下痢の原因は何?症状や予防するためのポイントを分かりやすく解説

2023年02月02日

2024年11月11日

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「下痢の原因は何?」

「下痢の対処法を知りたい」

下痢の症状があった場合、何が原因なのか分からず対処ができないという方もいるのではないでしょうか。

一言で「下痢」といってもさまざまな種類があります

また、激しい腹痛や嘔吐(おうと)、発熱を伴ったり、長期間続いたりする下痢は何らかの病気によるものかもしれません

この記事では、下痢の種類や原因、対処法、下痢に関する病気を紹介します。

原因や対処法を知って、下痢の症状が出た場合も適切に対応できるようにしましょう。

1.下痢とは

トイレでお腹をおさえる女性

下痢とは、何らかの原因によって通常よりも水分が多い便や形のない便が頻繁に排出される状態のことです。

下痢は、食べ物を分解する腸に問題が起こっていることが原因です。

腸とは、胃から肛門までをつなぐ小腸と大腸のことです。

通常、胃で消化された食べ物は、小腸で消化酵素によって分解され、大腸で水分を吸収され、固形の便になります。

しかし何らかの原因で小腸や大腸に問題が起こると便から水分が十分に吸収されず、下痢が生じてしまいます。

2.急な下痢の原因

急な下痢の原因は、腐ったものや体に合わないものを食べたことだと思われがちです。

しかし、日々の生活スタイルや感染症、薬が影響することもあります。

下痢の原因を知るために、生活や服薬状況などを一度確認しましょう。

ここでは、下痢の原因として考えられることを八つご説明します。

急な下痢の原因

2-1.暴飲暴食

暴飲暴食は下痢の原因としてよく挙げられます。

大量の食べ物や飲み物を摂取すると、自律神経のバランスが崩れ、腸の動きが活発になります

自律神経とは
意思とは関係なくはたらき、呼吸や心拍、血圧、消化器の運動などの機能を調整する神経の総称です。相反するはたらきをする交感神経と副交感神経に分けられます。

腸の動きが活発になると腸を食べ物が通過する速度が上がり、便からの水分吸収が不十分になって下痢が起こります。

2-2.過度の飲酒

アルコールを大量に摂取すると、水分とナトリウムやクロール(塩素)などの電解質の体への吸収が悪くなります。

電解質とは
水に溶けると電気を通す性質を持つ物質のことです。体内では筋肉細胞や神経細胞のはたらきに関わったり、細胞の浸透圧を調節したりしています。主な電解質には、ミネラルの一種であるナトリウムやクロール、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどがあります。

吸収力が低下すると、本来体が吸収できていたはずの水分や電解質がそのまま排出され下痢の症状が現れます

加えて、糖や脂肪の分解・吸収も低下するため、消化不良も原因となり下痢が引き起こされます。

2-3.不規則な生活やストレス

ストレスや自律神経の不調が原因で腸の調子が悪くなることがあります

不規則な生活や仕事や家庭などでストレスを感じると、腸が刺激に対して過敏な状態になります

腸環境が過敏になることで、普段なら問題ない食べ物や飲み物も軟便や下痢の原因になる可能性が高まります。

ストレスが原因だと考えられる下痢が起こった場合、まずは食生活や生活習慣の改善を行い、便の様子を観察してみましょう。

その後も下痢が続く場合はストレスを緩和したり、ストレス源から離れたりすることも考えましょう。

ストレスと下痢の関係についてより詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。

ストレスで下痢になるのはなぜ?改善のための食事や生活のコツも解説

2-4.冷え

おなかが冷えると胃腸の血管が収縮して血流が減少し、消化管のはたらきが低下するため、食べ物が消化されにくくなり、下痢が生じることがあります。

人間の体温は夕方にかけて高くなり、夜間にかけて徐々に低くなります

腹巻きをしたり風呂に入る際は湯船につかったり、体が冷えないような工夫を行いましょう。

2-5.アレルギーや食品との相性

アレルギーや食品との相性も下痢の原因として考えられます。

食物アレルギーのある方が原因となる食品を摂取すると、吐き気や嘔吐の他、下痢の症状が起こる場合があります。

特に日本では鶏卵や小麦でアレルギー反応を起こす方が多い傾向にあります。

特定の食品を摂取した後に下痢が起こる方は、病院での検査を行いましょう。

また、食品に含まれる成分との相性でおなかを壊してしまう方も存在します。

例えば、牛乳を飲むと下痢や腹痛を起こしやすい方の場合は牛乳に含まれている「乳糖」を分解する能力が低い体質だと考えられます。

市販されている牛乳のなかにも、あらかじめ乳糖を分解した製品があります。

「牛乳は好きだけど、おなかを壊してしまう」という方でも飲めるかもしれません。

2-6.食あたり

食あたりも下痢の原因の一つとして考えられます。

食あたりは食べ物に付着していた細菌やウイルス、アメーバなどの寄生虫、食べ物に含まれていた自然毒や化学物質などが原因で起こる急性の健康被害のことで、医学的には「食中毒」と呼びます。

食中毒を引き起こす細菌の代表例としてはO-157に代表される「腸管出血性大腸菌」や、加熱が不十分な鶏肉などに付着している「カンピロバクター」、卵や鶏肉などに付着している「サルモネラ」などがあります。

またウイルスはかきなどの二枚貝に多く見られる「ノロウイルス」などが有名です。

細菌やウイルスの種類によっては、血便、嘔吐や吐き気、脱水など緊急性を伴う症状が現れ、抗生物質や点滴での治療が行われる場合もあります

下痢以外に上記の症状が現れた場合、できるだけ早く病院を受診しましょう。

2-7.感染症

病原菌が腸管内に侵入、増殖することで発症する感染症により引き起こされる下痢もあります。

冬場に流行するノロウイルスは、かきなどの食べ物からの感染だけでなく、便や嘔吐物を通じてヒト同士でもうつってしまいます。

また感染症の一つである「プレジオモナス感染症」の原因となる菌は、海や河川に分布しているため、海水や川の水を誤飲することで感染します。

O-157に代表される「腸管出血性大腸菌」は、食品からの感染や動物接触によって感染します。

感染症が原因の場合もあるので、下痢症状が出たら、その可能性も考えてみましょう。

2-8.薬の副作用

治療のために服用した薬に、腸の粘膜が炎症を起こしたり腸の動きが激しくなったりする副作用があって下痢が生じている可能性もあります。

原因となる医薬品にはペニシリン系、セフェム系の抗菌薬や、イリノテカン、メトトレキサートなどの抗がん薬などがあります。

薬の種類にもよりますが、多くは投与開始後、1〜2週間以内に発症し、なかには24時間以内に下痢を起こすものもあります[1]。

服薬している薬が下痢の原因になるものか確認しておきましょう。

[1] 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 重度の下痢」

3.慢性的な下痢を引き起こす可能性のある疾患

お腹をおさえるスーツの男性

慢性的な下痢は、急性的な下痢と違い、何らかの病気である可能性があります。

そのため、早急な受診が必要です。

ここからは、慢性的な下痢を引き起こす可能性がある疾病を紹介します。

3-1.過敏性腸症候群

過敏性腸症候群とは、腸が刺激に敏感になることで、便通に異常を来す病気です。

精神的なストレスや自律神経の不調が関わっていると考えられています。

おなかの張りや痛み、下痢などの症状が出るにもかかわらず腸に異常が認められないのが特徴です。

まずは、食生活と生活習慣の改善が重要とされているため、不規則な食事や暴飲暴食を控え、睡眠や休養を十分にとることを心掛けましょう。

また、自律神経失調症が原因の場合もあるため、場合によっては心療内科の診察が必要です。

3-2.潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症が発生し、腹痛や下痢が起こったり血便が出たりする病気です。

重症の場合、体重の減少や貧血が起こる可能性もあります

遺伝的要因や環境要因が重なって発症すると考えられていますが、明確な原因は判明していません。

潰瘍性大腸炎では、腸内の炎症や血便が見られる「活動期」と症状が収まる「寛解期」が交互に繰り返されます。

現時点では完治の方法はありませんが、治療には大腸の炎症を抑え、症状をコントロールすることが重要だと考えられています。

下痢症状が続く場合や、べとべとした粘液に血が混ざったような状態の便、発熱などが生じた場合には早めに受診しましょう。

3-3.大腸ポリープ

大腸の表面は層に分かれており、最も浅い層は粘膜でできています。

大腸ポリープとは、大腸の粘膜層の一部が隆起してイボのようになったもののことです。

早期の大腸ポリープの場合、ほぼ症状は見られませんが、処置をせず進行した場合、大腸内が狭くなることで下痢を発症します

また、大腸にできたポリープは将来、悪性である「がん」に変わる可能性があります。

遺伝的な要素もあるため、血縁関係のある家族や親戚に大腸がんと診断された方がいる場合は、確認の意味でも受診しましょう。

4.下痢の対処法

「下痢の症状があるときの対処法が知りたい……」

このようにお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここではすぐにできる下痢の対処法を紹介します。

下痢になってしまっても、適切に対処することで症状の緩和や改善が期待できます

下痢でつらいときの参考にしてくださいね。

下痢の対処法をまとめた図

4-1.安静にして水分を摂取する

水のはいったグラスを持つ手

下痢のときには腸の動きに異常を来しているため、腸を休ませることが重要です。

消化に良い食事、食品を心掛け安静にしておきましょう。

また、長期間下痢が続くと体内の水分が過剰に排出され、脱水症状を起こすこともあります。

適度な水分補給を行ってください。

体に吸収されやすい経口補水液の摂取もおすすめです。

4-2.食事は消化に良いものを選ぶ

ねぎののったうどん

下痢のときには、腸の負担をできるだけ減らすために消化に良い食品の摂取がおすすめです。

胃腸の調子が悪い場合は食物繊維や脂質の少ない食品を選び、できるだけやわらかく調理することがポイントです。

野菜のなかではほうれんそうやこまつな、チンゲンサイなどの葉物野菜やにんじん、じゃがいもなどを選びましょう。

果物はりんごなどがおすすめです。

動物性食品は脂身の多い肉を避け、鶏ささみや、たらやかれいのような白身魚を選ぶと良いでしょう。

またこしょうや唐辛子などの香辛料を多く使った料理や、甘み・塩気・酸味が強いもの、アルコールや炭酸、カフェイン飲料などは胃酸の分泌を高めるため、体調が良くなるまでは控えるようにしましょう。

冷たいものを一気に摂らないのもポイントですよ。

以下に消化に良い食べ物の一例をご紹介するので、食材選びの参考にしてくださいね。

消化に良い食べ物の一例

4-3.薬を飲む

錠剤を服用しようとしている人

下痢を抑える薬として、腸のぜん動運動を抑える下痢止め薬があります。

しかし、細菌感染が原因となる下痢の場合、細菌やウイルスが排出されにくくなってしまうため下痢止め薬は使用できません

下痢で薬を飲む場合は、整腸作用のあるものがおすすめです。

整腸作用のある薬は直接的に下痢の症状を抑えるわけではなく、腸のはたらきを穏やかにし、正常に戻します。

細菌感染以外の原因による下痢の場合、下痢止めと整腸作用のある薬を併用することで腸の異常な動きを抑えて、正常なはたらきへ戻す効果も期待できます。

ただし自己判断では服用する薬を間違えてしまう可能性もあります。

市販薬を服用する場合は薬剤師や医薬品登録販売者のいる薬局に足を運び、相談して薬を決めるのが良いでしょう。

メモ
医薬品登録販売者とは、都道府県が実施する試験に合格し、一般用医薬品の取り扱いに必要な資質のあることが確認された人のことです。第2類医薬品および第3類医薬品を扱うことができます。

4-4.病院へ行く

問診をする男性医師

下痢は、日々の生活のなかでも起こりやすい症状です。

そのため「安静にしておけば治るだろう」と受診をしない方も多いのではないでしょうか。

市販の下痢止めや整腸作用のある薬を飲んで治まるような軽い症状であれば様子を見ても良いかもしれません。

しかし、腹痛が激しい場合や発熱や嘔吐、血便などを伴う場合はなるべく早めに受診してください。

5.下痢の予防法

「下痢を予防するにはどうしたら良いんだろう……?」

このようにお悩みの方もいらっしゃるかもしれませんね。

下痢が起こると普段よりもトイレへ行く回数が増えてしまいがちですが、満員電車の中や仕事の会議中など、すぐにはトイレへ行けない場合もありますよね。

食生活や生活環境を整えて普段から下痢を予防しましょう。

下痢の予防法をまとめた図

5-1.暴飲暴食を控える

食べ過ぎたり飲み過ぎたりした次の日に下痢になった経験はありませんか。

大量にものを食べたりお酒を飲んだりすると、消化不良で下痢を引き起こす可能性が高くなります

特に、揚げ物や焼き肉などの脂質が多く消化に時間がかかりやすい料理は控えておきましょう。

5-2.衛生管理を徹底する

食材の内部で繁殖した細菌やウイルス、毒素を摂取することで、食中毒が発生し下痢が引き起こされます。

調理前後には丁寧に手を洗ったり、火を通す料理の場合には十分に加熱したりと衛生管理を徹底しましょう。

飲食する前も必ず手を洗い、できあがったものはできるだけ早めに食べましょう。

5-3.体を冷やさない

おなかが冷えると、主に胃腸の血管が収縮して血流が悪くなります

その結果、消化機能が低下し食べ物が消化されにくくなって下痢が引き起こされます。

体の冷えによる下痢を起こさないために、冷たい飲み物を短時間でたくさん飲んだり、暑い時期にエアコンの風に直接当たったりすることはやめておきましょう。

5-4.ストレスの少ない生活を送る

ストレスが原因となって下痢が起こる可能性もあります。

仕事量を減らしたり人間関係の調整をしたりストレスを感じない工夫が必要です。

ストレスの原因を明確にして、心理的な負担になる行動を減らしていきましょう。

ストレスの発散法については以下の記事でご紹介しています。

ストレス発散に効果的な方法は?手軽にスッキリできるおすすめ解消法

6.下痢の原因について まとめ

下痢の原因には暴飲暴食や過度の飲酒といった一時的なものから、生活習慣やストレス、体の冷え、アレルギーや食品との相性、食あたり、感染症、薬の副作用などさまざまなものが考えられます。

食べ過ぎや飲み過ぎなど消化不良による一時的な下痢であれば数日で回復するため、市販薬も服用して、病院へ行かずに様子を見る方もいるかもしれません。

ただし病気や食中毒が原因となって下痢が生じている可能性も考えられるので、長く続く場合や激しい腹痛、発熱、血便、嘔吐などを伴う場合には必ず病院を受診してください。

また下痢のときには安静にして水分を摂取し、消化に良い食べ物を選びましょう。

必要に応じて薬剤師や医薬品登録販売者に相談し、市販薬を飲むのも一つの手です。

下痢の予防には、暴飲暴食を控え、衛生管理を徹底したり、体が冷えないよう工夫したりすることがポイントです。

またストレスが下痢の原因になっている場合はストレス源から距離を取ることも考えると良いでしょう。

適切な対処を行い、下痢に悩まされない生活を送ってくださいね。

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