「骨粗しょう症の原因はなんだろう?」
この記事をご覧になっている方は、骨粗しょう症の原因と予防法を知りたいとお考えのことでしょう。
骨粗しょう症とは、さまざまな原因によって骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気のことです。
骨がもろくなる原因はたくさんありますが、原因を把握し予防のポイントを押さえておくことで骨の健康を保つことができます。
この記事では骨粗しょう症とはどんな病気なのかを解説し、原因と予防のポイントをご紹介します。
ぜひ最後までお読みくださいね。
1.骨粗しょう症とは
「骨粗しょう症ってなんだろう?」
骨粗しょう症とは、骨量(骨全体に含まれるカルシウムなどのミネラルの量)が減って骨がもろくなる病気のことです。
骨粗しょう症の症状には背中や腰の痛み、背中の丸まりなどがあります。
しかし初期には目立つ症状がないため、発症に気が付かない場合が多いといわれています。
骨粗しょう症で骨がもろい状態になると転倒などのちょっとしたはずみで骨折しやすくなります。
特に骨折しやすい部位は背骨、手首の骨、太ももの付け根の骨などです。
太ももの付け根に骨折が起こると寝たきりになってしまうこともあります。
また骨粗しょう症が進んだ場合、せきやくしゃみによって体に伝わる衝撃でも骨折してしまいます。
さらに、背中や腰が曲がることによって、内臓が圧迫され息苦しさや、胸焼けなどの症状が現れる場合もあります。
骨粗しょう症は気が付かないうちに骨量が減って骨がもろくなり、骨折が起こりやすくなる病気なのですね。
では、骨量が減ってしまう原因はどのようなものなのでしょうか。
次の章では骨粗しょう症の原因を解説します。
2.骨粗しょう症の原因
「骨粗しょう症の原因はなんだろう?」
骨粗しょう症は加齢や運動不足などにより「骨代謝」のバランスが崩れることで起こります。
骨は、骨芽細胞が新しい骨をつくる「骨形成」と、破骨細胞が骨を溶かす「骨吸収」によって常に新しくつくり直されています。
しかしこのバランスが崩れて骨吸収が上回った状態が続くと骨量が減少します。
その結果骨が弱くなり、骨折しやすい状態になるのです。
この章では骨代謝のバランスが崩れる原因を八つご紹介します。
原因1 栄養不足
骨粗しょう症の原因の一つに、骨の健康を保つ栄養素の摂取不足が挙げられます。
骨を健康に保つ栄養素には、骨を形成するカルシウムやマグネシウムといったミネラル、カルシウムの吸収に必要なビタミンDなどがあります。
慢性的にカルシウムが不足すると、カルシウムが骨から取り出される量が増えてしまいます。
これらの栄養素の不足は、極端に食事量を制限するようなダイエットで起こることがあるため注意が必要です。
なかでも成長期に極端なダイエットをすると、年齢を重ねたときの骨量が減少するといわれています。
食事の量を極端に減らすことは避け、栄養素不足にならないよう注意してくださいね。
原因2 運動不足
運動不足も骨粗しょう症の原因になることがあります。
骨は負荷がかかることで、微量の電流が伝わり強さが増すといわれています。
しかし運動不足になると骨への負荷が減り、骨をつくる細胞のはたらきが悪くなってしまいます。
このため、出歩いたり、体を動かしたりする習慣のない方は、骨粗しょう症になりやすいのです。
原因3 加齢
加齢も骨粗しょう症の原因の一つです。
食事から摂取したカルシウムは腸管から体内に取り込まれます。
加齢によって腸や腎臓の機能が低下すると、それに伴ってカルシウムを吸収する能力が衰えてしまいます。
また加齢によって骨の生成に関わる「骨芽細胞」の機能に異常を来したり、筋肉量や筋力が低下したりすることも骨粗しょう症の発症を招きます。
原因4 閉経
女性においては閉経も骨粗しょう症の大きな原因の一つだとされています。
月経が始まると卵巣などから「エストロゲン」と呼ばれる女性ホルモンが分泌されます。
エストロゲンには骨を壊す細胞のはたらきを抑える作用があります。
閉経によってエストロゲンの分泌量が低下すると骨を壊す細胞が活性化し、骨粗しょう症になるリスクが高まってしまうのです。
原因5 アルコールの過剰摂取・喫煙
アルコールの過剰摂取や喫煙も骨粗しょう症のリスクを高めるといわれています。
骨形成に必要なビタミンDは肝臓と腎臓で活性化されますが、過度のアルコール摂取は肝臓の機能を低下させ、ビタミンDの活性化を妨げてしまいます。
アルコールによる肝臓機能の低下はカルシウムの吸収も低下させ、カルシウムは排出されやすくなってしまいます。
このため血中カルシウムが不足し、骨量の低下を招くのです。
また喫煙は胃腸のはたらきを抑え、食欲を減退させ、カルシウムの吸収を妨げるといわれています。
原因6 遺伝的素因
遺伝的な素因から骨粗しょう症を発症するケースもあります。
骨粗しょう症になった血縁者がいる方は骨粗しょう症のリスクが高いと考えられています。
また、体形と骨量は密接に関係しており、小柄で細身の方も骨粗しょう症になりやすい体質であることが分かっています。
加えて、家族間では食事の好みや運動量など生活習慣が似ていることも、骨粗しょう症の発症に大きな影響を与えているといわれています。
原因7 病気
病気が原因で骨粗しょう症を発症する場合もあります。
骨粗しょう症の原因となる病気には、関節リウマチや副甲状腺機能亢進(こうしん)症、性腺機能不全、糖尿病、慢性腎臓病(CKD)、動脈硬化、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)などがあります。
なお、病気が原因の骨粗しょう症を「続発性骨粗しょう症」といいます。
原因8 薬の服用
服用している薬が骨粗しょう症の発症を招くこともあります。
ステロイド薬の長期服用は骨粗しょう症の原因になるといわれています。
この他に抗けいれん薬やワルファリン、性ホルモン低下療法治療薬なども骨粗しょう症の原因になるとされています。
3.骨の健康を保ち骨粗しょう症を予防するポイント
「骨粗しょう症を予防するポイントを知りたい」
骨粗しょう症を予防するには骨の健康を保つ習慣を身に付けることが重要です。
この章では骨粗しょう症を予防するために押さえておくべきポイントを四つご紹介します。
ポイント1 必要な栄養素を十分に摂る
骨粗しょう症の予防には体に必要な栄養素をバランス良く摂取することが重要です。
特にカルシウムとビタミンD、ビタミンKを十分に摂取することが勧められます。
カルシウムは骨を構成する主要な成分です。
カルシウムが不足すると、カルシウムが骨から取り出される量が多くなり骨粗しょう症になるリスクが高まります。
カルシウムを多く含む食品には、牛乳、チーズ、ヨーグルト、骨も食べられる小魚、豆腐、納豆などがあります。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によるとカルシウムの1日当たりの推奨量は男性18~29歳の場合800mg、30~74歳の場合750mg、75歳以上で700mgです[1]。
女性は18~74歳で650mg、75歳以上で600mgです[1]。
またビタミンDはカルシウムの吸収をサポートするため、ビタミンD不足を改善することで骨粗しょう症の予防に繋がります。
ビタミンDを多く含む食品には、いわしの丸干しやさんま、さけなどの魚類、干ししいたけやきくらげなどのきのこ類があります。
ビタミンDの1日当たりの目安量は、男女共に18歳以上で8.5μgです[2]。
ビタミンKも、骨粗しょう症予防のために摂取したい栄養素です。
ビタミンKを多く含む食品には、ブロッコリーやにら、小松菜、ほうれん草、モロヘイヤなどの野菜類の他、納豆や干しわかめ、鶏もも肉があります。
1日あたりのビタミンKの目安量は男女共に18歳以上で150μgです[2]。
これらの食品を意識的に食卓に取り入れて、骨の形成に必要な栄養を摂取してくださいね。
[1] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
[2] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
ポイント2 日光浴をする
カルシウムの吸収を助けるビタミンDは日光浴をすることで体内で合成されます。
このため骨の健康を保つには太陽の光を浴びることも重要です。
日の当たらない屋内で長時間過ごしている方や、美容のために過度な紫外線対策をしている方はビタミンDが不足している可能性があります。
ビタミンDの摂取する習慣に加え、日光に当たる習慣も付けましょう。
ポイント3 適度に運動する
骨粗しょう症の予防には適度な運動も有効です。
骨の健康を保つにはウォーキングや筋トレなどの骨に刺激を加える運動が勧められます。
筋トレではウォーキングやジョギングなどで鍛えにくい上半身の筋肉を鍛えると良いでしょう。
また体重を片足に乗せてバランスを保つ片足立ちやストレッチなどもおすすめです。
骨粗しょう症の治療中の方や、関節に痛みのある方は運動を始める前に医師に相談してくださいね。
ポイント4 アルコールの過剰摂取を避ける・禁煙する
骨粗しょう症予防のためには喫煙やアルコールの過剰摂取を避けることもポイントです。
喫煙や過度な飲酒が骨にまで影響することをご存じの方は少ないかもしれませんね。
喫煙は骨量の低下を進めるため、骨粗しょう症の発症に直接的に関係しています。
またアルコールは摂り過ぎると、利尿作用によってカルシウムを排せつしやすくしてしまいます。
骨の健康のためにもこれらを避け、骨粗しょう症の予防に努めましょう。
4.定期的に骨密度を確認しよう
骨粗しょう症には痛みなどがないため自覚しにくく、気付いたときには進行してしまっていることも少なくありません。
このため定期的に検査を受けることが勧められます。
特に骨粗しょう症のリスクが高い女性は、骨粗しょう症検診を受けることが重要です。
健康増進法により40~70歳の女性を対象に5歳刻みで検診を行っています[3]。
また自治体や健康保険組合が独自に対象を広げて行っている場合もあるので対象の場合は積極的に検診を利用すると良いでしょう。
また骨粗しょう症ではないかと不安に感じたら、整形外科などを受診してみてくださいね。
[3] 厚生労働省「骨粗鬆症検診を実施している自治体の実地調査」
5.骨粗しょう症の原因についてのまとめ
骨粗しょう症は骨量が低下し骨折しやすくなる病気のことです。
原因には栄養不足や運動不足、加齢、閉経、アルコールの過剰摂取、喫煙、遺伝的素因、病気、薬の服用などが挙げられます。
骨粗しょう症を予防するには、体や骨の健康に必要な栄養素を十分に摂取し、適度に日光を浴び、運動をして、たばこやアルコールを控えることが勧めらます。
骨粗しょう症は発症していても気が付きにくいため、定期的に検査を受けましょう。
ぜひこの記事を参考に、骨の健康を保つ習慣を付けてくださいね。