「ブルーベリーにはどんな栄養が含まれているんだろう?」
「ブルーベリーは目に良いと聞くけど本当なのかな……」
ブルーベリーに含まれている栄養素について詳しく知らないという方も多いかもしれません。
ブルーベリーには食物繊維や各種ビタミン、ミネラルなどさまざまな栄養素が含まれています。
また目に良いとされるアントシアニンも含まれています。
この記事では、ブルーベリーに含まれる栄養素とそのはたらきについて解説します。
おいしいブルーベリーの選び方や保存方法もご紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。
1.ブルーベリーの基礎知識
ブルーベリーは、ツツジ科スノキ属の植物とその果実の総称です。
果実の色が青紫色であることから「ブルーベリー」という名前がつけられました。
日本では主にアメリカ北部原産の「ハイブッシュブルーベリー」とアメリカ東南部原産の「ラビットアイブルーベリー」の2種類が栽培されています[1]。
ハイブッシュベリーは北海道や東北などの寒冷地で栽培されており、果実が大きくて甘みが強いのが特徴です。
一方のラビットアイベリーは関東南部から九州の広い地域で栽培されており、果肉に歯応えがあります。
ブルーベリーの旬は種類によっても異なりますが、一般的には6〜8月です[2]。
ブルーベリーのカロリー(エネルギー量)は100g当たり48kcalです[1]。
[1] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[2] 株式会社わかさ生活 わかさの秘密「ブルーベリー」
2.ブルーベリーに豊富に含まれる栄養素とはたらき
「ブルーベリーからはどんな栄養素が摂取できるんだろう?」
ブルーベリーにどんな栄養素が含まれているのか気になりますよね。
ブルーベリーには以下のように食物繊維やビタミンが豊富に含まれています。
【ブルーベリーに豊富に含まれる栄養素とその含有量(100g当たり)】
栄養素 | 含有量 |
---|---|
食物繊維 | 3.3g |
ビタミンE | 1.7mg |
葉酸 | 12μg |
ビタミンC | 9mg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
この章ではブルーベリーに豊富に含まれる栄養素や、そのはたらきについて解説します。
また成人男女の食事摂取基準もご紹介するので、摂取量の参考にしてくださいね。
[3] 東京都保健医療局「栄養成分表示ハンドブック」
[4] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
2-1.食物繊維
ブルーベリーには食物繊維が100g当たり3.3g含まれています [5]。
食物繊維は食品に含まれるヒトの消化酵素で消化できない物質の総称です。
食物繊維は便の材料となったり腸内細菌を増やしたりして、便通を良くすることが知られています。
また食物繊維には脂質や糖、ナトリウムなどを吸着し、体の外に排出するはたらきもあります。
そのためこれらが原因となる肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病を予防する効果が期待されています。
食物繊維の目標量は男性の場合18〜64歳で21g以上、65歳以上で20g以上です[6]。
女性の場合18〜64歳で18g以上、65歳以上で17g以上です[6]。
ほとんどの日本人は食物繊維が不足した食生活を送っているため、ブルーベリーなどの食品から積極的に摂取しましょう。
食物繊維についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
食物繊維にはどんな効果がある?含まれる食品や効率的な食べ方のコツ
[5] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[6] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-2.ビタミンE
ブルーベリーにはビタミンEが100g当たり1.7mg含まれています [7]。
ビタミンEは脂溶性ビタミンの一種で、体内では細胞膜や脂質に存在しています。
ビタミンEは抗酸化作用を持ち、「過酸化脂質」の増加を抑制します。
過酸化脂質は血中の脂質が活性酸素により酸化したもので、心臓から全身の器官に血液を送る血管「動脈」の内壁に蓄積していきます。
過酸化脂質が増え過ぎた動脈では「動脈硬化」が進行してしまいます。
動脈硬化は知らず知らずのうちに進行し重大な病気を招くので、しっかり予防しておくことが重要です。
ビタミンEの目安量は、男性の場合18~49歳で6.0mg、50~74歳で7.0mg、75歳以で6.5mgです[8]。
女性の場合18~29歳で5.0mg、30~49歳で5.5mg、50〜64歳で6.0mg、65歳以上で6.5mgです[8]。
ブルーベリーを含むさまざまな食品からビタミンEを摂取しましょう。
ビタミンEについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンEが多く含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
[7] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[8] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-3.葉酸
ブルーベリーには葉酸が100g当たり12μg含まれています [9]。
葉酸は水溶性ビタミンの一種で、ビタミンB12と共に赤血球の形成を助ける栄養素です。
DNAやRNA、たんぱく質の合成などのはたらきを通じ、細胞の分裂や増殖に関与しています。
葉酸が不足すると「巨赤芽球性貧血」と呼ばれる貧血が現れます。
また葉酸は胎児の正常な発育においても重要なはたらきをするため、特に妊娠を計画中の女性や妊婦にとって欠かせない栄養素です。
胎児の細胞増殖が盛んな妊娠初期に葉酸が不足すると、胎児の「神経管閉鎖障害」を発症する可能性が高くなるといわれています。
葉酸の推奨量は、男女共に18歳以上で240μgです[10]。
葉酸についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
葉酸が多く含まれている食べ物とは?効果や摂取基準もあわせて解説
[9] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[10] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
2-4.ビタミンC
ブルーベリーにはビタミンCが100g当たり9mg含まれています [11]。
ビタミンCは水溶性ビタミンの一種です。
ビタミンCは皮膚や腱(けん)、軟骨などを構成するたんぱく質「コラーゲン」をつくるために必要な栄養素です。
また消化管での鉄の吸収を高めたり、抗酸化物質としてはたらいたりもします。
ビタミンCが不足すると、気力低下や疲労感などの症状が現れます。
重度のビタミンC不足に陥ると歯茎や皮下からの出血、貧血、筋肉の減少、心臓障害、呼吸困難などの症状が見られる「壊血病」を引き起こすこともあります。
ビタミンC不足は野菜や果物の摂取不足やアルコール依存などが原因になるといわれています。
ビタミンCの推奨量は、男女共に18歳以上で100mgです[12]。
不足しないようにブルーベリーなどさまざまな食品を摂取するよう心掛けましょう。
ビタミンCについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンCの美容・健康効果は?目標摂取量と豊富に含まれている食品
[11] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[12] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3.ブルーベリーに含まれる栄養素とはたらき
ブルーベリーにはビタミンB1やビタミンB6などのビタミンB群、カリウムや鉄などのミネラルも含まれています。
【ブルーベリーに含まれる栄養素とその含有量(100g当たり)】
栄養素 | 含有量 |
---|---|
ビタミンB1 | 0.03mg |
ビタミンB6 | 0.05mg |
パントテン酸 | 0.12mg |
カリウム | 70mg |
鉄 | 0.2mg |
銅 | 0.04mg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
この章ではブルーベリーに含まれる栄養素のはたらきや、そのはたらきについて解説します。
[13] 東京都保健医療局「栄養成分表示ハンドブック」
3-1.ビタミンB1
ブルーベリーにはビタミンB1が100g当たり0.03mg含まれています [14]。
ビタミンB1は水溶性のビタミンB群の一種で、糖質をエネルギーに変えるときに欠かせない栄養素です。
そのためごはんやパンといった糖質の摂取が多い方やお酒を飲む方は、ビタミンB1を積極的に摂取しましょう。
ビタミンB1が不足すると糖質を十分にエネルギーに変えられず、だるさや疲れを感じやすくなります。
特に糖質を主なエネルギー源とする神経や脳に影響を及ぼすことがあるため、注意が必要です。
精白米を常食している人においては、全身の倦怠(けんたい)感や食欲不振、手足のしびれなどの症状が見られる「脚気(かっけ)」が起こります。
ビタミンB1の推奨量は、男性の場合18~49歳で1.4mg、50~74歳で1.3mg、75歳以上で1.2mgです[15]。
女性の場合18~74歳で1.1mg、75歳以上で0.9mgです[15]。
ビタミンB1についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB1が豊富に含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
[14] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[15] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3-2.ビタミンB6
ブルーベリーにはビタミンB6が100g当たり0.05mg含まれています [16]。
ビタミンB6はビタミンB群の一種で、エネルギーをつくり出す際に欠かせない栄養素です。
ビタミンB6は補酵素として、多くの酵素のはたらきをサポートすることで、さまざまな代謝に関わっています。
特にたんぱく質からエネルギーをつくる際の重要な役割を担うため、たんぱく質を多く摂取している方はビタミンB6の必要量が増加します。
それ以外にも、正常な免疫機能の維持や赤血球のヘモグロビンの合成、神経伝達物質の合成、皮膚や粘膜の健康維持などに関わっています。
ビタミンB6が不足すると、湿疹や口角炎、貧血、免疫機能の低下などが見られますが、ビタミンB6が単独で不足することはまれで、多くの場合他のビタミンと同時に不足します。
ビタミンB6の推奨量は、18歳以上の男性の場合1.4mg、同じく女性の場合1.1mgです[17]。
ビタミンB6についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
[16] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[17] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3-3.パントテン酸
ブルーベリーにはパントテン酸が100g当たり0.12mg含まれています [18]。
パントテン酸はビタミンB群の一種で、糖質や脂質、たんぱく質の代謝に関わっています。
また免疫抗体の合成を助ける他、皮膚や粘膜を健康に保ちます。
パントテン酸の目安量は、男性の場合18〜49歳で5mg、50歳以上で6mg、女性の場合18歳以上で5mgです[19]。
パントテン酸についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
[18] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[19] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3-4.カリウム
ブルーベリーにはカリウムが100g当たり70mg含まれています [20]。
カリウムは体に必要なミネラルの一種です。
カリウムは細胞内液の浸透圧を調節する他、筋肉の収縮や神経の伝達などに関わっています。
またカリウムにはナトリウムを体外に排出して、血圧を下げるはたらきがあります。
日本人は塩分の摂取量が多いため、カリウムを積極的に摂取することが推奨されています。
カリウムの目標量は、18歳以上の男性で3,000mg以上、同じく女性で2,600mg以上です[21]。
ブルーベリーを含むさまざまな食品からカリウムを摂取しておきましょう。
カリウムについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
カリウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を紹介
[20] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[21] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3-5.鉄
ブルーベリーには鉄が100g当たり0.2mg含まれています [22]。
鉄は必須ミネラルの一種で、赤血球に含まれるたんぱく質「ヘモグロビン」の成分として全身の細胞に酸素を運びます。
また筋肉中のたんぱく質「ミオグロビン」の成分として、筋肉での代謝や組織の維持にも深く関わっています。
これ以外にも鉄は体の成長や神経発達、細胞機能、一部のホルモン合成などにも欠かせません。
鉄が不足するとヘモグロビンがつくれなくなり、体の組織に十分な酸素を運ぶことができなくなります。
この状態を「鉄欠乏性貧血」といい、集中力の低下や頭痛、疲労感、息切れなどの症状が見られます。
鉄の推奨量は、男性の場合18~74歳で7.5mg、75歳以上で7.0mgです[23]。
女性は月経の有無で推奨量が変わり、月経がある場合は18~49歳で10.5mg、50~64歳で11.0mgです[23]。
月経がない場合は18~64歳で6.5mg、65歳以上で6.0mgです[23]。
月経のある方だけではなく、妊娠中や授乳中の方も鉄が不足しやすいため、ブルーベリーなどからしっかりと鉄を摂取しておきましょう。
鉄にについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
鉄分が多く含まれる食べ物と効果的な摂り方は?貧血気味の方必見!
[22] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[23] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
3-6.銅
ブルーベリーには銅が100g当たり0.04mg含まれています [24]。
銅は必須ミネラルの一種で、筋肉や骨、肝臓に存在しています。
主にエネルギーの生成や神経伝達物質の産生、活性酸素の除去などのはたらきに関わっています。
また銅は鉄と共に血液をつくるはたらきにも関わっています。
銅の推奨量は、男性の場合18~74歳で0.9mg、75歳以上で0.8mg、女性の場合18歳以上で0.7mgです[25]。
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報 」
[24] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
[25] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
4.ブルーベリーに含まれる成分
ブルーベリーには栄養素以外にも、健康に役立つ成分が含まれています。
ブルーベリーに含まれる代表的な成分として「アントシアニン」が挙げられます。
アントシアニンはブルーベリーの青紫色のもととなる成分で、抗酸化作用を持つポリフェノールの一種です。
「ブルーベリーは目に良い」というイメージを持つ方もいらっしゃるでしょう。
これはアントシアニンの効果によるものです。
物が見えるという感覚は、目に存在する「ロドプシン」という物質が光を受けて分解され、その過程で生じる電気信号が脳に伝わることで起こります。
この電気信号の情報によってもたらされるのが「視覚」です。
分解されたロドプシンは再合成され、また光を受けて分解されて脳に情報を送るというサイクルを繰り返します。
目を酷使して疲れがたまるとロドプシンの再合成が遅くなり、目がぼやけたりかすんだりといった疲れ目の症状が現れます。
アントシアニンにはこのロドプシンの再合成を助け、視覚機能を改善するはたらきがあります。
また目の周りの血の流れを良くして、目の疲れを改善する効果も期待されています。
アントシアニンはブルーベリーの他にぶどうやなす、紫たまねぎなどに含まれています。
目の疲れが気になる方は、ブルーベリーなど青紫色の食材を食べてみてはいかがでしょうか。
5.ブルーベリーの選び方と保存方法
「おいしいブルーベリーの見分け方はあるのかな?」
「ブルーベリーはどうやって保存すれば良いの?」
このように気になっている方もいらっしゃるかもしれません。
どうせなら、よりおいしいブルーベリーを食べたいものですよね。
この章ではブルーベリーの選び方や保存方法をご紹介します。
5-1.皮にハリがあって色が濃いものを選ぶ
大粒で皮の色が濃くハリがあるブルーベリーを選ぶと良いでしょう。
また新鮮なブルーベリーには皮の表面に「ブルーム」と呼ばれる白っぽい粉が付いています。
ブルームには果物の病気を防いだり水分の蒸発を防いだりするはたらきがあります。
ブルーベリーを選ぶ際にぜひチェックしてみてくださいね。
5-2.袋に入れて冷蔵庫で保存する
ブルーベリーは乾燥を防ぐために袋に入れて、冷蔵庫で保存しましょう。
実が濡れているとカビの原因になるので、水分を拭き取っておくと良いでしょう。
あまり日持ちしないので、2〜3日を目安に早めに食べ切ってくださいね[26]。
冷凍保存したりジャムに加工したりすると長期保存もできますよ。
[26] JAグループ「春・夏の旬くだもの ブルーベリー」
6.ブルーベリーの栄養についてのまとめ
ブルーベリーは、ツツジ科スノキ属に属する植物とその果実の総称です。
日本では主にアメリカ北部原産の「ハイブッシュブルーベリー」とアメリカ東南部の「ラビットアイブルーベリー」が栽培されています。
ブルーベリーには食物繊維や各種ビタミン、ミネラルが含まれています。
特に食物繊維、ビタミンE、葉酸、ビタミンCは豊富に含まれています。
またブルーベリーには目の疲れを改善する効果が期待できるアントシアニンも含まれています。
ブルーベリーを選ぶ際は大粒で皮にハリがあって色が濃く、ブルームと呼ばれる白っぽい粉が付いているものを選びましょう。
保存する際は袋に入れて冷蔵庫に保存し、早めに食べ切るのがおすすめです。
さまざまな栄養素が含まれているブルーベリーを日々の食事に取り入れてみてくださいね。