GABA(ギャバ)とは体内で作られるアミノ酸の一種で、精神を安定させるはたらきなどがあることが分かっています。
GABAの効果や含まれている食品、1日の摂取量の目安について解説します。
また、GABAに関するよくある質問とその答えも紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
1.GABA(ギャバ)とは?
GABAはGamma-Amino Butyric Acidの頭文字をとった略称で「ギャバ」と発音し、日本では「γ-アミノ酪酸」とも呼ばれます。
GABAはアミノ酸の一種であり、人間や動物、植物の体内に存在している物質で、人間の体内でも作られています。
GABAは抑制性の神経伝達物質であり、精神を安定させるはたらきがあるのが特長です。
GABAが不足した状態でストレスを受けると、興奮性の神経伝達物質が過剰分泌し、リラックスできずに緊張状態が続くとされています。
また、GABAにはリラックス効果以外にも、さまざまな効果が期待できることが分かってきました。詳しくは次章で解説します。
【関連情報】 「アミノ酸とは?期待できる効果や食品、摂取する上でのポイントも解説」についての記事はこちら
2.GABAの効果
近年、さまざまな研究でGABAによっていくつかの効果が見込めることが判明してきました。とくに注目したい三つの効果を紹介します。
2-1.緊張やストレスを緩和する
GABAには精神安定作用があり、気持ちを落ち着かせる作用があるとされています。
興奮状態、つまり交感神経が優位になっている状態を抑えてリラックスさせ、緊張やストレスの緩和が見込めるでしょう。
実際にGABAを含む食品を摂取してから脳波を測定すると、α波が上昇することが分かっています。
α波は、人間がリラックス状態にあるときに高まる脳波です。
このことからも、GABAには緊張やストレスを緩和するはたらきがあると考えられます。
2-2.睡眠の質を高める
高齢者を対象とした臨床試験では、夜眠る前にGABAを摂取することで、睡眠の質の向上が期待できることが報告されました。
GABAを就寝の30分前に摂取した高齢者の脳波を小型脳波計によって調べたところ、入眠潜時、ノンレム睡眠時間、起床時の気分が、プラセボと比較して有意に改善したとの報告があります[1]。
このことから、眠る前にGABAを摂取することで、寝つきが良くなり、深い眠りにつけるようになる可能性があります。
また、GABAによってストレス緩和効果が見込めるため、睡眠の質も改善され、さらに良質かつ深い眠りが期待できるでしょう。
2-3.血圧を下げる
交感神経が優位になると、ノルアドレナリンが分泌されます。
ノルアドレナリンは血管を収縮させ、血圧を上げる働きがあるホルモンで、主に感情が高まったときや、体を激しく動かしてストレスを感じたときなどに放出される傾向にあります[2]。
GABAのはたらきによって、ノルアドレナリンの分泌が抑えられると考えられています[3]。
つまりGABAの作用によって、緩やかに血管が収縮するようになり、急激な血圧上昇を抑えることが期待できるのです。
また、血圧が高めの人の血圧上昇を抑えられるだけでなく、血圧が正常値の人の血圧には影響がないことが示唆されており、副作用の危険性が低い成分といえるでしょう[3]。
[3]吉川弥里ほか「GABAの血圧降下作用に対する系統的レビューおよびメタアナリシス」(就実大学薬学雑誌、第7巻 、2020年)
3.GABAが多く含まれている食品
穀類、発酵食品、野菜、果実などはGABAが多く含まれています。GABAが含まれている食品を選んで、普段の食生活から自然にGABAを摂取しましょう。
GABAの含有量については、以下をご覧ください。
食品100g当たりのGABA含有量
食品 | GABA含有量 |
---|---|
発芽玄米 | 5.2mg |
玄米 | 3mg |
奈良漬 | 58mg |
たくあん | 39~95mg |
キムチ | 38~84mg |
トマト(桃太郎) | 57mg |
トマト缶詰(ホール) | 95mg |
大豆もやし | 40mg |
かぼちゃ(西洋かぼちゃ) | 56mg |
じゃがいも | 43mg |
メロン | 63.0~96.3mg |
ぶどう | 17mg |
佐々木泰弘 河野元信「ギャバ(GABA)の効能と有効摂取量に関する文献的考察」(美味技術研究会誌、 No.15:32-37、2010年)、農研機構「食品研究部門 機能性成分含有量データ(抜粋)」をもとに執筆者作成
GABAは、漬物やキムチなどの発酵食品に多く含まれていることが分かります。
また、トマトやかぼちゃなどの緑黄色野菜、メロン、ぶどうなどの果実もGABA含有量が多い食品です。
GABAの摂取量は食生活によっても大きく変わるため、意識的に摂取しないと不足する可能性があります。
普段の食生活を見直し、GABAが多く含まれる食品を重点的に摂り入れていくようにしましょう。
4.GABAの1日の摂取量の目安
GABAの一日の摂取量の目安は30mg以上とされています。
また、GABAの効果は摂取後2~4週間後に現れ、4~8週間後にさらに高まることが報告されています[4]。
そのため、一時的にGABAを摂取したとしても、ストレス緩和効果や睡眠改善効果などを期待できるとは限りません。
GABAの効果を実感するためにも、GABAが含まれる食品を継続的に摂取することが望ましいといえるでしょう。
[4]佐々木泰弘 河野元信「ギャバ(GABA)の効能と有効摂取量に関する文献的考察」(美味技術研究会誌、 No.15:32-37、2010年)
5.GABAの副作用
GABAによる副作用が認められた症例はありません。
日常の食生活から摂取するGABAの量は1日30mg以上と考えられていますが、人によって食生活は異なるため、平均摂取量は不明瞭です[5]。
また、GABAの摂取量が30mgを大きく上回ったとしても、何らかの弊害が見られるわけではありません[5]。
ただし、特定の栄養素を過度に摂取するのは芳しくないため、過剰摂取は控えるようにしましょう。
[5]佐々木泰弘 河野元信「ギャバ(GABA)の効能と有効摂取量に関する文献的考察」(美味技術研究会誌、 No.15:32-37、2010年)
6.GABAに関するよくあるQ&A
- GABAにはどんな効果がありますか?
- GABAを効率的に摂取する方法はありますか?
- GABAが摂れる食品はなんですか?
GABAに関するよくある質問とその答えを紹介します。ぜひご覧になり、疑問解消にお役立てください。
Q. GABAにはどんな効果がありますか?
A. 精神安定効果や血圧降下作用、睡眠の質を改善する効果などが期待できます。
GABAを摂取することで、緊張やストレスを緩和する効果や、ノルアドレナリンの分泌を抑えて、血圧上昇を抑制する効果があるという研究結果があります[6]。
なお、血圧が正常値の人の血圧を過剰に抑制することはないため、血圧値に関わらずGABAを摂取できるでしょう。
また、就寝前にGABAを摂取することで、睡眠の質を改善する効果が見込めることも分かってきています。
[6]佐々木泰弘 河野元信「ギャバ(GABA)の効能と有効摂取量に関する文献的考察」(美味技術研究会誌、 No.15:32-37、2010年)
Q. GABAを効率的に摂取する方法はありますか?
A. GABAを多く含む食品を意識的に摂取したり、サプリメントなどを活用したりできます。
GABAが多く含まれる漬物などの発酵食品やトマト、かぼちゃなどの緑黄色野菜などを意識的に摂取することで、GABAを効率的に摂取できます。
また、食品から摂取できるGABAの量はごくわずかのため、GABAが含まれているサプリメントや機能性食品を活用するのも検討してみましょう。
近年では、GABAを添加したチョコレートやドリンクなど、手軽にGABAを摂取できる機能性食品も増えてきています。
Q. GABAが摂れる食品はなんですか?
A. 奈良漬やキムチなどの発酵食品や、トマトやかぼちゃなどの緑黄色野菜などに多く含まれています。
GABAは、奈良漬やキムチなどの発酵食品や、トマトやかぼちゃなどの緑黄色野菜などに多く含まれています。
また、大豆もやしやメロンなど、さまざまな食品に含まれています[7]。
GABAが多く含まれている食品を意識的に摂取することは大切ですが、食生活が偏らないように注意してください。
[7]農研機構「食品研究部門 機能性成分含有量データ」
7.GABAについてのまとめ
GABAには、ストレスを緩和する効果や血圧上昇を抑制する効果、睡眠の質を改善する効果など期待できます。
健康な生活を実現するためにも、GABAに注目してみてはいかがでしょうか。
トマトやかぼちゃなどの食材にもGABAは多く含まれていますが、普段の食生活だけで十分な量を摂取することは難しいかもしれません。
サプリメントや機能性食品なども活用し、適度な摂取を心掛けましょう。