生理前は便秘になりやすい?女性ホルモンと腸の関係、改善策を解説!

2022年08月22日

2024年11月11日

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「生理が近付いてくるとお通じが悪くなる気がする……」

「生理前の便秘はどうしたら良くなるの?」

このようにお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

生理前に便秘になってしまうのは、女性ホルモンや自律神経のバランスの変化によるものだと考えられます。

また生理前に限らず、若い女性は便秘になりやすい傾向にあるといわれています。

なぜ生理前に便秘になってしまうのか、改善するためにはどうしたら良いのか気になるところですよね。

この記事では生理前に便秘が起こりやすい理由やホルモンバランス以外の便秘の原因、便秘改善のポイントなどについて解説します。

1.生理前の便秘の原因

「どうして生理前になるとおなかの調子が悪くなるんだろう?」

このように疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

生理前に便秘になってしまう原因は生理に伴う体内の変化にあります。

まずは生理前の便秘の原因についてお伝えしましょう。

【関連情報】 「気になる便秘の原因とは?改善のために意識したいポイントを解説!」についての記事はこちら

原因1 女性ホルモンのバランスの変化

生理前の便秘の主な原因は女性ホルモンのバランスの変化です。

生理周期は主に「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」という二つの女性ホルモンによってコントロールされています。

女性ホルモンのバランスの変化

このうち便秘の要因になるのは黄体ホルモンです。

黄体ホルモンは排卵日から生理前にかけて多く分泌され、受精卵を着床させやすくしたり妊娠できる状態を維持させたりします。

同時に腸のはたらきを鈍らせる性質も持っているため、生理前は便秘になりやすくなるのです。

なお生理前に肌が荒れたり、むくみがちになったりするのも、黄体ホルモンの性質によるものだといわれています。

原因2 自律神経のバランスの変化

生理周期に伴って変化するのはホルモンバランスだけではありません。

生理前には自律神経のバランスも変化し、交感神経が優位になるといわれています。

一般的に交感神経が優位になっているときは、胃や腸の動きは遅くなります

消化器の動きが遅いと腸内に便がとどまっている時間が長くなり、便の水分が腸に吸収され過ぎて硬くなってしまうのです。

これも便秘の要因だといえるでしょう。

メモ
自律神経は意思とは無関係にはたらき体を常に最適な状態に保つ神経の総称です。互いに相反するはたらきを持つ交感神経と副交感神経に分けられ、交感神経は主に体を活発に動かすときに、副交感神経は主に体を休めるときにはたらきます。

2.その他の便秘の原因

生理前でなくとも便秘に悩んだことがある方は多くいらっしゃるでしょう。

特に若い女性は便秘に悩まされることが多いといわれています。

生理前の体の変化に加え、他の要因が重なって便秘が引き起こされている可能性もあります。

そこでここでは、生理前の体の変化以外の便秘の原因をお伝えしましょう。

原因1 食生活

食生活

便は食べ物が消化管を通り消化・吸収される過程で生じ、多くを水分が占め、そのほかは食べかすや腸の細胞、腸内細菌などで構成されています。

そのため食事の量や内容は当然便の状態に大きな影響を与えます。

特にダイエットのために食事制限をしている場合などは便秘になりやすいといわれています。

これは食事量が少なくなると、腸が収縮したり広がったりする「ぜん動運動」がおろそかになるためです。

また食物繊維不足も便秘の大きな原因となります。

食物繊維は食べ物に含まれるヒトの消化酵素では消化できない物質で、便通を整えて便秘を防ぐはたらきがあります。

しかし現代において日本人の多くは食物繊維が不足した食生活を送っています。

食物繊維の必要量は、「1日に1回、規則的に排便がある」ことが一つの目安 *1です。

この量の便を作り出すための食物繊維が摂れているかどうかが重要だといえるでしょう。

また便の多くは水分であるため、水分不足も便秘の一因になり得ます。

*1 厚生労働省 e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康

原因2 筋力の低下

筋力の低下

筋力の低下も女性に便秘が多い原因の一つとして挙げられるでしょう。

特に運動不足の方は要注意です。

排便の際には腹筋や肛門を閉じるはたらきをしている「括約筋」が重要になりますが、一般的に女性は男性に比べ筋力が低く、腹筋や括約筋の力も弱い傾向にあります。

腹筋の力が低下して腸が重力に従って下がると腸のはたらきが悪くなり、便秘になりやすくなってしまうのです。

また女性は男性に比べ骨盤が広く腸が下がりやすいのも要因といえるでしょう。

原因3 ストレス

ストレス

ストレスがたまるとおなかの調子が悪くなると感じている方もいらっしゃるでしょう。

腸のはたらきは自律神経によってコントロールされています。

強いストレスを感じている状態が続くと、自律神経のバランスが崩れ交感神経が優位になるために腸のはたらきが悪くなり、便秘を引き起こしてしまうことがあります。

他にも下痢や、便秘と下痢を交互に繰り返す症状を招くこともあります。

ストレスをため過ぎないことが重要なのですね。

メモ
自律神経のバランスが崩れる直接的な原因を特定することはできませんが、ストレスの他、生活習慣の乱れが影響する場合も多いといわれています。

原因4 便意の我慢

便意の我慢

通勤中や仕事中などに便意が訪れても時間がなくつい便意を我慢してしまっているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

便意を我慢していると腸の中でたまった便の水分が体内に吸収され、便が硬くなってしまいます

硬い便は排せつしづらく便秘になってしまうのです。

また我慢を続けていると直腸の反応が鈍くなり、便意を感じづらくなるという悪循環に陥ってしまうこともあります。

朝は腸の動きが良く、最も便が出やすいとされています。

しっかりと朝食を摂り、ゆっくりトイレに入る時間を作るとさらに腸の動きが活発になるでしょう。

メモ
一般的な便秘は「機能性便秘」といい、さらに大腸の動きが悪くなることで生じる「排便回数減少型」と便をうまく排せつできない「排便困難型」に分けられます。また機能性便秘の他に大腸がんや腸閉塞(へいそく)に伴って大腸の形が変化することで生じる「器質性便秘」もあります。器質性便秘の場合、原因となる疾患の速やかな治療が必要です。

3.便秘の予防・改善のポイント

「便秘を良くするにはどうしたら良いんだろう?」

「生理前の便秘を予防することはできないのかな?」

このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

生理前の便秘はホルモンや自律神経のバランスによるものでありコントロールが難しいので、完全に予防することはできないかもしれません。

しかし日ごろの生活を見直すことで、ひどい便秘を防いだり、症状を軽くしたりできる可能性はあります。

ここでは便秘の予防や改善のために気を付けておきたいポイントをご紹介しましょう。

ポイント1 食物繊維を十分に摂る

食物繊維を十分に摂る

普段の食生活で食物繊維を十分に摂れていないという方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

食物繊維は便の体積を増やす材料となったり、大腸内の環境を改善する腸内細菌に利用されこれらの菌を増やしたりして、便秘の予防に効果があることが分かっています。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によれば、成人では1日当たり24g以上の食物繊維摂取を目標とするのが理想的 *2です。

しかし多くの日本人は食物繊維の摂取量が不足している状況にあり、「令和元年 国民健康・栄養調査」の結果では18歳から29歳までの女性の1日当たりの食物繊維摂取量(中央値)は10.65g*2にとどまっています。

そのため厚生労働省は1日当たり24g以上の摂取を目標とすることは現実的ではないとして、18歳から64歳の女性の食物繊維の摂取目標量を18g以上 *2としています。

便秘に悩まされているという方は特に、少しでも多く食物繊維を摂るよう心掛けましょう。

注意事項
ただし、便秘の種類によっては食物繊維摂取量を増やすとかえって悪化する場合もあります。野菜など食物繊維を多く含む食品を摂取して症状が悪化したと感じたことがある方は早めに専門医を受診しましょう。

食物繊維は例えば以下のような食品から摂取できますよ。

忙しい方も冷凍食品を活用すれば効率的に食物繊維が摂取できると考えられますね。

【食物繊維を含む食品と可食部100g当たりの含有量】

食品名 加工状態など 食物繊維含有量 エネルギー
えだまめ 冷凍 7.3g 143kcal
ミックスベジタブル 冷凍 5.9g 67kcal
グリンピース 冷凍 9.3g 80kcal
ごぼう(根) 5.7g 58kcal
ブロッコリー 5.1g 37kcal
オクラ 5.0g 26kcal
しいたけ(菌床栽培) 4.6g 25kcal
西洋かぼちゃ 冷凍 4.2g 75kcal
えのきたけ 3.9g 34kcal
ぶなしめじ 3.5g 26kcal

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

食物繊維は1g当たり0kcal〜2kcal*2であるため、豊富に含む食品も低カロリーのものが多いのもうれしいポイントです。

メモ
食物繊維には整腸効果の他に脂質や糖、ナトリウムなどを吸着して体外に排出するはたらきがあるので肥満や生活習慣病の予防・改善にも効果が期待できます。

*2 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

ポイント2 乳酸菌を含む食品を摂る

乳酸菌を含む食品を摂る

乳酸菌におなかの調子を整える作用があることはよく知られていますよね。

実はヒトの腸内にはおよそ1,000種類、100兆個もの細菌が生息している*3ことをご存じでしょうか。

腸内細菌は体に良いはたらきをする「善玉菌」と悪いはたらきをする「悪玉菌」、そのどちらでもない菌に分けられます。

健康のためにはこの腸内細菌のうち、善玉菌の占める割合を増やすことが重要だといわれています。

善玉菌には腸内を酸性にすることによって悪玉菌の増殖を抑え、腸の運動を活発にするはたらきがあります。

そのため便秘にも効果的だと考えられるのですね。

善玉菌を増やす方法は大きく分けて二つあり、一つは乳酸菌などの善玉菌を直接摂取する方法です。

乳酸菌は善玉菌の一種で、ヨーグルトやチーズ、漬物、納豆などの発酵食品に含まれています。

またヨーグルトなどで知られる「ビフィズス菌」も乳酸菌の一種です。

普段発酵食品をあまり食べないという方は食生活にヨーグルトなどを取り入れてみましょう。

メモ
善玉菌を増やすもう一つの方法は食物繊維やオリゴ糖などを摂取することです。食物繊維やオリゴ糖は善玉菌の餌となりその数を増やす効果があるといわれています。

*3 厚生労働省 e-ヘルスネット「腸内細菌と健康

ポイント3 水分を十分に摂る

水分を十分に摂る

水分を十分に摂れていないと便が硬くなり、出にくくなってしまいます。

水分を十分に摂ることを心掛けましょう。

ヒトの体の60%は水分でできており、尿や便、呼吸や汗などを通じて1日に2.5リットルもの水分を排出する*4といわれています。

そのため水分が不足しないためには毎日2.5リットル分の水分補給が必要*4です。

食事から1.0リットル摂取され、体内で作られる水分が0.3リットルあるので、残りの1.2リットルは飲み水として補給しなければなりません *4。

「むくみが気になるのに水分を摂らないといけないの?」

と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、水分が足りていないために体が水をため込もうとすることでむくみが生じているケースも考えられます。

特に朝起きてすぐの水分摂取は腸を刺激してはたらきを良くし、便意を起こすといわれているのでおすすめですよ。

*4 厚生労働省「健康のため水を飲もう講座 〜からだと水の関係〜

ポイント4 適度に体を動かす

適度に身体を動かす

運動不足の方は筋力が低下し排便に必要な力がなくなってしまっている可能性があります。

適度な運動を行い、筋力を向上させましょう。

特に排便に関わる腹筋を鍛えることは有効だと考えられます。

また体を動かすと血流が盛んになり、腸の運動が活発化する効果も期待できますよ。

ポイント5 マッサージやツボ押しを行う

マッサージやツボ押しを行う

マッサージやツボ押しも便秘には効果的だと考えられます。

おへその下から「の」の字を描くように自分から見て反時計回りにマッサージしてみましょう。

マッサージやツボ押しを行う

便の通りが良くなる効果が期待できます。

手のひらを震わせるように動かしながらゆっくりと優しく押すのがポイントです。

またツボ押しも試してみる価値があるといえるでしょう。

便秘に効くツボはいくつかありますが、ここではおなかにあるツボをご紹介します。

便秘解消に効果が期待できるおなかのツボは以下の四つです。

【便秘解消効果が期待できるおなかのツボ】

  • 天枢(てんすう)……おへそから左右に指3本分外側
  • 大巨(だいこ)……天枢の指3本分下
  • 関元……おへそから指4本分下
  • 中脘(ちゅうかん)……みぞおちとおへその中間辺り

マッサージやツボ押しを行う

これらのツボはおなか周りの筋肉の緊張を緩め、腸を刺激して排便を促す効果が期待できるといわれています。

ツボを刺激するときは大巨の右側、天枢の右側、中脘、天枢の左側、大巨の左側、関元の順に右側から円を描くように押すようにしましょう。

4.つらい場合は無理せず受診しよう

体内の機能の変化や生活習慣によって生じることの多い便秘ですが、甘く見て放置していると便が腸内で固まることによる「腸閉塞」など、重篤な症状を招く場合があります

腸閉塞とは
口から摂取された飲食物が消化器官を通って消化・吸収され、残ったものが便として肛門から排せつされる際の飲食物と消化液の流れが、小腸や大腸で詰まってしまった状態のことです。吐き気や嘔吐(おうと)、腹痛などの症状を生じます。

また大腸がんなど、何らかの疾患によって便秘になってしまうケースもあり得ます。

普段とお通じの様子が違ったり、便秘が長く続いていたりする方は無理をせず早めに受診しましょう

5.生理前の便秘の原因と改善ポイントについて まとめ

生理前の便秘は、女性ホルモンや自律神経のバランスの変化によるものだと考えられます。

排卵日から生理前にかけて分泌が増える黄体ホルモンは受精卵を着床させやすくしたり妊娠できる状態を維持させたりするはたらきをしていますが、同時に腸の動きを鈍らせる作用も持っています

また生理前には自律神経のうち交感神経が優位になるとされています。

交感神経が優位な状態では胃や腸などの消化管の動きが遅くなり、便から水分が失われて硬くなってしまうのです。

その他にも便秘にはさまざまな要因があり、日ごろの生活習慣によって生じている可能性もあります。

例えば食生活の乱れや運動不足による筋力の低下、ストレス、便意の我慢などが積み重なると便秘を招いてしまいます。

生理前の便秘は体内の機能の変化によるところが大きいので完全に防ぐのは難しいかもしれませんが、生活習慣を変えることである程度改善したり予防したりすることができるといえるでしょう。

具体的には食物繊維や乳酸菌を含む食べ物を摂取することで腸内環境を改善したり、水分を十分に摂ることで便の水分量を増やしたりといったことが考えられます。

その他に適度に体を動かすことや、マッサージやツボ押しを行うことも効果的です。

この記事でお伝えしたポイントを踏まえ、つらい便秘を解消してくださいね。

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