更年期のイライラを軽減するには?生活のポイントや受診の目安を解説

更年期のイライラを軽減するには?生活のポイントや受診の目安を解説

2024年05月16日

2024年07月03日

「最近イライラしやすいのは、更年期のせい?」

「更年期のイライラにはどう対処したら良いのかな……」

更年期を迎えると、イライラしたり不安感を覚えたりなど、精神的な不調が現れることがあります。

また火照りやのぼせ、目まい、動悸(どうき)などの身体的な不調も見られます。

どのように対応したら良いのか分からず、お困りの方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では更年期のイライラの原因や軽減のためのポイント、病院を受診する目安について詳しく解説します。

この記事を更年期の不調を乗り切る助けとしてくださいね。

1.更年期とは

胸に手をあてる女性

「そもそも、更年期って何だろう?」

更年期という言葉を見聞きすることはあっても、その定義をご存知ない方もいらっしゃるかもしれません。

更年期は一般的に「閉経前の5年間」と「閉経後の5年間」を合わせた10年間のことをいいます[1]。

閉経とは
月経が完全に止まった状態のことです。月経がない状態が1年以上続いたとき、その1年前にさかのぼって閉経とします[1]。閉経を迎える平均年齢は約50歳ですが個人差が大きく、早い人では40代前半、遅い人では50代後半とされています[1]。

更年期を迎える年代の女性は卵巣機能が低下し、女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌が減少していきます。

これによりホルモンバランスが乱れ、心身にさまざまな不調が現れる場合があります。

更年期の不調の原因にはエストロゲンの減少以外にも、加齢に伴う身体機能の低下、心理的なストレスや当人の性格、家庭や職場の環境など多くの要因が複雑に絡んでいます。

また不調の深刻さや症状の種類などは個人差が大きいことが特徴です。

具体的な症状としてイライラや気分の落ち込み、火照りやのぼせ、目まい、動悸などが挙げられます。

更年期に見られるさまざまな症状のうち、他の病気を原因としないものを「更年期症状」と呼び、そのなかでも仕事や家事など日常生活に支障を来すほど症状が重いものを「更年期障害」と呼びます

メモ
更年期の症状は女性特有のものではなく男性にも存在します。男性ホルモンである「テストステロン」の分泌が加齢に伴って減少してゆく影響で、40代から更年期の症状が現れることがあります[2]。女性と比べて変化が緩やかであるため、気付かれにくいことが多いとされています。

[1] 公益社団法人 日本産科婦人科学会「更年期障害

[2] 一般社団法人 日本内分泌学会「男性更年期障害(加齢性腺機能低下症、LOH症候群)

【関連情報】 「更年期障害とは?さまざまな症状や発症の要因、治療法を徹底解説」についての記事はこちら

2.更年期にイライラが起こる原因

頭を抱える女性

「更年期にイライラしやすいのはどうしてだろう?」

更年期に見られる精神的な不調として、イライラ、気分の落ち込み、意欲の低下などが挙げられます。

更年期の不調の主な原因は、女性ホルモンであるエストロゲンの減少です。

エストロゲンは脳の「視床下部」からの指令により、卵巣から分泌されます。

メモ
視床下部は意思とは関係なく体の機能を司る神経である「自律神経」を調節することで、体温やホルモン分泌、ストレスへの反応、食行動、睡眠・覚醒などの体の機能を管理している器官です。

加齢によって卵巣の機能が衰え、エストロゲンの分泌が減少してくると、脳はエストロゲンを分泌させるための指令を出します。

しかし機能が衰えた卵巣は、指令どおりにエストロゲンを分泌できません。

すると脳はエストロゲンの分泌量が増えないことに混乱し、必要以上にエストロゲン分泌の指令を出します。

この影響で心身のバランスが乱れ、さまざまな不調が現れます。

更年期にイライラや落ち込み、意欲の低下など精神的な症状が現れるのはこうした理由によるものです。

なお更年期の不調は、このようなエストロゲンの減少に伴う身体的なストレスに人間関係などの社会的ストレスや性格などの心理的ストレスが複雑に絡み合って現れるといわれています。

3.更年期のイライラを軽減するポイント

「更年期のイライラを何とかしたい……」

イライラして人や物に当たってしまったり、仕事や家事に集中できなかったりする方もいらっしゃるかもしれません。

更年期には心も体も不安定な状態になりがちですが、なるべく穏やかに過ごしたいものですよね。

この章では更年期のイライラを軽減するためのポイントをご紹介します。

ポイント1 栄養バランスの取れた食事を摂る

炊き込みご飯メインの和食

更年期のイライラを軽減するためには、栄養バランスの取れた食事を摂ることが大切です。

食生活が乱れると、ホルモンバランスも乱れやすくなります。

ヒトの体には炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルといったさまざまな栄養素が欠かせないため、まずはこれらをしっかり摂取しましょう。

炭水化物とたんぱく質、脂質は体のエネルギーのもととなるため、「エネルギー産生栄養素」と呼ばれています。

またビタミンやミネラルには体の機能を正常に保つはたらきがあります。

特定の栄養素の摂取量が多過ぎたり少な過ぎたりすると体に悪影響を及ぼすため、過不足なく摂取するようにしましょう。

栄養バランスの取れた食事については以下の記事で詳しく解説しています。

栄養バランスの取れた食事とは?主食・主菜・副菜のポイントを紹介

また豆腐や納豆、豆乳などの大豆食品を食事に取り入れるのもおすすめです。

大豆食品はエストロゲンに似たはたらきをする「大豆イソフラボン」を含むため、更年期のエストロゲン減少による症状の緩和が期待できるといわれています。

大豆食品を含めたさまざまな食品をバランス良く摂取したいですね。

大豆イソフラボンについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

大豆イソフラボンとは?はたらきや過剰摂取の影響、摂取目安量を解説

ポイント2 適度な運動をする

遊歩道をジョギングする2人の女性

イライラした感情への対策として、運動もおすすめです。

特に有酸素運動は自律神経のバランスを整え、呼吸を深くし、血液循環を良くするといった体に良い効果をもたらします。

有酸素運動とは
筋肉への負担が比較的軽い運動です。筋肉を動かすためのエネルギーとして糖質や脂質とともに酸素が使われます。ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳、エアロビクスダンスなどが該当します。

体を動かすことで気分がリフレッシュできたり、よく眠れるようになったりといった効果も期待できます

自分が取り組みやすい有酸素運動を生活に取り入れると良いでしょう。

無理なく楽しく運動を継続することが大切なので、家事や散歩など日常生活のなかで体を動かす機会を増やすのもおすすめですよ。

有酸素運動について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

有酸素運動の8つの効果とは?おすすめの運動や効果を高めるコツ

ポイント3 ストレスを解消する

背伸びをする女性

更年期のイライラを軽減するためには、ストレスをためずに解消することが大切です。

ストレスを感じるとさまざまなホルモンが分泌され、循環器や呼吸器、消化器、免疫などの機能に影響を及ぼします。

その結果動悸や息切れ、食欲不振、疲労などの症状が現れ、更年期の不調が悪化する原因となります

更年期に感じるストレスは、自分の生き方や老後に関するものが多いといわれています。

仕事の責任が重くなったり、子育てが一段落して夫婦で向き合う時間が多くなったりすることがストレスに感じられる方も多くいらっしゃるでしょう。

また子どもの受験や就職、結婚などがストレスの原因となることも考えられます。

こうした変化には強いストレスを感じるかもしれませんが、これまでの人生を見直しながら今後について考える機会と捉えることで、前向きになれるかもしれません。

ストレスの解消には、趣味に打ち込んだり家族や友人とおしゃべりしたりすることがおすすめです。

また苦手な人間環境からは離れ、ストレスを感じにくい環境に身を置くことも重要です。

ストレスを発散する効果的な方法を知りたい方は以下の記事をご覧ください。

ストレス発散に効果的な方法は?手軽にスッキリできるおすすめ解消法

ポイント4 睡眠を十分にとる

ベッドと時計

更年期のイライラを軽減するためには、睡眠を十分にとることも重要です。

更年期には体力や気力が低下し、疲れやすくなりがちです。

睡眠不足が続くとさらに疲れがたまり、精神的に落ち込みやすくなってしまいます。

まずは早寝早起きを心掛けて睡眠時間を十分に確保しましょう

とはいえ更年期障害の症状の一つである不眠に悩まされている方もいるかもしれません。

寝る前はアルコールやカフェイン、たばこなどの刺激物を控え、しっかり湯船につかって入浴し、リラックスするよう心掛けましょう。

また体を適度に疲れさせると眠りやすくなるので、運動するのもおすすめです。

運動は就寝直前を避け、夕方から就寝3時間前くらいまでに行うとよりよく眠れますよ[3]。

どうしても寝付けない方や途中で目が覚めやすい方は、病院で寝つきが良くなる薬を処方してもらうのも良いでしょう。

[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣

ポイント5 薬物療法を受ける

漢方のような粉薬とグラスに入った水

薬物療法を受けることも、更年期のイライラを軽減する一つの方法です。

自分に適した薬物療法を受けることで、更年期の症状の緩和が期待できます。

更年期の主な薬物療法として、ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬、向精神薬があります

ホルモン補充療法は更年期に減少したエストロゲンを外から投与する方法で、飲み薬や貼り薬、塗り薬などが用いられ、投与するタイミングも人によってさまざまです。

漢方薬はさまざまな生薬を組み合わせたもので、全体的な心と体のバランスを回復させるといわれています。

更年期の症状の緩和には「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」や「加味逍遙散(かみしょうようさん)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」などがよく用いられます。

イライラや気分の落ち込みなど精神的な症状がつらい場合には、抗うつ薬や抗不安薬などの向精神薬が用いられる場合もあります。

更年期症状がひどい場合は医師に相談し、薬物治療を受けることも視野に入れると良いでしょう

4.日常生活に支障を来す場合は受診する

パソコンを見ながら患者に説明する医師

更年期の症状が重く、日常生活に支障を来す場合は病院で受診しましょう。

仕事や家事がままならないほど症状が重い場合、更年期障害の疑いがあります

また更年期にはさまざまな病気が起こりやすく、更年期障害以外の病気が隠れている恐れもあります。

さまざまな症状が見られてどの科を受診すれば良いか悩む場合、まずは婦人科で受診して症状が更年期障害によるものなのかどうか診断を受けましょう

症状の原因が更年期によるものだと分かれば、適切な治療を受けることができます。

つらい症状が出た場合は「更年期だから仕方ない」と放置せず、早めに受診してくださいね。

5.更年期のイライラについてのまとめ

更年期には心身にさまざまな不調が現れます。

主な不調として、イライラする、気分が落ち込むなどの精神的な症状や、火照りやのぼせ、発汗、目まい、動悸、頭痛、肩こりなどの身体的な症状があります。

更年期のイライラなどの不調は、女性ホルモンであるエストロゲンの減少に、社会的なストレスや環境的なストレスが複雑に絡み合って引き起こされます

更年期のイライラを軽減するためには、栄養バランスの取れた食事をしっかりと摂ることが大切です。

また大豆イソフラボンを含む大豆食品を食事に取り入れるのもおすすめです。

ウォーキングや水泳などの有酸素運動を行ったり、趣味に打ち込んでストレスを解消したりすることも、更年期のイライラへの対策となります。

睡眠不足は更年期の不調を悪化させるため、睡眠時間を十分に確保するよう心掛けましょう。

仕事や家事に支障を来すほど症状が重い場合は、薬物療法も視野に入れて医療機関を受診しましょう

心も体も不安定な状態になりがちな更年期を少しでも健やかに過ごしてくださいね。

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