「ホットフラッシュってなんだろう?」
「この症状はホットフラッシュなのかな……」
このように気になっている方も多いのではないでしょうか。
ホットフラッシュは代表的な更年期障害の症状の一つで、急に顔が熱くなる、汗が止まらなくなるといった症状のことをいいます。
どのように対処すれば良いのか分からずお困りの方もいらっしゃるかもしれませんね。
この記事ではホットフラッシュの定義や原因、快適に過ごすためのポイントについて詳しく解説します。
1.ホットフラッシュとは
ホットフラッシュとは更年期障害で見られるのぼせや火照り、発汗といった症状の総称です。
汗と体温の調整がうまくできなくなり、急に顔や上半身が熱くなる、汗が止まらなくなるといった症状が現れます。
症状は個人差が大きく、1日に何度も起こることもあれば週に数回だけということもあります。
「更年期ってよく聞くけど、いつからいつまでのことなの?」
と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
更年期は一般的に閉経前の5年間と閉経後の5年間を合わせた10年間のことを指します[1]。
更年期に現れるさまざまな症状のうち、他の病気を原因としないものを更年期症状といい、そのうち日常生活に支障を来すほど重いものを更年期障害といいます。
更年期障害は女性ホルモンのエストロゲンが大きく変動しながら低下していくことが原因で起こります。
その他にも加齢などの身体的な要因や性格、成育歴などの心理的な要因、人間関係などの社会的要因が関わっているといわれています。
更年期障害にはホットフラッシュの他にも、目まいや動悸(どうき)、頭痛、肩こり、冷え、しびれ、疲れやすさといった身体症状があります。
また気分の落ち込みや意欲の低下、イライラ、情緒不安定、不眠などの精神症状も見られます。
[1] 公益社団法人 日本産科婦人科学会「更年期障害」
【関連情報】 「更年期障害とは?さまざまな症状や発症の要因、治療法を徹底解説」についての記事はこちら
2.ホットフラッシュが起こる原因
「どうしてホットフラッシュが起こるんだろう?」
このように気になっている方もいらっしゃいますよね。
実は、ホットフラッシュや、更年期障害が生じるメカニズムは詳細には分かってはいません。
大きな原因はエストロゲンの急減だといわれていますが、エストロゲンの影響は全身に及び、非常に複雑にはたらいていることから、症状の一つ一つが体内でどのように生じているのか、原因を特定することは困難だとされているのです。
しかし現在解明されている範囲では、ホットフラッシュはエストロゲンが減少し、自律神経が乱れることで起こると考えられています。
エストロゲンは脳からの指令によって卵巣から分泌されます。
しかし更年期が近づくと卵巣の機能が衰え、エストロゲンの分泌が減っていきます。
脳はエストロゲンを出すように卵巣に命令を出しますが、卵巣は機能が低下しているため十分な量のエストロゲンを分泌することができません。
すると脳はさらにエストロゲンを分泌するよう必要以上の命令を出すなど暴走を始めます。
卵巣はそれに過剰に感応し、体内でエストロゲンの分泌量が増えたり減ったりと大きく変動します。
これによりエストロゲンの揺らぎに脳が混乱してしまい、その影響で脳がつかさどっている自律神経もうまくコントロールできなくなります。
このため血管の収縮・拡張の機能がうまくはたらかなくなり、ホットフラッシュが生じるのです。
3.ホットフラッシュが起こった際の対処のポイント
「顔のほてりを何とかしたい……」
「突然汗が出てきて困るな……」
ホットフラッシュの症状が突然現れると困りますよね。
ホットフラッシュはうまく対処することで症状を和らげることができます。
ここではホットフラッシュが起こった際の対処のポイントについてご紹介します。
ポイント1 体を冷やす
ホットフラッシュが起こったら保冷剤や冷却シート、濡れたタオルなどで体を冷やしましょう。
特に太い血管が通っている首を集中的に冷やすと、より体温が下がりやすくなりますよ。
冷やすものがないときは、冷たい飲み物を買って首に当てるのも良いでしょう。
ホットフラッシュが起こりやすい方は体を冷やすためのグッズを持ち運んでおくと安心ですね。
ポイント2 服で体温調節する
ホットフラッシュが起こったときのために、服で体温を調整できるようにしておきましょう。
ホットフラッシュは気温や場所に関係なく突然生じるものです。
服を脱いで体温調節できるように、前開きの服など着脱しやすいものを着ておくと良いでしょう。
また汗をかいたときのために通気性の良い素材の服を着用することも大切です。
ポイント3 腹式呼吸でリラックスする
腹式呼吸をすることもホットフラッシュの対策として有効です。
腹式呼吸には自律神経を整えリラックスさせる作用があります。
ホットフラッシュが起こったらおなかをへこませながら口からゆっくり息を吐き、胸を膨らませながら息を吸うという動作を数回繰り返しましょう。
息を吐くときは吸うときの倍くらいの時間をかけるのがポイントです。
日頃から深い呼吸を心掛けることで自律神経が乱れにくくなる効果も期待できますよ。
4.ホットフラッシュを予防し快適に過ごすポイント
「ホットフラッシュを予防する方法ってあるのかな?」
ホットフラッシュを予防するためには、自律神経のバランスを整えることが大切です。
この章ではホットフラッシュを予防するためのポイントについて解説します。
ポイント1 適度な運動を行う
ホットフラッシュを予防するためには、適度な運動を行うことが大切です。
適度な運動を行うと自律神経のバランスが保たれやすくなり、ホットフラッシュの頻度や程度を軽減する効果が期待できます。
特に有酸素運動は自律神経を整え、呼吸器や循環器にも良い影響を与えます。
運動することでよく眠れるようになったり気分転換になったりもしますよ。
ウォーキングなど手軽に取り入れられる運動から生活に取り入れてみてくださいね。
有酸素運動について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
有酸素運動の8つの効果とは?おすすめの運動や効果を高めるコツ
ポイント2 ストレスをためない
ストレスをためないこともホットフラッシュの予防につながります。
ホットフラッシュには心理的な要因も影響しているため、ストレスを解消することが大切です。
趣味に打ち込んだり、やりがいのある仕事に取り組んだりしてストレスをためないようにしましょう。
静かな場所でゆっくりする時間を設けてリラックスするのもおすすめですよ。
ストレスの発散に効果的な方法を知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ストレス発散に効果的な方法は?手軽にスッキリできるおすすめ解消法
ポイント3 刺激物を控える
ホットフラッシュを予防するために刺激物は控えましょう。
ホットフラッシュは体温の調節機能がうまくはたらかないことで起こり、わずかな刺激でも引き起こされやすいものです。
刺激となりやすい物としては辛い食べ物やカフェイン、アルコール、たばこなどがあります。
ホットフラッシュが起こりやすい場合は、症状が落ち着くまで刺激物は避けるようにしてくださいね。
ポイント4 アルコールを控える
アルコールを控えることもホットフラッシュの予防になります。
アルコールは血管を拡張させたり体温調整を妨げたりするため、ホットフラッシュを引き起こすことがあります。
ホットフラッシュが起こりやすい方はアルコールを飲まないようにするか、量を減らすと良いでしょう。
5.ホットフラッシュが起こる場合は受診しよう
ホットフラッシュと思われる症状が見られた場合、自己判断せずに受診することが大切です。
更年期にはさまざまな病気が起こりやすいものです。
ホットフラッシュに似た症状を引き起こす病気として甲状腺機能亢進症や高血圧、糖尿病などが挙げられます。
医療機関で検査を受けて、ホットフラッシュの症状が他の病気によるものでないことを確認してください。
何科を受診すれば良いのか悩む場合、まずは婦人科を受診すると良いでしょう。
更年期特有の不調だと分かれば、適切な治療を受けることができます。
更年期障害の薬物療法として、ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬の投与、向精神薬の投与があります。
特にホルモン補充療法はホットフラッシュに有効だといわれています。
漢方薬では「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」や「加味逍遙散(かみしょうようさん)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」などがよく用いられ、心と体のバランスを整える効果が期待されていています。
ホットフラッシュのような身体的症状の他に気分の落ち込みや意欲の低下などの精神症状が見られる場合は、向精神薬が用いられることもあります。
ホットフラッシュの症状がひどかったり長引いたりする場合は、我慢せずに受診してくださいね。
6.ホットフラッシュについてのまとめ
ホットフラッシュとは更年期障害で見られるのぼせや火照り、発汗といった症状の総称です。
急に顔や上半身が熱くなる、汗が止まらなくなるといった症状が見られます。
ホットフラッシュはエストロゲンの減少により自律神経が乱れ、血管の収縮・拡張の機能がうまくはたらかなくなることが原因で起こります。
ホットフラッシュが起こった場合は保冷剤や冷却シートで首筋などを冷やしたり、服で体温を調節したりしてください。
また腹式呼吸をしてリラックスするのも良いでしょう。
ホットフラッシュを予防するためには適度な運動を行うこと、ストレスをためないこと、辛い食べ物やアルコール、カフェインといった刺激物を控えることが大切です。
ホットフラッシュがひどい場合は我慢せずに受診し、適切な治療を受けてくださいね。
この記事の内容をホットフラッシュの対策や予防のための参考にしてくださいね。