「りんごにはどんな栄養素が含まれているのかな?」
「おいしいりんごの選び方を知りたい」
りんごは身近な果物の一つですが、含まれている栄養素とそのはたらき、おいしいりんごの選び方などをご存じない方もいらっしゃるかもしれません。
りんごには食物繊維やビタミンE、ビタミンCなどが豊富に含まれます。
また、ポリフェノールやクエン酸、リンゴ酸などの特徴的な成分も含まれています。
この記事ではりんごに含まれる栄養素のはたらきを解説しています。
おいしいりんごの選び方、効率良く栄養を摂取できる食べ方などもご紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
1.りんごの基礎知識
「りんごってそもそもどんな果物なんだろう?」
りんごは身近な果物ですが、詳しいことを知らないという方も多いのではないでしょうか。
りんごはバラ科リンゴ属に分類される果実です。
日本では明治初期にアメリカから苗木が輸入されたことをきっかけに、本格的に栽培されるようになりました。
代表的な品種としては「ふじ」や「つがる」の他、「王林」や「ジョナゴールド」などがあります。
日本で作られているりんごの約60%は青森県産で、他の産地としては長野県、岩手県などが挙げられます[1]。
また、品種別では「ふじ」が全体の約50%を占めています[1]。
気になるカロリーもご紹介しましょう。
りんご(皮付き)のカロリーは100g当たり56kcalです[2]。
主な果物100g当たりのカロリーと比較した表がこちらです。
【主な果物の可食部100g当たりのカロリー】
食品名 | 含有量 |
---|---|
いちご | 31kcal |
桃(白肉種) | 38kcal |
メロン(緑肉種) | 45kcal |
うんしゅうみかん | 49kcal |
キウイフルーツ(緑肉種) | 51kcal |
パインアップル | 54kcal |
マンゴー | 68kcal |
ぶどう(皮付き) | 69kcal |
バナナ | 93kcal |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
他の果物と比べてカロリーが高いわけではないので、ダイエット中の方でも気軽に食べることができますね。
2.りんごに豊富に含まれる栄養素
「りんごに含まれる栄養素にはどのようなはたらきがあるんだろう?」
含まれている栄養素とそのはたらきを知れば、りんごを食べる楽しみがさらに増すはずです。
りんごには食物繊維やビタミンE、ビタミンCが豊富に含まれています。
早速各栄養素のはたらきをみていきましょう。
また成人男女の1日当たりの摂取量の目安(食事摂取基準)もご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
【りんご(皮付き)に豊富に含まれる栄養素とその含有量(100g当たり)】
栄養素 | 含有量 |
---|---|
食物繊維 | 1.9g |
ビタミンE | 0.4mg |
ビタミンC | 6mg |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
2-1.食物繊維
りんごには食物繊維が豊富に含まれています。
りんご(皮付き)100g当たりの食物繊維含有量は1.9gです[4]。
食物繊維とは食品中に含まれている栄養素のうち、ヒトの消化酵素では消化できない物質を指します。
脂質・糖・ナトリウム(塩分)を吸着して体外に排出するはたらきを持つことが食物繊維の特徴です。
そのため、これらの過剰摂取によって起こる肥満、糖尿病、高血圧などの予防・改善が期待できます。
食生活の変化から日本人の食物繊維摂取量は減少傾向にあるため、積極的な摂取を心掛けたいですね。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、食物繊維の摂取目標量は18〜64歳の男性が21g以上、65歳以上では20g以上です[5]。
女性の場合は18〜64歳が18g以上、65歳以上では17g以上です[5]。
食物繊維についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
食物繊維は1日にどのくらい摂ればいい?期待できる効果や食材を紹介
2-2.ビタミンE
りんごにはビタミンEも豊富に含まれており、皮付き100g当たりの含有量は0.4mgです[6]。
ビタミンEには「活性酸素」を除去する抗酸化作用があります。
ビタミンE不足は神経や筋肉に障害を起こしますが、ヒトで発症することはほとんどありません。
ビタミンEの1日当たりの摂取目安量は、男性なら18〜49歳で6.0mg、50〜74歳で7.0mg、75歳以上で6.5mgです[7]。
女性の場合は18〜29歳で5.0mg、30〜49歳で5.5mg、50〜64歳で6.0mg、65歳以上で6.5mgです[7]。
ビタミンEについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンEが多く含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
2-3.ビタミンC
りんごにはビタミンCが豊富に含まれます。
りんご(皮付き)100g当たりのビタミンC含有量は6mgです[8]。
ビタミンCは体内で合成することができない栄養素の一つで、皮膚や腱(けん)、軟骨などを構成するコラーゲンをつくるはたらきがあります。
また抗酸化物質として重要な役割を担っている他、消化管では鉄の吸収を高めます。
ビタミンCが不足すると倦怠(けんたい)感や疲労感、気力の低下などの症状が出ます。
摂取量が極端に不足すると「壊血病」という病気にかかり、歯や歯ぐき(歯茎)のトラブル、髪の毛や皮膚の乾燥、体のあざなどの症状が出ますが、先進国での発症はほとんどありません。
ビタミンCの1日当たりの摂取推奨量は、男女共に18歳以上で100mgです[9]。
ビタミンCについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンCの美容・健康効果は?目標摂取量と豊富に含まれている食品
3.りんごに含まれる栄養素・成分
りんごにはビタミンB6とカリウムが含まれます。
またポリフェノールと有機酸には食品表示基準が設定されていませんが、りんごに特徴的な成分であるためご紹介しています。
それではそれぞれの栄養素・成分のはたらきをみていきましょう。
【りんご(皮付き)に含まれる栄養素とその含有量(100g当たり)】
栄養素 | 含有量 |
---|---|
ビタミンB6 | 0.04mg |
カリウム | 120mg |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
[10] 東京都福祉局「栄養成分表示ハンドブック」
3-1.ビタミンB6
りんごにはビタミンB6が含まれます。
りんご(皮付き)100g当たりのビタミンB6含有量は0.04mgです[11]。
ビタミンB6は体内で「補酵素」としてアミノ酸と脂質の代謝、神経伝達物質の生成に関わっています。
ビタミンB6が不足すると皮膚炎や動脈硬化、食欲不振などの症状が現れます。
ビタミンB6の1日当たりの摂取推奨量は18歳以上の男性は1.4mg、女性は1.1mgです[12]。
ビタミンB6についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
3-2.カリウム
りんごにはカリウムも含まれており、皮付き100g当たりの含有量は120mgです[13]。
カリウムには細胞内の「浸透圧」を一定に保つはたらきがあります。
また、ナトリウムを体外に排出しやすくする作用があり、摂り過ぎた塩分を調整する役割も担っています。
カリウムが不足するとこれらのはたらきに影響する他、脱力感、食欲不振、不整脈などの症状が現れることがあります。
カリウムの1日当たりの摂取目標量は18歳以上の男性で3,000mg以上、女性で2,600mg以上です[14]。
カリウムについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
カリウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を紹介
3-3.ポリフェノール
ポリフェノールはほとんどの植物に存在する苦みや色みの成分です。
ポリフェノールには抗酸化作用があり、動脈硬化、がん、老化、免疫機能の低下などを予防する効果が期待できます。
特にりんごに含まれるポリフェノールの一種であるプロシアニジンには、緑茶や赤ワインに含まれる他のポリフェノールより強い抗酸化作用があるとされています。
また花粉症などのアレルギー症状を抑える作用や、肌に色素が沈着したり、炎症で赤くなったりするのを抑制する効果もあるともいわれています。
ポリフェノールの効果は長時間持続しないので、毎日少しずつの摂取を心掛けたいものですね。
ポリフェノールについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ポリフェノールとは?体への効果と摂取できる食品・飲み物を解説!
3-4.有機酸
りんごにはクエン酸やリンゴ酸などの「有機酸」が含まれています。
クエン酸やリンゴ酸には疲労回復効果があるとされています。
疲れていると酸っぱいものを食べたくなるという話はよく耳にしますが、これには科学的な根拠があったのですね。
4.りんごの選び方と食べ方
「おいしいりんごを見分ける方法ってあるのかな?」
「りんごの栄養素を効率良く摂取できる食べ方を知りたい」
せっかくならおいしく食べて、効率良く栄養を摂取したいですよね。
この章ではりんごの選び方、食べ方をご紹介します。
4-1.りんごの選び方
りんごはハリとつやがあり、しっかりとした重さを感じられるものを選びましょう。
りんごのつやをワックスと勘違いする方もいらっしゃるようですが、これは「油上がり」と呼ばれる現象で体に害はありません。
りんごに含まれる脂質は果実が熟すにつれて表面に出てきて、まるでワックスをかけたようなつやが出ます。
つやがあるということはりんごが熟している証拠でもあるので、むしろ食べ頃のサインと思って良いでしょう。
「つがる」や「ジョナゴールド」は油上がりしやすいといわれていますが、「王林」などは熟しても油上がりは見られません。
品種によってはいくら待ってもツヤが出ないこともあるので、注意してくださいね。
またつるが太く、しっかりしているかどうかも、おいしいりんごを見分ける際のポイントです。
4-2.りんごの食べ方
食物繊維やビタミンC、一部のポリフェノールなどはりんごの皮の部分に多く含まれます。
そのため栄養摂取を目的とするなら皮ごと食べることをおすすめします。
またりんごジュースには生のりんごほどの栄養素はありません。
カリウムやビタミンCが減少してしまう他、食物繊維に至ってはほとんど含まれなくなります。
やはり生のまま食べた方が効率良く栄養素を摂取できるのですね。
芯と垂直の向きに包丁を入れ、4〜6等分にするとりんごを無駄なく食べることができます。
5.りんごの保存方法
りんごはポリ袋などに入れて密封し、冷蔵庫や冷暗所で保存してください。
ポリ袋に入れて口を閉じるのは水分の蒸発を防ぐためと、りんごから出るエチレンガス(植物の成長に関与するホルモン)が他の果物や野菜に影響を及ぼすのを防ぐためです。
熟していない果物などを袋に一緒に入れておくと追熟を促すことができます。
通常よりも長く保存したい場合は、1個ずつ新聞紙やキッチンペーパーに包んでからポリ袋に入れて保存することをおすすめします。
6.りんごに含まれる栄養素についてのまとめ
りんごはバラ科リンゴ属に分類される果実で、日本では主に青森県で栽培されています。
りんごには食物繊維、ビタミンE、ビタミンCが豊富に含まれます。
さらにビタミンB6、カリウムの他、ポリフェノールや有機酸のような成分を含んでいるのも特徴です。
りんごはハリとつや、しっかりとした重量感があるものを選びましょう。
食物繊維やポリフェノールの多くは皮に含まれているので、皮ごと食べるのがおすすめです。
保存するときはポリ袋などに入れて密封し、冷蔵庫や冷暗所に置いてください。