを食事に取り入れる際の健康維持のための適切な摂取量や、おいしく摂取する調理方法をご紹介します。
3-1.アーモンドの1日の摂取量目安は23粒
アーモンドは栄養素がたっぷり含まれている一方、カロリーが高い食品でもあります。
日本には明確な摂取基準はありませんが、「アメリカ合衆国の国民向け食事ガイドライン」では、「1日当たり1オンスあるいは約23粒」というのがアーモンドの理想的な摂取量とされています。
これまでにご紹介した栄養素のアーモンド1オンス当たりの含有量は以下のとおりです。
【炒ったアーモンド1オンス当たりの栄養素含有量】
栄養素 | 含有量 |
---|---|
ビタミンE | 8.2mg |
食物繊維 | 3.1g |
不飽和脂肪酸 | 13.53g |
ビタミンB2 | 0.29mg |
ビタミンE の1日の摂取目安量をまかなうことができるほか、不足しがちな食物繊維やビタミンB2といった栄養素を補うことができます。
3-2.アーモンドのさまざまな食べ方・加工法
アーモンドの食べ方としては「焼いたものをそのまま」「アーモンドチョコレートとして」などを思い浮かべる人が多いでしょう。
王道のものから意外な加工法まで、アーモンドのさまざまな食べ方をご紹介しましょう。
【アーモンドのさまざまな食べ方】
- ホール(丸のまま)
- スライス・ダイス(カット)
- アーモンドパウダー(粉)
- アーモンドミルク
- アーモンドオイル
食べ方1 ホール(丸のまま)
まずはアーモンドそのままの形「ホール」で食べる方法をご紹介しましょう。
アーモンドといえばしずくのようなこの形が思い浮かびますよね。
塩を振ったものやアーモンドチョコレートなどはコンビニなどでも売っており、気軽に手に入ります。
特に日本ではホールアーモンドをチョコレートでコーティングしたお菓子が人気です。
ホールのアーモンドは、今の日本ではもっとも手軽な摂取方法といっても良いでしょう。
ちなみに、あまり知られていませんがアーモンドは生食も可能です。
生のアーモンドはしっとりとしていてほんのり甘さを感じられ、焼いたものとはまた違った感覚で食べられます。
食べ方2 スライス・ダイス(カット)
アーモンドは切ったり砕いたりしてトッピングなどに用いることもあります。
ホールで食べるのとはまた違った食感が楽しめますね。
スライスしたアーモンドが乗った焼き菓子や、砕いたアーモンドをまぶしたアイスなどは食べたことがある人も多いでしょう。
このようにお菓子などに使うほか、サラダに混ぜて食べるのもおすすめです。
ナッツの香ばしい香りと食感が楽しめ、葉物野菜だけでは得られない満腹感も期待できますよ。
食べ方3 アーモンドパウダー(粉)
アーモンドは粉状にしてお菓子などの材料として使われることもあります。
材料に加えることで、食感や風味に変化を与えてくれます。
お菓子作りはもちろん、ソースのとろみ付けや揚げ物の衣など、普段のお料理でも使えます。
食べ方4 アーモンドミルク
アーモンドミルクとは、水に浸したアーモンドをミキサーなどで細かく砕いて濾過した飲み物です。
見た目は牛乳に似ていて、実際に牛乳の代用品として使うこともできます。
液体のため手軽に摂取できることが利点です。
アレルギーなどで牛乳や豆乳が飲めない人が代替品として飲むこともあり、このような背景からオーガニックなイメージで売り出されることもあります。
ただし市販のものには乳化剤や増粘剤・甘味料といった添加物が含まれているものもあります。
添加物やカロリーを気にする方は、無添加のものを選ぶようにしましょう。
食べ方5 アーモンドオイル
アーモンドの種を絞って作られるアーモンドオイルは、化粧品として認識している人の方が多いかもしれません。
「オイル」という名前の通り、食用として売られているものはいわゆる油として調理に使えます。
ドレッシングやお菓子に使うと、アーモンドの風味が生かされて普段と一味違った味わいに仕上がります。
ただしたとえ余計な成分が入っていないものだとしても化粧品として売られているアーモンドオイルは調理に使わないようにしましょう。
当然ですが、いくら安全といっても化粧品は食べる前提で作られてはいません。
同様に、食用のアーモンドオイルも肌や髪のケアなどには使わないようにしましょう。
4.アーモンドについてのまとめ
アーモンドはさまざまな栄養素を含んでいます。
アーモンドは抗酸化作用のあるビタミンEや、おなかの調子を整えたり生活習慣病を予防・改善したりする効果が期待できる食物繊維、肌や粘膜の健康維持において重要なはたらきをしているビタミンB2が摂取できる食品です。
一方でアーモンドの約半分が脂質で構成されているため、30gで182kcalとカロリーが高いことを難点と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかしアーモンドに含まれる脂質の多くは、悪玉コレステロールを減らすはたらきのあるオレイン酸など、体にとって有用なものです。
また脂質が多いことからニキビの原因になるのではないかと気になる方もいらっしゃるかもしれませんが、適量であればビタミンや食物繊維を多く含むアーモンドが他の食品に比べてニキビの原因になりやすいということはないでしょう。
日本には明確な摂取基準はありませんが、アメリカ合衆国の国民向け食事ガイドラインではアーモンドの適切な摂取量は1日当たり1オンスあるいは約23粒であるとされています。
この量はビタミンEの1日の摂取目安量をまかなうことができ、不足しがちな食物繊維やビタミンB2を補うこともできます。
アーモンドは調理や加工の仕方によりさまざまな楽しみ方ができるので、好みや目的などに合わせて摂取すると良いでしょう。