口が臭うんじゃないかと気になったり、親しい人に口臭を指摘されて対策を探していたり……
口臭にまつわる悩みを抱えていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。
相手に不快な思いをさせているのではないかと不安を感じながら過ごしている方もいらっしゃるかもしれません。
口臭自体は誰もに存在し得るものですが、体調やストレスによってキツくなってしまう場合もあります。
口臭の悩みを解消して、人と接するときの不安を払拭できたらうれしいですよね。
この記事では口臭の原因、手軽にできる対策をご紹介します。
1.口臭の原因は?口臭にも種類がある?
口臭の原因は一つではありません。
口臭は原因によって三つの種類に分けることができます。
種類によって口臭の対策は異なります。
まずはそれぞれの口臭について詳しく確認していきましょう。
種類1 生理的口臭
どんな人にも生理的口臭と呼ばれる口臭があります。
起きたばかりのとき、おなかが空いているとき、緊張しているときなど、唾液の分泌量が減っているときには特に生理的口臭は強くなります。
唾液が減ると口の中の自浄作用がはたらかず、口臭を発生させる細菌が増えてしまうためです。
生理的口臭は口の中にいる細菌が剥がれた粘膜や死んだ細菌などのたんぱく質を分解することによって発生します。
この生理的口臭は、主に舌の上で生じています。
これは舌の表面には小さな凹凸がたくさんあり、汚れが溜まって細菌が繁殖しやすいためです[1]。
舌の表面で細菌が繁殖し、白いコケのようなかたまりになったものは「舌苔(ぜったい)」と呼ばれます。
風邪を引いているときや、おなかの調子が悪いとき、舌に白い苔のようなものが付いていることに気づいた経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
舌苔は健康な人にも見られますが、体調が悪化したときや口の中が乾燥しているときに厚くなってしまうことがあります。
舌苔は口臭の原因を作り出す細菌やたんぱく質をたくさん含んでいるため、舌苔の量が増加してしまうと口臭が強くなる可能性があります。
[1]一般社団法人日本訪問歯科協会 「舌と上あごのケア〈1〉 舌苔とは」
種類2 飲食物・嗜好品による口臭
飲食物や嗜好品による口臭は、食べたもの・飲んだものが原因となって発生する一時的なものです。
特にニンニク、酒、たばこなどは強い口臭を生じさせます。
ただし、時間の経過とともにこれらの臭いは消えていきます。
種類3 病的口臭
なんらかの病的な原因によって口臭が発生することもあります。
まれに口・喉以外の部位の病気や全身疾患が原因となって口臭が発生する場合もありますが、多くは口内の病気によるものです[2]。
[2]厚生労働省 e-ヘルスネット 「口臭の治療・予防」
(1)歯周病
病的口臭の代表的なものが、歯周病による口臭です。
歯周病を引き起こすのは「プラーク」や「歯垢」と呼ばれるという細菌のかたまりです。
歯周病が進行すると「歯周ポケット」と呼ばれる歯と歯ぐき(歯茎)の隙間が広がり、そこから出る膿がいやな臭いの元になってしまいます。
またプラークに含まれる細菌が臭いの強いガスを作ることで口臭の原因となる場合もあります。
(2)その他の口内の病気
歯周病の他にも、口内の潰瘍やむし歯が原因となって口臭がキツくなる場合があります。
口臭以外にも口の中に異常を感じている場合は、早めにお医者さんに相談に行きましょう。
口腔がんや口とつながった鼻や喉の病気が隠れている可能性もあります。
(3)口内以外の病気
口以外の体の病気が原因となって口臭が強くなっている場合もあります。
例えば、呼吸器系、消化器系の病気を患っている場合、口臭が発生することがあります。
また、糖尿病や肝硬変などの病気が原因で口臭が発生しているケースもあります。
ただし、口臭の原因がこのような全身疾患であるケースは決して多くはありません。
全身疾患が原因の口臭がある場合、通常はそれ以外の症状が自覚されます。
口臭以外に自覚症状がない場合には、あまり神経質に全身疾患を疑う必要はないでしょう。
口臭が気になるだけでなく体調が悪いのであれば迷わず病院に行きましょう。
2.口臭が不安……自分でチェックする方法は?
「口臭がある気がして不安だけど、自分ではよくわからない……」
口臭に関わる不安を抱えている方の多くは、自分の口臭をチェックする方法がわからず困っていらっしゃるのではないでしょうか。
口臭を自分でチェックする手軽な方法があるのでご自身の口臭が気になっている方は試してみてください。
ただし、このチェックはあくまで目安にすぎません。
口臭に関する不安を持っている方は自分の臭いを気にし過ぎてしまっていることがあります。
実は自分が思っているよりも臭いが弱く、周りの人はあまり気にしていないかもしれません。
自分の口臭が気になって仕方ないという方は信頼できる身近な人に一度聞いてみると良いでしょう。
不安が強い場合には、お医者さんに相談してみても良いかもしれません。
チェック方法1 唾液の匂いを嗅ぐ
口の中を指で触って唾液を指に付け、その指の匂いを嗅いでみましょう。
唾液が臭いと感じる場合には、口臭があるかもしれません。
チェック方法2 ビニール袋に呼気を溜める
ビニール袋に息を吐き入れ、袋を閉じます。
一度深呼吸をしてから、袋の匂いを嗅いでみてください。
臭いがキツいと感じるようであれば、口臭がある可能性があります。
ビニール自体に臭いがないものを使うようにしてくださいね。
チェック方法3 市販の口臭チェッカーを使う
市販の口臭チェッカーを使ってみるのも良いでしょう。
息を吹きかけるだけでどれくらいの口臭が生じているのか確かめることができます。
明確な数値で確認できるので必要以上の不安を感じず、適切な対策を取ることができますね。
【関連情報】 「口臭チェック」についてもっと知りたい方はこちら
3.口臭を防ぎたい!簡単な対策は?
口臭が気になっている方の多くが、口臭を防ぐ手軽な方法を知りたいと考えていらっしゃるでしょう。
ここからはすぐに始められる口臭対策をご紹介していきます。
できることから実践し、口臭に関する不安を解消していきましょう。
対策1 口内を清潔にする
口臭の原因は多くが口の中のトラブルです。
口の中を清潔にすることで口臭の改善が期待できます。
(1)歯をよく磨く
口臭対策の基本は歯磨きです。
口臭は食べかすなどの汚れが口の中の細菌と反応することで発生してしまいます。
毎日丁寧に歯を磨き、食べかすや歯垢など、口の中の汚れをしっかり落としましょう。
歯磨きの際には歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシも活用すると良いでしょう。
口の中を清潔に保つことで口臭の原因となる汚れや口臭を作り出す細菌を減らすことができます。
(2)舌苔の除去
口臭の直接的な原因となる舌苔を除去する ことで口臭が収まる可能性があります。
鏡で舌を確認して舌苔が目立つようなら舌清掃を行いましょう。
ただし、舌清掃は歯磨きのように食事をするたびにする必要はなく、一日一回で十分です。
掃除しすぎると舌の粘膜を傷つけてしまう可能性があります。
毛先の柔らかい子ども用の歯ブラシや専用の舌ブラシを用いて優しく掃除しましょう。
ブラシは舌の奥から手前に向かって一方通行で動かしてください。
舌苔があるからといって、必ずしも強い口臭があるとは限りません。
口臭を気にしすぎるあまり舌を傷つけてしまうことがないよう、磨き過ぎには十分注意しましょう。
対策2 口内の乾燥を防ぐ
唾液が減って口や喉が乾燥している状態は「ドライマウス」と呼ばれ 、口臭の原因になる ことが知られています。
唾液には細菌の増殖を抑え口の中をきれいにする作用があるため、唾液が減って口の中が乾燥すると口臭が強くなってしまうのです[3]。
[3]日本口腔外科学会 口腔外科相談室 「口腔内のトラブル」
(1)よく噛んで食べる
唾液の分泌は咀嚼などの刺激によって促されるため、よく噛んで食べることで唾液の分泌量を増やすことができます。
普段から食事のときにはよく噛んで食べることを意識し、唾液の分泌を促しましょう。
また、食事以外のときにも、よく噛む食べ物である ガム等を噛むことで唾液を分泌させることができますね。
(2)鼻で呼吸する
口内の乾燥を防ぐため、鼻で呼吸をすることも重要です。
口で呼吸をしている人はすぐに口が乾燥してしまいます。
口呼吸をしていて口の中が乾燥しやすい人は、鼻で呼吸することを意識してみましょう。
対策3 生活習慣を変える
口臭の強さは体調によって左右されます。
口臭の原因となるような生活習慣を改善することも、口臭の治療には有効です。
(1)食生活を改善する
口臭を引き起こす舌苔の原因になりがちなのは食生活の乱れです。
暴飲暴食や刺激物の摂り過ぎは消化不良を引き起こし、胃腸が荒れてしまうと舌苔が厚くなる場合があります。
バランスの取れた食事を毎日規則正しく摂ることを心掛けましょう。
また、噛む必要のない柔らかいものばかりを食べていると、唾液の分泌が減ってしまい、口臭が強くなってしまう可能性があります。
噛み応えのある食材を積極的に食事に取り入れ、よく噛んで食事をすることで唾液の分泌を促しましょう。
(2)禁煙する
たばこを吸っていると唾液の分泌が減ったり、歯ぐきの血流が悪くなったりすることが知られています。
唾液が減って口の中が乾燥すると、口臭は悪化してしまいます。
たばこを日常的に吸っていて口臭が気になるという方は、禁煙をすると口臭が改善される可能性があります。
対策4 専門医に相談する
病気が原因となって口臭が強くなっている場合、専門医による治療が必要です。
特に、口臭以外にも口の中に異常があるようなら、すぐに歯科を受診しましょう。
強い口臭が続いているときには、歯周病やむし歯など口の病気が隠れている可能性があります。
病気が原因の口臭は治療を受けなければ改善しません。
また、口以外の体の不調を感じている場合にも、全身の疾患が隠れている可能性があるので、早めにお医者さんに相談しましょう。
体調に問題はなく、自分で対策してみたけれどやはり口臭が気になる……という場合には、口臭外来のある歯科を探してみると良いでしょう。
口臭外来では専門医が相談に乗ってくれます。
【関連情報】 「口臭をケアするポイント」についてもっと知りたい方はこちら
4.口臭の原因と対策 まとめ
口臭はどんな人にも存在するものですが、身体の調子によってキツくなってしまうことがあります。
特に口内環境が悪化しているときには、強い口臭が生じてしまいます。
気になる口臭を抑えるためには、口の中の環境を整える必要があります。
丁寧な歯磨きを心掛け、口の中を清潔にしておきましょう。
また、口の中の汚れを洗い流すために大きな役割を果たしているのは唾液です。
日頃からよく噛んで食事をすることで、唾液の分泌を活発にしましょう。
口臭が気になっている方は、ご紹介した対策法を実践して不安を解消してくださいね。