「最近、食欲が湧かない気がするけどこれは異常なのかな?」
このように食欲がないことを心配されている方もいらっしゃるかもしれませんね。
食事をしていないにもかかわらず、食欲が低下したり喪失したりした状態のことを「食欲不振」といいます。
また食べたいという気持ちがあっても、少量しか食べられない場合も食欲不振といいます。
食欲不振は多くの方が経験するもので、そのほとんどは一時的であり数日すれば食欲が元に戻るようになります。
しかし食欲不振が長く続く場合は心身に異常を来している可能性があります。
食欲不振を招く原因は病気や生活習慣、温度変化、社会的要因、薬の副作用などさまざまです。
この記事では、食欲不振の具体的な原因について詳しく解説します。
また食欲が湧かないときの食事の摂り方のポイントや、食欲不振が続くときの受診の目安も解説します。
食欲不振に適切な対処をするためにも、この記事を参考にしてくださいね。
1.食欲不振とは
「いざ食べようとしてもすぐにおなかがいっぱいになる……」
「食欲不振に医学的な定義はあるのかな?」
このようにお悩みの方もいらっしゃいますよね。
食欲不振とはものを食べたいという欲求がない状態、また食べたいという気持ちがあっても少ししか食べられない状態のことを指します。
「食欲低下」や「食欲減退」と呼ばれる場合もあります。
ヒトが長時間、食事を摂らないでいると血糖値が下がります。
血糖値が下がると空っぽの胃が収縮し、脳の視床下部に位置する「摂食中枢」が刺激されて空腹を感じます。
おなかが空いたときにグーという音が鳴るという経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
これは胃が収縮したときに鳴る音です。
食欲不振は多くの方が経験しますが、その程度や継続期間には個人差があります。
また食欲不振になる原因はさまざまにあり、複数の原因が重なっていることもあります。
2.病気以外の食欲不振の原因
「食欲が湧かないのはどうしてだろう?」
食欲不振の原因が分からずにお困りの方もいらっしゃいますよね。
ここでは、病気以外の食欲不振の原因について解説します。
2-1.ストレス
ストレスが食欲不振を招くことがあります。
悲しみや不安、焦燥感などの精神的ストレスを抱えている方や抑うつ状態にある方は、自律神経が乱れて摂食中枢がうまくはたらかずに、食欲を感じにくくなることがあります。
またストレスによって食べても味を感じない味覚障害を起こす場合もあります。
味を感じにくくなることで、食欲が低下してしまうのです。
ストレスによって胃のはたらきが低下すると消化不良を招いたり、胃酸が出過ぎたりしてしまいます。
このため、胃の痛みを感じやすくなり食べる量も減ってしまうのです。
2-2.不規則な生活
不規則な生活が食欲不振の原因になることがあります。
不規則な生活では自律神経のバランスが乱れます。
夕食の時間が遅くなった日の翌朝に、胃もたれや胃痛がして朝食が食べられなかったという経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
胃は深夜から明け方にかけての就寝中に、胃に残った食べ物のカスを腸へと送り出します。
しかし夜遅い時間に食事をすると胃の中に食べ物が残ってしまい、胃もたれを招きます。
夜間の食事は食欲不振につながるのです。
2-3.便秘・下痢
便秘や下痢は食欲不振を招くことがあります。
便秘が続くとおなかが張って苦しくなり、食欲不振を引き起こします。
また下痢が続くと脱水や栄養障害を引き起こしたり、肛門の周りに痛みや炎症が起こったりして、心身ともに負担がかかります。
その結果、食欲不振になってしまうのです。
2-4.加齢
加齢が食欲の変化をもたらすことがあります。
加齢と共に筋力が低下し外出がおっくうになると、運動量も減りおなかが空きにくくなります。
また運動量が減ることでエネルギー必要量も減少し、食欲が湧かないことがあるのです。
また加齢と共に胃腸のはたらきが悪くなることで消化・吸収の機能が低下し、下痢をしやすくなります。
さらに腸のはたらきが鈍くなると便秘になり、食欲が湧かなくなることもあります。
他には高齢になると味を感じる細胞の数が減るため、塩味や甘味を感じにくくなることも食欲の変化を招く原因となります。
また味覚だけではなく嗅覚も低下するため、さらに味を感じにくくなってしまうのです。
さらに、加齢と共に食べ物を噛み砕いたり飲み込んだりする力が低下することで、誤嚥(ごえん)を起こすことがあります。
誤嚥を経験すると、食べることが不安になったり楽しめなくなったりして、食欲不振を招いてしまうのです。
また唾液の分泌量が低下するため、食べ物を口の中でうまくまとめられずに食べづらさを感じやすくなることも食欲が湧かなくなる原因の一つです。
このように、誤嚥をしてしまうのではないかという不安や、食べづらさから食欲不振を招くことがあるのです。
2-5.飲酒
飲酒が食欲不振を招くことがあります。
アルコールの過剰摂取は、肝臓に負担をかけます。
肝臓にはアルコールを分解するはたらきがあるため、アルコールを摂り過ぎると肝臓に負担がかかり解毒作用が低下していまいます。
肝臓に負担がかかると体にさまざまな不調をもたらす場合があります。
肝臓はアルコールなどの有害物質を排せつするはたらきの他に、吸収された栄養素を体のエネルギー源としてつくりかえるといったはたらきも担っています。
このため、肝臓のはたらきが低下すると体に必要なエネルギー源をつくりだすことができず、有害物質が蓄積し、食欲が湧かない、体がだるい、眠いなどの不調が起こるのです。
2-6.温度変化
温度変化が食欲不振を招くことがあります。
温度や体温の上昇は満腹中枢を刺激するため、食欲不振の原因となります。
例えば初夏でも猛暑日のような気温が続くなど、気温の変化に体が対応できずに夏バテなどによって食欲不振に悩む方も少なくありません。
また季節の変わり目の大きな気温の変化や、室内と室外の温度差が大きいことは自律神経の乱れにつながり、食欲不振やだるさ、疲労を招くことがあります。
2-7.社会的要因
孤独であることや、食事のための買い物や準備ができないことなど、社会的要因により食欲不振を招くことがあります。
特に、高齢になると家族や友人の死により孤独を感じたり、入院したり施設に入ったりすることにより環境が変化したりすることがあります。
その結果、一人の食事や慣れない環境で食事のおいしさや楽しさを感じられずに、食欲が低下することがあります。
さらに、生きがいなどを失うことで食欲が湧かなくなることもあります。
2-8.薬の副作用
薬の副作用で食欲不振になることがあります。
特に痛み止めや強心剤、抗がん剤、向精神薬、抗生物質、漢方薬などが食欲を低下させる場合があります。
薬の副作用で食欲不振になっている可能性が考えられる際は、まずはかかりつけ医に相談すると良いでしょう。
3.食欲不振の原因となる病気
「病気が原因で食欲不振になることもあるのかな?」
消化器系疾患や精神疾患などが原因で食欲不振になる場合があります。
ここでは食欲不振の原因となる病気について具体的に解説します。
3-1.消化器系疾患
食欲不振を招く体の問題として多いのは、消化器系の不調や病気です。
まずは、食欲不振の原因となる消化器系の疾患について詳しく解説します。
3-1-1.過敏性腸症候群
食欲不振の原因となる消化器疾患の一つに「過敏性腸症候群」があります。
過敏性腸症候群は腸自体に異常はないにもかかわらず、腹痛や下痢、便秘を繰り返す病気です。
これらの症状のために日常生活に支障を来すことも少なくありませんが、過敏性腸症候群の原因は明らかになっていません。
ただ、精神的なストレスや不安、緊張が自律神経のバランスを崩し、腸の運動や消化液の分泌活動が過剰になって下痢や便秘を引き起こすといわれています。
ストレスは自律神経を刺激して、腸の運動を異常にしてしまうのですね。
さらに腸での消化・吸収や便の排泄には、便を肛門方向に動かす腸の収縮運動と、腸の変化を感じ取る知覚機能が必要です。
これらのはたらきは脳と腸が互いに影響し合うことでうまく調整されていますが、ストレスなどにより腸の収縮運動が激しくなると、腸が痛みを感じやすい状態になるのです。
その他、細菌やウイルスにより感染性腸炎にかかった場合、回復後に過敏性腸症候群になりやすいことも分かっています。
感染によって腸に炎症が起こり、腸の粘膜が弱くなったり、腸内細菌のバランスも変わったりすることで腸の運動と知覚機能が敏感になるのです。
便秘や下痢が長期間続く場合は、過敏性腸症候群の可能性もあるため医療機関を受診することが勧められます。
3-1-2.機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシアは食欲不振につながる病気の一つです。
胃自体に症状の原因となるものはないにもかかわらず、胃痛や胃もたれなどの症状が続く病気です。
胃が熱く感じる灼熱感や、すぐに満腹を感じる早期満腹感なども症状として挙げられます。
原因としては、胃や十二指腸の運動障害や知覚過敏、胃酸の影響などが挙げられます。
ストレスや不眠、遺伝的要因、食生活の乱れなどの生活習慣が原因となる場合もあります。
機能性ディスペプシアの原因はさまざまにあるといわれており、一つだけではなくいくつか組み合わさって起こるともいわれています。
治療によって症状が改善すれば日常生活も過ごしやすくなりますので、我慢せずに早めに治療を受けましょう。
3-1-3.逆流性食道炎
逆流性食道炎が食欲不振を招くことがあります。
逆流性食道炎は胃液が食道に逆流し、食道の粘膜がただれてしまう病気です。
胃酸は胃から分泌され食物の消化を助けるはたらきをしています。
普段、胃の粘膜は胃酸が直接粘膜に触れないように粘液などで守られており、胃自体が胃酸によって消化されることはありません。
しかし食道の胃酸に対する保護機能は胃に比べて弱く、食道に逆流した胃酸によって食道粘膜はすぐに傷ついてしまいます。
食道が長く胃酸にさらされることで食道粘膜がただれ、逆流性食道炎を招くのです。
症状としては、胸焼けやげっぷが一般的で、その他胸痛や慢性の咳、喉の不快感、睡眠障害などが出る場合もあります。
重症になると、症状がなくても食道出血によって貧血になったり、食道狭窄を合併したりすることがあります。
胸焼けなどの症状が日常生活に影響を及ぼし、特に食事を十分楽しむことができなくなってしまいます。
日常生活を健康的に過ごすためにも、適切な治療をすることが大切です。
3-1-4.慢性胃炎
慢性胃炎が食欲不振の原因になることがあります。
慢性胃炎とは、胃粘膜に炎症が繰り返し起こっている状態です。
原因のほとんどはピロリ菌の感染で、ピロリ菌を除去することで改善する場合が多くあります。
症状としては、食欲不振や胃の不快感やもたれ、食後の腹痛、吐き気などが挙げられます。
3-1-5.胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃潰瘍や十二指腸潰瘍が食欲不振を招くことがあります。
胃潰瘍とは胃酸によって胃の壁が傷つき痛み、出血を起こしている状態のことをいいます。
同じ症状が十二指腸で起こっている場合に十二指腸潰瘍と呼び、胃潰瘍と十二指腸潰瘍を合わせて消化性潰瘍と呼びます。
胃潰瘍は胃液に含まれる胃酸と、胃酸から胃壁を守る粘膜のバランスが崩れることが原因で起こります。
ストレスやまじめな性格、食べ過ぎ、ピロリ菌の感染などが胃酸と粘膜のバランスを崩す要因となることがあります。
胃酸は食べたものを消化するため濃度が高く強酸性に保たれており、その胃酸が自ら胃の粘膜を傷つけてしまうのです。
浅い傷であれば「びらん」と呼び、胃の粘膜を超える深い傷になると「潰瘍」と呼びます。
消化性潰瘍の症状としては、食欲不振をはじめ胃の痛みや不快感、胸やけ、吐き気・嘔吐などがあります。
その他、上腹部の痛みが生じることもありますが、十二指腸潰瘍では空腹時に痛みやすいのが特徴です。
潰瘍からの出血が多い場合は、血を吐いたり便に血が混じっていたりすることがあります。
また出血により息切れや動悸(どうき)、ふらつきなどの貧血症状が出ることもあります。
3-2.精神疾患
ストレスなどの精神状態が食欲不振を招く場合があります。
胃腸のはたらきは自律神経によって調整されています。
このため不安や恐怖、危険などの強いストレスがかかると自律神経が乱れます。
その結果、胃の機能低下や胃酸の刺激に敏感になる知覚過敏などの胃腸のはたらきに異常が生じるのです。
消化器内科を受診し、胃の機能異常の薬を服用しても改善しない場合や、精神的な不安感が強い場合は、心療内科や精神科の受診も検討しましょう。
3-3.その他の疾患
消化器系や精神疾患以外の病気でも食欲不振を招く場合があります。
3-3-1.甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症が原因で食欲不振になる場合があります。
甲状腺機能低下症とは、血中の甲状腺ホルモンが必要よりも低下した状態のことです。
原因としては甲状腺でのホルモン合成と分泌が低下している場合と、甲状腺ホルモンは十分に分泌されているのに、反応するべき組織に異常がありホルモン作用が発揮されない場合とがあります。
甲状腺機能低下症により代謝が低下すると、倦怠(けんたい)感や気力低下、冷え、浮腫、便秘などの症状が現れます。
その他にも、食欲不振や勃起不全、皮膚の乾燥、脱毛、声のかすれなどの症状が出ることもあります。
3-3-2.胃がん・膵臓がん・大腸がん
胃がん、膵臓(すいぞう)がん、大腸がんなどの病気により食欲不振を招くことがあります。
がんそのものの他に手術や、薬物・放射線治療などの影響で食欲が湧かなくなることがあります。
特に、胃や膵臓、大腸など消化器系のがんの症状として、食欲不振や吐き気などが見られることがあるのです。
またがん細胞が食道や胃、腸などの消化管を圧迫し、便秘や嘔吐などの症状が現れ食欲不振につながることもあります。
加えて、抗がん剤の副作用や病気に対する不安やストレスにより食欲不振を招く場合もあります。
さらに、がん細胞からつくられる物質により代謝異常が起こり、食欲不振を招く「がん悪液質」という病気も原因の一つです。
その他、抗がん剤治療をしている場合は、食べ物の味がしなかったり、嫌な味に感じてしまったりなど、味覚の変化により食欲不振になる場合があります。
味覚の変化によって食欲不振が起こると体重減少にもつながり、がん治療の継続にも影響を及ぼすことがあります。
主治医に早めに相談して、対策を講じると良いでしょう。
4.食欲が湧かないときの食事のポイント
「食欲が湧かないときは、どうしたら良いんだろう?」
食欲不振が長期的に続き栄養状態が悪化すると、不足している栄養素によって体調不良を起こす場合があります。
例えば、ビタミンDはカルシウムの吸収に必要な栄養素です。
このためビタミンDが不足すると骨がもろくなる骨粗しょう症になり、骨折しやすい状態になってしまうこともあるのです。
ここでは、食欲不振の際に気を付けたい食事のポイントについてご説明します。
ポイント1 食事の量を減らし回数を増やす
食欲不振になっているときは、一回当たりの食事量を減らし回数を増やすことが重要です。
食欲が湧かなくても少量ずつを数回に分けて食べることで、一定程度の食事を摂取することができます。
一度に多くの量を摂取すると胃に負担がかかります。
このため、少量を何回かに分けて食事を摂ることで、胃の負担を軽減することもできるのです。
さらに栄養価の高い食べものを選び、効率良く栄養素を摂取すると良いでしょう。
炭水化物やたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素を満遍なく摂取することが大切です。
さらにたんぱく質は、アミノ酸スコアの高い食材が栄養価も高くおすすめです。
牛乳や卵、大豆製品、ヨーグルトなどは、五大栄養素をバランス良く含み、アミノ酸スコアも優れた食材といえますよ。
これらの食材を取り入れつつ、食事回数を増やすことで、栄養素をしっかり摂取してくださいね。
必須アミノ酸については以下の記事で解説しています。
必須アミノ酸とは?効果や含まれる食品、摂取する上でのポイント
ポイント2 体調の良い時間帯に食事する
食欲不振の際は、体調の良い時間帯に食事をしましょう。
体調が良く気が向いたときにちょこちょこ食べられるよう、一口大のおにぎりやいなりずしなどを用意しておくと良いでしょう。
特にがん治療などで食欲不振になっている場合は、体調の良いときに、食べられる分だけ食べるという気持ちで無理のないように食べることが大切です。
ポイント3 消化の良い食品を選ぶ
食欲不振の際は、消化の良い食品を選ぶことが重要です。
食欲が湧かないときは消化・吸収機能が低下していることが多いといえます。
このため、食事の際は消化の良い柔らかめの食品を中心に摂ると良いでしょう。
具体的には、おかゆやうどん、豆腐、鶏のささみ、白身魚、半熟卵、牛乳、ヨーグルトが挙げられます。
消化機能が落ちているときは、おかゆなどの炭水化物に偏りがちですが、鶏ささみや豆腐などからたんぱく質も摂取し、栄養バランスを整えるよう心掛けましょう。
繊維の固いごぼうやたけのこ、根菜類などの野菜や、食材自体が固いいかやたこ、脂身の多い肉や揚げ物などは消化が悪いため避けてくださいね。
胃に優しい食事については以下の記事で解説しています。
胃に優しい食べ物とは?食品の選び方や具体例、調理のポイントを紹介
ポイント4 食べやすいものを選ぶ
食欲不振の際は、食べやすいものを選びましょう。
食べやすいものとして、おかゆやヨーグルト、ポタージュなどが挙げられます。
その他、卵豆腐やつみれ、ハンバーグなども食べやすい食品です。
柔らかいもの、一口サイズで食べやすいもの、口の中でまとまりやすいものを摂り、酸味や刺激の強いものや口の中でまとまりにくい食品は避けると良いでしょう。
口の中でまとまりやすくするために、マヨネーズやバターなどの油分の多いものを調理に使う、煮込む、蒸し焼きにするなど水分を保つ調理法を選択する、あんかけやホワイトソースなど粘性のある食品をかけるなどの工夫もできますよ。
ただ、どうしても固いものを食べたいときは、下ごしらえで食べやすくするなど工夫するのがおすすめです。
例えば、固い肉を食べるときは繊維を切る、根菜類を食べたいときは切れ目を入れて面取りをするなど、ひと手間かけることで食べやすくなります。
その他、しばらく食事を摂れない期間があるとものを飲み込むための筋肉が弱くなり、誤嚥を起こしやすくなります。
必要に応じてとろみをつけたり、ミキサーで砕いて柔らかくしたりすると食べやすくなりますよ。
ポイント5 食材のにおいを抑える
食欲不振の際は、食材のにおいを抑えることが重要です。
食欲不振のときは、味覚だけではなく食べ物のにおいに対して嫌悪感を抱いている場合があります。
このため食材のくさみを消すなどして、においと抑えると良いでしょう。
例えば青魚などは、くさみが強い食材といわれています。
鮮度が落ちていたり、下処理の際に血液や内臓が残っていたりすると生臭いにおいが強くなるため、購入する際はなるべく新鮮なものを選んだり、調理の際は血の部分と内臓をしっかり除去したりするとくさみを抑えることができます。
また食材を冷ますことでにおいを抑えることもできますよ。
ポイント6 こまめに水分を摂る
食事が十分に摂取できないときは、こまめに水分を摂ることが重要です。
食事が摂れないと、本来食事から得られるはずの水分も減少してしまいます。
脱水を予防するためにも、水やスポーツドリンクなどの水分摂取を積極的に行いましょう。
5.食欲不振が疑われる場合の受診の目安
食欲不振の原因はさまざまであるため、改善が見られない場合は症状に応じた医療機関の受診が必要です。
胃腸の不調が続いている場合は胃腸の病気である可能性があるため、消化器内科を受診しましょう。
食欲不振の原因がストレスによるものと心当たりのある場合は、精神科や心療内科を受診すると良いでしょう。
消化器内科を受診し、胃の機能異常を改善する薬を服用しても症状が改善せずに精神的な不安感が強い場合は、ストレスやうつ病などの心の病気である可能性があります。
必要に応じて、抗不安剤や抗うつ薬などを併用することもありますので、診察の際に相談しましょう。
薬による副作用が疑われる場合も、主治医に相談が必要です。
食欲不振の際は、原因となる病気がないかどうかの確認を行うことが重要です。
必要に応じて、血液や超音波検査、レントゲン検査、CT、胃・大腸カメラなどを行います。
6.食欲不振についてのまとめ
食欲不振とは食欲が低下したり喪失したりした状態、また、食べたいという気持ちがあっても少ししか食べられない状態のことをいいます。
「食欲低下」や「食欲減退」と呼ばれる場合もあります。
食欲不振の原因は、ストレスや不規則な生活、便秘・下痢、加齢、飲酒、温度変化、環境の変化などの社会的要因、薬の副作用などさまざまです。
食欲不振を引き起こす病気には、過敏性腸症候群や機能性ディスペプシア、逆流性食道炎、慢性胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの消化器疾患や、精神疾患、甲状腺機能低下症や各種がんなどがあります。
食欲が湧かないときには、一回当たりの食事の量を減らし回数を増やす、体調の良いときに食事する、消化の良い食品や食べやすいものを選ぶ、食材のにおいを抑えるなどの工夫をすることが重要です。
また脱水予防のため、こまめに水分を摂ることも必要ですよ。
食欲不振の原因はさまざまであるため、改善しないようであれば、症状に合わせて医療機関を受診しましょう。
胃腸の不調が続いている場合は胃腸の病気の可能性があるため消化器内科を受診し、食欲不振の原因がストレスによるものと心当たりのある場合は、精神科や心療内科を受診すると良いでしょう。
消化器内科を受診し、胃の機能異常を改善する薬を服用しても症状が改善せずに精神的な不安感が強い場合は、ストレスやうつ病など心の病気の場合もあります。
また薬による副作用の可能性が疑われる場合も、主治医への相談が必要です。
食欲不振の原因を知り適切に対処することで、健康的な食生活を送ってくださいね。