BCAA(分岐鎖アミノ酸)とは?体への効果や摂取のポイントを解説

BCAA(分岐鎖アミノ酸)とは?体への効果や摂取のポイントを解説

2023年02月23日

2024年04月18日

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「BCAAって何だろう?」

「BCAAを摂取するとどんな効果があるんだろう?」

このようにBCAAはどのようなものでどのような効果があるのか気になる方も多いのではないでしょうか。

BCAA(分岐鎖アミノ酸)は、バリン、ロイシン、イソロイシンという3種類のアミノ酸の総称です。

筋肉のエネルギー代謝に関わるため、特にスポーツ選手や日頃から運動をしている方にとって重要な栄養素です。

BCAAを含む食品には肉や魚などがあり、ゆで卵のように手軽に摂ることができる食品もあります。

また摂取する上でのポイントも知っておくと、効率良くBCAAを摂取でき運動の効果を高められるかもしれません。

この記事では、BCAAの効果や多く含む食品、摂取するポイントなどを解説します。

1.BCAAとは

BCAAはバリン、ロイシン、イソロイシンという3種類のアミノ酸の総称です。

アミノ酸とは
たんぱく質を構成する有機化合物です。たんぱく質を構成するアミノ酸はバリン、ロイシン、イソロイシンを含め20種類あり、1種類でも欠けるとたんぱく質をつくることができません。ヒトの体内でつくることができない9種類のアミノ酸を必須アミノ酸といいます[1]。

バリン、ロイシン、イソロイシンは、枝分かれのような構造をしていることから「分岐鎖アミノ酸(Branched Chain Amino Acid)」とも呼ばれており、BCAAはこの略称です。

BCAAは主に運動する際に筋肉のエネルギー源となるため、特にスポーツ選手や運動している方に注目されている栄養素なのです。

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「アミノ酸」

2.BCAAによる体への効果

「BCAAにはどんな効果が期待できるんだろう?」

このようにBCAAの具体的な効果を知りたい方もいらっしゃるのではないでしょうか。

BCAAは主に筋肉をつくったり疲労を軽減したりする効果が期待できるといわれています。

そこでこの章では、BCAAによる体への効果を詳しく解説していきます。

2-1.筋肉の材料となる

ダンベルを持つ男性の腕

BCAAは筋肉の材料となる重要な栄養素です。

筋肉は主にたんぱく質からつくられていることはご存じの方も多くいらっしゃるでしょう。

そのたんぱく質はBCAAをはじめとするアミノ酸からできているため、BCAAは筋肉の材料となるのです。

また、BCAAは筋肉のたんぱく質の合成を促進したり分解を抑えたりする作用があるため、筋肉を増やしたり維持したりすることに役立ちます

筋肉は運動だけではなく日常生活でも重要です。

BCAAはスポーツやトレーニングを頻繁に行う方だけではなく、全ての方にとって欠かせない栄養素といえるでしょう。

2-2.運動パフォーマンスの向上

ジムで運動する女性

BCAAは運動パフォーマンスの向上にも役立ちます

BCAAが運動時に筋肉のエネルギー源となり、運動のパフォーマンスの維持につながるといわれています。

国内で行われた研究では、6日間継続してBCAAを摂取したところ持久的運動のパフォーマンスが向上する可能性があると報告されています[2]。

つまり、BCAAは持久力を高める効果が期待できるのですね。

[2] Keitaro MATSUMOTO, Takashige KOBA, Koichiro HAMADA, Hisaya TSUJIMOTO, Ryoichi MITSUZONO「Branched-Chain Amino Acid Supplementation Increases the Lactate Threshold during an Incremental Exercise Test in Trained Individuals」(『J Nutr Sci Vitaminol』55, 52–58, 2009)

2-3.筋肉疲労の軽減

ジョギングする女性

BCAAは筋肉疲労を軽減する効果も期待できるといわれています。

通常、運動時のエネルギーには体内にある糖やBCAAが利用されます。

しかしBCAAが不足すると筋肉が分解されエネルギー源として使われてしまい、筋肉が損傷したり疲労がたまったりする場合があります。

そこで筋肉の損傷や疲労を軽減させるためには、運動時にBCAAを摂取することが有効であると考えられています。

陸上の長距離選手に対してBCAAの摂取による運動の疲労感や筋肉痛への影響を検証した研究によると、BCAAを継続して摂取することは疲労感や筋肉痛の軽減に効果的であることが報告されています[3]。

BCAAは効率良くトレーニングを行うために必要な栄養素といえるでしょう。

[3] K Matsumoto 1, T Koba, K Hamada, M Sakurai, T Higuchi, H Miyata「Branched-chain amino acid supplementation attenuates muscle soreness, muscle damage and inflammation during an intensive training program」(『J Sports Med Phys Fitness』49(4):424-31)

3.BCAAを含む食品

BCAAは必須アミノ酸の一種であるため、食事から補給する必要があります。

「BCAAはどんな食品に含まれているんだろう?」

実際にどんな食品を摂取したら良いのか分からないですよね。

BCAAは肉類や魚類などといったたんぱく質を豊富に含む食品に含まれています。

肉や魚は種類によって含有量が異なるため、特に多く含まれている食品を食品類ごとにご紹介していきます。

3-1.魚類

赤身魚のお刺身

まずBCAAを含む食品として魚類が挙げられます。

BCAAを多く含む主な魚類は以下のとおりです。

【BCAAを多く含む主な魚類と可食部100g当たりの含有量】

食品名 加工状態など バリン含有量 ロイシン含有量 イソロイシン含有量 BCAA含有量
めばちまぐろ(赤身) 1,400mg 2,000mg 1,200mg 4,600mg
かつお(春獲り) 1,200mg 1,800mg 1,000mg 4,000mg
ぶり 1,200mg 1,700mg 1,000mg 3,900mg
しろさけ 1,200mg 1,700mg 1,000mg 3,900mg
いわし 1,000mg 1,500mg 910mg 3,410mg
まあじ 皮なし、生 1,000mg 1,500mg 900mg 3,400mg
さんま 皮なし、生 960mg 1,400mg 860mg 3,220mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

魚のなかでも、特にまぐろの赤身に多く含まれています

3-2.肉類

肉類もBCAAを含んでいる食品です。

BCAAを多く含む主な肉類は以下のようなものがあります。

【BCAAを多く含む主な肉類と可食部100g当たりの含有量】

食品名 加工状態など バリン含有量 ロイシン含有量 イソロイシン含有量 BCAA含有量
ささみ 1,200mg 1,900mg 1,200mg 4,300mg
鶏むね肉 皮なし、生 1,100mg 1,800mg 1,100mg 4,000mg
豚ロース(赤肉) 1,100mg 1,800mg 1,100mg 4,000mg
牛ヒレ 1,100mg 1,700mg 1,000mg 3,800mg
豚もも肉 1,100mg 1,700mg 980mg 3,780mg
鶏もも肉 皮なし、生 950mg 1,500mg 900mg 3,350mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

肉類では脂身の少ない赤身にBCAAが多く含まれています。

ささみはカロリーが低いため、ダイエットをしている方でも取り入れやすい食品かもしれません。

3-3.卵

卵3つ

BCAAを含む食品として卵も挙げられます。

卵100g当たりのBCAAの含有量は以下のとおりです。

【卵の可食部100g当たりのBCAAの含有量】

食品名 加工状態など バリン含有量 ロイシン含有量 イソロイシン含有量 BCAA含有量
卵黄 950mg 1,400mg 830mg 3,180mg
全卵 820mg 1,100mg 660mg 2,580mg
卵白 740mg 910mg 560mg 2,210mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

このように卵のなかでも、卵黄が最も多くBCAAを含んでいることが分かります。

卵はBCAAをはじめとした必須アミノ酸をバランス良く含んでいることから、良質なたんぱく質と呼ばれています

また、たんぱく質だけではなくビタミンやミネラルなどの栄養素も含まれているため、栄養価の高い食品といえます。

卵について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

卵に含まれるたんぱく質はどれくらい?おすすめの食べ方を紹介!

3-4.乳製品

チーズや牛乳などといった乳製品もBCAAを含む食品です。

それぞれの食品のBCAAの含有量は以下のとおりです。

【BCAAを多く含む乳製品と可食部100g当たりの含有量】

食品名 加工状態など バリン含有量 ロイシン含有量 イソロイシン含有量 BCAA含有量
チェダーチーズ - 1,800mg 2,500mg 1,400mg 5,700mg
プロセスチーズ - 1,600mg 2,300mg 1,300mg 5,200mg
カマンベール - 1,300mg 1,800mg 970mg 4,070mg
ヨーグルト(無糖) - 240mg 350mg 200mg 790mg
普通牛乳 - 210mg 320mg 170mg 700mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

このように乳製品のなかではチーズがBCAAの含有量が多いことが分かります。

3-5.大豆

豆腐と大豆

大豆製品もBCAAを含んでいます。

BCAAを多く含む主な大豆製品は以下のようなものがあります。

【BCAAを多く含む大豆製品と可食部100g当たりの含有量】

食品名 加工状態など バリン含有量 ロイシン含有量 イソロイシン含有量 BCAA含有量
きな粉(黄大豆) - 2,000mg 3,100mg 1,900mg 7,000mg
油揚げ 1,300mg 2,100mg 1,200mg 4,600mg
納豆 - 850mg 1,300mg 790mg 2,940mg
木綿豆腐 - 360mg 600mg 350mg 1,310mg
絹ごし豆腐 - 290mg 470mg 280mg 1,040mg
豆乳 - 180mg 290mg 170mg 640mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

大豆製品では特にきなこに多く含まれています。

しかしきなこは普段の食事で多く摂るのは難しいと考えられるため、油揚げや納豆などからBCAAを補給するのが良いかもしれません。

4.BCAAを摂取するポイント

「BCAAを効果的に摂取するためにはどうしたら良いんだろう?」

このようにBCAAの効果を高めるためにはいつ、どのくらい摂取すれば良いのか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、ここからはBCAAを摂取するポイントをご紹介しましょう。

まず、運動前もしくは運動中にBCAAを補給することがおすすめです。

BCAAは運動時の筋肉のエネルギー源となるため、運動する際に必要量が増えます。

運動パフォーマンスの向上や運動による疲労の軽減の効果を求める場合は、運動前に摂取することが良いと考えられています。

また、国内で行われたBCAAの摂取による運動への影響を検証した研究では、1日2,000mgのBCAAを8日間補給し、運動前にも10,000mg追加補給して運動を行ったところ、運動パフォーマンスにプラスの影響があったことが報告されています[4]。

このことから運動パフォーマンスを向上させるためには、BCAAを毎日継続して摂取することが望ましいといえるでしょう。

運動への効果を目的としたBCAAの摂取量について明確な基準はありませんが、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では1日に必要なBCAAの量を体重1kg当たりの数値で定めています。

【BCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)の体重1kg当たりの1日の必要量】

年齢 バリン ロイシン イソロイシン
18歳以上 26mg 39mg 20mg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

体重50kgの場合、1日のバリン必要量は1,300mg、ロイシン必要量は1,950mg、イソロイシン必要量は1,000mgとなり、BCAAの合計必要量は4,250mgとなります。

ただし普段の食事をきちんと摂っていれば、日常生活でBCAAが不足することはないといわれています。

まずはBCAAを含むさまざまな食品を摂りバランスの良い食生活を送ることを心掛けましょう。

[4] 足立哲司,足立博子,中井聖,豊岡示朗,増原光彦「分岐鎖アミノ酸(BCAA)含有飲料摂取が漸増運動負荷中の生体に及ぼす影響について」(『日本生理人類学会誌』第16巻第4号 165-170)

5.BCAAを手軽に摂れるおすすめの食品

「BCAAを手軽に摂れる食品はないかな?」

近年ではBCAAを含むたんぱく質の多い食品がスーパーやコンビニなどで販売されており、手軽に摂れる食品も増えています。

そこで、この章ではBCAAを手軽に摂れるおすすめの食品をご紹介します。

5-1.サラダチキン

カットしたサラダチキン

まずご紹介するのは、「サラダチキン」です。

サラダチキンは鶏肉を蒸して味付けしたもので、パックの状態でよく販売されています。

主に鶏のむね肉を使用しているため、BCAAを多く含み脂肪が少ないという特徴があります。

さらに比較的安価であることから、多くの方が手に入れやすい食品といえます。

コンビニやスーパーでさまざまな味付けのサラダチキンが販売されており、味に変化をつけることができます。

いろいろな商品を試して取り入れるのも良いでしょう。

5-2.ゆで卵

半分に切ったゆで卵

「ゆで卵」もBCAAを手軽に摂れる食品の一つです。

ゆで卵には100g当たり2,610mgのBCAAが含まれています[5]。

殻をむいてそのまま食べることができるため、手軽に摂れる食品としておすすめです。

さらに卵は低カロリーでもあることから、ダイエットにも適しているでしょう

[5] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

5-3.牛乳

グラスに注がれた牛乳

BCAAを手軽に補給できる食品として「牛乳」も挙げられます。

牛乳は100g当たり700mgのBCAAが含まれています[6]。

卵に比べると少ない量と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、以下のようにコップ1杯の牛乳を飲むと卵1個分と同じくらいのBCAAを補給できることが分かります。

メモ
卵1個分は約40~70gで[7]、牛乳コップ1杯分は約200g[8]であるとされています。

【卵1個分と牛乳コップ1杯分のBCAAの含有量】

食品名 可食部の量 バリン含有量 ロイシン含有量 イソロイシン含有量 BCAA含有量
約40~70g 約330~570mg 約440~770mg 約260~460mg 約1,030~1,800mg
牛乳 約200g 約420mg 約640mg 約340mg 約1,400mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

飲み切りサイズの牛乳も販売されているので、飲み物でBCAAを補給したい場合にはおすすめです。

[6] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

[7] 日本養鶏協会 「鶏卵規格取引要綱」

[8] 一般社団法人 Jミルク 「FACTBOOK 乳たんぱく質のすべて」

5-4.チーズ

スライスチーズ

「チーズ」は乳製品のなかでもBCAAを多く含んでおり、手軽に摂れる食品としておすすめです。

チーズの種類によって異なりますが、スライスチーズなどのプロセスチーズには100g当たり5,200mgのBCAAが含まれています[9]。

チーズは一口サイズの大きさで個包装されている商品もあるため、少量で手軽にBCAAを補給するのに適しています。

その他にもパンに挟んだり他の食品と一緒に焼いたりするのに適したチーズなどもあるため、さまざまな食べ方で取り入れることができますよ。

ただしチーズはカロリーが高く、摂り過ぎると肥満につながる場合があります。

ダイエットをしている方は食べ過ぎに注意が必要かもしれませんね。

[9] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

5-5.プロテイン

プロテインとダンベル

BCAAの補給には「プロテイン」もおすすめです。

プロテインは英語で「たんぱく質」を指し、日本では一般的にたんぱく質補給のためのサプリメントを指す言葉として知られています。

代表的なプロテインには牛乳たんぱく質由来の「ホエイプロテイン」と「カゼインプロテイン」、大豆たんぱく質由来の「ソイプロテイン」があります。

それぞれ異なる特徴を持ちますが、いずれもBCAAを豊富に含んでいるので、目的に応じて自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。

プロテインについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

プロテインとは?たんぱく質を効率的に摂取!種類や飲み方を解説

6.BCAA(分岐鎖アミノ酸)について まとめ

BCAAはバリン、ロイシン、イソロイシンというアミノ酸の総称で、分岐鎖アミノ酸とも呼ばれます

運動時の筋肉のエネルギー源となり、運動パフォーマンスを向上させたり筋肉疲労を軽減させたりするはたらきがあります

そのためスポーツや運動を積極的に行っている方にとって、特に意識して摂りたい栄養素の一つです。

また筋肉量を増やしたり維持したりする効果も期待できるため、日常生活を送る上でも重要な栄養素であるといえます。

BCAAを含む食品にはたんぱく質を多く含む肉や魚、乳製品などがあり、そのなかにはゆで卵やサラダチキンなどといった手軽に摂れる食品もあります。

さまざまな食品からBCAAを過不足なく摂取すると良いでしょう。

さらにBCAAを効果的に摂取するためには、運動前に補給したり毎日継続して摂取したりすることがポイントです。

まずは基本となるバランスの良い食事を心掛けてくださいね

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