しじみに含まれる栄養素とは?選び方やおいしく食べるコツも紹介

しじみに含まれる栄養素とは?選び方やおいしく食べるコツも紹介

2024年05月09日

2024年05月08日

「しじみにはどんな栄養素が含まれているんだろう?」

みそ汁の具材としておなじみのしじみですが、どんな栄養素が含まれているかご存知の方は少ないかもしれませんね。

しじみにはさまざまなビタミン、ミネラルが豊富に含まれる他、肝臓機能を高めるタウリンなどの成分も含まれています

この記事では、しじみに含まれる栄養素とそのはたらきについて詳しく解説します。

また、しじみの選び方やおいしく食べるポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。

1.しじみの基礎知識

ザルにのせたしじみ

「しじみってそもそもどんな食品なのかな?」

「しじみのカロリーってどのくらいなんだろう?」

しじみは二枚貝の一種で、淡水域か海水と淡水が混ざり合う水域で育ちます。

しじみは縄文時代の貝塚から発見されたり、江戸時代には「しじみ売り」が庶民の風物詩であったりと、古くから親しまれている食品です。

また、日本に分布する代表的なしじみの種類としては、やまとしじみ、ましじみ、せたしじみの3種類があり、スーパーなどで見かけることができるのはやまとしじみです。

近年は、国産のしじみよりも、中国や台湾、韓国やロシアからの輸入品が多く流通しています。

しじみは100g当たり54kcalと低カロリーであるため、ダイエット中に選ぶ食材としてもおすすめです[1]。

主な貝類のカロリーと比較してみましょう。

他の貝類と比較するとしじみはあさりに次いで、カロリーが低いことが分かります。

【主な貝類の可食部100g当たりのカロリー】
食品名 含有量
あさり
29kcal
しじみ
54kcal
かき
58kcal
ほたてがい
66kcal
つぶ
82kcal
さざえ
83kcal

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

一方で、しじみには体に必要な栄養素が豊富に含まれています。

次の章ではしじみに含まれる栄養素について詳しく解説します。

[1] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

2.しじみに豊富に含まれる栄養素

ガラスボウルにはいったしじみ

「しじみにはどんな栄養素が含まれているのかな?」

しじみには、たんぱく質、ビタミンE、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、カルシウム、鉄、亜鉛、銅が豊富に含まれています。

【しじみに豊富に含まれる栄養素とその含有量(可食部100g当たり)】
栄養素 含有量
たんぱく質
7.5g
ビタミンE
1.7mg
ビタミンB2
0.44mg
ナイアシン
3.1mgNE
ビタミンB6
0.1mg
ビタミンB12
68μg
葉酸
26μg
パントテン酸
0.53mg
カルシウム
240mg
8.3mg
亜鉛
2.3mg
0.41mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

メモ
この記事でご紹介する栄養素は食品表示基準にのっとり、100kcal(185g)当たりの含有量が「豊富である」といえるものです[2]。また、たんぱく質とビタミンB6以外の栄養素は100gの基準にのっとっても「豊富である」と表現できるため特に豊富だといえます [2]。

では早速、しじみに豊富に含まれる栄養素のはたらきを見ていきましょう。

それぞれの栄養素について成人の食事摂取基準もご紹介しているのでご確認くださいね。

食事摂取基準とは
厚生労働省が健康な国民を対象に健康の保持や増進、生活習慣病の予防を目的として設定する、1日当たりのエネルギーや栄養素の摂取量の基準です。

[2] 東京都保険医療局「栄養成分表示ハンドブック

2-1.たんぱく質

しじみにはたんぱく質が豊富に含まれています。

しじみ100g当たりのたんぱく質含有量は7.5gです[3]。

たんぱく質は「エネルギー産生栄養素」の一つです。

エネルギー産生栄養素とは
ヒトの体に不可欠な栄養素のうち、生命を維持したり体を動かしたりするエネルギーの源となるもののことです。たんぱく質、脂質、炭水化物(糖質)が該当します。

たんぱく質は、体を構成している筋肉・臓器・皮膚・毛髪などの材料として重要な成分です。

その他、ホルモンや酵素など体を調節するために必要な物質をつくる成分で、生きていく上で欠かせない栄養素です。

メモ
ホルモンは体内のさまざまな機能を調節する化学物質です。また、酵素は消化や吸収など、体内で生命を維持するために起こるさまざまな化学反応に触媒として必要とされるたんぱく質のことです。

肉や魚、卵、豆などには食品成分として存在します。

食事からの摂取不足などが原因でたんぱく質の欠乏症に至ると、成長障害、免疫機能の低下などを起こすことがあります。

たんぱく質の1日当たりの摂取推奨量は、男性の場合18~64歳で65g、65歳以上で60gです[4]。

女性の場合18歳以上で50gです[4]。

推奨量とは
摂取不足の予防を目的として設定され、ほとんどの方にとって充足しているといえる量を意味します。

しじみだけでは十分なたんぱく質を摂取することは難しいため、他の食品からもたんぱく質をしっかりと摂るようにしましょう。

たんぱく質についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。

たんぱく質を多く含む食べ物は?摂取量の目安やおすすめの食材を解説

[3] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[4] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-2.ビタミンE

しじみにはビタミンEも豊富に含まれています。

しじみ100g当たりのビタミンE含有量は1.7mgです[5]。

メモ
ビタミンEには、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノールがあります。ビタミンEの食事摂取基準はα-トコフェロールを指標に定められています。これはα-トコフェロールが体内に最も多く含まれているためです。

ビタミンEは脂溶性ビタミンの一種で、抗酸化作用を持つ抗酸化ビタミンです。

ビタミンEは体内の脂質の酸化を防ぎ、細胞の健康維持を助ける役割を担っています

脂溶性ビタミンとは
ビタミンのうち、油に溶けやすく水に溶けにくいビタミンのことです。ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKが該当します。体内では主に脂肪組織や肝臓に蓄えられています。
抗酸化作用とは
「活性酸素」のはたらきを抑える作用のことです。活性酸素は呼吸で取り込まれた酸素が通常より活性化されたものです。微量であれば免疫機能や細胞伝達物質としてはたらきますが、過剰になると老化やがん、生活習慣病などの原因となります。

ビタミンE不足は神経や筋肉に障害を起こすといわれていますが、ヒトではほとんど見られないといわれています。

ビタミンEの目安量は、男性の18~49歳で6.0mg、50~74歳が7.0mg、75歳以上で6.5mgです[6]。

女性の場合は18~29歳で5.0mg、30~49歳で5.5mg、50~64歳で6.0mg、65歳以上で6.5mgです[6]。

目安量とは
一定の栄養状態を維持するのに十分な量で、これ以上を摂取していれば不足の心配はほぼないとされています。

しじみなどからしっかりとビタミンEを摂取しておきましょう。

ビタミンEについては以下の記事で詳しく解説しています。

ビタミンEが多く含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説

[5] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[6] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-3.ビタミンB2

ビタミンB2もしじみに豊富に含まれる栄養素です。

しじみ100g当たりのビタミンB2含有量は0.44mgです[7]。

ビタミンB2は水溶性のビタミンB群の一種で、代謝に関わる補酵素としてはたらきます

水溶性ビタミンとは
水に溶けるビタミンのことで、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチン)とビタミンCがあります。
メモ
代謝とは、体内で栄養素をエネルギーや体に必要な物質に変える化学反応のことです。代謝などの化学反応には酵素と呼ばれる物質を触媒として必要とします。酵素にはそれ単体で作用するものと、補酵素と呼ばれる別の物質がなければはたらかないものがあります。

またビタミンB2には成長の促進、皮膚や粘膜の保護などのはたらきもあります。

不足すると成長障害や皮膚炎などを引き起こす恐れがあるため注意が必要です。

ビタミンB2の推奨量は男性では18~49歳で1.6mg、50~74歳で1.5mg、75歳以上で1.3mgです[8]。

女性では18~74歳で1.2mg、75歳以上で1.0mgです[8]。

ビタミンB2については以下の記事で詳しく解説しています。

ビタミンB2が手軽に摂れる食べ物は何?効果や食事摂取基準も紹介

[7] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[8] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-4.ナイアシン

ナイアシンもしじみに豊富に含まれる栄養素の一つです。

しじみ100g当たりのナイアシン含有量は3.1mgNEです[9]。

メモ
ナイアシンには食品に含まれるものの他に、体内で必須アミノ酸の一種である「トリプトファン」から合成されるものがあります。このため食事摂取基準や含有量は食品中のナイアシンにトリプトファンから体内で合成されるナイアシンの量を加えた「ナイアシン当量(NE)」で表されます。

ナイアシンはビタミンB群の一種です。

体内では補酵素として、脂肪酸やステロイドホルモンの合成、エネルギーを生み出す過程などに関与しています

ステロイドホルモンとは
脂質の一種であるコレステロールを原料に合成されるホルモンの総称です。「コルチゾール」などの副腎皮質ホルモンと「テストステロン」「プロゲステロン」などの性ホルモンが該当します。

またナイアシンには皮膚や粘膜の健康を保つはたらきがあるともいわれています。

日本ではまれですがナイアシンが不足すると皮膚炎や下痢、精神神経障害を主症状としたペラグラを発症する場合があります。

ナイアシンの推奨量は、男性の場合18~49歳で15mgNE、50~74歳で14mgNE、75歳以上で13mgNEです[10]。

女性の場合18~29歳で11mgNE、30~49歳で12mgNE、50~74歳で11mgNE、75歳以上で10mgNEです[10]。

ナイアシンは不足の心配が少ない栄養素ですが、しじみなどから摂取するよう心掛けましょう。

[9] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[10] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-5.ビタミンB6

しじみにはビタミンB6も豊富に含まれています。

しじみ100g当たりのビタミンB6含有量は0.1mgです[11]。

ビタミンB6はビタミンB群の一種で、たんぱく質や脂質、炭水化物の代謝に補酵素として関わっています

その他にも100種類以上の代謝に関わるとされています[12]。

特にたんぱく質からエネルギーをつくる際にはビタミンB6が欠かせません。

筋トレなどでたんぱく質を多く摂取している方はビタミンB6の必要量も多くなるため注意してくださいね。

ビタミンB6の推奨量は18歳以上の男性で1.4mg、女性では1.1mgとされています[13]。

しじみなどからビタミンB6も十分摂取しておきましょう。

ビタミンB6については以下の記事で詳しく解説しています。

ビタミンB6を豊富に含む食べ物は?効果や食事摂取基準も解説

[11] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[12] 厚生労働省 eJIM「ビタミンB6

[13] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-6.ビタミンB12

ビタミンB12もしじみに多く含まれている栄養素です。

しじみ100g当たりのビタミンB12含有量は68μgです[14]。

ビタミンB12はビタミンB群の一種で、補酵素としてたんぱく質や脂質の代謝に関与しています

また、正常な赤血球の形成を助けるはたらきもあり、健康な血液に欠かせない栄養素です。

赤血球とは
血液中の血液細胞の一つで、酸素を全身へ運ぶはたらきがあります。

その他にも脳神経など多くの体内組織の機能や発達を正常に維持するために必要とされています。

ビタミンB12が不足すると「悪性貧血」や「神経障害」などが起こる危険があります。

悪性貧血とは
「巨赤芽球性貧血」の一つで、ビタミンB12や葉酸不足などによって赤血球の細胞を維持できなくなる病気です。動悸(どうき)や息切れ、疲労感などの症状が現れます。

赤血球の形成を担っているビタミンB12が欠乏することで新たな血液をつくことができなくなるのです。

ビタミンB12は植物性の食品にはほとんど含まれていないため、厳格な菜食主義者の方は不足する場合があります。

ビタミンB12の推奨量は、男女共に18歳以上で2.4mgです[15]。

ビタミンB12が不足すると悪性貧血や神経障害などが起こる場合があるため、しじみなどからしっかりと摂取してくださいね。

[14] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[15] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-7.葉酸

しじみには葉酸も豊富に含まれています。

しじみ100g当たりの葉酸含有量は26μgです[16]。

葉酸はビタミンB群の一種です。

葉酸はDNAやRNAの合成、アミノ酸の代謝、たんぱく質の合成などに関与し、細胞の増殖と深く関係しています。

また胎児の正常な発育に重要な栄養素で、妊娠を計画している女性や妊婦は十分に摂取することが推奨されています。

妊婦が十分に葉酸を摂取しなかった場合、胎児の「神経管閉鎖障害」という先天性の異常を引き起こす恐れがあります。

神経管閉鎖障害とは
胎児の成長過程で形成される神経管が正常に発達できないために起こる脳や脊髄などの先天的な異常のことです。神経損傷や学習障害、麻痺(まひ)などが起こり、時には死亡する場合もあります。

厚生労働省は妊娠の1カ月以上前から妊娠3カ月までの間に1日400μgの葉酸を食事からの摂取に加えて栄養補助食品から摂ることで、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを低減できる可能性があるとしています[17]。

葉酸の推奨量は男女共に18歳以上で240μgです[18]。

しじみなどから葉酸を摂取し、不足のないように気をつけたいですね。

葉酸についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

葉酸が多く含まれている食べ物とは?効果や摂取基準もあわせて解説

[16] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[17] 厚生労働省e-ヘルスネット「葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果

[18] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-8.パントテン酸

パントテン酸もしじみに多く含まれる栄養素です。

しじみ100g当たりのパントテン酸含有量は0.53mgです[19]。

パントテン酸はビタミンB群の一種で、体内でさまざまな補酵素の構成成分としてはたらきます。

糖や脂肪酸の代謝に関わっており、不足するとエネルギー代謝に異常や障害を起こすことがあります。

ただしパントテン酸という名称はギリシャ語で「あらゆるところにある酸」という意味であり、その名のとおりさまざまな食品に含まれているため不足にすることはありません。

パントテン酸の目安量は、男性の場合18~49歳で5mg、50歳以上で6mgです[20]。

女性の目安量は18歳以上で5mgです[20]。

パントテン酸は不足の心配の少ない栄養素ですが、しじみなどさまざまな食品から摂取しておきましょう。

[19] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[20] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-9.カルシウム

しじみにはカルシウムが豊富に含まれています。

しじみ100g当たりのカルシウム含有量は240mgです[21]。

カルシウムは必須ミネラルの一種です。

ミネラルとは
ヒトの体を構成する元素のうち、酸素、炭素、水素、窒素以外のもののことです。このうちヒトの体に栄養素として必要なことが分かっているものを「必須ミネラル」といい、ナトリウムやカルシウム、鉄など16種類があります[22]。

ヒトの体内で最も多いミネラルであり、そのほとんどが骨や歯を構成しています。

またその他のカルシウムは筋肉や神経、血液中に存在しており、筋肉の興奮性を抑えたり、血液の凝固を促して出血を予防したりというはたらきもあります。

カルシウムが不足すると骨がもろくなり骨折しやすくなる骨粗しょう症や高血圧などを引き起こす恐れがあります

カルシウムの推奨量は男性の場合18~29歳で800mg、30~74歳で750mg、75歳以上で700mgです[23]。

女性では18~74歳で650mg、75歳以上で600mgです[23]。

日本人はカルシウムが不足しがちな食生活を送っているため、しじみなどからしっかりと摂取するよう心掛けましょう。

カルシウムについては以下の記事で詳しく解説しています。

カルシウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を解説

[21] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[22] 厚生労働省e-ヘルスネット「ミネラル

[23] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-10.鉄

しじみには鉄も多く含まれています。

しじみ100g当たりの鉄含有量は8.3mgです[24]。

鉄は血液中の赤血球の構成要素「ヘモグロビン」として酸素の運搬や細胞の呼吸に関わる必須ミネラルです。

ヘモグロビンとは
鉄(ヘム)とたんぱく質(グロビン)が結合したものです。血液が赤い理由はヘムが赤色素を持っているためです。

また筋肉中のたんぱく質「ミオグロビン」の成分として、筋肉での代謝や組織の維持にも深く関わっています。

さらに鉄は酵素の材料となる他、体の成長や神経発達、細胞機能、ホルモン合成などにも欠かせない栄養素です。

鉄が不足すると赤血球が小さくなり数も減少するため、体全体に酸素を十分に行き渡らせることができなくなります。

代表的な欠乏症は頭痛や疲労感、動悸、息切れなどが見られる鉄欠乏性貧血です。

鉄の推奨量は男性の場合、18~74歳で7.5mg、75歳以上で7.0mgです[25]。

女性では、月経の有無で推奨量が異なります。

月経がある場合、推奨量は18~49歳で10.5mg、50~64歳で11.0mgです[25]。

また月経がない場合、18~64歳で6.5mg、65歳以上で6.0mgです[25]。

特に月経のある方や妊産婦などにおいて鉄の不足が問題とされているため、しじみなどの食品から十分に摂取するよう心掛けましょう。

鉄についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

鉄分が多く含まれる食べ物と効果的な摂り方は?貧血気味の方必見!

[24] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[25] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-11.亜鉛

しじみには亜鉛も豊富に含まれています。

しじみ100g当たりの亜鉛含有量は2.3mgです[26]。

亜鉛は必須ミネラルの一種で、多くの酵素に含まれています

またたんぱく質の合成や遺伝子の発現に関わり、細胞の成長と分化において重要なはたらきをしています。

また亜鉛には免疫機能や生殖機能、味覚、嗅覚を正常に保ったり、皮膚の健康に関わったりするはたらきもあります。

不足すると味覚障害や皮膚炎、食欲不振などが生じます。

亜鉛の推奨量は男性の場合18~74歳で11mg、75歳以上では10mgです[27]。

女性の場合18歳以上で8mgです[27]。

近年、日本では若い成人女性において亜鉛不足に伴う味覚機能の低下が指摘されているので、味覚を正常に保つためにもしっかり亜鉛を摂取しておきましょう。

亜鉛については以下の記事で詳しく解説しています。

亜鉛のはたらきと1日の適切な摂取量とは?亜鉛を多く含む食品も紹介

[26] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[27] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

2-12.銅

銅もしじみに豊富に含まれる栄養素の一つです。

しじみ100g当たりの銅含有量は0.41mgです[28]。

銅は必須ミネラルの一種で、体内では主に骨や筋肉、血液などに分布しています

銅はたんぱく質と結合し酵素として作用する他、鉄と共に血液をつくるはたらきにも関わっています。

銅の推奨量は、男性の場合18~74歳で0.9mg、75歳以上で0.8mgです[29]。

女性の場合18歳以上で0.7mgです[29]。

銅は通常の食生活を送っていれば不足の心配はない栄養素ですが、しじみなどからしっかり摂取しておきましょう。

[28] 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

[29] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

3.しじみに含まれる成分

しじみのお味噌汁と日本酒

「しじみが肝臓に良いのはなぜなのかな?」

しじみには肝臓機能を高めるアミノ酸であるオルニチン、アラニンに加え、アミノ酸に似た成分であるタウリンが含まれています。

なかでもオルニチンは肝臓のはたらきを助ける効果が広く認められており、サプリメントとしても流通しています。

メモ
オルチニン、タウリン、アラニンの食品表示基準は定められていませんが、しじみに含まれる特徴的な成分のためご紹介します。

では、それぞれの成分について詳しく見ていきましょう。

3-1.オルチニン

しじみにはアミノ酸の一種であるオルチニンが含まれています。

オルニチンは有害な「アンモニア」の分解を行い、肝臓のはたらきをサポートしています

アンモニアとは
たんぱく質の代謝の過程で作られ、肝臓で尿素に合成されて体外に排出される物質のことです。

また、コラーゲンの合成を強化するはたらきもあるといわれており、健康な肌のためにも摂っておきたい食品です。

3-2.タウリン

しじみにはタウリンも含まれています。

タウリンはアミノ酸に似た物質で、たんぱく質が分解される過程で生成されます。

ヒトの体には体重の0.1%の割合でタウリンがあるとされ[30]、さまざまな臓器や組織に広く含まれていることから生命の維持に欠かせない成分であるといわれています。

タウリンにはコレステロールの減少、心臓や肝臓の機能の向上、視力回復、インスリン分泌促進、高血圧の予防などの効果があります

タウリンは母乳にも多く含まれており、乳児の発達に関わっている成分です。

体内でも作り出せますが、必要量には達しないためしじみなどの食品から摂ることを心掛けてくださいね。

[30] 厚生労働省 e-ヘルスネット「タウリン

3-3.アラニン

しじみにはアミノ酸の一種であるアラニンが含まれています。

アラニンはエネルギー源として最も利用されやすいアミノ酸の一つです。

肝臓のエネルギー源としてアルコール代謝を改善する作用があり、二日酔いの回復に役立つといわれています

また、コラーゲンを構成する成分でもあります。

4.しじみの選び方・保存方法・調理方法

しじみのお味噌汁

「しじみをおいしく食べるにはどうすれば良いのかな?」

しじみをおいしく食べるためのコツは選び方や保存方法、調理方法にあります。

栄養素を無駄なく摂取するためにも保存方法や調理方法には工夫が必要です。

この章ではしじみの選び方や保存方法、調理方法をご紹介します。

4-1.しじみの選び方

まずはおいしいしじみの選び方についてご紹介します。

おいしいしじみの殻は色が濃い褐色で模様がはっきりしており、表面にツヤがあります

しじみ一つひとつの重量感もおいしいしじみを見分けるポイントです。

また、しじみは水中の餌を取ったり、呼吸したりするために殻から水管を出します。

新鮮さを判断するためには、水に入れたときに水管をすぐに出すかどうかも確認してみてくださいね。

4-2.しじみの保存方法

しじみは保存方法によって摂取できる栄養素に変化があるといわれています。

砂抜きの後、乾かないように保存しておくと数日間の保存が可能です。

数カ月間保存したい場合には冷凍しましょう。

冷凍保存の場合は砂抜きをした後に水気を切り、冷凍用の保存袋などに入れておくと良いでしょう。

また、しじみに含まれるオルニチンは、冷凍することで量が倍増します

冷凍したしじみは生のものよりもうまみが増えるというのもうれしい点です。

4-3.しじみの調理方法

ここではしじみの砂抜きや、栄養を逃さない調理方法についてご紹介します。

しじみには吸い込んだ砂や泥を吐き出させる「砂抜き」という下ごしらえが必要です。

しじみの砂抜き方法

砂抜きは1Lの水に対し食塩約10gの濃度の塩水で行います[31]。

しじみを入れた底の平らなざるを容器に重ね、しじみがつかるかつからないか程度に塩水を入れましょう。

ボウルなどの深い容器でしじみを水中に沈めると酸欠を起こしてしまうので、殻が部分的に水面すれすれになる程度の深さを目安としてください

またざるを使うことでしじみが吐き出した砂などを下に落とし、しじみが一度吐き出した砂や泥をまた吸い込むのを防ぐことができます。

数時間後、しじみが砂を吐き出し切ったらざるを上げ、しじみの殻同士を擦り合わせるように汚れを洗い流しましょう。

容器の中の塩水や砂は捨ててください。

しじみを保存する場合は再度塩水に入れます。

真水で砂抜きをするとしじみのうまみ成分が抜けてしまうので塩抜きは必ず塩水で行うようにしてくださいね。

しじみにはビタミンB群が含まれていますが、ビタミンB群は水溶性であるため、煮たりゆでたりすると水分の方へ栄養が流出してしまいます

しじみ汁などにして、身と煮汁の両方を摂ると栄養を無駄なく摂取することができますね。

[31] 社団法人 日本水産資源保護協会「やまとしじみ

5.しじみの栄養素についてのまとめ

しじみは二枚貝の一種であり、昔から日本で親しまれてきた食品です。

しじみ100kcal当たりにはたんぱく質、ビタミンE、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、カルシウム、鉄、鉛、銅が豊富に含まれています。

しじみはさまざまな栄養の摂取源となる食品なのですね。

また肝臓機能を高める、オルニチン、タウリン、アラニンも含んでいます

おいしいしじみを選ぶためには、殻の色が濃いか、表面にツヤがあり模様がはっきりしているかをチェックしましょう。

保存方法は、冷凍がおすすめです。

冷凍することで栄養価が増し、うまみ成分も増えるといわれています。

しじみに含まれるビタミンB群は水に溶け出す性質があるため、しじみ汁などにして身と汁の両方を食べると栄養を無駄なく摂取できます。

この記事を参考に、栄養が豊富なしじみを日々の食卓に取り入れてくださいね。

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