「ビタミンB2にはどんな効果があるのかな……」
「ビタミンB2を手軽に摂れる食品って何があるんだろう?」
ビタミンB2に関心はあっても、実際にどのようなはたらきをするのか、どのような食品に含まれているのかをご存じの方は多くはないかもしれませんね。
ビタミンB2は体内でエネルギーを産生する際に必要とされる他、成長促進や皮膚や粘膜の保護のためにはたらく栄養素です。
この記事では、ビタミンB2のはたらきや含まれる食品について分かりやすく解説するので、ぜひ参考にしてくださいね。
1.ビタミンB2とは
「ビタミンB2っていったいどんな栄養素なんだろう?」
ビタミンB2が大事な栄養素だと分かっていても、その特徴や体内での役割について詳しくご存じの方は少ないかもしれませんね。
ビタミンB2は水溶性ビタミンでビタミンB群の一種です。
ビタミンB2は体内でエネルギー代謝に関わる補酵素としてはたらきます。
ヒトの体は炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質の3種類の栄養素をエネルギー源としていますが、これらの栄養素だけではエネルギーを生み出すことはできないのですね。
ビタミンB2は特に脂質からのエネルギー産生に関わっています。
また、皮膚や粘膜、髪、爪などの細胞を再生させる役割も担っており、成長促進のためにも不可欠です。
2.ビタミンB2の過不足による体への影響
「ビタミンB2が足りなかったり多過ぎたりすると、体に良くないのかな……」
ビタミンB2不足や過剰が体にどのように影響するのか気になりますよね。
この章では、ビタミンB2の摂取不足や過剰摂取が体に及ぼす影響について解説します。
2-1.ビタミンB2の摂取不足が体に及ぼす影響
ビタミンB2の不足は、食事からの摂取量が十分ではない場合や、代謝異常、特定の疾患、薬物の服用などの影響で起こります。
不足すると、口角炎や舌炎、皮膚炎などの症状が見られたり、成長が抑制されたりすることがあります。
ただし、ビタミンB2が単独で不足することはまれで、他のビタミンと同時に不足するとされています。
偏りのない食事でさまざまなビタミンを摂ることが、ビタミンB2不足の予防にも有効だと考えられますね。
2-2.ビタミンB2の過剰摂取が体に及ぼす影響
ビタミンB2の過剰摂取による健康への被害は、今のところ報告がありません。
一般的な食品でビタミンB2の含有量が著しく高いものはほぼないため、通常の食事をしている場合には過剰症は起こりにくいとされています。
さらに、たとえ過剰に摂取しても余剰分は尿と共に体外へ排出されるため影響は受けにくいといわれます。
3.ビタミンB2の食事摂取基準と平均摂取量
「ビタミンB2ってどのくらい摂れば良いのかな?」
ビタミンB2の必要量を満たすためにも適切な摂取量を知っておきたいものですよね。
この章ではビタミンB2の食事摂取基準と平均摂取量についてご説明します。
3-1.ビタミンB2の食事摂取基準
厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2020年版)」のなかで、1歳以上についてはビタミンB2の「推定平均必要量」と「推奨量」を定めています[1]。
1歳以上の推定平均必要量、推奨量は以下のとおりです[1]。
【ビタミンB2の1日当たりの食事摂取基準】
性別 | 男性 | 女性 | ||
---|---|---|---|---|
年齢 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 推定平均必要量 | 推奨量 |
1〜2歳 | 0.5mg | 0.6mg | 0.5mg | 0.5mg |
3〜5歳 | 0.7mg | 0.8mg | 0.6mg | 0.8mg |
6〜7歳 | 0.8mg | 0.9mg | 0.7mg | 0.9mg |
8〜9歳 | 0.9mg | 1.1mg | 0.9mg | 1.0mg |
10〜11歳 | 1.1mg | 1.4mg | 1.0mg | 1.3mg |
12~14歳 | 1.3mg | 1.6mg | 1.2mg | 1.4mg |
15~17歳 | 1.4mg | 1.7mg | 1.2mg | 1.4mg |
18~29歳 | 1.3mg | 1.6mg | 1.0mg | 1.2mg |
30~49歳 | 1.3mg | 1.6mg | 1.0mg | 1.2mg |
50~64歳 | 1.2mg | 1.5mg | 1.0mg | 1.2mg |
65~74歳 | 1.2mg | 1.5mg | 1.0mg | 1.2mg |
75歳以上 | 1.1mg | 1.3mg | 0.9mg | 1.0mg |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
また、妊娠中・授乳中の方は年代別の推定平均必要量および推奨量に対し、以下の付加量が設定されています。
【妊婦・授乳婦の付加量】
推定平均必要量 | 推奨量 | |
---|---|---|
妊婦 | +0.2mg | +0.3mg |
授乳婦 | +0.5mg | +0.6mg |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
なお、1歳未満の乳児には「目安量」が定められています [1]。
1歳未満の目安量は以下のとおりです [1]。
【ビタミンB2の1日当たりの目安量】
男性 | 女性 | |
---|---|---|
0〜5カ月 | 0.3mg | 0.3mg |
6〜11カ月 | 0.4mg | 0.4mg |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
[1] 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3-2.ビタミンB2の平均摂取量
実際にビタミンB2の摂取量はどのくらいなのか、気になりますね。
厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査」によると、日本人のビタミンB2の平均摂取量は以下のとおりです。
【ビタミンB2の1日当たりの平均摂取量】
男性 | 女性 | |
---|---|---|
1〜6歳 | 0.85mg | 0.76mg |
7〜14歳 | 1.30mg | 1.18mg |
15〜19歳 | 1.32mg | 1.11mg |
20〜29歳 | 1.20mg | 0.97mg |
30〜39歳 | 1.10mg | 1.00mg |
40〜49歳 | 1.16mg | 1.05mg |
50〜59歳 | 1.19mg | 1.09mg |
60〜69歳 | 1.30mg | 1.21mg |
70〜79歳 | 1.39mg | 1.27mg |
80歳以上 | 1.25mg | 1.11mg |
厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」をもとに執筆者作成
特に、働いている世代の男性では不足の傾向が見られます。
この世代は、仕事が忙しくて健康的な食生活ができていないと自覚している方が多いというデータもあります。
ビタミンB2の不足は他のビタミンと同時に起こることが多いため、バランスの取れた食事を心掛けたいですね。
4.ビタミンB2を多く含む食品
「ビタミンB2が不足しないようにしたいけど、どんな食品を摂れば良いのかな……」
このように、ビタミンB2を摂りたくても何に含まれているのか分からない方が多いのではないでしょうか。
この章では、ビタミンB2を含む食品を「動物性食品」「植物性食品」に分けてご紹介しますので参考にしてくださいね。
4-1.動物性食品
ビタミンB2を含んでいる動物性食品にはどのようなものがあるのか見てみましょう。
【ビタミンB2を含む動物性食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
豚レバー | 生 | 3.60mg |
牛レバー | 生 | 3.00mg |
鶏レバー | 生 | 1.80mg |
鶏ハツ | 生 | 1.10mg |
豚ハツ | 生 | 0.95mg |
牛ハツ | 生 | 0.90mg |
うなぎかば焼き | - | 0.74mg |
カマンベールチーズ | - | 0.48mg |
プロセスチーズ | - | 0.38mg |
鶏卵 | 生 | 0.37mg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
レバーやハツなどの内臓肉の他、乳製品、うなぎ、卵にも含まれています。
1回当たりに食べる量は植物性食品と比べると多めなので、より効率的にビタミンB2を摂取できるといえるでしょう。
ただし栄養のバランスを考えると、植物性食品と組み合わせて摂るのが良いですね。
4-2.植物性食品
ビタミンB2を含む直物性食品には以下のようなものがあります。
【ビタミンB2を含む植物性食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
焼きのり | - | 2.33mg |
アーモンド | いり/無塩 | 1.04mg |
わかめ | 乾燥/素干し | 1.01mg |
ブラウンマッシュルーム | 生 | 0.47mg |
しめじ | 生 | 0.44mg |
モロヘイヤ | 生 | 0.42mg |
ブロッコリー | 生 | 0.40mg |
しいたけ | 生 | 0.21mg |
ほうれん草 | 生 | 0.20mg |
まいたけ | 生 | 0.19mg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
きのこやアーモンドなどに多く含まれていますね。
焼きのりやわかめは100g当たりではビタミンB2を多く含みますが、1回当たりの食べる量を考えるとそれだけで十分な量のビタミンB2を摂るのは難しいかもしれません[2]。
偏らずに、さまざまな食品からビタミンB2の補給ができると良いですね。
[2] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
5.ビタミンB2についてのまとめ
ビタミンB2は水溶性のビタミンでビタミンB群の一種です。
体内ではエネルギー代謝に関わる補酵素として、特に脂質からのエネルギー産生に関わっています。
他にも、皮膚や粘膜、髪、爪などの細胞の再生や、成長の促進に欠かせない栄養素です。
ビタミンB2の不足は多くの場合、他のビタミンの不足と同時に起こるとされており、主な症状は、口角炎や舌炎、皮膚炎などです。
一方、ビタミンB2の過剰症は通常の食事をしている場合には起こりにくいとされています。
厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2020年版)」において、ビタミンB2の摂取基準を定めています。
日本人の平均摂取量と食事摂取基準を比較すると、働く世代の男性では不足の傾向が見られます。
ビタミンB2は、レバーや卵などの動物性食品、きのこやアーモンドなどの植物性食品に多く含まれています。
さまざまな食品からビタミンB2を補給して、毎日の健康のために役立ててくださいね。