「痩せるにはどうしたら良いんだろう?」
ダイエットをしたいけれど、適切な方法が分からず悩んでいる方もいらっしゃるかもしれませんね。
減量のためには、摂取カロリーを消費カロリーより少なくする必要があります。
そのためには食事や運動における工夫が欠かせません。
この記事ではダイエットの基礎知識を解説し、ダイエットの方法をご紹介します。
さらに、減量を成功させるためのポイントもお伝えするのでぜひ最後までお読みくださいね。
1.ダイエットの唯一の方法
「ダイエットには何が必要なんだろう?」
体重を落とすための唯一の方法は、摂取カロリー(エネルギー摂取量)が消費カロリー(エネルギー消費量)を下回る状態をつくることです。
体重は摂取カロリーと消費カロリーのバランスによって増減します。
摂取したカロリー(エネルギー量)が多く、消費し切れない状態が続くと、体重は増加し、肥満につながります。
反対に消費カロリーが摂取カロリーを上回っていれば、体重は減少に向かいます。
このため減量には摂取カロリーを減らすこと、消費カロリーを増やすことが不可欠になるのです。
なお、エネルギー源となる栄養素は炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質です。
このため食品からの摂取カロリーはこれらの含有量と1g当たりのカロリーから計算されます[1]。
炭水化物と糖質のカロリーは1g当たり4kcal、脂質のカロリーは1g当たり9kcalで概算されます[1]。
一方、消費カロリーは身体活動、基礎代謝、食事誘発性熱産生(DIT)に分けられます。
身体活動は安静にしている状態により多くのエネルギーを消費する全ての動作で、1日の消費カロリーの約30%を占めます[3]。
基礎代謝は呼吸や心拍、体温の維持など生命を保つために安静にしていても消費される必要最低限のカロリーのことです。
1日の消費カロリーの約60%を占めます[3]。
また食事性熱産生(DIT)とは食後、体内に取り込まれた栄養素が分解される際に消費されるカロリーのことで、1日の消費カロリーの約10%に当たります[4]。
「摂取カロリーを消費カロリーより少なくするには具体的にどうしたら良いんだろう?」
というのが気になるところですよね。
摂取カロリーを消費カロリーよりも少なくする具体的な方法については次の章でお伝えします。
[1] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
[2] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝」
[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「食事誘発性熱産生 / DIT」
2.摂取カロリーを消費カロリーより少なくする方法
「摂取カロリーを消費カロリーより少なくするにはどうしたら良いんだろう?」
と気になっている方も多いことでしょう。
摂取カロリーを消費カロリーより少なくするには、食事制限と運動を行う必要があります。
では具体的にどのようなことをしたら良いのか、六つの方法についてご説明します。
方法1 摂取カロリーを適切に抑える
ダイエットにおいては、摂取カロリーの制限が非常に重要です。
しかし、むやみに摂取カロリーを減らし過ぎても健康を損ねてしまいます。
まずは、適切な目標設定をして摂取カロリーをどのくらいに抑えれば良いのかを計算してみましょう。
目標体重はBMIを参照し無理のない範囲で設定しましょう。
BMIが低体重に当たる方は健康を損ねるリスクがあるためこれ以上の減量は勧められません。
一方BMIが25以上の方は、まずは標準体重を目標に減量すると良いでしょう。
推定必要カロリーは運動量によっても異なるため、まず以下の表でご自身の身体活動レベルを確認しましょう。
身体活動レベルは日常的にどれくらい体を動かしているかによって3段階に分けられます。
身体活動レベル | 日常生活の内容 |
---|---|
低い(Ⅰ) | 生活の大部分を座って過ごす場合 |
普通(Ⅱ) | 座って過ごすことが多いが、仕事などで立ったり歩いたりする場合、通勤や買い物などで歩く場合、家事や軽いスポーツを行う場合 |
高い(Ⅲ) | 立ったり歩いたりすることが多い仕事に就いている場合、余暇に活発に運動する習慣がある場合 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
身体活動レベルが分かったら、目標体重と以下の表の体重1kg当たりの推定必要カロリー(推定エネルギー必要量)を掛け合わせましょう。
性別 | 男性 | 女性 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
身体活動レベル | Ⅰ(低い) | Ⅱ(普通) | Ⅲ(高い) | Ⅰ(低い) | Ⅱ(普通) | Ⅲ(高い) |
18〜29歳 | ||||||
30〜49歳 | ||||||
50〜64歳 | ||||||
65〜74歳 | ||||||
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
ここでは身長160cmの20代女性の場合で計算してみましょう。
この女性の標準体重は1.6×1.6×22で56.32kgです。
デスクワークで座って過ごす時間が長いものの、通勤では毎日歩くとすると、身体活動レベルは普通(Ⅱ)に当たります。
目標体重を標準体重の56.32kgとすると、1日の適切な摂取カロリーは56.32×38.7=2180kcal(小数第1位で四捨五入)となります。
このようにご自身に合った摂取カロリーを設定し、これを目安として食事の内容を工夫してみましょう。
1日に必要なカロリーについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
1日の適切な摂取カロリーは?体格や運動量に合わせた計算方法を解説
[5] 厚生労働省 e-ヘルスネット「BMI」
[6] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
[7] 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」
方法2 脂質を控える
摂取カロリーを減らすためには、脂質を控えましょう。
脂質は1g当たり9kcalと高カロリー物質であるため、肥満の原因になりやすいのです[8]。
厚生労働省は、脂質から摂るカロリーを総摂取カロリーの20〜30%に抑えるという目標量を定めています[8]。
また、脂質の構成要素である脂肪酸は構造によって分類され、種類によって異なるはたらきがあります。
肉の脂身や乳脂肪、ココナッツミルクなどに多く含まれる飽和脂肪酸は体内で合成できるため食事からの摂取は必須ではありません。
摂り過ぎると肥満や生活習慣病の要因にもなります。
このため厚生労働省は成人に対し、飽和脂肪酸から摂取するカロリーを総摂取カロリーの7%以下にするという目標量を設定しています[8]。
一方でn-6系脂肪酸およびn-3系脂肪酸は体内で合成できず、不足すると皮膚炎などを引き起こすため必須脂肪酸と呼ばれています。
必須脂肪酸は食事からの摂取が欠かせません。
n-6系脂肪酸およびn-3系脂肪酸は植物や魚の油に多く含まれています。
脂質の摂取量を抑え、その種類も意識して食べ物を選ぶことが重要なのですね。
脂質についての詳しい解説は以下の記事でもご覧いただけます。
脂質とは?はたらきや種類、1日に摂取すべき量の計算方法を解説
[8] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
方法3 糖質を控える
摂取カロリーを減らすなら、糖質から摂るカロリーを制限しましょう。
糖質の摂り過ぎは肥満の原因となります。
糖質が体内で分解されると、そのうちのブドウ糖は血液中に取り込まれ、血糖値(血中ブドウ糖濃度)の上昇を招きます。
血糖値が上昇するとそれに反応して膵臓(すいぞう)から「インスリン」というホルモンが分泌されます。
インスリンは血糖を細胞にエネルギー源として使わせることで血糖値を下げるはたらきをするホルモンです。
しかしこのときエネルギーとして使い切れなかったブドウ糖は、インスリンのはたらきにより脂肪などに変えられ、体に蓄えられてしまいます。
このため糖質を摂り過ぎると体重の増加につながってしまうのです。
厚生労働省は炭水化物(糖質)から摂取するカロリーを総摂取カロリーの50〜60%に抑えるという目標量を設定しています[9]。
また血糖値の急上昇によるインスリンの大量分泌を防ぐため、GIの比較的低い食品を選ぶこともおすすめです。
主食のなかでも白米や小麦粉を使った食品はGIが高く、血糖値を上昇させやすいのに対し、そばやライ麦パン、玄米といった食品は比較的GIが低い傾向にあります。
ついご飯や麺類を食べ過ぎてしまうという方もいらっしゃるかもしれませんが、控えたり、主食を置き換えたりしてみると良いでしょう。
糖質と炭水化物の関係については以下の記事で詳しく解説しています。
糖質と炭水化物の関係は?摂取目標量や摂取源となる食べ物も紹介
[9] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
方法4 アルコールを控える
摂取カロリーを減らすためには、アルコールも控えましょう。
アルコールは1gで7kcalの高カロリー物質です[10]。
加えてアルコールを消費している間は、他のエネルギー産生栄養素は使われないまま蓄積されてしまうため肥満の原因となります。
さらに、アルコールには食欲を増進させる作用があるため、つい食べ過ぎてしまう恐れもあります。
摂取カロリーを減らすためにも、アルコールは控えるようにしてくださいね。
[10] 厚生労働省 e-ヘルスネット「メタボリックシンドロームの診断基準」
方法5 有酸素運動を行う
消費カロリーを増やしたいなら有酸素運動が効果的です。
これまで運動習慣がなく、運動を始めることに抵抗感のある方もいらっしゃるかもしれませんが、有酸素運動による減量効果は合計時間に比例するといわれており、長時間続けなければならないというものではありません。
長い時間運動を続けることが難しい場合は短時間の運動を1日に数度行うといった形で、ご自分のペースで運動に取り組みましょう。
おすすめの有酸素運動やその効果について知りたい方は以下の記事もご覧ください。
方法6 筋トレを行う
消費カロリーを増やすには筋トレも有効です。
筋トレを行うと筋肉量が増え、基礎代謝の増加につながります。
筋肉は基礎代謝のなかでも最も多くのカロリーを消費します[11]。
基礎代謝を上げるためには、大きな筋肉を鍛えると効率的だといわれています。
特にお尻の筋肉である大臀筋(だいでんきん)や太ももの大腿四頭筋(だいたいしとうきん)、ハムストリングは全身の筋肉に占める割合が大きいため重点的に鍛えると良いでしょう。
さらに筋トレには、交感神経やホルモンのはたらきを活性化させ、カロリー消費を促す効果もあります。
筋トレは太りにくい体をつくるためには欠かせないのですね。
ダイエットにおすすめの筋トレについて知りたい方は以下の記事もご覧ください。
ダイエットにおすすめの筋トレは?健康かつ効率的に痩せる方法を伝授
[11] 厚生労働省 e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝」
3.減量を成功させるその他のポイント
「減量を成功させるポイントってあるのかな?」
せっかくダイエットを始めるのなら、成功させるためのポイントを押さえておきたいですよね。
減量を成功させるためには、食事、生活習慣、心構えなどそれぞれのポイントがあります。
この章では、ダイエットを成功させるためのポイントを四つご紹介します。
ポイント1 食物繊維を十分に摂取する
減量を成功させるポイントの一つは、食物繊維を十分に摂取することです。
食物繊維とは、ヒトの消化酵素で消化できない物質のことです。
減量のために食事量を減らすと、便秘が起こりやすいとされています。
この便秘を改善するために、食物繊維にある整腸作用が有効なのです。
さらに、食物繊維には脂質や糖質を吸着して体外に排出するはたらきもあります。
また、食物繊維が多い食品から食べることで糖質の吸収が緩やかになり、血糖値の上昇が緩やかになるというメリットもあります。
このため食物繊維には肥満の予防・改善効果が期待されています。
ダイエット中はブロッコリーやしいたけ、ひじきなど食物繊維が含まれる食品を積極的に摂るようにしましょう。
食物繊維を手軽に摂れる食べ物について知りたい方は以下の記事もご覧ください。
ポイント2 たんぱく質を十分に摂取する
減量を成功させるためには、たんぱく質を十分に摂取した方が良いでしょう。
たんぱく質が不足すると筋肉量が減少し、基礎代謝が低下する恐れがあります。
またたんぱく質は髪や肌、筋肉などの材料、体調を調整する際にはたらく成分にもなります。
このためダイエット中もたんぱく質はしっかり摂っておくべきでしょう。
たんぱく質を多く含む食べ物や摂取量の目安については以下の記事で紹介しています。
たんぱく質を豊富に含む食べ物は?良質なたんぱく質の摂取源を紹介
ポイント3 睡眠を十分にとる
減量を成功させるポイントとして、睡眠を十分にとることも挙げられます。
睡眠不足は成長ホルモンの分泌を減らし、肥満を招くといわれています。
成長ホルモンというと成長期に分泌されるホルモンというイメージがあるかもしれませんが、実は大人の体でも分泌されています。
成人の体内での成長ホルモンは、代謝の調節に関与する他、脂肪を分解したり、筋肉を増大させたりするはたらきをすることが分かっています。
睡眠時間が減ってしまうとこのようにダイエットにおいても心強い味方となる成長ホルモンの分泌が低下してしまうのですね。
また睡眠不足では食欲を抑えるはたらきのあるホルモン「レプチン」の分泌が低下し、反対に食欲を高めるホルモン「グレリン」の分泌量が増えることも分かっています。
ダイエット中は質の良い睡眠を心掛け、痩せやすい体づくりをしましょう。
ポイント4 無理はせず長期的な視点で取り組む
減量を成功させるためには、無理はせず、長期的な視点で取り組むこともポイントです。
極端な食事制限や続けられない強度の運動など無理なダイエットを行うとリバウンドしてしまいます。
「食べない」などのダイエットは健康を損なうだけでなく、カロリーを蓄えやすい体となってしまうためやめましょう。
さらに、無理なダイエットはストレスの原因となります。
ストレスを感じるとホルモンが乱れて食欲が増進し、過食してしまうこともあります。
我慢のし過ぎもストレスの元となるため、どうしても油っこい食べ物などを食べたくなったときには昼に摂り、夕食を軽めにして1日の摂取カロリーをオーバーしないようにすると良いでしょう。
なお、体脂肪1kgを減らすには摂取カロリーと消費カロリーの差が7,200kcal必要だといわれています[12]。
この数値からも分かるように、体脂肪を減らすのは簡単ではありません。
ダイエットは長期的な視点で行うことが重要なのですね。
[12] 東京都保険医療局「エネルギー消費とウォーキング時間の関係」
4.ダイエットの方法についてのまとめ
ダイエットの唯一の方法は摂取カロリーが消費カロリーを下回る状態をつくることです。
摂取カロリーを減らすために、糖質や脂質、アルコールの摂取量を抑えましょう。
糖質は過剰に摂取すると脂肪を蓄えやすくなります。
また脂質やアルコールは高エネルギー物質であるため特に注意しましょう。
消費カロリーを増やすためには有酸素運動と筋トレを行うことが勧められます。
有酸素運動には直接的な脂肪燃焼効果が認められています。
また、筋トレでは運動そのものでカロリーが消費される他、筋肉がつくことで基礎代謝が上がり総消費カロリーを増やせるというメリットがあります。
また減量を成功させるために、食物繊維やたんぱく質を十分に摂取しましょう。
睡眠を十分にとりながら、無理せず長期的な視点で取り組むことも大切です。
ぜひこの記事をダイエットの成功のために役立ててくださいね。