「口内炎にはビタミンが効くって本当?」
このように気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。
口内炎にはいくつかの種類があり、ビタミンの摂取不足によって生じることがあります。
そのため、不足しているビタミンを摂取することで口内炎を予防したり改善したりする効果が期待できます。
しかし、口内炎を何度も繰り返し発症するという場合には、ビタミン不足以外にも何か原因がある可能性があります。
そこでこの記事では、口内炎とビタミンの関係やビタミン不足以外で生じる口内炎の原因、口内炎の予防や改善のためのポイントを詳しく解説します。
口内炎を予防して心地良い日々を送れるようにしましょう。
1.口内炎とビタミンの関係
「口内炎とビタミンってどんな関係があるの?」
というのが最も気になるところですよね。
口内炎にはさまざまな原因があり、偏った食生活によるビタミンの摂取不足も口内炎を引き起こすことが分かっています。
なかでもビタミンB2やビタミンB6には皮膚や粘膜を保護するはたらきがあり、不足すると口内炎になるといわれています。
何度も口内炎ができるという方はこれらのビタミンの摂取不足が原因かもしれません。
ビタミン不足によって発生した口内炎は不足したビタミンを補給することで改善が見込めるため、ビタミンB2やビタミンB6は医療機関における治療においても用いられています。
またビタミンCも皮膚や粘膜の健康維持を助けるはたらきをしているため、不足によって口内炎が生じるといわれています。
それぞれのビタミンについてはこの後詳しく紹介します。
2.口内炎の予防や改善に効くビタミン
「口内炎ができやすいときにはどのビタミンを摂ったら良いんだろう?」
このように気になっている方も多くいらっしゃることでしょう。
そこでここでは口内炎の予防や改善に効果的なビタミンを紹介しましょう。
2-1.ビタミンB2
ビタミンB2は皮膚や粘膜を守るはたらきをするため、口内炎の予防や改善に効果的です。
またエネルギー代謝などにも関わります。
以下にビタミンB2を多く含む食品を紹介しましょう。
【ビタミンB2を多く含む食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
豚レバー | 生 | 3.60mg |
牛レバー | 生 | 3.00mg |
鶏レバー | 生 | 1.80mg |
アーモンド | いり、無塩 | 1.04mg |
うなぎ | 蒲焼き | 0.74mg |
パルメザンチーズ | - | 0.68mg |
アーモンドチョコレート | - | 0.64mg |
魚肉ソーセージ | - | 0.60mg |
ビタミンB2はレバーや海藻などに多く含まれているのですね。
ビタミンB2は体内に蓄えることができないので、口内炎を予防するにはこまめに摂取することが重要です。
これらの食品を毎日の食事に上手に取り入れてみましょう。
1日に摂取すべきビタミンB2の量や摂取源となる食品について詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
2-2.ビタミンB6
続いて紹介するのはビタミンB6です。
ビタミンB6も皮膚や粘膜の健康を維持する効果が期待でき、口内炎の予防に役立ちます。
またたんぱく質や脂質、炭水化物などの代謝に補酵素として関わったり、ホルモンを調節したり、免疫機能の維持において重要なはたらきを果たしたりしています。
ビタミンB6を多く含む食品は以下のとおりです。
【ビタミンB6を多く含む食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
牛レバー | 生 | 0.89mg |
くろまぐろ(赤身) | 生 | 0.85mg |
めばちまぐろ(赤身) | 生 | 0.76mg |
かつお(春獲り) | 生 | 0.76mg |
鶏レバー | 生 | 0.65mg |
さけ(しろさけ) | 生 | 0.64mg |
きはだまぐろ | 生 | 0.64mg |
ささみ | 生 | 0.62mg |
まさば | 生 | 0.59mg |
さんま | 皮なし、生 | 0.58mg |
豚レバー | 生 | 0.57mg |
鶏むね肉 | 皮付き、生 | 0.57mg |
ビタミンB6はまぐろなどの魚介類に多く含まれているのですね。
肉類や魚類などの動物性食品は脂質も多く含むため、植物性食品と合わせてバランス良く取り入れることが大切です。
1日に摂取すべきビタミンB6の量やビタミンB6の過不足の影響などについて知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
2-3.ビタミンC
最後に紹介するのはビタミンCです。
ビタミンCにはコラーゲンの生成を助け、皮膚を正常に保つ効果が期待できます。
またビタミンCは増え過ぎると老化や肌のシミ・しわ・たるみ、免疫力の低下、がん、生活習慣病などの原因となるといわれている「活性酸素」のはたらきを抑える作用「抗酸化作用」を持ち、消化管で鉄の吸収を高めるはたらきもしています。
ビタミンCは以下のような食品に豊富に含まれます。
【ビタミンCを含む野菜と可食部100g当たりの含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
パプリカ(赤) | 生 | 170mg |
パプリカ(黄) | 生 | 150mg |
ブロッコリー | 生 | 140mg |
キウイフルーツ(黄肉種) | 生 | 140mg |
レモン | 生 | 100mg |
カリフラワー | 生 | 81mg |
トウミョウ | 生 | 79mg |
ピーマン | 生 | 76mg |
キウイフルーツ(緑肉種) | 生 | 71mg |
甘柿 | 生 | 70mg |
モロヘイヤ | 生 | 65mg |
いちご | 生 | 62mg |
オレンジ(ネーブル) | 生 | 60mg |
水菜 | 生 | 55mg |
れんこん | 生 | 48mg |
西洋かぼちゃ | 生 | 43mg |
小松菜 | 生 | 39mg |
キャベツ | 生 | 38mg |
ビタミンCは果物や野菜に多く含まれていることが分かりますね。
ビタミンB2やビタミンB6を含む食品とバランス良く取り入れましょう。
ビタミンCのはたらきや1日に摂取すべき量、ビタミンCにまつわる噂の真相などについて知りたい方は以下の記事をご覧ください。
3.ビタミン不足以外の口内炎の原因
「ビタミン不足以外に口内炎の原因は何があるんだろう?」
このように気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。
口内炎にはいくつか種類があり、ビタミン不足以外の原因で生じるものもあります。
そこでここではビタミン不足以外の原因で生じる口内炎の種類とその原因について解説しましょう。
原因1 疲労やストレス
疲労やストレスによって免疫機能が低下することでも口内炎ができることがあります。
このような原因で生じる口内炎にはアフタ性口内炎が挙げられます。
アフタ性口内炎は円形もしくは楕円(だえん)形で、白っぽい色をしていることが特徴です。
また、アフタ性口内炎は口内炎のなかでも最も発症頻度が高いといわれています。
誰もが一度は経験したことがある口内炎かもしれませんね。
原因2 ウイルスや真菌による感染
「単純ヘルペス」などのウイルスや「カンジダ」などの真菌(カビ)に感染することでも口内炎ができることがあります。
単純ヘルペスウイルスには「HSV-1」と「HSV-2」があり、このうち口内炎の原因になるのはHSV-1です。
HSV-1に感染するとウイルスが神経のなかに潜伏し、免疫機能の低下などを機に唇の口内炎を引き起こすことがあります。
HSV-1による口内炎では、高熱が数日間続いた後、唇や舌の裏に小さな水疱(すいほう)がいくつもできることが特徴です。
一方、カンジダは真菌の一種で、口腔(こうくう)内や膣、消化管などに生息しています。
通常であれば過剰に増えることはありませんが、不衛生な環境や妊娠、抗生剤の長期内服などの要因によって増殖し、口内炎を発症することがあります。
カンジダ性口内炎は、口腔内のあらゆる部位に白くて軟らかいコケ状の斑点ができ、赤くただれることが特徴です。
口内炎の予防には免疫機能の低下だけでなく、感染対策にも注意が必要といえますね。
またこれらに当てはまる症状が出た場合には、速やかに医療機関を受診しましょう。
4.口内炎の予防や改善のポイント
「ビタミンの摂取以外にも口内炎の予防に役立つことってあるのかな?」
というのも気になるところですよね。
そこでここでは口内炎の予防や改善のポイントを三つ紹介しましょう。
ポイント1 口腔内を清潔に保つ
口内炎の予防や改善には、口腔内を清潔に保つことが重要です。
歯垢や歯石にも細菌が多く含まれ、口腔内の細菌が繁殖することで口内炎を引き起こすことがあります。
そのため、口腔内を清潔に保つことは口内炎の予防や改善において最も重要なポイントといえるでしょう。
普段の歯磨きを丁寧に行うことも重要ですが、出先などで食後すぐに歯磨きができない状況のときには、うがいをすることも効果的です。
食後歯磨きをしないでいると口腔内に食べかすが残り細菌が増えることがありますが、うがいをすることで口内環境が整い、口内炎の予防につながります。
また、普段の口腔ケアの際は粘膜などを傷つけないよう、歯ブラシを小刻みに動かして優しく丁寧に磨くことも大切です。
歯磨きだけでなく、歯間ブラシなどを活用して歯と歯の隙間に食べかすが残らないよう気を付けましょう。
この他、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることも重要です。
口腔ケアについては以下の記事で詳しくご説明しています。
ポイント2 刺激物やアルコール、甘いものの摂取を控える
口内炎ができているときは、刺激物やアルコール、甘いものの摂取に注意が必要です。
辛いものや熱いもの、味の濃いもの、炭酸飲料などの刺激物は口腔内を刺激し、口内炎を悪化させる恐れがあります。
また、アルコールや甘いもの、糖質の多いものは、体内で分解される際に粘膜の健康に関わるビタミンB群を多く消費してしまうため、刺激物と同様に口内炎を悪化させる原因になります。
口内炎ができているときには、このような食品をできるだけ避けるようにしましょう。
ポイント3 ストレスや疲労をため込まない
ストレスや疲労をため込まないことも重要です。
強いストレスがかかると、体内ではビタミンB1が大量に消費されるといわれています。
ビタミンB1が不足することで粘膜が傷つき、炎症を引き起こすことがあるのです。
また疲れがたまると「新陳代謝」が滞り、口腔内の粘膜が再生される力を弱めてしまいます。
そのため、ストレスや疲労を避けることも口内炎の予防や改善に重要といえるでしょう。
ストレスを解消するには、好きなことや趣味を楽しんだり、軽い運動を習慣付けたりすることが有効です。
また、疲労回復のためには生活リズムを整え、良質な睡眠を取ることも心掛けましょう。
ストレスとの付き合い方や発散方法についてや、良い睡眠を取るためのポイントは以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてくださいね。
睡眠は時間だけでなく質も重要!ぐっすり眠るための6つの秘訣とは?
5.症状が長引く場合には医療機関を受診しよう
さまざまな対策を行っても症状が長引く場合には、医療機関を受診しましょう。
口内炎と思っていても、なかなか治らない場合にはヘルペスやカンジダの感染が原因である可能性や、何らかの病気で症状が出ている可能性があります。
口内炎と間違えやすい病気として「舌がん」や「白板症」などがあります。
一般的に口内炎は一時的なものですが、舌がん・白板症の場合は自然には治りません。
また口唇ヘルペスの場合、症状は数日で治まるものの、一度感染するとウイルスを完全に取り除く方法はなく再発を繰り返すため、抗ウイルス薬による治療が勧められます。
口腔カンジダは自然治癒する場合もありますが、放置すると難治性のカンジダになるリスクが高まるといわれているためきちんと治療することが重要です。
口内炎が治りにくい場合や痛みが強く日常生活に支障を来す場合には、早めに受診しましょう。
6.口内炎に効くビタミンについて まとめ
口内炎のなかにはビタミンの摂取不足によって起こるものがあります。
口内炎の予防や改善には、口腔粘膜の健康を維持する上で重要なビタミンB2やビタミンB6、ビタミンCを積極的に取り入れるようにしましょう。
ビタミンB群は動物の内臓や魚類などに多く含まれますが、このような食品は脂質も多く含むため、植物性食品とバランス良く取り入れることも重要です。
また、口内炎の原因にはビタミン不足の他にヘルペスやカンジダなどの感染、ストレスなどが挙げられます。
予防や改善のためにはビタミン類の摂取だけでなく、口腔内を清潔に保ったり刺激物やアルコール、甘いものの摂取を避けたりする他、ストレスや疲労をためないことも心掛けましょう。
この他、口内炎がなかなか治らない場合や日常生活に支障を来すほどの痛みがある場合には、早めに口腔外科を受診するようにしましょう。