ドライアイとは?原因や症状、予防・改善のためのポイントを解説

2024年09月23日

2024年09月17日

「よく目が乾くのは、ドライアイなのかな?」

「ドライアイを改善するための方法が知りたい」

ドライアイを知っていても、原因やメカニズムについて詳しく知らない方もいらっしゃるかもしれませんね。

ドライアイとは目の表面にある涙がつくる膜(涙液層)が崩れやすくなり、目の不快感や見えにくさが現れる病気のことです。

ドライアイはコンタクトレンズの使用や長時間のパソコン作業などによって悪化するといわれています。

現代社会は日常的にパソコンを使う方も多いため、ドライアイが悪化する危険性が高い状況にあるといえるでしょう。

この記事ではドライアイの原因や症状、診断・治療方法、予防・改善するためのポイントを詳しく解説します。

デスクワークが多い方やドライアイの疑いがあると感じる方は、ぜひ参考にしてくださいね。

1.ドライアイとは

目頭をおさえる若い女性

ドライアイは目の表面にある涙がつくる膜(涙液層)が不安定になり、目にさまざまな症状が現れる病気です。

近年ではコンタクトレンズ使用者の増加、スマートフォンやパソコンなどの普及によりドライアイの患者数は増加傾向にあり、国内で2,200万人に上るといわれています[1]。

この章ではドライアイで現れる症状やメカニズムについて詳しく解説します。

[1] 公益社団法人 日本眼科学会「ドライアイ

1-1.ドライアイの症状

ドライアイでは目が乾く以外に、さまざまな症状が現れます

目がゴロゴロする、開けにくい、疲れる、痛いといった症状もよく現れる他、目が赤くなったり、涙や目やにが出たりすることもあります。

さらに近年の研究によると、視機能にも何となく見えづらいといった異常が起こる場合があるとされています[2]。

ドライアイの症状は日常生活に支障が出ることがあるといえますね。

[2] 公益社団法人 日本眼科医会「ドライアイに悩む方へ―生活の注意と治療の目安―

1-2.ドライアイが起こるメカニズム

ドライアイはさまざまな要因によって涙の量や質に異常が起こり、涙がつくる膜(涙液層)の安定性が低下することで起こります

涙腺でつくられる涙は、まばたきによって目の表面に広がり膜状になります。

これを涙液層や涙液膜といいます。

ヒトがまばたきをすると目の角膜や結膜といった表面上皮が涙液層で覆われ、残りの涙はまぶたの鼻側上下にある涙点へ入り、涙小管などを通って鼻腔へと流れ出します。

涙の産出と排出

涙液層は「涙腺」から分泌される水分や「マイボーム腺」から分泌される油分などを含んでいます。

涙液層は内側から「液層」「油層」で構成されます。

涙液層の構造

液層は涙腺から分泌される水分でできた層で、涙液層の大部分を占めます

水分の他にたんぱく質などの多様な成分を含み、角膜への栄養補給や感染予防、傷の治癒など多くのはたらきを持ちます。

また目の表面の「ゴブレット細胞」などから分泌される「分泌型ムチン」と、角膜や結膜の上皮細胞でつくられる「膜型ムチン」が、涙を目にくっつけて均一に行き渡るよう作用しています。

油層はマイボーム腺から分泌される油でできた層です。

目の表面を覆う水分の蒸発を抑えるはたらきをします。

このように涙液層のさまざまなはたらきによって、目が潤い健康に保たれているのですね。

しかし、加齢などによってマイボーム腺の機能が低下したり、汚れや老廃物などで開口部が詰まったりして油の分泌が減ると、涙が蒸発しやすくなります

またムチンが出にくくなったり、はたらきが悪くなったりすることで涙が目の表面に定着せず乾きやすくなります。

このように涙の量や質の異常により涙液層の安定性が低下することで、涙が目の表面にとどまれずドライアイになるのですね。

さらに、目の表面が乾燥すると目の表面上皮に障害が生じます。

目の表面上皮が障害されるとムチンの機能も障害され、目の表面の水分がはじかれやすくなり涙液層の安定性がより低下します。

この結果ドライアイが進行し、目の不快感や視機能異常などが起こるのです。

2.ドライアイの要因

ノートパソコンの前で悩んだ様子のスーツの男性

「どうしてドライアイになるんだろう?」

このように気になっている方もいらっしゃるでしょう。

ドライアイはさまざまな要因で涙の量が減ったり、質が悪くなったりすることによって起こります。

この章ではドライアイの原因について詳しく解説します。

2-1.長時間のパソコン作業

長時間パソコンやスマホを操作し続けることで、ドライアイになることがあります

これはパソコンやテレビ、スマホなどの画面を見続ける生活により、まばたきが減少することが原因です。

通常、安静時のまばたきの回数は1分当たり15〜20回ですが、パソコンなどを凝視している場合にはその4分の1程度にまで減少するといわれています[3]。

まばたきの回数が減ることにより、涙液の水分が蒸発するためドライアイを生じるのです。

近年はパソコン以外に、携帯型ゲーム機、スマホなどの情報端末が広く普及しているため、今後もドライアイの患者数がさらに増加すると考えられています。

[3] 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター「急増するドライアイ

2-2.コンタクトレンズの装着

コンタクトレンズの使用によりドライアイになることがあります

これは涙液層の水分が蒸発しやすくなることによって起こります。

ハードコンタクトレンズではレンズ周囲で、ソフトコンタクトレンズではレンズ表面で水分が蒸発しやすくなるといわれています。

近年若い女性の間で増加しているカラーコンタクトレンズもドライアイの原因になるため注意が必要です。

2-3.エアコンによる湿度の低下

エアコンの使用により、ドライアイになることがあります

室内の温度や湿度が低下して空気が乾くと、涙が蒸発しやすくなってドライアイが悪化するのです。

このため夏場のエアコンが効き過ぎていたり送風を直接受けたりする環境は、ドライアイのリスク因子です。

デスクワークは、コンタクトレンズを付けてエアコンの風を浴びつつパソコンに向かうといった状態になりやすいため、ドライアイになる危険の大きい環境だといえるでしょう。

なお冬場はエアコンを使用していなくても温度や湿度が低下し、暖房によってさらに空気が乾燥しやすくなるため、ドライアイが悪化しやすい季節とされています。

2-4.ストレス

ストレスもドライアイの原因になります

涙の分泌は、「自律神経」のはたらきの影響を受けます。

自律神経とは
意志に関係なくはたらき、呼吸や消化、発汗、体温調節などを調節する神経のことです。活動時に優位になる「交感神経」と、休息時に優位になる「副交感神経」に分けられます。これらは相反するはたらきを持ち、切り替わることで体の状態が調整されます。

涙の分泌は副交感神経が優位になると増え、交感神経が優位になると抑えられます。

ストレスがかかっている状態では交感神経が優位になるため、涙の分泌が減少しドライアイを招くのです。

このため休日などでリラックスしている場合には、ドライアイ症状が軽減することがあるといわれていますよ。

2-5.加齢

加齢とともにドライアイになりやすくなります

これは加齢により涙の分泌量が減少し、涙液層の安定性が低下するためです。

またドライアイは男性に比べて女性に起こりやすいことが分かっており、ドライアイになるのは中年過ぎの女性が最も多いとされています

2-6.喫煙

喫煙によりドライアイが起こることがあります。

たばこの煙が目に刺激を与え、涙の分泌を抑えてしまうことによりドライアイが起こるのです。

また喫煙による副流煙が周囲に広がると、周りの人の目へも悪影響を及ぼすといわれています。

喫煙はドライアイの原因になる他、さまざまな病気のリスクを高めてしまう恐れもあるため禁煙に取り組むことが大切です。

2-7.目の病気

ドライアイの原因の多くを占めるのが「マイボーム機能不全(MGD)」です。

マイボーム機能不全とは、マイボーム腺の機能が低下して油層を構成する油が足りなくなる病気です。

マイボーム腺は油分を分泌する、まぶたの縁にある器官です。

マイボーム機能不全で油が足りなくなると涙が蒸発しやすくなり、ドライアイを招きます

マイボーム腺の機能は加齢とともに低下する他、汚れやアイメイクなどによって詰まることでも低下します。

2-8.その他の病気

「シェーグレン症候群」などの病気が原因で、ドライアイになることがあります

シェーグレン症候群とは
ウイルスや細菌などから体を守るためにはたらく免疫機能に異常が生じ、自己の組織を攻撃してしまう「自己免疫疾患」の一つです。涙腺と唾液腺が攻撃されやすいことが特徴です。

シェーグレン症候群では、涙腺や涙腺から涙が流れてくる部分が破壊されることで、涙がほとんど出なくなりドライアイが起こるといわれています。

シェーグレン症候群は、男性よりも女性が発症しやすいのが特徴です。

また、「スティーブンス・ジョンソン症候群」もドライアイを引き起こす原因になります

スティーブンス・ジョンソン症候群とは
口唇・口腔、眼、鼻、外陰部などの粘膜がただれ、全身の皮膚に水疱(水ぶくれ)などが多発する病気です。発熱や全身倦怠(けんたい)感といった症状も現れます。詳しい原因は分かっていませんが、感染症や薬などがきっかけで起こるといわれています。

スティーブンス・ジョンソン症候群で涙腺が障害されると涙がほとんど出なくなり、重篤なドライアイを引き起こすため注意が必要です。

2-9.薬の副作用

薬の副作用もドライアイの原因です。

内服薬には、涙の分泌を減らす作用を持つものがあります。

なかでも血圧を下げる「降圧剤」や、うつ病などの治療に用いられる「精神安定剤」には、ドライアイが起こるものがあると分かっています。

これらの薬を長く内服しドライアイの症状が見られる場合は、主治医に相談するようにしましょう。

3.ドライアイの診断と治療

目薬

「ドライアイの検査にはどんなものがあるのかな?」

「ドライアイではどんな治療をするんだろう」

このように気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。

この章ではドライアイの診断や治療について解説します。

3-1.ドライアイの診断方法

ドライアイは、「シルマーテスト」「BUT(Break Up Time)測定」「染色検査」といった検査により診断されます

シルマーテストは涙の分泌を調べる検査です。

下まぶたに目盛りの振られた専用の紙を挟み、一定時間の間にどれだけ紙が濡れるか確認することで涙の分泌量を調べることができます。

BUT測定は、涙の質を調べる検査です。

色素を点眼し、青い光を当てながら顕微鏡で目の表面を観察します。

まばたきを止めると時間の経過とともに涙が蒸発して、点眼した色素が消え始めます。

色素の変化を観察することにより、涙液層が破壊される時間を計測することができます。

染色検査は、目の表面の傷を確認する検査です。

ドライアイでは、目の表面が乾燥することにより角膜が傷つくことがあります。

このため染色検査では、傷ついた部分が染色される特殊な色素を点眼し、角膜に生じた傷の状態を顕微鏡で確認します。

この他、涙の量が極端に少ない場合などでシェーグレン症候群などの病気が疑われる際には、血液検査を行うこともあります。

3-2.ドライアイの治療法

ドライアイでは主に点眼による治療が行われます

これまでの点眼治療では、「人工涙液」や「ヒアルロン酸製剤」などで涙を補う目薬が代表的でした。

人工涙液は涙に近い成分でつくられ不足した涙を補充するはたらきをし、ヒアルロン酸製剤は涙を保持して目の乾燥を防いだり、角膜についた傷の治癒を促進したりする効果があります。

しかし近年では目の炎症を抑える目薬や、目の中から水分やムチンなどを出させる目薬などで治療することもあります。

重症のドライアイの場合は、自分の血液から作る「血清点眼」や、涙が流れ出ていく出口をふさぐ「涙点プラグ」などで治療することもあります

涙点はまぶたの鼻側の上下にあり、涙が排出される部分です。

涙点プラグの治療では、涙点をプラグでふたをして十分な涙が目にとどまるようにすることができます。

ドライアイは症状や重症度などによって、さまざまな治療法があるのですね。

なおドライアイは完治できる病気ではありません

ドライアイでは治療を続けると共に、エアコンを調整したり加湿器を使ったりするといった取り組みにより、日常生活に支障が出ないよう心掛けることが大切です。

ドライアイを予防・改善するためのポイントは次章で詳しく解説しますね。

4.ドライアイを予防・改善するポイント

アイマスクをつけている若い女性

「ドライアイを防ぐためにはどうしたら良いんだろう?」

「ドライアイの症状を改善する方法ってあるのかな?」

ドライアイの発症には、パソコンやエアコンの使用といったライフスタイルが大きく関わっています。

このためドライアイ予防・改善には、危険因子を排除したり治療を継続したりすることが大切です。

ドライアイを予防・改善するポイント

ポイント1 目を休ませる

目を休めることで、目の乾きを改善することができます

パソコン作業などで画面を見るときは、こまめに休憩を挟んで目を休ませるようにしましょう。

パソコンやスマホなどの情報機器を使用した仕事をしている場合は、連続した作業を1時間以内にし、10〜15分の休憩を挟むことが目安です[4]。

休憩中はリラックスして遠くの景色を眺めたり、 目を閉じたりすると良いでしょう。

また蒸しタオルをまぶたの上に乗せることで、涙の分泌量が増えて目の乾燥を和らげることが期待できます。

[4] 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて

ポイント2 コンタクトの使用時間を減らす

ドライアイを予防するには、コンタクトの使用時間を減らすことも大切です。

ハードコンタクトレンズではレンズの周りの部分が、ソフトコンタクトレンズではレンズ表面が乾きます。

普段外出時にコンタクトを使用している場合には、帰宅後はすぐに外すようにしたり週末の使用を減らしたりすることで、コンタクトの使用時間を減らすことができます

どのタイプのコンタクトを使用していても日頃から使用時間を減らし、目を休ませるようにしてくださいね。

ポイント3 部屋を加湿する

ドライアイを改善するには部屋を加湿することも大切です。

室内の空気が乾燥していることは目の乾きの原因になります。

室内の湿度は50%程度に設定しましょう[5]。

乾燥しやすいときには加湿器を使い、室内の湿度を保つようにしてくださいね。

またエアコンなどからの風が直接目に当たらないよう、風向きを調整したり風が当たらない場所へ移動したりすると良いでしょう。

[5] ドライアイ研究会「目が乾く5つの原因や自分で行える対処法を解説

ポイント4 目薬を使う

目が乾いた場合には、目薬を使用することが効果的です。

目薬を使うことで目に水分を補うことができます。

軽い症状であれば、市販の目薬でも改善が期待できます。

市販の目薬は手軽に購入できるため、こまめに使用すると良いでしょう。

また眼科では症状に合わせた点眼薬が処方されます。

ドライアイの点眼薬はタイプや重症度、患者の使い勝手などにより選択されるため、ドライアイが気になる方は眼科を受診し相談することがおすすめです。

ポイント5 意識的にまばたきする

意識的にまばたきをすることで目の乾きが改善できます

特にパソコンやスマホに集中し過ぎると、通常よりもまばたきの回数が減少します。

また、まばたきをしていても目が完全に閉じていない場合があります。

意識的にまばたきをすることで、まばたきの回数を増やしたり、正しいまばたきができるようになったりするといわれています。

この他にもパソコンやスマホの使用時間が長くならないよう、小まめに休憩を挟むと良いでしょう。

ポイント6 まぶたを温める

まぶたを温めることでドライアイを改善することができます

まぶたを温めると血流が良くなり涙の分泌量が増えたり、涙の油分が分泌されるマイボーム腺の詰まりを和らげたりすることができます。

涙の量や質が改善されることで潤いが保たれるのですね。

目を閉じて蒸しタオルをまぶたの上に乗せることでまぶたを温めることができます。

また、ドラッグストアなどで入手できる使い捨てのアイマスクや充電式のホットアイマスクなども効果的です。

自分に合った方法で目の渇きの改善に役立ててくださいね。

5.ドライアイが気になる場合は眼科を受診しよう

説明をする女医

ドライアイが気になる場合は、眼科の受診を検討しましょう。

ドライアイの症状が強くなってきたり、目薬を差す回数が増えたりしている場合は眼科を受診する目安といえます。

目薬を使う回数が多過ぎると涙が洗い流されてしまい、角膜を傷つけてしまう恐れがあるため注意が必要です。

眼科での検査により症状に合った治療を受けることができますよ。

6.ドライアイについてのまとめ

ドライアイとは目の表面にある涙がつくる膜が崩れやすくなり、目にさまざまな症状が現れる病気のことです。

ドライアイでよく見られる症状には、目が乾く、ゴロゴロする、開けにくい、疲れる、痛いなどがあります。

涙腺でつくられる涙は、まばたきによって目の表面に広がることで膜状の涙液層を形成します。

角膜を覆う涙液層のうち、液層は涙腺から分泌される水分に多様な物質が溶け込んだ層で、そのなかに含まれているムチンのはたらきにより、涙が角膜にくっついて均一に行き渡っています。

また油層はまぶたの縁にあるマイボーム腺から分泌される油でできた層で、目の表面を覆う水分の蒸発を抑えるはたらきをします。

マイボーム腺の機能が低下して油の分泌が減ったり、汚れや老廃物などで開口部が詰まったりする他、ムチンが出にくくなったりはたらきが悪くなったりすると涙が乾きやすくなります

こうした涙の量や質の異常により涙液層の安定性が低下すると、涙が目の表面にとどまれずドライアイになるのです。

ドライアイは長時間のパソコン作業、コンタクトレンズの装着、エアコンによる湿度低下、ストレス、加齢などが要因で起こるといわれています。

ドライアイはシルマーテスト、BUT測定、染色検査などの検査により診断され、主に点眼による治療が行われます。

重症のドライアイの場合は、自分の血液から作る血清点眼や、涙の出口をふさぐ涙点プラグなどで治療することもあります。

ドライアイを予防・改善するには目を休ませる、コンタクトの使用時間を減らす、部屋を加湿する、意識的にまばたきをする、まぶたを温めることが効果的です。

ただしドライアイの症状が強くなってきたり、目薬の頻度が高くなったりしている場合は眼科を受診するようにしてくださいね。

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