「筋トレをやっている人はなぜブロッコリーを食べているんだろう?」
筋トレの効果を上げるためにブロッコリーをよく食べる人が多いのは知っていても、その理由がよく分からない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ブロッコリーは野菜のなかでも筋肉を育てるのに必要なたんぱく質やビタミンB6などの栄養素が多く含まれています。
そのため、筋トレをしている方が食べるのに適した食品だとされています。
さらにブロッコリーには食物繊維やビタミンC、カリウムなどの栄養素も豊富に含まれています。
今回の記事ではブロッコリーが筋トレに良い理由、ブロッコリーに豊富に含まれる栄養素について解説します。
また、ブロッコリーの栄養素を効率良く摂るためのポイントもお伝えします。
ブロッコリーに含まれる栄養素をしっかり補給したい方は、ぜひ参考にしてくださいね。
1.筋トレ中にブロッコリーが効果的な理由とは?
「筋トレ中にブロッコリーを食べるとなぜ良いのかな?」
このように気になる方もいらっしゃるかもしれません。
ブロッコリーが筋トレに効果的とされるのは、ブロッコリーに筋肉を鍛えるのに必要なたんぱく質やビタミンB6などのさまざまな栄養素が含まれているからです。
たんぱく質は肉や魚などの食品に多く含まれる栄養素で、体内では筋肉や臓器、皮膚、髪の毛など体の組織を構成するのに使われます。
ほとんどの野菜にはあまり含まれていませんが、ブロッコリーは他の野菜と比べてたんぱく質を多く含む食品として知られています。
またビタミンB6はたんぱく質や脂質などの「代謝」に関わっています。
たんぱく質の摂取量が増えるほどビタミンB6の必要量も増えるため、たんぱく質と併せて補給したい栄養素です。
その他にもブロッコリーにはエネルギーをつくるのに欠かせないビタミンB1やビタミンB2なども含まれています。
また近年ではブロッコリーに含まれる「ケルセチン」というポリフェノールには脂肪の分解を促したり筋肉の減少を抑えたりする作用があることが分かってきています。
これらの作用は動物試験で確認されており、ヒトに対しても同様の効果が期待されています。
このようにブロッコリーは、筋トレで体を動かしたり筋肉を増やそうとしたりする方が摂るのに適した食品であるといえますね。
2.ブロッコリーに豊富に含まれる栄養素とはたらき
ブロッコリーにはたんぱく質やビタミンB群をはじめさまざまな栄養素が豊富に含まれています。
【生のブロッコリーに含まれる主な栄養素とその含有量(100g当たり)】
栄養素 | 含有量 |
---|---|
たんぱく質 | 5.4g |
食物繊維 | 5.1g |
ビタミンB1 | 0.17mg |
ビタミンB2 | 0.23mg |
ナイアシン | 2.0mg |
ビタミンB6 | 0.30mg |
葉酸 | 220μg |
パントテン酸 | 1.42mg |
ビオチン | 13.0μg |
ビタミンC | 140mg |
ビタミンA | 75μg |
ビタミンE | 3.0mg |
ビタミンK | 210μg |
カリウム | 460mg |
カルシウム | 50mg |
マグネシウム | 29mg |
鉄 | 1.3mg |
亜鉛 | 0.8mg |
銅 | 0.10mg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
「ブロッコリーに含まれる栄養素について詳しく知りたい……」
と気になる方もいらっしゃるでしょう。
この章ではブロッコリーに豊富に含まれている栄養素とその作用について詳しく解説します。
なお各章ではそれぞれの栄養素の1日に摂取すべき量を簡単にご紹介していますが、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では年代別に設定されているものをまとめて表記しています。
また妊娠中・授乳中の方は摂取量を増やすべき場合があります。
詳しく知りたい方はそれぞれの章でご紹介している別の記事や、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をご覧ください。
[2] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-1.たんぱく質
ブロッコリーには100g当たり5.4gとたんぱく質が豊富に含まれています[3]。
一般的にたんぱく質は肉類や魚類、卵類、豆類などの食品に多く含まれており、野菜にはあまり多く含まれていませんが、ブロッコリーのたんぱく質含有量は野菜のなかでは多い方です。
たんぱく質は「エネルギー産生栄養素」の一つです。
また筋肉や皮膚、臓器、髪の毛などの材料となるため、筋トレを行う際には補給が欠かせません。
たんぱく質の1日当たりの摂取推奨量は18〜64歳の男性で65g、同じく女性で50gです[4]。
ブロッコリーで1日当たりの摂取推奨量を満たす場合、男性は約1,200g、女性は約930gのブロッコリーを摂取する必要があります。
ブロッコリーのみで1日のたんぱく質を補給するのは難しいため、さまざまな食品から摂るようにしたいですね。
たんぱく質の摂取基準や多く含む食品などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
たんぱく質を多く含む食べ物は?摂取量の目安やおすすめの食材を解説
[3] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-2.食物繊維
ブロッコリーには食物繊維も多く含まれており、100g当たりの含有量は5.1gです[5]。
食物繊維は炭水化物の一種で、ヒトの体内では消化・吸収されない食品成分を指します。
食物繊維は消化されずに大腸まで達して、便の材料となります。
また、体に良いはたらきをする善玉菌の餌となることで繁殖を助け、腸内環境を改善するといわれています。
さらに脂質や糖、ナトリウムなどを吸着して体外に排出するはたらきもあるため、これらが原因となる肥満や生活習慣病などを予防・改善する効果も期待されているのです。
食物繊維の1日当たりの摂取目標量は18〜64歳の男性で21g以上、同じく女性で18g以上です[6]。
理想的な摂取量は1日当たり24g以上とされていますが、現代の日本人の摂取量はこれよりもかなり少なく目標としても達成できないと考えられています[6]。
そのため、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」における目標量は24gと現在の日本人の食物繊維摂取量(中央値)との中間値に基づいて設定されています[6]。
ブロッコリーをはじめ食物繊維を多く含む食品を摂り、摂取量を増やしていくことが重要ですね。
食物繊維のはたらきや摂取基準などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
食物繊維は1日にどのくらい摂ればいい?期待できる効果や食材を紹介
[5] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-3.ビタミンB1
ブロッコリーは「ビタミンB群」の一種であるビタミンB1も豊富に含んでおり、100g中の含有量は0.17mgです[7]。
ビタミンB1は糖質からエネルギーをつくるのに関わる栄養素です。
また筋肉のエネルギー源となる「分岐鎖アミノ酸」の代謝をサポートするはたらきがあります。
分岐鎖アミノ酸について詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
BCAA(分岐鎖アミノ酸)とは?体への効果や摂取のポイントを解説
不足すると主に糖質をエネルギー源としている脳や神経に悪影響を及ぼします。
ビタミンB1の欠乏症として、「かっけ」という病気があります。
現代ではかっけにかかる人はほとんどいませんが、インスタント食品中心の食事や野菜不足、多量の飲酒など偏った食生活をしている方にビタミンB1が不足している「かっけ予備軍」が増加していると考えられています。
ビタミンB1の1日当たりの摂取推奨量は18〜64歳の男性で1.3〜1.4mg、同じく女性で1.1mgです[8]。
ブロッコリーなどの野菜を十分に摂り、不足しないように注意したいですね。
ビタミンB1のはたらきや摂取基準などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB1が豊富に含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
[7] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-4.ビタミンB2
ブロッコリーにはビタミンB2も豊富に含まれ、100g当たりの含有量は0.23mgです[9]。
ビタミンB2はエネルギー代謝に関わる栄養素です。
またビタミンB2は成長を促進し、皮膚や粘膜の健康を維持するのにも役立ちます。
不足すると口角炎や皮膚炎、成長障害などを引き起こす可能性があります。
ただしビタミンB2の不足は単体では生じにくく、他のビタミン不足と同時に起こることが知られています。
ビタミンB2の1日当たりの摂取推奨量は18〜64歳の男性で1.5〜1.6mg、同じく女性で1.2mgです[10]。
筋トレで体をしっかり動かすためにも、ブロッコリーでビタミンB2を補給できるのはうれしいポイントですね。
ビタミンB2のはたらきや摂取基準などについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB2が手軽に摂れる食べ物は何?効果や食事摂取基準も紹介
[9] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-5.ナイアシン
ナイアシンもブロッコリーに多く含まれるビタミンB群の一種で、100g当たりの含有量はナイアシン当量で2.0mgです[11]。
主にエネルギーを産生したり脂肪酸やステロイドホルモンを生合成したりするのに関わっています。
不足すると皮膚炎や下痢などの症状がある「ペラグラ」という重篤な病気を引き起こす可能性がありますが、日本での発症例はほとんどないといわれています。
ナイアシンの1日当たりの摂取推奨量は18〜64歳の男性で14〜15mgNE、同じく女性で11〜12mgNEです[12]。
ナイアシンの摂取基準について詳しく知りたい方は厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をご覧ください。
[11] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-6.ビタミンB6
ブロッコリーにはビタミンB6も豊富に含まれており、100g中の含有量は0.30mgです[13]。
ビタミンB6は主にたんぱく質の構成成分であるアミノ酸の代謝をサポートしています。
そのため、たんぱく質の摂取量が増加するとビタミンB6の必要量も増加します。
また、ビタミンB6は「免疫」機能の維持にも欠かせない栄養素です。
ビタミンB6は不足すると皮膚炎、湿疹、免疫機能の低下などが起こる可能性があります。
ビタミンB6の1日当たりの摂取推奨量は18〜64歳の男性で1.4mg、同じく女性で1.1mgです[14]。
たんぱく質だけではなくその代謝をサポートする栄養素も一緒に摂れるのですね。
ビタミンB6のはたらきや摂取基準などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
[13] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-7.葉酸
ブロッコリーには葉酸も多く含まれており、100g当たりの含有量は220μgです[15]。
葉酸はビタミンB群の一種で、アミノ酸の代謝やたんぱく質の合成、細胞の増殖などに深く関わっています。
葉酸も筋肉を育てるために欠かせない栄養素なのですね。
その他にも動脈硬化の原因となるホモシステインという物質の増加を抑える、胎児の発育をサポートするはたらきもあります。
葉酸の1日の摂取推奨量は18〜64歳の男女共に240μgです[16]。
葉酸を含む食品や摂取基準について詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
葉酸が多く含まれている食べ物とは?効果や摂取基準もあわせて解説
[15] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-8.パントテン酸
ブロッコリーにはビタミンB群の一種であるパントテン酸が多く含まれており、100g当たりの含有量は1.42mgです[17]。
パントテン酸は糖質や脂質の代謝に深く関わっています。
その名はギリシャ語の「どこにでもある酸」という意味の言葉に由来しており、名前のとおり多くの食品に含まれるため不足することはほぼありません。
ただし極端な食事制限や偏った食生活などによりパントテン酸が不足した場合には、疲労、食欲不振、頭痛、手足のしびれなどの症状が見られます。
パントテン酸の1日当たりの摂取目安量は18〜64歳の男性で5〜6mg、同じく女性で5mgです[18]。
パントテン酸の摂取基準について詳しく知りたい方は厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をご覧ください。
[17] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-9.ビオチン
ブロッコリーにはビオチンが豊富に含まれ、100g当たりの含有量は13.0μgです[19]。
ビオチンはビタミンB群の一種で、補酵素としてエネルギー代謝や脂肪酸合成などの反応に関わります。
また炎症を鎮める物質をつくり出しアレルギー症状を緩和する作用を有しています。
不足すると皮膚炎、顔面蒼白(そうはく)、食欲不振、吐き気などを引き起こしますが、ビオチンはさまざまな食品に含まれるため通常の食生活では不足することはありません。
ビオチンの1日当たりの摂取目安量は18〜64歳の男女共に50μgです[20]。
ビオチンの摂取基準について詳しく知りたいという方は厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をご覧ください。
[19] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-10.ビタミンC
ブロッコリーにはビタミンCが豊富に含まれており、100g中の含有量は140mgです[21]。
ビタミンCは水溶性ビタミンの一種で、皮膚、細胞、軟骨などを構成するたんぱく質「コラーゲン」をつくるのに欠かせません。
また「抗酸化作用」を有しています。
ビタミンCが不足すると、血管がもろくなり出血しやすくなる他、疲労や気力低下などの症状が起こります。
悪化すると貧血や筋肉減少、皮下出血などの症状のある「壊血病」を招く恐れがあります。
野菜や果物を摂取する機会が少ない方や偏った食生活を送っている方はビタミンCが不足しやすいため、注意しましょう。
ビタミンCの1日当たりの摂取推奨量は18歳~64歳の男女で100mgです[22]。
ブロッコリーなどの野菜を摂り、ビタミンCを過不足なく補給したいですね。
ビタミンCのはたらきや摂取基準などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンCはどんな食べ物に含まれるの?健康維持に必要な摂取量を解説
[21] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-11.ビタミンA
ブロッコリーにはビタミンAも多く含まれており、100g当たりの含有量はレチノール活性当量で75μgです[23]。
ビタミンAは油に溶けやすい脂溶性ビタミンの一種であり、目や皮膚、粘膜の健康を維持するはたらきがあります。
不足すると皮膚や粘膜の乾燥、夜盲症などを引き起こします。
ビタミンAの1日当たりの摂取推奨量は18〜64歳の男性で850~900μgRAE、同じく女性で650~700μgRAEです[24]。
また習慣的に摂取しても健康被害を生じないと推定される1日当たりの「耐容上限量」は18〜64歳の男性・女性で2,700μgRAEとされています[24]。
ブロッコリーなどの食品からビタミンAを十分に補給したいですね。
ただしサプリメントや大量のレバーなどから摂取し過ぎると、頭痛や目まいといった健康障害を起こす恐れがあるので注意してくださいね。
ビタミンAのはたらきや摂取基準などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンAにはどんな効果がある?目標摂取量とおすすめの食品を紹介
[23] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-12.ビタミンE
ビタミンEもブロッコリーに豊富に含まれる脂溶性ビタミンの一種で、100g中の含有量は3.0mgです[25]。
ビタミンEは天然には「α-トコフェロール」や「β-トコフェロール」などいくつか種類が存在しています。
そのなかでも体内に多く存在しているのは、α-トコフェロールです。
ビタミンEは抗酸化作用を持ちます。
通常の食生活では不足や過剰となることはほとんどありません。
ビタミンEの1日当たりの摂取目安量は18〜64歳の男性で6.0〜7.0mg、同じく女性で5.0〜6.0mgです[26]。
ビタミンEを含む食品や摂取基準などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンEが多く含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
[25] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-13.ビタミンK
ブロッコリーにはビタミンKも多く含まれ、100g中の含有量は210μgです[27]。
ビタミンKは脂溶性ビタミンの一種で、天然のものは緑黄色野菜や海藻類などに含まれるものと腸内細菌によってつくられるものに分けられます。
血液凝固因子を活性化させ、血液凝固を促します。
またビタミンKは骨の形成に関わる栄養素でもあります。
不足すると血液凝固が遅くなるため、出血しやすくなり胃腸からの出血などが起こることがあります。
慢性的に不足すると骨粗しょう症や骨折を引き起こす可能性があります。
ビタミンKの1日当たりの摂取目安量は18〜64歳の男女で150μgです[28]。
ビタミンKも通常の食生活で不足することはほとんどありませんが、日頃からブロッコリーなどで摂取することを心掛けたいですね。
ビタミンKを含む食品や摂取基準などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンKにはどんな効果がある?摂取目安量とおすすめの食材を紹介
[27] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-14.カリウム
ブロッコリーにはミネラルの一種であるカリウムも100g当たり460mgと豊富に含まれています[29]。
カリウムは主に細胞内液に存在し、その浸透圧を一定に保つはたらきをしています。
また神経の伝達や筋肉の収縮、体液の酸性・アルカリ性のバランスの維持にも関わっています。
さらに食塩の主成分であるナトリウムを体内に排出する作用もあるため、ナトリウムを摂り過ぎることによって起こる高血圧の予防・改善に役立ちます。
高血圧について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
高血圧とは?基準値や健康上のリスク、改善のポイントを徹底解説
健康な方において下痢をしたときや大量に汗をかいたときを除いて、カリウム不足による症状が問題となることはありません。
ただし日本人は塩分の摂取量が多いため、積極的なカリウム摂取が勧められています。
カリウムの1日当たりの摂取目安量は18〜64歳の男性で2,500mg、同じく女性で2,000mgです[30]。
ブロッコリーなどのカリウムが豊富な食品を食べるように心掛けましょう。
カリウムを含む食品や摂取基準などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
[29] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-15.カルシウム
ブロッコリーにはカルシウムも豊富に含まれ、100g中の含有量は50mgです[31]。
カルシウムは体内に最も多く含まれるミネラルで、骨や歯に多く存在しています。
また血液や筋肉などにも存在し、筋肉の収縮に関わったり出血した際の血液凝固を促したりしています。
カルシウムが長期にわたり不足すると、骨粗しょう症や高血圧などさまざまな病気を引き起こす可能性があります。
骨の健康を維持するためには欠かせない栄養素なのですね。
カルシウムの1日当たりの摂取推奨量は18〜64歳の男性で750〜800mg、同じく女性で650mgです[32]。
近年の国民健康・栄養調査によると日本人のカルシウム摂取量は男女共に推奨量を満たしていないことから、カルシウムは積極的に摂りたい栄養素といえます。
ブロッコリーをはじめ食品からカルシウムを十分に摂取するようにしましょう。
カルシウムを含む食品や摂取基準などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
カルシウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を解説
[31] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-16.マグネシウム
マグネシウムもブロッコリーに多く含まれるミネラルの一種で、100g当たりの含有量は29mgです[33]。
マグネシウムは骨、歯、筋肉、脳、神経に含まれ、さまざまな代謝をサポートし筋肉の収縮や体温・血圧の調節などに関わっています。
マグネシウムが不足すると骨の形成に影響が出たり、不整脈、虚血性心疾患、高血圧、筋肉のけいれんを引き起こしたりします。
通常の食生活をしていれば不足したり摂り過ぎたりすることはほとんどありませんが、サプリメントや薬によるマグネシウムの過剰摂取は下痢を引き起こす可能性があります。
マグネシウムの1日当たりの摂取推奨量は18〜64歳の男性で340〜370mg、同じく女性で270〜290mgです[34]。
サプリメントに頼り過ぎず、食品からマグネシウムを摂取したいですね。
マグネシウムのはたらきや摂取基準などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
マグネシウムとは?はたらきや食事摂取基準、摂取源となる食品を解説
[33] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-17.鉄
ブロッコリーには鉄が豊富に含まれており、100g当たりの含有量は1.3mgです[35]。
鉄は体内に必要なミネラルの一種であり、赤血球の色素「ヘモグロビン」や筋肉の色素「ミオグロビン」に多く存在しています。
鉄が不足すると、ヘモグロビン濃度が低下し酸素を十分に運ぶことができず「鉄欠乏性貧血」になり食欲不振、頭痛、集中力の低下などの症状を引き起こします。
また筋肉中のミオグロビンが減ることで、筋力低下や疲労の原因にもなるといわれています。
鉄の1日当たりの摂取推奨量は18〜64歳の男性で7.5mg、同じく女性で6.5mgです[36]。
また月経のある成人女性は月経血による鉄の損失があるため、1日当たりの摂取推奨量が10.5〜11.0mgと設定されています[36]。
女性は月経や妊娠で鉄の必要量が増加するため、ブロッコリーで補給できるのはうれしいポイントですね。
鉄を含む食品や摂取基準などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
鉄分が多く含まれる食べ物と効果的な摂り方は?貧血気味の方必見!
[35] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-18.亜鉛
亜鉛もブロッコリーに豊富に含まれており、100g中の含有量は0.8mgです[37]。
ミネラルの一種で、骨や皮膚、肝臓などに存在しています。
亜鉛は体内の多くの酵素に含まれており、たんぱく質の合成や細胞の成長などに関わります。
不足すると味覚障害や皮膚炎、食欲不振などの原因となり、子どもでは成長障害が起こることがあります。
亜鉛の1日当たりの摂取推奨量は18〜64歳の男性で11mg、同じく女性で8mgです[38]。
実は、日本人は高齢者を中心に亜鉛不足の状態にあるとされています。
実際に複数の疫学調査の論文において、日本人の 20-30%が亜鉛欠乏の状況にあると報告されています[39]。
亜鉛が含まれる食品を、意識して食事に取り入れることで、亜鉛不足にならないようにしましょう。
亜鉛が不足しないようにブロッコリーなどでしっかり補給していきたいですね。
亜鉛の効果や摂取基準などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
亜鉛に期待できる効果とは?摂取目安量やおすすめの食品を紹介!
[37] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[39] 神戸 大朋「亜鉛トランスポーターの解析から亜鉛の生理機能を探る」(日本栄養・食糧学会誌 第 76 巻 第 4 号 207‒216(2023))
2-19.銅
ブロッコリーには銅も多く含まれており、100g当たりの含有量は0.10mgです[40]。
銅はヒトの体に必要なミネラルの一種で、主に筋肉や骨に存在しています。
エネルギーの産生や鉄の代謝などにはたらく他、活性酸素の除去にも関わります。
通常の食生活では銅が不足したり過剰摂取したりすることはないといわれています。
しかしサプリメントの利用では過剰摂取になることがあるため、注意が必要でしょう。
銅の1日当たりの摂取推奨量は18〜64歳の男性で0.9mg、同じく女性で0.7mgです[41]。
銅の摂取基準について詳しく知りたいという方は厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をご覧ください。
[40] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
3.ブロッコリーの栄養素を効率良く摂取するコツ
「ブロッコリーの栄養素を効率良く摂取する方法はないかな?」
このように気になる方もいらっしゃるでしょう。
ブロッコリーの栄養素を効率良く摂るためには、できるだけ栄養素を失わない方法で調理をすることがポイントです。
ブロッコリーに含まれる水溶性ビタミンやカリウムなどの栄養素は水に溶けやすく、ゆで過ぎるとゆで汁へ流出しその分の栄養素が摂取できなくなります。
そのため、ブロッコリーを食べる場合は炒めたり電子レンジで加熱したりすると良いでしょう。
またスープなどの料理にすると、流れた栄養素も摂取することができますよ。
もしゆでる場合は、ゆでる時間をできるだけ短くしたり食材を大きく切ったりすることで栄養素の損失を抑えられるでしょう。
また一般的に食べられる「花蕾(からい)」だけではなく茎も一緒に食べるのがおすすめです。
花蕾の部分しか食べず茎は捨ててしまう方も多いのではないでしょうか。
ブロッコリーは茎にも栄養素が含まれているといわれています。
茎は厚めに皮をむき薄く切った状態で、炒めたり塩ゆでしたりするとおいしく食べられますよ。
ブロッコリーをできるだけ捨てずに上手に調理して食べてくださいね。
4.筋トレ中のブロッコリーの摂取についてのまとめ
ブロッコリーは筋肉の材料となるたんぱく質、たんぱく質の代謝に関わるビタミンB6、エネルギーの代謝に関わるビタミンB1・B2を豊富に含んでいます。
そのため、筋トレをしている方が積極的に摂取したい食品の一つといえます。
さらに食物繊維、ビタミンCや葉酸などのビタミン、カリウムや鉄などのミネラルも含まれ、これらの栄養素もヒトの体の健康維持には欠かせません。
このようにブロッコリーは筋トレをしている方に限らず、多くの方にもおすすめの食品だといえるでしょう。
ブロッコリーの栄養素を効率良く摂取するためには、炒めたり電子レンジで調理したりするのがポイントです。
ゆでる場合は、できるだけゆで時間を短くし食材を大きめに切ると良いでしょう。
またブロッコリーの茎にも栄養素が多く含まれているため、茎は破棄せずに皮をむいて一緒に摂取するのがおすすめです。
さらに、農林水産省によってブロッコリーを食卓に身近な野菜として2026年度から「指定野菜」に追加する方針が発表されました[42]。
指定野菜に位置付けることで、生産を計画的に進めて出荷の安定を図る狙いがあるため、食卓に並ぶ機会が増えるかもしれませんね。
今回の記事を参考に、筋トレや健康に役立つブロッコリーを上手に取り入れてくださいね。
[42] 農林水産省「野菜価格安定制度について」