カルシウム不足だとイライラするって本当?作用と摂取源となる食品

2024年07月25日

2024年08月08日

「カルシウム不足だとイライラするって本当かな?」

このような疑問をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。

カルシウム不足がイライラにつながるといわれることもありますが、本当なのでしょうか。

この記事ではカルシウム不足だとイライラするという話の真偽や体内でのカルシウムのはたらきについて解説します。

また1日に必要とされるカルシウムの量やカルシウムが含まれる食品についてもご紹介します。

ぜひ日々の生活の参考にしてくださいね。

1.カルシウム不足だとイライラするって本当?

グラスに注いだ牛乳

「カルシウム不足がイライラの原因になるって本当?」

イライラしたときに『カルシウムが足りていないのでは?』と感じたことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。

しかし「カルシウムが不足するとイライラする」という話は誤りです。

カルシウム不足がイライラにつながるという誤解は、カルシウムが脳の興奮を抑えるはたらきを持つことからきたものだと思われます。

体内のカルシウムは、そのほとんどが骨や歯に存在しています。

そして残りのごく一部が血液や筋肉、神経内に存在し、体の機能の維持・調節に使われています。

もし血液中のカルシウムが不足しても、骨に蓄えられているカルシウムが溶け出して不足分を調節するため、カルシウム不足が直接的にイライラの原因となることはありません

イライラに悩まされていて対処法が知りたいという方は以下の記事をご覧くださいね。

イライラが止まらないのはなぜ?原因と簡単にできる解消法9選!

【関連情報】 「ストレスの原因、引き起こされる症状や対処法を分かりやすく解説!」についての記事はこちら

2.カルシウムの体内でのはたらき

グラスに注がれた牛乳と牛のフィギュア

カルシウムの作用

「カルシウムにはどんなはたらきがあるんだろう?」

カルシウムの本来のはたらきはいったいどのようなものか気になる方もいらっしゃるかもしれませんね。

カルシウムは人体に最も多く存在しているミネラルであり、骨や歯の構成に加え、血液凝固、筋肉の収縮、神経伝達に深く関わっています

ミネラルとは
体を構成する元素のうち、酸素、炭素、水素、窒素以外のもののことです。体内で合成できないため食べ物から摂取する必要があります。カルシウムの他には、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などがあります。

この章ではカルシウムのはたらきについて詳しく解説します。

2-1.骨や歯を構成する

骨の模型を持って説明をする女医

カルシウムは骨や歯の主要な構成成分です。

骨の強さは、骨でカルシウムの入れ替えが行われることで保たれています。

新しい骨はカルシウムが取り込まれることによって作られ、古い骨は壊されてカルシウムは溶け出していきます。

慢性的にカルシウム不足が続くと、カルシウムが骨から溶け出す量が多くなるため骨が弱くなり骨粗しょう症になる可能性が高まります

骨粗しょう症とは
新しい骨と古い骨の入れ替えのバランスが崩れ、骨がもろくなった状態のことです。

また子どもは大人に比べて骨の成長が活発であるため、成長期に骨を丈夫にしておくことは将来の骨粗しょう症予防につながります。

骨の健康のためにカルシウムの摂取を積極的に行いましょう。

2-2.血液凝固を促し出血を防ぐ

絆創膏を親指に貼っているところ

カルシウムには血液凝固を促して出血を防ぐ作用があります

多量の出血は生死に関わるため、ヒトの体には血を止めるはたらきが備わっています。

止血のはたらきには大きく分けて「血小板」が主に作用するものと、「血液凝固因子」が主に作用するものがあります

メモ
血液は血漿(けっしょう)と血小板、白血球、赤血球に分けられます。けがなどで出血すると、傷口に血小板が集まって血が固まりふたをして止血します。

カルシウムは血液凝固因子の一つです。

カルシウムの他には「プロトロンビン」や「フィブリノーゲン」と呼ばれるたんぱく質も血液凝固因子に含まれており、止血に役立ちます。

2-3.筋肉の収縮に関わる

ベンチに座ってダンベルで筋トレをする男性

カルシウムは筋肉の収縮にも深い関わりがあります

私たちが走ったり、重いものを持ったりと体の力を発揮するとき、筋肉は収縮します。

この収縮は「アクチン」と「ミオシン」と呼ばれる物質が重なり合うことによって起こります。

メモ
アクチンとミオシンはフィラメント状の物質で筋収縮を起こします。アクチンはたんぱく質の一つで筋収縮以外にも体内のさまざまな現象で中心的な役割を果たしています。一方、ミオシンは酵素の一つで、体内のエネルギー源を分解する役割があります。

カルシウムはアクチンとミオシンが重なり、筋肉を収縮するために必要とされます。

カルシウムは力を発揮する源でもあるのですね。

2-4.神経伝達に関わる

神経のイメージ画像

カルシウムは神経伝達にも関わっています

カルシウムは細胞内の伝達係として重要な役割を担っています。

カルシウムイオンが細胞内に流入すると神経伝達物質の放出が促され、脳や神経に情報が送られます。

その他にも、数多くの細胞機能の調節を行っています。

カルシウムは体や脳が正常に機能するのを助けてくれるのですね。

3.カルシウムの平均摂取量と推奨量

牛乳の入ったグラスを手に持っている人

「カルシウムをどのくらい摂れば良いのかな?」

カルシウムをどのくらい摂れば十分だといえるのか気になっている方も多いことでしょう。

この章では日本人の平均的なカルシウムの摂取量と1日に必要とされる量についてご紹介します。

3-1.カルシウムの推奨量

厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で各栄養素の摂取量の基準を公開しています。

メモ
「推奨量」はほとんどの方が1日の必要量を満たせる量のことです。

カルシウムの推奨量は以下のように定められています。

【カルシウムの1日当たりの推奨量】
性別 男性 女性
年齢
-
-
0~5カ月
-
-
6~11カ月
-
-
1~2歳
450mg
400mg
3~5歳
600mg
550mg
6~7歳
600mg
550mg
8~9歳
650mg
750mg
10~11歳
700mg
750mg
12~14歳
1,000mg
800mg
15~17歳
800mg
650mg
18~29歳
800mg
650mg
30~49歳
750mg
650mg
50~64歳
750mg
650mg
65~74歳
750mg
650mg
75歳以上
700mg
600mg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

必要な量だけ見てもピンと来ない方もいらっしゃることでしょう。

続いて私たちがどのくらいのカルシウムを摂取しているのか、平均摂取量を見ていきましょう。

3-2.カルシウムの平均摂取量

おおよその目安として平均摂取量を確認しましょう。

厚生労働省が行った「令和元年国民健康・栄養調査」によると、日本人の平均的なカルシウム摂取量は以下のとおりです。

【カルシウムの1日当たりの平均摂取量】
年齢 男性 女性
1~6歳
446mg
391mg
7~14歳
676mg
594mg
15~19歳
504mg
454mg
20~29歳
462mg
408mg
30~39歳
395mg
406mg
40~49歳
442mg
441mg
50~59歳
471mg
472mg
60~69歳
533mg
539mg
70~79歳
585mg
574mg
80歳以上
537mg
490mg

厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」をもとに執筆者作成

男性、女性共に全ての年代で平均摂取量が推奨量を下回っています

多くの方がカルシウム不足の食生活を送っているのですね。

では、カルシウムはどんな食品から効率良く摂取できるのでしょうか。

次の章ではカルシウムの摂取源となる食品を確認しましょう。

4.カルシウムの摂取源となる食品

カットしたカマンベールチーズと牛乳

「カルシウムはどんな食品に含まれているのかな?」

カルシウムは乳製品や魚介類をはじめ、野菜や大豆製品、海藻類などの幅広い食材から摂取することができます。

この章では、カルシウムが含まれている食品を動物性食品と植物性食品に分けてご紹介します。

4-1.動物性食品

いりこ

カルシウムは乳製品や魚介類などの動物性食品に含まれています

【カルシウムの摂取源となる動物性食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
干しえび
加工
7,100mg
かたくちいわし
煮干し
2,200mg
さくらえび
煮干し
1,500mg
パルメザンチーズ
-
1,300mg
脱脂粉乳(スキムミルク)
-
1,100mg
まあじ(小型・骨付き)
780mg
しらす干し
半乾燥品
520mg
ヨーグルト(無脂肪無糖)
-
140mg
普通牛乳
-
110mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

なかでも牛乳はカルシウムの吸収率が高い食品です。

牛乳の栄養についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事もご覧くださいね。

牛乳に豊富な栄養素とそのはたらきとは?摂取の際のポイントも解説

4-2.植物性食品

ざるにのった葉物野菜

カルシウムは野菜類や大豆製品、海藻類にも含まれています

【カルシウムの摂取源となる植物性食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
えんどう
塩豆
1,300mg
刻み昆布
-
940mg
カットわかめ
870mg
凍り豆腐
630mg
切り干し大根
乾燥
500mg
油揚げ
310mg
焼きのり
-
280mg
がんもどき
-
270mg
モロヘイヤ
260mg
だいこん(葉)
260mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

5.カルシウムを効率良く摂取する方法

ヨーグルトと木のスプーン

カルシウムはビタミンDと一緒に摂ると吸収しやすくなります

ビタミンDは、いわしやさんま、さけなどの魚類、きくらげやしいたけなどのきのこ類、卵などに多く含まれています。

カルシウムの吸収を促進する物質にはビタミンD以外にはマグネシウム、乳糖、CPP(カゼインホスホペプチド)、ビタミンK、クエン酸などがあります。

また、カルシウムの吸収を阻害したり排出を促したりする物質には食物繊維、フィチン酸、シュウ酸などがあります。

ご自身の好みに合わせてカルシウムを含む食品を食卓に取り入れてくださいね。

6.カルシウムとイライラの関係についてのまとめ

「カルシウム不足だとイライラする」というのは俗説で誤りです。

カルシウムには脳の興奮を抑えるはたらきがあるため、不足がイライラの原因になると誤解されることがあります。

しかし血液中のカルシウムが不足すると骨からカルシウムが溶け出し、一定の濃度になるよう調整されます。

そのためカルシウムが足りないからといって直接イライラにつながるわけではありません

カルシウムは人体に最も多く存在しているミネラルであり、骨や歯の構成に加え、血液凝固、筋肉の収縮、神経伝達に深く関わっています

イライラとカルシウム不足に直接的な関係はありませんが、日本人の食生活はカルシウムが不足しがちであるため十分な摂取が勧められます。

カルシウムは乳製品や魚介類をはじめ、野菜や大豆製品、海藻類などの幅広い食材から摂取できます

ぜひこの記事を参考にカルシウムを十分に摂取してくださいね。

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