ビタミンとは?13種類のビタミンのはたらきと食事摂取基準を紹介

2024年09月26日

2024年09月27日

「ビタミンにはどんな種類があるんだろう?」

「それぞれのビタミンにはどんなはたらきがあるのかな?」

このように疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ビタミンは栄養素の分類で、全部で13種類あります。

いずれも体の機能を保つのに必要な栄養素であり、摂取量が足りなかったり多過ぎたりすると不調の原因になるため過不足なく摂取することが重要です。

この記事ではビタミンとはそもそもどのようなものなのか、それぞれのビタミンにどのようなはたらきがあるのか解説します。

また栄養素の摂取量の基準である食事摂取基準やそれぞれのビタミンの摂取源となる食品もご紹介するので参考にしてくださいね。

目次

1.ビタミンとは

「そもそもビタミンって何なんだろう?」

「ビタミンは何種類あるのかな?」

このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ビタミンとはヒトの体に必要な栄養素のうち、たんぱく質・脂質・炭水化物・ミネラル以外の微量の有機化合物のことです。

それぞれがヒトの体の機能を正常に保つためのはたらきをしています。

ビタミンは体内ではつくることができないか、つくることができてもごくわずかであるため、食事からの摂取が欠かせません

それぞれのビタミンが不足すると体にさまざまな不調が現れる恐れがあります。

メモ
有機化合物は炭素が原子結合の中心となっている化合物の総称で、非常に多くの物質が該当します。ただし炭素を含んでいても一部の化合物は無機化合物に分類されます。有機化合物には分子量が大きく構造が複雑なものが多く、このため結合に変化が生じることがよくあります。

ビタミンに該当する物質は13種類あり、その性質から「脂溶性ビタミン」と「水溶性ビタミン」に分類されます。

ビタミンの種類

脂溶性ビタミンはその名のとおり油に溶けやすい性質のあるビタミンで、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKの4種類が該当します

体内では脂肪組織や肝臓に蓄えられており、尿を通じて排出されることがないため摂り過ぎると不調の原因になってしまうこともあるので注意が必要です。

一方、水に溶けやすい水溶性ビタミンには、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンCが該当します

水溶性ビタミンは体内では血液などの体液に溶け込んではたらいており、摂り過ぎても尿に溶け込んで排せつされるため、摂り過ぎても尿に溶け込んで排せつされると考えられており、過剰摂取による不調の心配は少ないといえるでしょう。

メモ
ビタミンCを除くビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチンの八つの水溶性ビタミンは「ビタミンB群」とも呼ばれます。

それぞれのビタミンのはたらきについては次の章でご説明しますが、ビタミンはいずれも体の機能に欠かせない物質なのでしっかりと摂取するようにしましょう

2.各種のビタミンのはたらき

「それぞれのビタミンにはどんなはたらきがあるんだろう?」

このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ビタミンにはそれぞれに異なるはたらきがあります。

ここでは、ビタミンのそれぞれのはたらきや、不足したり過剰摂取したりした場合の影響をお伝えしましょう。

2-1.ビタミンAのはたらき

ビタミンAは化学的には「レチノイド」という物質で、構造によって「レチノール」「レチナール」「レチノイン酸」の3種類に分類されます。

また食事から摂取するビタミンAにはレチノールとして含まれているものの他に、体内でビタミンAとしてはたらく「プロビタミンA」と呼ばれる物質があります

このためビタミンAの含有量は「レチノール活性当量(μgRAE)」という単位で表されることが一般的です。

レチノール活性当量はビタミンAとして食品に含まれるものの量に、プロビタミンAから体内で変換されるビタミンAの量を加えたものです。

メモ
プロビタミンAの代表例として知られているのが、野菜などの植物性食品に含まれる赤や黄色の色素「カロテノイド」です。カロテノイドは数十種類存在し、「カロテン類」と「キサントフィル類」に分けられます。プロビタミンAのなかでも効率良くレチノールに変換されるのがにんじんやほうれん草、かぼちゃなどに含まれる「β-カロテン」です。

ビタミンAは目の健康を保つ上で重要なはたらきをするビタミンです。

このため不足すると目の角膜や粘膜が傷つけられ、目の健康が損なわれます。

ビタミンAの不足によって発症する代表的な病気が、暗い所でものが見えにくくなる「夜盲症」です。

他に視力が低下したり失明したりする恐れもあります。

またビタミンAは体内で皮膚や粘膜を正常に維持するはたらきや、細胞の成長および分化に関わるはたらきもしています

これらのはたらきに関わり、ビタミンAが不足すると、皮膚の乾燥、成長障害、胎児の奇形といった異常が生じる場合があります。

ただし、これらの不足によって起こる影響はよほど長期的にビタミンAが不足した食生活を続けない限り見られることはないので、心配し過ぎる必要はないといえるでしょう。

なお、ビタミンAには抗酸化作用もあります

抗酸化作用とは
活性酸素の発生やはたらきを防いだり、活性酸素を取り除いたりする作用のことです。活性酸素とは呼吸で取り込まれた酸素が体内で過剰に活性化された物質で、微量であれば体の機能に有用ですが増え過ぎると細胞を傷つけ、老化や免疫機能の低下、動脈硬化、がんなどの原因となります。

ビタミンAは健康や美容に欠かせないビタミンであることが分かりますね。

ただし重要だからといって、多く摂れば良いというものではありません。

ビタミンAを摂り過ぎた場合にも体に不調が現れる恐れがあるといわれています。

成人が短期間過剰摂取した場合は吐き気、頭痛、目まい、目のかすみといった症状が現れます。

長期的な過剰摂取は中枢神経系への影響、肝臓の異常、骨や皮膚の変化を引き起こします。

他に、子どもが長期間にわたって過剰摂取した場合には骨格の異常、妊婦が長期間にわたって過剰摂取した場合には胎児の奇形が起こることが知られています。

しかしこういった過剰摂取による異常は、β-カロテンなどのプロビタミンAによって起こることはありません

これはプロビタミンAからビタミンAへの変換は、体内のビタミンA不足に応じて必要な量だけ行われる仕組みになっているためです。

このため通常の食事から摂取する場合、皮膚の色が黄色っぽくなる「柑皮症(かんぴしょう)」以外の過剰摂取による異常が現れる心配はないといわれています。

ただしサプリメントから摂取した場合はβ-カロテンでも悪影響が見られるという報告があるため、サプリメントからの過剰摂取には注意しましょう。

メモ
柑皮症はカロテンの色素が皮膚に沈着することで起こり、主に指や手のひら、足の裏、鼻翼などで見られます。みかんを食べ過ぎると見られることで知られています。

2-2.ビタミンDのはたらき

天然に存在するビタミンDはビタミンD2とビタミンD3に分けられます。

なおビタミンD2は主にきのこ類に、ビタミンD3は主に魚の身や肝臓に含まれています。

またヒトを含む哺乳動物の皮膚では、紫外線を浴びることでビタミンD3が合成されることが分かっています。

ビタミンDは体内でカルシウムやリンなどの代謝に関わるビタミンです。

代謝とは
体内で栄養素を生命の維持に必要な物質やエネルギーに変える化学反応のことです。

カルシウムやリンは骨の材料となるミネラルです。

ビタミンDはカルシウムの吸収を促すともいわれ、骨をつくるはたらきにおいて重要なはたらきをします

このためビタミンDが不足すると骨が十分な強度を保つことができなくなり、骨折や痛みを生じる「骨軟化症」という病気になってしまう恐れがあります。

メモ
骨軟化症は成人に見られる病気です。同様の症状が子どもに現れた場合は「くる病」といいます。

また高齢者でビタミンD不足が長期にわたった場合には骨密度が低下し、骨粗しょう症の発症リスクが高まることが分かっています。

骨粗しょう症とは
骨がもろく骨折しやすくなった状態のことです。骨は骨芽細胞が骨をつくるはたらき(骨形成)と破骨細胞が骨を壊すはたらき(骨吸収)を同時に繰り返すことで常に新しくつくり直されています。しかし何らかの理由によって骨吸収が骨形成を上回った状態が続くと骨がもろくなり、骨粗しょう症となります。

一方でビタミンDを過剰摂取すると血中のカルシウム濃度が上昇して腎臓や筋肉にカルシウムが沈着し、本来軟らかいはずの臓器などの組織が硬くなってしまう現象が見られます。

またその他に嘔吐(おうと)、食欲不振、体重の減少といった症状が現れる場合もあります。

ビタミンDは骨の健康に欠かせない栄養素なので適切に摂取するよう心掛けましょう

2-3.ビタミンEのはたらき

天然に存在するビタミンEにはα-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノールの8種類があります。

なかでもα-トコフェロールの作用が最も強く、また体内のビタミンEのほとんどがα-トコフェロールであることから、ビタミンEの摂取量や含有量などについて触れる際にはα-トコフェロールの量を指すことが一般的です。

ビタミンEは体内では細胞膜や脂肪に多く存在し、それ自体が酸化されることにより、体内の多価不飽和脂肪酸の酸化を防いでいます

多価不飽和脂肪酸とは
脂肪の構成要素である脂肪酸の一種、不飽和脂肪酸の分類の一つです。脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられ、不飽和脂肪酸はさらに多価不飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸に分けられます。多価不飽和脂肪酸は必須栄養素で、体内では脳の材料などとして使われています。

このはたらきから、ビタミンEは抗酸化作用のある「抗酸化ビタミン」の一種であるといわれています。

ビタミンEが不足すると神経や筋肉に障害が起こる場合がありますが、ヒトではほとんど見られないといわれているためあまり心配する必要はないでしょう。

また通常の食事でビタミンEの過剰摂取による不調はほぼないといわれています。

ただしサプリメントでの過剰摂取には注意が必要です。

ビタミンEは細胞の健康には欠かせない栄養素なので、食事から十分に摂取することを心掛けましょう

2-4.ビタミンKのはたらき

天然に存在するビタミンKは野菜や海藻類、緑茶、植物油などに含まれるビタミンK1と、腸内細菌によって合成されるビタミンK2に分けられます。

メモ
ビタミンK3も化学的には存在しますが、天然には存在せず、大量摂取すると人体に害が及ぶため使用は認められていません。

ビタミンKは出血を正常に止めるために重要なはたらきをしています

また骨の形成に必要な栄養素でもあるため、骨粗しょう症の治療薬としてビタミンK剤が処方される場合もあります。

ビタミンKの不足は鼻血、胃腸からの出血、月経過多、血尿、出血の際の止血の遅れなど出血に関連したさまざまな症状を招きます。

また不足が長期にわたると骨粗しょう症の原因にもなります。

メモ
新生児は腸内細菌が未発達で十分な量のビタミンK2を合成できない上、母乳からのビタミンK補給を十分に受けることができないため出血しやすいことが知られています。このため新生児にはビタミンKが投与されます。

ただし通常の食事をしている健康な人においてビタミンKの不足による不調が起こることはまれであり、不調が起こるのは極端に摂取量が少ない場合、腸内細菌からのビタミンK供給が減少した場合、慢性の胆道閉塞(へいそく)症や脂質の吸収不全、肝臓病といった疾患がある場合に限られるといわれています。

一方過剰摂取による不調も、ビタミンK1とビタミンK2では起こらないことが分かっています。

人工的につくられるビタミンK3は人体に悪影響を及ぼしますが使用が禁止されているため摂取することはないでしょう。

ビタミンKは血液や骨の健康に重要な栄養素なのですね。

2-5.ビタミンB1のはたらき

ビタミンB1は「糖質」や「分岐鎖アミノ酸」の代謝に関わるビタミンです。

糖質は炭水化物のうちヒトの体のエネルギー源となるものを指します。

また分岐鎖アミノ酸はたんぱく質を構成する「アミノ酸」の一種です。

エネルギー源となる他、筋肉や臓器、肌、髪の毛などの体の組織の材料にもなるたんぱく質は、アミノ酸と呼ばれる物質で構成されています。

分岐鎖アミノ酸とは20種類のたんぱく質を構成するアミノ酸のうち[1]、一部が分岐した構造を持つ「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」の3種類のことです。

メモ
たんぱく質を構成するアミノ酸は食事からの摂取が必要な9種類の「必須アミノ酸」と、体内で合成可能な11種類の「非必須アミノ酸」に分けられます[1]。分岐鎖アミノ酸はいずれも必須アミノ酸に分類されます。

ビタミンB1は糖質や分岐鎖アミノ酸の代謝に「補酵素」として関わります

補酵素とは
「酵素」のはたらきに欠かせない物質です。体内で起こる代謝などの化学反応には酵素と呼ばれるたんぱく質が触媒として必要とされます。酵素にはそれ単体で作用できるものと、補酵素という酵素を活性化させる物質を必要とするものがあります。

このことからビタミンB1は糖質からエネルギーを生み出すはたらきを助ける栄養素だといわれています。

糖質のうち、「ブドウ糖」は特別な場合を除き、脳がエネルギー源とできる唯一の物質です。

このためビタミンB1が不足すると糖質をエネルギー源とする脳や神経に不調が現れ、精白米を主食とする東洋人では「脚気(かっけ)」という病気が見られます

脚気は神経が侵され、全身の倦怠(けんたい)感や食欲不振、手足のしびれ、足のむくみなどの症状が現れる病気です。

重症になると心臓の機能にも異常を来し、死に至ります。

なおビタミンB1の不足による不調は食事からの摂取が長期にわたって不足した場合の他、糖質やアルコールなどを多量に摂取しビタミンB1の必要量が増加した場合に起こりやすいといわれています。

糖質中心の食生活を送っている方や、アルコールを頻繁に飲む方は注意しておきましょう。

他にビタミンB1は皮膚や粘膜の健康維持にも関わっているといわれています。

なおビタミンB1を経口で過剰に摂取しても尿を通じて排せつされるため不調が起こることはありません。

脳や神経に必要なエネルギーを十分供給するために、ビタミンB1はしっかり摂取しておきましょう

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「アミノ酸

2-6.ビタミンB2のはたらき

ビタミンB2はエネルギー代謝に補酵素として関わるビタミンです。

また成長を促したり、皮膚や粘膜を保護したりといったはたらきもしています。

このためビタミンB2の不足は成長障害や脂漏性皮膚炎、口内炎、舌炎などを引き起こします。

メモ
脂漏性皮膚炎は頭や顔など、皮脂の分泌が盛んな場所に生じる湿疹です。赤み、かゆみの他、皮が剥けるといった症状が見られ、頭皮で起こった場合には剥がれた皮膚がフケのようになります。

ビタミンB2不足による不調は食事からの摂取量が不足した場合の他、代謝異常や薬物の影響などでも生じます。

ただしビタミンB2不足は単独では起こりにくく、他のビタミン不足と同時に起こることが多いといわれています。

なおビタミンB2は摂り過ぎても尿を通じて体外に排出されるため体調に悪影響を及ぼすことはありません。

ビタミンB2が黄色みを帯びていることにより、尿が黄色やオレンジになるだけです。

美容のためにビタミンを摂っておきたいと考えている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

皮膚の健康を保つために、ビタミンB2も十分な量を摂取しておきましょう。

2-7.ナイアシンのはたらき

ナイアシンとしてはたらく主な物質には「ニコチン酸」「ニコチンアミド」「トリプトファン」があり、狭義のナイアシンはこのうちニコチン酸とニコチンアミドを指します。

また広義の場合、トリプトファンから合成されるものを含めてナイアシンといいます。

食品に含まれるナイアシンの量は、ニコチン酸とニコチンアミドにトリプトファンから合成されたナイアシンを含めた「ナイアシン当量(mgNE)」で示すことが一般的です。

なお動物性食品にはニコチンアミド、植物性食品にはニコチン酸が含まれています。

メモ
トリプトファンは必須アミノ酸の一種です。

ナイアシンは体内でさまざまな化学反応の補酵素としてはたらきます

ナイアシンが関わる体内の反応には、アルコールの分解や、酸化還元反応などがあります。

またナイアシンはエネルギーを生み出すはたらきやビタミンCおよびビタミンEを介した活性酸素に対抗するはたらきにも関わっています

他に、脂肪酸やステロイドホルモンの合成にも欠かせないビタミンです。

このようにさまざまなはたらきをするナイアシンは皮膚や粘膜の健康維持を助けるともいわれています。

メモ
ステロイドホルモンとは脂質の一種であるコレステロールを原料につくられるステロイドをベースとしたホルモンの総称です。副腎皮質および睾丸(こうがん)や精巣、卵巣、胎盤といった生殖腺で合成されます。ステロイドホルモンにはテストステロンやプロゲステロンに代表される性ホルモンや、コルチゾールなどに代表される副腎皮質ホルモンがあります。

ナイアシンが不足すると「ペラグラ」と呼ばれる病気を発症します

ペラグラでは皮膚炎や下痢の他、精神神経症状が見られ、治療しないと死に至るケースもあります。

ペラグラ患者は日本ではまれですが、アルコール依存症の患者においてたんぱく質や他のビタミンと共にナイアシンの不足が見られる場合があります。

他にとうもろこしを主食とする人やビタミンB6が不足している人、特定の薬剤を使用している人や代謝異常の疾患がある人はナイアシン不足のリスクが高まるといわれています。

またナイアシンは水溶性ビタミンには珍しく、過剰摂取により体調に異常を来すビタミンです。

動物性食品に含まれるニコチンアミドは、過剰摂取すると胃腸障害、肝臓の異常、消化性潰瘍の悪化などの症状を引き起こします。

また植物性食品に含まれるニコチン酸を過剰摂取すると一時的に顔に赤みやむずがゆさが生じる「フラッシング症状」と呼ばれる症状が見られます。

ナイアシンは適切に摂取するよう心掛けましょう。

2-8.ビタミンB6のはたらき

ビタミンB6は主に、たんぱく質や脂質、炭水化物の代謝に補酵素として関わるビタミンです。

特にたんぱく質からエネルギーを生み出す際に重要なはたらきをしているといわれています。

また神経伝達物質の一種である「生理活性アミン」の代謝の補酵素や、ホルモンを調節する因子としてもはたらいています。

このようなはたらきをしているビタミンB6が不足すると、脂漏性皮膚炎や湿疹、舌炎、口角炎などが見られます

また貧血や聴覚過敏、脳波の異常、免疫機能の低下などが起こる場合もあります。

貧血とは
血液中の赤血球に存在する「ヘモグロビン」の濃度が低くなった状態のことです。ヘモグロビンは酸素を運ぶはたらきをしているため、これが不足することにより、体のさまざまな組織が酸欠状態に陥って立ちくらみや息切れ、目まい、頭痛などの症状を引き起こします。

ビタミンB6の不足による不調は、ビタミンB6が不足した食事を長期にわたって続けた場合の他、ビタミンB6を阻害する作用のある抗結核剤や降圧剤、抗リウマチ剤などの一部の薬剤を服用し続けた場合に生じます。

ただしビタミンB6の不足が単独で起こることは珍しく、多くの場合は他のビタミン不足と同時に発生するといわれています。

一方、ビタミンB6を過剰摂取すると神経に異常を来したり、骨が痛んだり、筋肉が弱ったりする他、精巣の萎縮、精子数の減少などが見られることが分かっていますが、通常の食事でこうした症状が起こるほどビタミンB6を摂取することはまずあり得ません

筋肉量の維持などのために意識的にたんぱく質を摂取している方もいらっしゃるかもしれませんが、たんぱく質の代謝に大きく関わるビタミンB6も併せてしっかりと摂っておきたいところですね。

2-9.ビタミンB12のはたらき

ビタミンB12は微生物によって合成されるビタミンで、植物性食品にはほとんど含まれないという特徴を有しています。

化学的には「メチルコバラミン」「アデノシルコバラミン」「ヒドロキソコバラミン」「シアノコバラミン」「スルフィトコバラミン」に分けられ、体内ではメチルコバラミンとアデノシルコバラミンがアミノ酸や脂質の代謝の補酵素としてはたらいています

メモ
栄養素の1日当たりの摂取量の基準(食事摂取基準)を定める厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」ではビタミンB12の食事摂取基準をシアノコバラミンの重量として設定しています。

またビタミンB12は後述する葉酸と共に赤血球の構造を維持するはたらきもしています。

このため不足すると巨赤芽球性貧血という貧血の一種が起こる場合があります

巨赤芽球性貧血とは
ビタミンB12もしくは葉酸の不足により体内で新たに血液をつくることができなくなって起こる貧血の一種です。多くはビタミンB12不足が原因となるといわれています。動悸(どうき)や息切れ、疲労感といった症状が生じます。

またビタミンB12が不足した状態では、他に神経や感覚の異常や、記憶障害、うつ病、慢性疲労などの症状が見られることが分かっています。

ビタミンB12は植物性食品にはほとんど含まれていないため、不足による不調は厳格な菜食主義を貫く人に多く見られるといわれています。

また食べ物に含まれるビタミンB12はたんぱく質と結合しており、胃酸などによって分解されて小腸で吸収されるため、胃酸の分泌が少ない高齢者や病気で胃を切除している人、小腸で吸収不全が起こっている人もビタミンB12が不足しやすいといわれています。

なお、ビタミンB12は摂り過ぎても体内で吸収されることがないため、過剰摂取による不調はほとんど起こりません

ビタミンB12をしっかり摂取しておくよう心掛けましょう。

2-10.葉酸のはたらき

葉酸は体内ではDNAやRNAの合成、アミノ酸の代謝、たんぱく質の合成に関わっています

メモ
DNAはヒトの細胞の核の中に存在する染色体に位置し、体をつくるたんぱく質の構造を決める体の設計図のような役割を果たしています。はしごをひねったような二重らせん構造をしているのが特徴です。RNAはたんぱく質の情報を保持したり、たんぱく質の産生や量の調節に関わったりしています。

葉酸は細胞の増殖において重要なはたらきを果たすため、神経管が形成される受胎前後から妊娠初期までの間に母体が葉酸を摂取することで、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを下げることができるといわれています。

神経管閉鎖障害とは
脳や脊髄のもととなる神経管の形成に異常を来す先天性の障害です。腰にこぶができたり、運動や排せつに障害が見られたりします。また脳が十分に形成されず死に至る無脳症が起こる場合もあります。

また葉酸は動脈硬化の危険因子であるホモシステインをメチオニンに戻すはたらきもしています。

動脈硬化とは
心臓から全身の組織に送られる血液が通過する血管「動脈」の壁が厚く硬くなった状態のことです。動脈が狭まったり詰まったり裂けたりしやすくなるため心筋梗塞や脳梗塞、脳出血など命を脅かす病気の原因となります。

ホモシステインはアミノ酸の一種であるメチオニンの代謝によって体内で生成される物質で、体内で増え過ぎると動脈硬化のリスクを高めることが分かっています。

また葉酸はビタミンB12と共に赤血球の構造を維持するはたらきもしています。

葉酸の不足はホモシステインが血中に増える「高ホモシステイン血症」の他、巨赤芽球性貧血や神経障害、腸機能の障害を引き起こします

なお葉酸の不足による異常は食事からの摂取が不足した場合の他、腸からの吸収が十分でなかった場合に起こります。

一方、食事に含まれる葉酸を過剰摂取した場合の健康障害は確認されていません。

ただし加工食品やサプリメントに含まれる葉酸を過剰に摂取すると神経症状が現れることが分かっているため注意が必要です。

妊娠中の方はもちろん、性別や年齢を問わず適切な量の葉酸を摂取するよう心掛けましょう。

2-11.パントテン酸のはたらき

パントテン酸の「パントテン」はギリシャ語の「至る所に存在する」という意味の言葉に由来しています。

パントテン酸は体内で補酵素の構成成分としてはたらいており、特に「TCAサイクル」という炭水化物や脂質、たんぱく質からエネルギーを生み出す過程に深く関わっています

またパントテン酸は脂質の代謝においても重要なはたらきをしています。

このためパントテン酸が欠乏するとエネルギー代謝に異常や障害を来す恐れがあります

症状としては成長の停止や副腎の異常、手足のしびれ、頭痛、疲労感、不眠、食欲不振などが見られることが分かっています。

ただしパントテン酸はその名のとおりさまざまな食品に含まれているため、不足の心配はまずないといわれています。

一方、パントテン酸を過剰摂取しても不調が現れることはほとんどありません。

パントテン酸は特に意識しなくても十分に摂取できているビタミンだといえるでしょう。

2-12.ビオチンのはたらき

ビオチンは腸内細菌によって合成されますが、それだけでは十分でなく、他のビタミン同様食事からの摂取が欠かせません。

ビオチンは体内では補酵素としてさまざまな化学反応に関わっています

ビオチンが関わる反応の代表的なものに、分岐鎖アミノ酸や脂肪酸の代謝、エネルギー代謝があります。

またビオチンは「糖新生」と呼ばれるはたらきにも関わっています。

糖新生は、中性脂肪を分解した際に生じる「グリセロール」や、糖質を分解した際に生じる「乳酸」、たんぱく質を構成するアミノ酸といった糖質以外の物質からブドウ糖をつくるはたらきです。

他に、ビオチンには抗炎症物質をつくることでアレルギー症状を緩和する作用があることも分かっています。

ビオチンが不足すると免疫系の病気や、糖尿病のリスクが高まると考えられています。

また食欲不振、吐き気、うつ症状、舌炎、皮膚炎、筋肉痛、結膜炎、脱毛、けいれん、知覚過敏などの症状が現れる恐れがあります。

メモ
ビオチン不足によって起こる皮膚炎では皮膚が乾燥し、うろこ状に剥がれる症状が見られます。

しかし通常の食生活ではビオチンが不足することはないと考えられているため、あまり心配する必要はないでしょう。

ビオチン不足による不調は、ビオチンの吸収を阻害する成分を含む卵白を生で長期間にわたって摂取し続けた場合に見られます。

また先天的な代謝異常や抗けいれん薬の長期服用、長期にわたる血液透析でもビオチン欠乏のリスクが高まります。

一方、ビオチンを多量に摂取しても、尿を通じて排せつされるため過剰摂取による不調は一般的には見られません

ただし哺乳類が妊娠中に多量のビオチンを摂取した場合、胎児の吸収や胎盤および卵巣の萎縮が起こることが報告されている点には注意しておきましょう。

ビオチンは皮膚や粘膜の健康維持を助けるともいわれているので、適量を摂取しておきたいものですね。

2-13.ビタミンCのはたらき

ビタミンCは皮膚や腱(けん)、軟骨の材料となるたんぱく質「コラーゲン」をつくるために欠かせない物質です。

他に、ビタミンCには抗酸化作用があることも知られています。

ビタミンEと協力し細胞を保護してくれているのです。

ビタミンCが不足すると、倦怠感や疲労感、気力の低下といった症状が見られます

またビタミンCの摂取量が深刻に不足していると、コラーゲンが十分につくれないことにより血管がもろくなり、出血しやすくなる「壊血病」という病気を発症する恐れがあります。

壊血病では歯ぐき(歯茎)や皮膚の下で出血が起こったり、貧血や筋肉の減少、呼吸困難、心臓の障害などの症状が見られたりします。

ビタミンCの不足は野菜や果物などビタミンCを含む食品の摂取量が少ない人の他、アルコール依存症がある人、薬物依存がある人などで見られます。

またたばこを吸う人や受動喫煙の機会が多い人では非喫煙者よりもビタミンCの必要量が増えるため要注意です。

なおビタミンCを食事から過剰摂取したことによる健康障害は確認されていません

ただしサプリメントなどでビタミンCを摂り過ぎると吐き気や下痢、腹痛などが見られる場合があります。

また腎機能が低下している人は尿路結石のリスクが高まるといわれているので注意しましょう。

ビタミンCは健康だけでなく美容にも重要だといえるビタミンなので、適量の摂取を心掛けましょう。

3.各種のビタミンの食事摂取基準

「それぞれのビタミンはどれくらい摂れば良いのかな?」

このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ビタミンが不足すると体に良くないことは分かっていても適量はどれくらいなのか、普段の食生活で十分に摂れているのか気になるところですよね。

そこでこの章では厚生労働省が定めるビタミンの食事摂取基準を一部抜粋してご紹介します。

メモ
この記事では18歳以上の男女の食事摂取基準の一部をご紹介しています。未成年の方は厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の「乳児・小児」の項、妊娠中・授乳中の方は「妊婦・授乳婦」の項をご参照ください。

乳児・小児

妊婦・授乳婦

3-1.ビタミンAの食事摂取基準

成人のビタミンAの推奨量は以下のとおりです。

推奨量とは
ほとんどの人にとって十分だと考えられる量です。
【ビタミンAの推奨量】
年齢 男性 女性
18〜29歳
850μgRAE
650μgRAE
30〜49歳
900μgRAE
700μgRAE
50〜64歳
900μgRAE
700μgRAE
65〜74歳
850μgRAE
700μgRAE
75歳以上
800μgRAE
650μgRAE

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

またビタミンAには耐容上限量も設定されています。

耐容上限量とは
健康障害をもたらすリスクがないと考えられる習慣的な摂取の上限量です。耐容上限量を超えて摂取すると過剰摂取による健康障害のリスクが高まる恐れがあります。

成人のビタミンA耐容上限量は以下のとおりです。

【ビタミンAの耐容上限量】
年齢 男性 女性
18歳以上
2,700μgRAE
2,700μgRAE

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

なお厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」によれば、ビタミンAの平均摂取量は20歳以上の男性で564μgRAE、女性で532μgRAEです[2]。

平均摂取量が推奨量を満たせていないため、ビタミンAは積極的に摂取すべき栄養素の一つだといえるでしょう。

[2] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査

3-2.ビタミンDの食事摂取基準

ビタミンDには目安量および耐容上限量が設定されています。

目安量とは
一定の栄養状態を維持するのに十分な量のことです。目安量以上を摂取していれば、不足による不調が現れる心配はほとんどないといわれています。推奨量を設定する十分な科学的根拠が得られない場合に設定される食事摂取基準の一種です。

成人のビタミンDの目安量は以下のとおりです。

【ビタミンDの目安量】
年齢 男性 女性
18歳以上
8.5μg
8.5μg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

また成人のビタミンD耐容上限量は以下のとおりです。

【ビタミンDの耐容上限量】
年齢 男性 女性
18歳以上
100μg
100μg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

なお20歳以上の男性の平均摂取量は7.9μg、同じく女性の平均摂取量は6.6μgです[3]。

平均摂取量が目安量に達していないので、ビタミンDを積極的に摂取するよう心掛けましょう

[3] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査

3-3.ビタミンEの食事摂取基準

ビタミンEには目安量と耐容上限量が設定されています。

成人のビタミンEの目安量は以下のとおりです。

【ビタミンEの目安量】
年齢 男性 女性
18〜29歳
6.0mg
5.0mg
30〜49歳
6.0mg
5.0mg
50〜64歳
7.0mg
6.0mg
65〜74歳
7.0mg
6.5mg
75歳以上
6.5mg
6.5mg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

【ビタミンEの耐容上限量】
年齢 男性 女性
18〜29歳
850mg
650mg
30〜49歳
900mg
700mg
50〜64歳
850mg
700mg
65〜74歳
850mg
650mg
75歳以上
750mg
650mg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

なお20歳以上の男性のビタミンE平均摂取量は7.2mg 、同じく女性の平均摂取量は6.6mg です[4]。

平均的な食生活を送っていれば、おおむね目安量を摂取できていると考えられるでしょう。

[4] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査

3-4.ビタミンKの食事摂取基準

ビタミンKには目安量が設定されています。

成人のビタミンK目安量は以下のとおりです。

【ビタミンKの目安量】
年齢 男性 女性
18歳以上
150μg
150μg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

なお20歳以上のビタミンKの平均摂取量は男性で258μg、女性で243μgです[5]。

平均的な食生活を送っていれば十分に摂取できていると考えられますね

[5] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査

3-5.ビタミンB1の食事摂取基準

ビタミンB1には推奨量が設定されています。

成人のビタミンB1推奨量は以下のとおりです。

【ビタミンB1の推奨量】
年齢 男性 女性
18〜29歳
1.4mg
1.1mg
30〜49歳
1.4mg
1.1mg
50〜64歳
1.3mg
1.1mg
65〜74歳
1.3mg
1.1mg
75歳以上
1.2mg
0.9mg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

20歳以上のビタミンB1平均摂取量は男性で1.03mg、女性で0.88mgです[6]。

ビタミンB1がやや不足している可能性があるので積極的に摂取するよう心掛けましょう

[6] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査

3-6.ビタミンB2の食事摂取基準

ビタミンB2には推奨量が設定されています。

成人のビタミンB2の推奨量は以下のとおりです。

【ビタミンB2の推奨量】
年齢 男性 女性
18〜29歳
1.6mg
1.2mg
30〜49歳
1.6mg
1.2mg
50〜64歳
1.5mg
1.2mg
65〜74歳
1.5mg
1.2mg
75歳以上
1.3mg
1.0mg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

20歳以上の男性のビタミンB2平均摂取量は1.25mg、同じく女性の平均摂取量は1.13mgです[7]。

摂取量が推奨量に達していない可能性があるので十分摂取するよう心掛けましょう

[7] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査

3-7.ナイアシンの食事摂取基準

ナイアシンには推奨量と耐容上限量が設定されています。

ナイアシンの推奨量は以下のとおりです。

【ナイアシンの推奨量】
年齢 男性 女性
18〜29歳
15mgNE
11mgNE
30〜49歳
15mgNE
12mgNE
50〜64歳
14mgNE
11mgNE
65〜74歳
14mgNE
11mgNE
75歳以上
13mgNE
10mgNE

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

ナイアシンの耐容上限量は動物性食品に含まれるニコチンアミドと植物性食品に含まれるニコチン酸で別途設定されています

成人のニコチンアミドとニコチン酸の耐容上限量はそれぞれ以下のとおりです。

【ニコチンアミドの耐容上限量】
年齢 男性 女性
18〜29歳
300mgNE
250mgNE
30〜49歳
350mgNE
250mgNE
50〜64歳
350mgNE
250mgNE
65〜74歳
300mgNE
250mgNE
75歳以上
300mgNE
250mgNE

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

【ニコチン酸の耐容上限量】
年齢 男性 女性
18〜29歳
80mgNE
65mgNE
30〜49歳
85mgNE
65mgNE
50〜64歳
85mgNE
65mgNE
65〜74歳
80mgNE
65mgNE
75歳以上
75mgNE
60mgNE

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

20歳以上の男性のナイアシン平均摂取量は34.5mg、同じく女性の平均摂取量は28.6mgです[8]。

多くの方が推奨量以上のナイアシンを摂取できていると考えられるでしょう。

[8] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査

3-8.ビタミンB6の食事摂取基準

ビタミンB6には推奨量と耐容上限量が設定されています。

成人のビタミンB6推奨量は以下のとおりです。

【ビタミンB6の推奨量】
年齢 男性 女性
18歳以上
1.4mg
1.1mg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

また成人の耐容上限量は以下のとおりです。

【ビタミンB6の耐容上限量】
年齢 男性 女性
18〜29歳
55mg
45mg
30〜49歳
60mg
45mg
50〜64歳
55mg
45mg
65〜74歳
50mg
40mg
75歳以上
50mg
40mg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

20歳以上のビタミンB6平均摂取量は男性で1.30mg、女性で1.12mgです[9]。

平均摂取量が推奨量を下回っているので意識的に摂取しておきましょう

[9] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査

3-9.ビタミンB12の食事摂取基準

ビタミンB12には推奨量が設定されています。

成人のビタミンB12推奨量は以下のとおりです。

【ビタミンB12の推奨量】
年齢 男性 女性
18歳以上
2.4μg
2.4μg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

なお20歳以上のビタミンB12平均摂取量は男性で7.3μg、女性で5.9μgです[10]。

通常の食生活を送っていれば十分な量のビタミンB12を摂取できていると考えられますね。

[10] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査

3-10.葉酸の食事摂取基準

葉酸には推奨量および耐容上限量が設定されています。

成人の葉酸の推奨量は以下のとおりです。

【葉酸の推奨量】
年齢 男性 女性
18歳以上
240μg
240μg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

また成人の耐容上限量は以下のとおりです。

【葉酸の耐容上限量】
年齢 男性 女性
18〜29歳
900μg
900μg
30〜49歳
1,000μg
1,000μg
50〜64歳
1,000μg
1,000μg
65〜74歳
900μg
900μg
75歳以上
900μg
900μg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

20歳以上の男性の葉酸平均摂取量は310μg、同じく女性の葉酸平均摂取量は295μgです[11]。

おおむね十分な量の葉酸を摂取できていると考えられますが、妊娠中や授乳中の方はより多くの葉酸を摂取することが勧められます。

妊娠中および授乳中に摂るべき葉酸の量については以下の記事をご確認ください。

葉酸とは?はたらきや食事摂取基準、多く含まれる食品などを紹介

[11] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査

3-11.パントテン酸の食事摂取基準

パントテン酸には目安量が設定されています。

成人のパントテン酸目安量は以下のとおりです。

【パントテン酸の目安量】
年齢 男性 女性
18〜29歳
5mg
5mg
30〜49歳
5mg
5mg
50〜64歳
6mg
5mg
65〜74歳
6mg
5mg
75歳以上
6mg
5mg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

パントテン酸の平均摂取量は20歳以上の男性で6.05mg、同じく女性で5.30mgです[12]。

年代によっては平均摂取量が目安量を下回っている場合もあるのでしっかりと摂取しておきましょう

[12] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査

3-12.ビオチンの食事摂取基準

ビオチンには目安量が設定されています。

成人のビオチンの目安量は以下のとおりです。

【ビオチンの目安量】
年齢 男性 女性
18歳以上
50μg
50μg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

なお厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」ではビオチンの平均摂取量は調査されていないため不明です。

食事摂取基準を参考に適量を摂取するよう心掛けましょう

3-13.ビタミンCの食事摂取基準

ビタミンCには推奨量が設定されています。

成人のビタミンC推奨量は以下のとおりです。

【ビタミンCの推奨量】
年齢 男性 女性
18歳以上
100mg
100mg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

20歳以上の男性のビタミンC平均摂取量は96mg、同じく女性の平均摂取量は101mgです[13]。

年代によっては平均摂取量が推奨量を大きく下回っている場合もあるので、積極的に摂取するよう心掛けましょう

[13] 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査

4.各種のビタミンの摂取源

「不足しているビタミンを補うには何を食べたら良いんだろう?」

「各種のビタミンはどんな食べ物に含まれているのかな」

このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ビタミンといえば野菜や果物に含まれているもの、というイメージがあるかもしれませんが、ビタミンのなかには動物性食品が主な摂取源となるものもあります。

ここでは、各種のビタミンの摂取源となる食べ物をご紹介しましょう

4-1.ビタミンAの摂取源

焼き鳥盛りあわせ

ビタミンAの摂取源となる食品には以下のようなものがあります。

【ビタミンAの摂取源となる食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
鶏レバー
14,000μg
豚レバー
13,000μg
あんこう肝
8,300μg
うなぎ
かば焼き
1,500μg
ぎんだら
1,500μg
ほたるいか
1,500μg
牛レバー
1,100μg
くろまぐろ(養殖)赤身
840μg
モロヘイヤ
840μg
鶏ハツ(心臓)
700μg
鶏卵卵黄
690μg
にんじん
皮なし、生
630μg
あゆ(養殖)
焼き
480μg
しゅんぎく
380μg
ほうれん草
350μg
トウミョウ
340μg
サンチュ
320μg
にら
290μg
小松菜
260μg
西洋かぼちゃ
210μg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

ビタミンAは内臓肉や一部の魚の他、緑黄色野菜などの野菜に含まれています

緑黄色野菜とは
原則として可食部100g当たりに600μg以上のカロテンを含有する野菜のことです[14]。代表例としてほうれん草、にんじん、かぼちゃが挙げられます。ただしトマトやピーマンのカロテン含有量は600μg未満ですが[14]、食べる頻度や量が多いことからこれらの野菜も緑黄色野菜に分類されています。

緑黄色野菜にはプロビタミンAであるβ-カロテンなどが含まれているため、ビタミンAの含有量が多くなっているのです。

[14] 厚生労働省 e-ヘルスネット「緑黄色野菜

4-2.ビタミンDの摂取源

タンパク質系の料理

ビタミンDの摂取源には以下のようなものがあります。

【ビタミンDの摂取源となる食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
あんこう肝
110.0μg
しらす干し
半乾燥
61.0μg
イクラ(しろさけ)
44.0μg
べにざけ
33.0μg
まいわし
32.0μg
しろさけ
32.0μg
にしん
22.0μg
うなぎ
かば焼き
19.0μg
くろまぐろ(天然)トロ
18.0μg
しまあじ(養殖)
18.0μg
さんま
皮付き、生
16.0μg
ぎんざけ(養殖)
15.0μg
まがれい
13.0μg
にしんかずのこ
13.0μg
鶏卵卵黄
12.0μg
まいたけ
4.9μg
豚タン(舌)
2.0μg
豚レバー
1.3μg
エリンギ
1.2μg
えのきたけ
0.9μg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

ビタミンDは魚類の他、きのこ類にも含まれています。

野菜や果物などからはほとんど摂取できないので、しっかりこれらの食品を摂取しておきましょう。

4-3.ビタミンEの摂取源

アーモンド

ビタミンEの摂取源となる食品には以下のようなものがあります。

【ビタミンEの摂取源となる食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
アーモンド
いり、無塩
29.0mg
ヘーゼルナッツ
フライ、味付け
18.0mg
なたね油
-
15.0mg
マーガリン(家庭用、有塩)
-
15.0mg
あんこう肝
14.0mg
らっかせい
いり
10.0mg
イクラ(しろさけ)
-
9.1mg
あゆ(養殖)
焼き
8.2mg
オリーブオイル
7.4mg
たらこ(すけとうだら)
7.1mg
モロヘイヤ
6.5mg
はまち(養殖)
5.5mg
ぎんだら
4.6mg
鶏卵卵黄
4.5mg
赤ピーマン(パプリカ)
4.3mg
西洋かぼちゃ
3.9mg
トウミョウ
3.3mg
ブロッコリー
3.0mg
にら
2.5mg
いり大豆(黄大豆)
-
2.2mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

ビタミンEはナッツ類や植物性油脂、魚類、緑黄色野菜などに含まれている傾向にあります。

ビタミンEを摂取したい方はこれらの食品を積極的に食卓に取り入れてみましょう。

4-4.ビタミンKの摂取源

お箸で納豆を持ち上げているところ

ビタミンKの摂取源となる食べ物には主に以下のようなものがあります。

【ビタミンKの摂取源となる食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
ひき割り納豆
-
930μg
納豆
-
870μg
モロヘイヤ
640μg
トウミョウ
280μg
ほうれん草
270μg
サンチュ
220μg
小松菜
210μg
ブロッコリー
210μg
ルッコラ
210μg
にら
180μg
リーフレタス
160μg
鶏皮(もも)
120μg
鶏皮(むね)
110μg
チンゲンサイ
84μg
油揚げ
67μg
鶏ハツ(心臓)
-
51μg
がんもどき
-
43μg
鶏卵卵黄
39μg
いり大豆(黄大豆)
-
38μg
ピスタチオ
いり、味付け
29μg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

納豆は非常に多くのビタミンKを含んでいます

また他に葉物野菜などからもビタミンKを摂取することができます。

4-5.ビタミンB1の摂取源

ソースをかけた揚げ物

ビタミンB1を含む食品には以下のようなものがあります。

【ビタミンB1の摂取源となる食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
豚ヒレ肉(赤肉)
1.32mg
豚もも肉(赤肉)
0.96mg
豚ロース肉(赤肉)
0.80mg
豚肩ロース(赤肉)
0.72mg
たらこ(すけとうだら)
0.71mg
ロースハム
-
0.70mg
豚ひき肉
0.69mg
ショルダーベーコン
-
0.58mg
カシューナッツ
フライ、味付け
0.54mg
豚ばら肉
脂身付き、生
0.51mg
ピスタチオ
いり、味付け
0.43mg
イクラ(しろさけ)
-
0.42mg
鶏レバー
0.38mg
豚レバー
0.34mg
まだい(養殖)
皮付き、生
0.32mg
えだまめ
0.31mg
そらまめ
0.30mg
しらこ(まだら)
0.24mg
らっかせい
いり
0.24mg
ぶり
0.23mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

ビタミンB1は豚肉に多く含まれている傾向にあります

また魚卵や内臓肉などからも摂取が可能です。

4-6.ビタミンB2の摂取源

レバニラ炒め

ビタミンB2の摂取源となる食べ物には主に以下のようなものがあります。

【ビタミンB2の摂取源となる食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
豚レバー
3.60mg
牛レバー
3.00mg
鶏レバー
1.80mg
鶏ハツ(心臓)
1.10mg
アーモンド
いり、無塩
1.04mg
豚ハツ(心臓)
0.95mg
牛ハツ(心臓)
0.90mg
うなぎ
かば焼き
0.74mg
うずら卵全卵
0.72mg
鶏卵卵黄
0.45mg
しじみ
0.44mg
たらこ(すけとうだら)
0.43mg
豚タン(舌)
0.43mg
モロヘイヤ
0.42mg
さば
水煮缶詰
0.40mg
ひき割り納豆
-
0.36mg
牛ハラミ
0.35mg
納豆
-
0.30mg
トウミョウ
0.27mg
マッシュルーム
0.29mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

ビタミンB2は内臓肉や卵類、一部の魚介類などから摂取が可能です。

ビタミンB2を積極的に摂取したい方はレバーを食卓に取り入れてみるのが良いかもしれませんね。

4-7.ナイアシンの摂取源

たらこパスタ

ナイアシンの摂取源となる食べ物には以下のようなものがあります。

【ナイアシンの摂取源となる食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
たらこ(すけとうだら)
54.0mg
らっかせい
いり
28.0mg
びんなが
26.0mg
かつお(春獲り)
24.0mg
かつお(秋獲り)
23.0mg
くろまぐろ(養殖)
20.0mg
豚レバー
19.0mg
牛レバー
18.0mg
鶏むね肉
皮なし、生
17.0mg
鶏ささみ
17.0mg
まさば
16.0mg
みなみまぐろ(赤身)
15.0mg
ぶり
14.0mg
まだい
皮なし、生
12.0mg
豚ヒレ肉(赤肉)
12.0mg
いり大豆(黄大豆)
12.0g
11.0mg
豚ロース
脂身付き、生
11.0mg
輸入牛サーロイン(赤肉)
11.0mg
油揚げ
6.2mg
えだまめ
4.2mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

ナイアシンは肉類や魚類、豆類などに含まれています

植物性食品よりも動物性食品からの方が摂取しやすいビタミンであるといえるでしょう。

4-8.ビタミンB6の摂取源

赤みさかなの刺身

ビタミンB6を含む食べ物には以下のようなものがあります。

【ビタミンB6の摂取源となる食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
にんにく
1.53mg
ピスタチオ
いり、味付け
1.22mg
みなみまぐろ(赤身)
1.08mg
みなみまぐろ(トロ)
1.00mg
びんなが
0.94mg
牛レバー
0.89mg
くろまぐろ(天然、赤身)
0.85mg
くろまぐろ(天然、トロ)
0.82mg
かつお(春獲り)
0.76mg
かつお(秋獲り)
0.76mg
鶏レバー
0.65mg
鶏むね肉
皮なし、生
0.64mg
鶏ささみ
0.62mg
まさば
0.59mg
さんま
皮なし、生
0.58mg
豚レバー
0.57mg
まだい(養殖)
皮なし、生
0.56mg
ししとう
0.39mg
赤ピーマン(パプリカ)
0.37mg
モロヘイヤ
0.35mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

ビタミンB6はにんにくに非常に多く含まれています。

また赤身の魚や鶏肉などからも摂取できます

4-9.ビタミンB12の摂取源

貝のはいったお吸い物

ビタミンB12の摂取源となる食品には以下のようなものが挙げられます。

【ビタミンB12の摂取源となる食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
しじみ
68.0μg
牛レバー
53.0μg
イクラ(しろさけ)
-
47.0μg
あさり
44.8μg
鶏レバー
44.0μg
あんこう肝
39.0μg
はまぐり
28.0μg
豚レバー
25.0μg
かき(養殖)
23.0μg
たらこ(すけとうだら)
18.0μg
さんま
皮付き、生
16.0μg
ほたるいか
14.0μg
まさば
13.0μg
さば
水煮缶詰
12.0μg
ほたてがい
11.0μg
馬肉(赤肉)
7.1μg
うずら卵全卵
4.7μg
鶏卵卵黄
3.5μg
牛タン(舌)
3.8μg
プロセスチーズ
-
3.2μg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

ビタミンB12は植物性食品にはほとんど含まれず、魚介類や肉類などの動物性食品が摂取源となります

野菜中心の食生活では不足してしまうので適宜摂取するよう心掛けましょう。

4-10.葉酸の摂取源

タレがたっぷりの焼き鳥

葉酸は以下のような食品から摂取できます。

【葉酸の摂取源となる食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
鶏レバー
1,300μg
牛レバー
1,000μg
豚レバー
810μg
えだまめ
320μg
いり大豆(黄大豆)
-
260μg
モロヘイヤ
250μg
ブロッコリー
220μg
ほうれん草
210μg
アスパラガス
190μg
水菜
140μg
そらまめ
120μg
サニーレタス
120μg
小松菜
110μg
いちご
90μg
ほたてがい
87μg
マンゴー
84μg
アボカド
83μg
しらす
56μg
たらこ(すけとうだら)
52μg
かき(養殖)
39μg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

葉酸はその名前から植物性食品に多く含まれているイメージがあるかもしれませんが、動物性食品からも摂取可能で、レバー類には非常に多く含まれています

また一部の野菜や果物類などからも摂取が可能です。

4-11.パントテン酸の摂取源

タレのたっぷりついた焼き鳥

パントテン酸の摂取源となる食べ物には以下のようなものがあります。

【パントテン酸の摂取源となる食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
鶏レバー
10.00mg
豚レバー
7.19mg
牛レバー
6.40mg
ひき割り納豆
-
4.28mg
鶏ハツ(心臓)
4.41mg
たらこ(すけとうだら)
3.68mg
納豆
-
3.63mg
鶏卵卵黄
3.60mg
豚ハツ(心臓)
2.70mg
イクラ(しろさけ)
-
2.36mg
らっかせい
いり
2.20mg
牛ハツ(心臓)
2.16mg
鶏ささみ
2.07mg
ししゃも生干し
1.95mg
モロヘイヤ
1.83mg
アボカド
1.55mg
マッシュルーム
1.54mg
ブロッコリー
1.42mg
まだい(養殖)
皮なし、生
1.40mg
ぎんざけ(養殖)
1.37mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

パントテン酸は内臓肉や魚卵、納豆などに多く含まれています

動物性食品にも植物性食品にも含まれているので比較的摂取しやすいビタミンであるといえるでしょう。

4-12.ビオチンの摂取源

ナッツ類

ビオチンを含む食べ物には以下のようなものがあります。

【ビオチンの摂取源となる食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
鶏レバー
230.0μg
らっかせい
いり
110.0μg
ヘーゼルナッツ
フライ、味付け
82.0μg
豚レバー
80.0μg
牛レバー
76.0μg
鶏卵卵黄
65.0μg
いり大豆(黄大豆)
-
27.0μg
まいたけ
24.0μg
鶏卵全卵
24.0μg
まがれい
22.0μg
あさり
21.6μg
カシューナッツ
フライ、味付け
19.0μg
納豆
-
18.2μg
ししゃも生干し
18.0μg
たらこ(すけとうだら)
18.0μg
モロヘイヤ
14.0μg
湯葉
14.0μg
ブロッコリー
13.0μg
えだまめ
11.0μg
えのきたけ
11.0μg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

ビオチンはレバーの他、一部のナッツ類、魚介類、豆類などから摂取が可能です。

さまざまな食品に含まれていることが分かりますね。

4-13.ビタミンCの摂取源

赤ピーマンと黄色ピーマン

ビタミンCが含まれている食品には以下のようなものがあります。

【ビタミンCの摂取源となる食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
赤ピーマン(パプリカ)
170mg
オレンジピーマン(パプリカ)
150mg
黄ピーマン(パプリカ)
150mg
キウイフルーツ(黄肉種)
140mg
ブロッコリー
140mg
レモン全果
100mg
カリフラワー
81mg
トウミョウ
79mg
ピーマン
76mg
キウイフルーツ(緑肉種)
71mg
かき(甘がき)
70mg
モロヘイヤ
65mg
いちご
62mg
さやえんどう(若ざや)
60mg
ネーブルオレンジ
60mg
水菜
55mg
レモン果汁
50mg
西洋かぼちゃ
43mg
バレンシアオレンジジュース(濃縮還元)
-
42mg
さつまいも
皮なし、生
29mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

ビタミンCは主に野菜や果物などの植物性食品に含まれています。

なかでもピーマンや柑橘(かんきつ)類、キウイなどはビタミンCを豊富に含んでいます

ビタミンCの摂取量を増やしたい方はこれらの食品を積極的に取り入れるようにしましょう。

5.ビタミンについてのまとめ

ビタミンはヒトの体に必要な栄養素のうち、たんぱく質・脂質・炭水化物・ミネラル以外の微量の有機化合物のことです。

全部で13種類あり、いずれも体の機能を正常に保つために欠かせません。

ビタミンはその性質から脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンに分けられます。

脂溶性ビタミンにはビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKの四つがあります

また水溶性ビタミンにはビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンCが該当します

それぞれの主なはたらきは以下のとおりです。

【各種のビタミンの主なはたらき】
ビタミン はたらき
ビタミンA 目の健康を保つ、皮膚や粘膜を正常に保つ、細胞の成長や分化に関わる
ビタミンD カルシウムやリンの代謝に関わる
ビタミンE 多価不飽和脂肪酸の酸化を防ぐ、抗酸化作用を有する
ビタミンK 出血を正常に止めるはたらきに関わる、骨の形成に関わる
ビタミンB1 糖質や分岐鎖アミノ酸の代謝に関わる、皮膚や粘膜の健康維持に関わる
ビタミンB2 エネルギー代謝に関わる、成長を促す、皮膚や粘膜を保護する
ナイアシン アルコールの分解に関わる、酸化還元反応に関わる、活性酸素に対抗するはたらきに関わる、脂肪酸やステロイドホルモンの合成に関わる
ビタミンB6 たんぱく質・脂質・炭水化物の代謝に関わる、神経伝達物質の代謝に関わる、ホルモンを調節する因子としてはたらく
ビタミンB12 アミノ酸や脂質の代謝に関わる、赤血球の構造を維持する
葉酸 DNAやRNAの合成に関わる、アミノ酸の代謝やたんぱく質の合成に関わる、ビタミンB12と共に赤血球の構造を維持する
パントテン酸 エネルギーを生み出すはたらきに関わる
ビオチン 分岐鎖アミノ酸や脂肪酸の代謝に関わる、エネルギー代謝に関わる、糖新生に関わる、アレルギー症状を緩和する
ビタミンC コラーゲンの合成に関わる、抗酸化作用を有する

このようにビタミンはそれぞれ異なるはたらきをしており、不足するとさまざまな症状を引き起こします。

また一部のビタミンは摂り過ぎることによっても不調を招くため要注意です。

健康のために、それぞれのビタミンを過不足なく摂取するよう心掛けましょう

この記事では各種のビタミンの摂取源となる食品もご紹介したので、健康的な食生活を送る上での参考にしてくださいね。

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