「最近ニキビがよくできるんだけど、これってストレスのせいなのかな?」
このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ストレスとニキビは一見無関係のようにも思えますが、ストレスによって自律神経やホルモンバランスが乱れたことが原因でニキビができてしまったり悪化したりしてしまう場合もあるのです。
「じゃあどうしたらニキビを予防できるんだろう?」
というのが気になるところですよね。
この記事ではストレスでニキビができる原因やニキビの予防法、ストレスの緩和方法について詳しく解説します。
ご自身に合った方法でニキビ予防やストレスをため込まない方法を身に付けてくださいね。
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1.ストレスでニキビができる理由
「どうしてストレスが原因でニキビができるの?」
というのが気になるところですよね。
ストレスとは、医学的には外部からの刺激「ストレッサー」とそれに対して発生する体や心の反応のことを指す「ストレス反応」に分けられ、一般的にはこの両方の意味を含んでいます。
ストレッサーにはさまざまなものがありますが、大きく分けて騒音や暑さ・寒さなどの「物理的ストレッサー」、人間関係や仕事・家庭内での問題などの「心理・社会的ストレッサー」、有害物質や酸素不足などの「化学的ストレッサー」があります。
通常ならば、何らかのストレスを感じても体内で対処しようとする「防御反応」がはたらきます 。
しかし防御反応がうまくはたらかずにストレス反応が生じた場合、つまりストレスがたまってしまった場合には心身の不調の一つとしてニキビができてしまうことがあるのです。
ここではストレスでニキビができる原因について詳しく解説していきます。
1-1.自律神経が不調を来し新陳代謝が乱れる
ストレスによるニキビの原因の一つに自律神経の不調があります。
自律神経とは状況に応じて意思とは無関係にはたらき体を常にベストの状態に保つ神経の総称で、「交感神経」と「副交感神経」に分けられます。
交感神経は主に体を動かすときに、副交感神経は体を休めるときにはたらいており、両者は相反するはたらきをしながら体温調整やホルモン分泌などの重要な役割を担っています。
交感神経と副交感神経は常にバランスを取りながら体内の状態を調整していますが、ストレスを受けると交感神経のはたらきが強まり、そのバランスが崩れてしまうことがあります。
ストレスによって交感神経が刺激され続けると、本来体を休める夜間にも交感神経が活発になってしまい、交感神経と副交感神経が正常に機能しなくなってしまうことがあるのです。
またこのような自律神経の不調は、肌の新陳代謝を乱れさせる原因にもなります。
肌の新陳代謝が乱れると毛穴周囲の角質が厚くなり、皮脂が詰まって毛穴の出口がふさがれてしまいます。
毛穴の出口が皮脂でふさがれると内部でニキビ菌が増殖して炎症を起こし、ニキビができる原因になってしまうのです。
1-2.ホルモンバランスが乱れ皮脂が過剰に分泌される
ストレスによるホルモンバランスの乱れもニキビができる原因となります 。
ホルモンは体内の機能が常に一定に保たれるようコントロールされていますが、ストレスによりホルモンのバランスが崩れてしまうことがあるのです。
ホルモンバランスが乱れると、男性ホルモンの「アンドロゲン」や交感神経の作用を促進するアドレナリンが過剰に分泌されます。
アンドロゲンやアドレナリンが過剰に分泌されると皮脂の分泌が促進され、ニキビの原因になることがあるのです。
それだけでなく女性の場合はエストロゲンと「プロゲステロン」という女性ホルモンもニキビに影響することがあります。
プロゲステロンは男性ホルモンと同様に皮脂の分泌を促す作用があるため、プロゲステロンが多く分泌される月経前になると皮脂が多くなりニキビができやすくなるともいわれています。
エストロゲンは皮膚に潤いを与える作用があり、月経開始から排卵までの期間はエストロゲンが多く分泌されるため肌荒れは起こりにくいと考えられます。
しかし排卵後にはエストロゲンの分泌量は低下し、プロゲステロンの分泌が多くなります。
女性の場合は女性ホルモンによる影響もあるため、特にストレスをため込まないようにしたいですね。
1-3.免疫力が下がりニキビ菌が増える
ストレスは皮膚の免疫力を低下させる原因になることもあります。
皮膚の免疫力が低下するとニキビの原因となるニキビ菌が増殖するためニキビができやすくなることがあるのです。
人間には生まれながらに皮膚のバリア機能が備わっており、皮膚表面の「角質層」とそれを覆う「皮脂膜」が弱酸性に保たれることで体内に細菌などが侵入するのを防いでいます。
しかし、ストレスにより自律神経やホルモンバランスに不調が生じると皮膚のバリア機能が弱くなってしまい、ニキビ菌が増殖してニキビができやすくなってしまうのです。
さらにニキビができること自体がストレスになり、悪循環に陥ってしまうこともあります。
このような事態を招いてしまう前にこまめにストレスに対処するようにしたいですね。
2.ストレスニキビの予防法・対処法
ストレスがたまっているときには忙しく生活が乱れがち、という方も多いのではないでしょうか。不規則な生活はニキビができてしまうなど肌トラブルの原因にもなってしまいます。
ここでは日常生活で行えるニキビの予防法や対処法を紹介しましょう。
2-1.お酒はほどほどに、たばこはやめる
ストレスがたまるとついお酒やたばこの量が増えてしまうという方もいらっしゃるかもしれません。
お酒の飲み過ぎはニキビなどの肌荒れを招きます。
お酒を飲むと、アルコールの作用で毛細血管が拡張され、皮脂腺が刺激されて皮脂が出やすくなります。
さらに糖分や脂質の摂り過ぎも要注意です。
ビールや日本酒、カクテル、果実酒などのお酒には糖分が多く含まれていますし、おつまみも糖質や脂質の摂り過ぎにつながってしまうかもしれません。
糖質、脂質を摂り過ぎると肌の健康を保つビタミンB群が大量に消費され、皮脂の分泌が多くなってニキビができやすくなります。
ストレスがたまっていてもお酒はほどほどにしておきましょう。
またたばこの煙は有害物質を含んでおり、肌に触れたり、吸い込んだ煙に含まれる有害物質が全身に巡ったりすることでさまざまな肌トラブルを引き起こす原因となります。
ニキビができるだけでなく肌の色がくすんだり、ハリがなくなったり、きめが荒くなったりといったことが起き、実際の年齢よりも年を取って見られるようになるかもしれません。
たばこのストレス軽減効果はあくまでニコチン切れによる離脱症状の緩和に過ぎないと考えられています。
むしろ禁煙を行うことで離脱症状から解き放たれ、ストレスが低下するといわれているので、美容のためにも禁煙を行いましょう。
2-2.食生活を見直す
ストレスがたまっていると食生活が不規則になってしまうという方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし食生活の乱れはさらなるストレスを引き起こす原因になります。
それだけでなく*食生活が乱れ栄養バランスが偏ってしまうとニキビができるなど肌の状態が悪化してしまう可能性もある *のです。
ニキビを予防して健康な肌を育てるためにも規則正しい食事が重要です。
食事内容としては体を作るたんぱく質やニキビ予防に有効とされるビタミン類を積極的に摂りましょう。
ニキビ予防に効果が期待されるビタミン類とそれらを含む主な食品を以下に紹介します。
【ニキビ予防に効果が期待できるビタミン類と含まれる食品】
- ビタミンB1……うなぎ、たらこ、玄米、豚肉など
- ビタミンB2……鶏レバー、うなぎ、納豆、ブロッコリーなど
- ビタミンE……うなぎ、かぼちゃ、たらこ、サーモンなど
また、ストレス発散のために「やけ食い」をした経験のある方もいらっしゃるかもしれません。
ストレスを解消するために一時的に好きなものをたくさん食べるということは悪いことではありませんが、ストレスへの対処や健康のためにもそのような行動を慢性化させないようにすることが重要 です。
食事は1日3食規則正しく食べるよう心掛けましょう。
また、やけ食いをする代わりにいつもより高級な食材を購入してみたり、家族や友人と食事を楽しんだりするのもいいかもしれませんね。
2-3.規則正しく睡眠を取る
「最近寝不足が続いているな……」
「ストレスのせいか、よく眠れない……」
ストレスを抱えている方のなかにはこのように睡眠でお悩みの方もいらっしゃるかもしれませんね。
ストレス状態が続くと交感神経のはたらきが強まり、脳が興奮して寝付きが悪くなってしまうなど不規則な睡眠の原因になることがあります。
しかしこうした不規則な睡眠は脳の機能を低下させ、ストレスに抵抗する力が弱くなってしまう恐れがあります。
さらに自律神経やホルモンバランスの乱れを招き、ニキビを発生させてしまう原因にもなるのです。
ストレスに対処するためのホルモンは朝に最も多く分泌され、時間がたつごとに分泌量が少なくなり、深夜には最低量になるとされています。
そのため夜遅くまで起きているとストレスに弱い体を作ってしまうことにもつながります。
睡眠時間を調整したり睡眠の質を高めたりして十分な睡眠が取れるように心掛けましょう。
2-4.肌を清潔に保つ
ニキビ予防には肌を清潔に保つことも重要です。
洗顔後にも肌に汚れや皮脂が残っているとニキビが悪化する原因になることがあります。
ニキビができている場合にはニキビ肌に適した洗顔料を使用し、丁寧に洗うようにしましょう 。
洗顔の際は洗顔料をよく泡立て、こすらないように優しく洗いぬるま湯で洗い流します。
洗顔後はタオルを優しく抑えるように水分を拭き取り、すぐに保湿しましょう。
また毎日使用する寝具などに付着した雑菌もニキビを悪化させる恐れがあるため注意が必要です。
ベッドや布団周りは清潔を保ち、枕カバーなどの寝具もこまめに取り替えましょう。
ほかにもメイクに使用するパフやブラシも雑菌が繁殖しやすいため、適宜洗浄し清潔な状態を保つことも大切です。
2-5.便秘を予防する
ストレスがたまっていると、自律神経の不調が腸の動きにも影響して便秘になってしまうことがあります。
便秘が続くとニキビの原因にもなります。
これは便秘によって腸内環境を整えるはたらきのある善玉菌の数が減少し、腸内環境が悪化するためです。
腸内環境が悪化すると善玉菌が作り出す肌の栄養成分が供給されなくなり、肌の新陳代謝が行われなくなってしまいニキビができてしまうのです。
ニキビの原因となる便秘を防ぐためには、ストレスを解消すること以外にも食事や運動などの生活習慣を整えることが重要です。
食事は1日3食規則正しく摂取しバランスの取れた食事を心掛けましょう。
特に朝食をしっかり食べることは腸を刺激して排便を促す作用が期待できるため毎日同じ時間に食べるようにすると良いでしょう。
整腸作用を持つ食物繊維や乳酸菌、オリゴ糖を含む食品などを摂取するのもおすすめです。
そのほか水分摂取も重要です。
特に朝は水分摂取によって排便を促す効果が期待できるので起床時にお水を飲む習慣をつけるようにしましょう。
また運動ではおなかの血行を良くして胃腸の機能を高める効果の期待できる腹筋運動や、ウォーキング、ヨガ、水泳なども有効です。
運動以外にも買い物などに出掛けた際にはエスカレーターやエレベーターを使わず階段を利用するなどして体を動かすことを意識してみましょう。
ほかにも起床時に胃の中に何も入っていない状態で朝食を食べると排便を促す「結腸反射」が腸に生じます。
そのため朝食を食べた後には便意がなくてもトイレに座る習慣を付けると良いでしょう。
ストレスを発散しながら生活習慣を整えるとより効果が期待できそうですね。
3.ストレスをため込まないためのコツ
「ストレスをためない方がいいのは分かるけど、どうやって発散したらいいのか分からない……」
という方もいらっしゃるでしょう。
ストレスに対処する方法にはさまざまなものがありますが、ご自身でストレスをためこまない方法を見つけたり、1人で対処しきれない場合には周囲に協力を依頼したりすることも重要です。
ここではストレスをため込まないようご自身で実践できるコツを紹介しましょう。
3-1.ストレッサーを取り除く
ストレスの原因となるストレッサーを取り除くことができれば、ストレス反応を減らすことが期待できます。
ストレッサーを取り除く具体的な方法としては、「問題の解決」「環境の変化」「あれこれ考えないこと」があります。
例えば問題の解決ではストレッサーとなる問題を解決できるよう、その問題を今よりも小さくできないか、対応できるように変化させられないかなどを意識して行動することが挙げられます。
また解決するためのスキルを身に付けたり、周りの人に協力を依頼することも重要です。
環境の変化では、ストレッサーのない環境や今よりもストレッサーの弱い環境を選ぶことができそうな場合には、できる範囲で移動することを検討してみましょう。
またストレスを感じているときには、起きてもいないことをあれこれ考えてしまうという場合もあるかもしれません。
しかしそのような思考自体もストレッサーとなることがあるため、楽しいことに集中したり何も考えないようにしたりすることを意識するのも良いでしょう。
3-2.快適な睡眠を心掛ける
ストレスに対処するためには快適な睡眠を心掛けることも重要です。
睡眠不足は「生理的ストレス」の一つに数えられます。
睡眠不足で体にストレスがかかる状態が持続すると、自律神経やホルモンバランスに悪影響が生じるほかストレスに抵抗する力も弱くなってしまいます。
しかし忙しくて毎日十分な睡眠時間を取ることが難しいという方もいらっしゃるかもしれませんね。
睡眠は時間だけでなく質を意識することも重要です。
睡眠時間を調整したり睡眠の質を高めたりするために生活習慣を見直してみるといいかもしれません。
3-3.日光を浴びて適度な運動を行う
日光を浴びることや適度な運動を行うこともストレスの緩和に効果的であるといわれています。
日光を浴びると「セロトニン」という脳内物質の分泌が促進されます。
セロトニンには脳を活発にはたらかせ心身を安定させる作用などがあり、特にストレスに対して効果があるとされています。
またセロトニンは日光だけでなくウォーキングなどのリズミカルな運動によっても分泌されることが分かっています。
日照時間の少ない冬季にはセロトニンの分泌が低下するともいわれており、体内のセロトニンが不足すると慢性的なストレスやイライラ、意欲の低下、うつ症状、不眠などを来すことがあります。
セロトニンは長時間日光を浴びても際限なく分泌されるわけではないので、無理のない範囲で外に出てウォーキングなどを行うといいかもしれませんね。
3-4.香りの効果を利用する
ストレスの緩和に効果的とされるものの一つに「アロマテラピー」があります。
アロマテラピーは香りの種類によって自律神経系やホルモン分泌などに関わる内分泌系に作用し、リラックス効果やストレス状態に対処する効果が期待できるといわれています。
またエッセンシャルオイルにはさまざまな種類のものがありますが、ラベンダーやひのきの香りなどはストレス緩和効果やリラックス効果などが期待できるとされています。
アロマテラピーの楽しみ方にもいくつかありますが、ティッシュペーパーにエッセンシャルオイルを数滴垂らしてデスクや枕元に置くだけでも香りを楽しむことができますよ。
アロマテラピーの楽しみ方については「公益社団法人日本アロマ環境協会(AEAJ)」で詳しく紹介しています。より詳しく知りたいという方はぜひ参考にしてみてくださいね。
ご自身の好みの合わせ、リラックスできる香りを見つけてみるのもいいかもしれませんね。
3-5.思い切り笑う
笑うことでもストレス緩和が期待できるといわれています。
ストレスが長期間持続すると交感神経が刺激され続け、副交感神経とのバランスが崩れてしまうことがあります。
そこで笑うことを意識するとストレスによって崩れてしまった交感神経と副交感神経のバランスが改善するため、ストレスの緩和に効果が期待できるといわれています。
またストレスを受けると脳が興奮し酸素を大量に消費して脳の機能が低下することもあるといわれています。
笑ったときの腹式呼吸によって体内に大量に酸素が取り込まれるため、ストレスによって低下した脳の機能を向上させる効果も期待できます。
笑うことにはストレス緩和だけでなく体にも良い影響が期待できるのですね。
お笑い番組などを見て思い切り笑ってみるのもいいかもしれません。
4.つらいときは無理せず専門家に相談する
「つらくてストレスを発散しようという気分になれない……」
「何をしても気分が良くならない……」
このようにつらい状態が続いている場合には、無理をせず誰かに相談してみることも重要です。
ストレスでつらい状態が長引くと心身に不調が生じ、病気になってしまう恐れもあります。
そのような状況になる前に専門家に相談することを検討してみましょう。
精神科や心療内科などの医療機関のほか、公的機関では各種相談窓口も利用することができます。
こちらのサイトでは全国の心療内科などの専門医を検索できるほか、さまざまな分野の相談窓口が掲載されています。精神科の受診や電話相談に抵抗がある方はメール相談をすることもできるので、ご自身の状況に合わせて選択してみましょう。
5.ストレスとニキビについて まとめ
心身にさまざまな影響を与えるストレスは、ニキビの原因をつくる場合もあります。
ストレスがかかると自律神経が乱れたり、ホルモンバランスが崩れたり、免疫力が下がったりするためにニキビができやすくなってしまうのです。
ニキビの予防のためには喫煙や飲酒を控え、食生活を見直し、十分な睡眠を心掛けることが重要です。
また肌を清潔に保ったり便秘を防いだりすることもポイントです。
ストレスからニキビができていると考えられる方はストレスを解消することも重要だと考えられるでしょう。
ストレスの原因となっているストレッサーから離れることが一番ですが、なかなか難しいこともありますよね。
快適な睡眠を心掛けたり、日光を浴びて体を動かしたり、癒される香りを嗅いだり、思い切り笑ったりすることでストレス解消につながります。
無理をせず心と体を労って過ごすようにしてくださいね。