アルコールを健康的に楽しむには?飲酒のリスクと適切な飲酒量を解説

アルコールを健康的に楽しむには?飲酒のリスクと適切な飲酒量を解説

2024年04月04日

2024年03月27日

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「アルコールってあまり健康に良くないのかな……」

「アルコールを飲み過ぎると体にどんな影響があるんだろう?」

お酒が健康にどのような影響を及ぼすのか気になる方もいらっしゃるでしょう。

適度にお酒を飲むとリラックスできて楽しい気持ちになれる一方で、飲み過ぎると健康を損ねる恐れがあります

この記事では適切な飲酒量やアルコールが健康に及ぼす影響、飲酒時に気を付けるポイントをご紹介します。

アルコールについて理解を深め、健康的にお酒を楽しみましょう。

1.アルコールとは

乾杯しているところ

「そもそもアルコールってなんだろう?」

アルコールと聞くと、多くの人は「お酒」を思い浮かべるのではないでしょうか。

アルコールとは複数のアルコール類の総称で、主なものに「エチルアルコール(エタノール)」「メチルアルコール(メタノール)」「プロピルアルコール(プロパノール)」があります。

メモ
メチルアルコールは法律で「劇物」に指定されており、飲むことはできません。飲んだり吸い込んだりすると視力障害を引き起こす可能性があります。多量に摂取すると最悪の場合死に至ることもあります。

これらのうち一般的にお酒として飲まれているのがエチルアルコールの一種である発酵アルコールです。

発酵アルコールはさとうきびなどの糖質やとうもろこしなどのでんぷんを発酵させてつくられ、アルコール飲料や香料などに使われます。

メモ
エチルアルコールは合成方法により発酵アルコールと合成アルコールの2種類に分けられます[1]。合成アルコールは化学反応で合成したアルコールで、化粧品や洗剤などに使われます。

お酒を構成しているアルコールの種類は発酵アルコールですが、発酵アルコールが含まれていれば何でもお酒と呼べるわけではありません。

日本の法律である「酒税法」では、アルコールが1%以上含まれた飲み物のことを「酒類」と定義しています[2]。

酒税法とは
お酒の分類や製造、販売の免許、酒税の税率などを定めた法律です。

[1] 経済産業省製造産業局素材産業課アルコール室「アルコール事業法の理解を深める

[2] 国税庁 総則「Q1 酒類の定義を教えてください。

2.健康のための適切なアルコール摂取量とは

日本酒をグラスに注いでいるところ

「どれくらいの量のアルコールなら、健康的に飲めるんだろう?」

「アルコールの適量ってあるのかな?」

アルコールの飲み過ぎは深刻な病気につながる可能性があるので、適量を知っておくことが重要です。

メモ
ここからはお酒の適量や健康への影響などについて説明します。そのため、単にアルコールと記しているときは発酵アルコールのことを指しています。

標準的なアルコール代謝能力を持つ日本人の場合、1日当たりの適度な飲酒量は純アルコール量で約20g程度とされています[3]。

純アルコール量とは
お酒に含まれるアルコールの量のことで、グラム(g)で表されます。[お酒の量(mL)]×[アルコール度数(%)÷100]×[アルコール比重0.8]で求めることができます。アルコール度数5%のビールの中瓶またはロング缶1本(500mL)に含まれている純アルコール量は、500(mL)×5÷100×0.8=20(g)となります[4]。

しかし、純アルコール量で20gといわれても実際にどれくらいの量なのか分からないですよね。

各種アルコール飲料の純アルコール量20gに相当する量は以下のとおりです。

純アルコール20g相当のお酒の種類と量

公益社団法人 アルコール健康医学協会「お酒と健康 飲酒の基礎知識」をもとに執筆者作成

ただしこの適量はあくまでも目安であり、全ての人に当てはまるわけではありません。

女性や高齢者、少量のアルコール摂取で顔が赤くなってしまう方には、より少ない量が勧められます

健康のためにも、アルコールの摂取量は自分に合った量にとどめるようにしましょう。

[3] 厚生労働省 健康日本21「アルコール

[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「飲酒量の単位

3.アルコールが健康に及ぼす影響

「アルコールを飲むと健康にどんな影響があるのかな……」

お酒を飲むと体にどんな影響があるのか、気になる方もいらっしゃるかもしれません。

アルコールを摂取すると体や心にさまざまな影響があります。

この章ではアルコールが健康に及ぼす影響について解説します。

3-1.適量のアルコールが健康に及ぼす影響

赤ワインと白ワインと料理

お酒を飲むと気持ちが明るくなったり、リラックスした状態になったりします

アルコールは体内に入ると血液に運ばれて脳に到達し、神経細胞をまひさせます。

これがいわゆる「酔った状態」です。

一般的に酔った状態になると緊張感が和らぎ、楽しい気分になるといわれています。

そのため適度な飲酒はコミュニケーションを円滑にする手段として利用されることがあります。

また、お酒は適量の範囲であれば血液中のLDLコレステロールを減らしたりHDLコレステロールを増やしたりするといった効果を体にもたらすといわれています。

メモ
LDLコレステロールとHDLコレステロールは、どちらも体内に存在する脂質の一種です。LDLコレステロールは「悪玉コレステロール」とも呼ばれています。肝臓でつくられたコレステロールを全身に運ぶ役割がありますが、増え過ぎると血管内に蓄積し動脈硬化を引き起こすことがあります。一方HDLコレステロールは「善玉コレステロール」と呼ばれています。体内で増え過ぎたコレステロールや血管にたまったコレステロールを回収し肝臓に戻すなど、体に良いはたらきをします。

そのため適度な飲酒は心臓病などの重篤な病気を予防する効果があるといわれています。

心臓病には心臓の筋肉(心筋)に血液を送る血管が狭くなって血流が悪化する「狭心症」や、血栓(血管にできる血のかたまり)により心臓の血管が詰まって血液が流れなくなり心臓の細胞が壊れてしまう「心筋梗塞」があります。

狭心症と心筋梗塞は、主に動脈硬化が原因となって引き起こされます。

動脈硬化とは
心臓から全身に血液を運ぶ血管である動脈が硬く厚くなり、しなやかさを失った状態のことです。進行すると心臓や脳の重篤な病気につながる恐れがあります。

実際、適度にお酒を飲む習慣がある方は飲酒しない方や過度に飲酒する方よりも心疾患による死亡率が低いというデータもあります。

一方で飲酒は結核や乳がんなどの病気のリスクを高めることも分かっています。

必ずしも飲酒が死亡率の低下につながるわけではないことに注意しましょう。

注意!
アルコールを体質的に受け付けない方や全く飲む習慣がない方は、無理にお酒を飲むことは避けましょう。適度な飲酒は体に良い影響があるともいわれている一方、病気にかかるリスクが上昇することも指摘されているため、無理をしてまでアルコールを摂取する必要はありません。

3-2.多量のアルコールが健康に及ぼす影響

グラスを片手に頭を抱える女性

お酒を飲み過ぎると体に悪影響を及ぼします。

多量の飲酒により血液中のアルコール濃度が高くなり過ぎると、ろれつが回らなくなったり真っすぐ歩けなくなったりします

特に一気飲みは急性アルコール中毒を引き起こすリスクがあり、致命的な事態に至る可能性もあります。

急性アルコール中毒とは
短時間での過剰な飲酒により血中アルコール濃度が急激に上昇し、意識障害などの症状が現れた状態です。血圧や呼吸数が低下するなどして、最悪の場合死に至ります。

過度な飲酒が習慣化すると、肝臓病やがんなどの発症リスクが高まります

特に肝臓は最もアルコールの影響を受けやすい臓器のため、肝臓病になると重症化しやすいといわれています。

アルコールの影響でかかりやすい主な肝臓病としては、肝臓に中性脂肪がたまる「脂肪肝」や、肝臓が線維化して硬くなり機能が低下する「肝硬変」などがあります。

メモ
アルコールなどによって肝臓に炎症が生じると、修復するために「繊維」というたんぱく質が増加して肝臓に広がります。炎症化が長期間続くと繊維が広範囲につくられ元に戻らなくなり、肝臓の機能が損なわれる可能性があります。

アルコールによる肝臓病は飲酒量が多く飲酒期間が長いほど進行しやすい傾向にありますが、個人差や男女差も大きく見られます。

また飲酒は「頭頸部(とうけいぶ)がん」や食道がん、肝臓がん、大腸がん、乳がんの原因にもなるといわれています。

頭頸部がんとは
鼻や口、喉など顔から首に発生するがんです。

アルコールや、アルコールが肝臓で分解されて生じる「アセトアルデヒド」には発がん性があります。

アセトアルデヒドは吐き気や動悸(どうき)、頭痛を引き起こすなど人体にとって有害な物質ですが、最終的に水と二酸化炭素に分解されて体外に排出されます。

多量に飲酒するとアセトアルデヒドが十分に分解されず、二日酔いの原因となります。

特にアルコールを分解するはたらきが弱い方は一部のがんのリスクが高まります。

その他、長期間にわたる多量飲酒は「アルコール依存症」につながるなど、生活にも大きな悪影響を与えることがあります。

アルコール依存症とは
精神的にも身体的にもアルコールに依存している状態です。自分では飲酒のコントロールができず断酒できなくなる精神的な依存や、アルコールをやめたり量を減らしたりしたときに手が震えるなどの禁断症状が現れる身体的な依存があります。

多量のアルコール摂取は、一時的であっても体に良いとはいえません。

お酒を飲む習慣がある方は、適量を守り休肝日を設けるなど工夫して、健康を損ねないように心掛けましょう。

4.お酒を飲むときに気を付けるポイント

お酒を飲むときに気を付けるポイント

アルコールには良くも悪くもさまざまな影響があるため、注意して飲まなければなりません。

この章では、お酒を健康的に楽しく飲むためのポイントをご紹介します。

ポイント1 楽しく飲む

グラスで乾杯しているひとたち

適量のお酒を飲むと、楽しい気持ちになったり、緊張感が和らぎコミュニケーションが円滑になったりします

家族や友人とリラックスしてお酒を飲む時間はかけがえのない時間ですよね。

お酒の味とその場の雰囲気を楽しみながら飲むように心掛けましょう。

ポイント2 食べながらゆっくり飲む

料理とビール

お酒を飲むときは一緒に食事を摂ると良いでしょう。

空腹のままお酒を飲むと胃腸の粘膜が荒れやすくなる他、アルコールの吸収速度が高まり酔いやすくなります

食べ物を胃に入れることで、アルコールと胃腸の粘膜が接触しづらくなり、アルコールの吸収速度が遅くなります。

特にたんぱく質や脂質を含んだ食べ物がおすすめです。

ゆっくりと飲むことも気を付けるポイントの一つです。

お酒を速く飲むと酔いが進み、体への負担も大きくなります。

アルコールの影響は人によって異なるので、自分のペースでゆっくりと味わってくださいね。

ポイント3 強いお酒は薄めて飲む

グラスに注いだ水

日本酒や焼酎、ウイスキーのようなアルコール度数の高いお酒は水で薄めてから飲みましょう

強いお酒は少量であっても酔いやすい上、喉や胃腸の粘膜にも負担をかけます。

薄めずストレートで飲む場合は、お酒を飲んでからすぐに水を飲む方法もおすすめです。

水を飲むとアルコールによる胃腸への刺激を和らげることができます。

体に負担を減らすためにも、強いお酒を飲む際は水を用意しておきましょう。

ポイント4 休肝日を設ける

休みを記したカレンダー

毎日飲酒していると、お酒を分解する肝臓に負担がかかります。

肝臓を休めるために、週に2日は休肝日を設けるようにしましょう[5]。

5日連続して飲酒した後に2日の休肝日を設けるよりも、2〜3日飲酒した後に1日飲まない日を設ける方が望ましいとされています[5]。

アルコールによって傷ついた胃の粘膜を修復するためにも、お酒を飲まない時間をつくることが必要です。

自分の意思で飲まない日を決めることは、アルコール依存症を予防することにもつながります。

飲む日と飲まない日を明確に分けて、体の負担を減らしましょう。

[5] 公益社団法人 アルコール健康医学協会「お酒と健康

ポイント5 長時間飲み続けない

ジョッキを前に酔い潰れている男性

楽しいお酒の時間はつい長引きがちですが、長い時間お酒を飲んでいるとそれだけ飲酒量も増えてしまうため注意しましょう。

お酒を飲み過ぎるとアルコールが十分に分解されず体内に残り、頭痛や吐き気などの原因になります。

程良く切り上げて、だらだらと長い時間飲み続けないようにしたいですね。

ポイント6 一気飲みをしない

アルコールのはいったグラスを手に持っている男性

お酒の一気飲みは絶対にやめましょう。

一気飲みは血中のアルコール濃度を急激に上昇させ、急性アルコール中毒を引き起こすリスクがあります

急性アルコール中毒になると低血圧や呼吸困難の症状が現れ、最悪の場合死に至ることもあります。

楽しいお酒の場で思いもよらない事態を招かないよう、飲み方には十分に配慮したいですね。

メモ
他の人にお酒を無理強いしないようにしましょう。無理に飲まされるとペースが乱され、お酒を落ち着いて楽しめなくなります。飲めない体質の人にお酒を無理強いし、急性アルコール中毒を引き起こした事例もあります。

ポイント7 薬と一緒に飲まない

錠剤

薬を飲んだ場合アルコールの摂取は控えましょう

薬とアルコールを併用すると、薬の種類によっては効果が弱まったり、逆に強くなり過ぎたりする可能性があります。

特に注意が必要なのが睡眠薬で、昏睡(こんすい)状態に陥る危険性があります。

お酒を飲む習慣がある方は、薬を飲む際に医師に相談してくださいね。

ポイント8 飲酒後に運動や入浴をしない

浴槽とアヒル

飲酒後の運動や入浴はやめましょう

飲酒直後に運動や入浴をすると、血液が筋肉に分散され内臓に集まりにくくなり、アルコールの分解が遅くなります。

また飲酒後の運動によって血液の循環が盛んになると、酔いが回りやすくなります。

バランス感覚を失い、思わぬ事故につながる恐れがあるため危険です。

飲酒後の入浴は血圧の低下を招き、「脳卒中」の危険性が高まります。

脳卒中とは
脳の血管が詰まったり破れたりする病気の総称です。脳の血管が破れて起こる「脳出血」、脳血管がこぶ状に膨らんだ動脈瘤が破裂して起こる「くも膜下出血」、脳の血管が詰まって起こる「脳梗塞」があります。

アルコールを摂取した後は、運動や入浴をしないよう気を付けましょう。

5.アルコールについてのまとめ

アルコールは複数のアルコール類の総称で、一般的に「お酒」として飲まれているのはエチルアルコールの一種である発酵アルコールです。

適量のアルコールの摂取には緊張感を和らげ気持ちをリラックスさせる効果があります

しかしアルコールを多量に摂取するとろれつが回らなくなったり真っすぐ歩けなくなったりします。

また急性アルコール中毒などの意識障害を引き起こしたりすることがあります

飲酒が習慣化することで、肝障害やがんなどさまざまな病気になるリスクが高まります。

健康を害さないためにも、アルコールは適量を守って、飲み方に注意することが重要です。

程良い適度な飲酒量の目安は純アルコール量で1日当たり約20g程度とされていますが、女性や65歳以上の高齢者、少量のアルコール摂取で顔が赤くなってしまう方は、より少ない量にとどめるようにしましょう[6]。

食べながら飲んだり休肝日を設けたりするなどの工夫をして、家族や友人と談笑しながらゆっくりお酒を味わうのも、健康的に飲むためのポイントです。

適量にとどめて飲み方に気を付け、健康的にアルコールを楽しんでくださいね。

[6] 厚生労働省 健康日本21「アルコール

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