「最近、加齢臭が気になる……」
「加齢臭の効果的な対策を知りたい」
自分が加齢臭を発しているのではないかと不安に思う方もいるのではないでしょうか。
加齢臭は加齢に伴って生じる中高年特有の臭いです。
周りに不快な思いをさせないためにも、加齢臭の対策を知っておきたいものですよね。
この記事では加齢臭が生じる原因や、加齢臭を改善・予防するためのポイントについて詳しく解説します。
加齢臭の対策を知りたい方はぜひ参考にしてくださいね。
1.加齢臭とは
加齢臭は体臭の一種で、加齢に伴って生じる特有の臭いです。
主に中高年以降の人に発生し、その臭いは古い油や枯れ草に例えられます。
男性だけに生じるものというイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、女性にもあります。
ではどうして年齢を重ねると加齢臭が発生しやすくなるのでしょうか。
加齢臭の原因は皮脂に含まれる「ノネナール」という物質です。
ノネナールは油臭さと青臭さが混ざった臭いを有しています。
皮脂は汗と混じり合って皮脂膜となり肌の表面を覆っており、皮脂にノネナールが多く含まれていると体から加齢臭が生じます。
ノネナールは中年頃から増加する傾向にあるため、加齢に伴って加齢臭が生じてくるのですね。
なお、加齢臭の原因となるノネナールは体から直接分泌されるのではなく、皮脂に含まれる「パルミトレイン酸」が「過酸化脂質」と反応することで生成されます。
パルミトレイン酸は脂肪の構成要素である不飽和脂肪酸の一種です。
過酸化脂質は活性酸素(呼吸で体内に取り込まれた酸素が通常より活性化されたもの)によって酸化された不飽和脂肪酸のことで、他の脂質を酸化させる性質があります。
パルミトレイン酸は若い人の皮脂にはほとんど含まれていませんが、加齢に伴って皮脂中に多く含まれるようになります。
また過酸化脂質も年齢を重ねるごとに増加するといわれています。
年齢を重ねるうちにパルミトレイン酸と過酸化脂質が増え、ノネナールが多くつくられるようになり、加齢臭が生じるのですね。
【関連情報】 「加齢臭とは?発生のメカニズムや原因、予防・対処のポイントを解説」についての記事はこちら
2.加齢臭を改善するためのポイント
「加齢臭を改善するために、どんな対策をすれば良いのかな?」
加齢臭を改善するためには、ノネナールが含まれた皮脂を取り除くことが大切です。
この章では加齢臭を改善するためのポイントを解説します。
自分の加齢臭が気になる方はぜひ実践してみてくださいね。
ポイント1 皮脂が多い部位を洗う
加齢臭を改善するためには頭皮、首の後ろ、耳の後ろ、背中、胸元、脇を特に丁寧に洗いましょう。
これらは皮脂が多く分泌される部位です。
加齢臭の原因であるノネナールは皮脂に多く含まれるため、これらの部位をしっかりと洗うことで加齢臭の軽減が期待できます。
特に頭皮は皮脂を分泌する皮脂腺が体のなかで最も多く、加齢臭が強くなりやすい部位です。
頭を洗う際は、髪よりも頭皮をしっかりと洗うよう意識してみてくださいね。
また背中も皮脂腺が多い上に面積が広いことから、加齢臭が生じやすい部位といえるでしょう。
手が届きにくいところに皮脂が残りやすいため、洗い残しがないように気を付けてくださいね。
ポイント2 湯船につかる
加齢臭を改善するためには湯船につかるのもおすすめです。
加齢臭の原因であるノネナールは皮脂中に存在します。
皮脂は油のため、お湯につかると温まって柔らかくなります。
湯船で全身をしっかり温めることで皮脂を落としやすくなるのですね。
また体を温めると毛穴が開くため、毛穴の中の皮脂も落ちやすくなりますよ。
ポイント3 衣類を清潔に保つ
衣類を清潔に保つことも加齢臭の改善につながります。
肌に触れた衣類には皮脂が付着します。
皮脂が落ちきっていない衣類を着用していると、いくら体をきれいに洗っていても加齢臭が漂ってしまいます。
着用して肌に触れた衣類は洗濯し、清潔を保つように心掛けてくださいね。
皮脂は冷えると落としにくくなってしまうため、衣類を脱いだらすぐに洗濯するようにしましょう。
皮脂は弱酸性のため、弱アルカリ性の洗剤を使うと効率的に落とすことができます。
またぬるま湯で洗濯することでも皮脂が落ちやすくなります。
何度洗っても衣類の臭いが取れない場合は、思い切って買い替えるのもおすすめです。
ポイント4 枕カバーやシーツを小まめに洗濯する
加齢臭を改善するためには、枕カバーやシーツを小まめに洗濯することも大切です。
枕カバーやシーツなどの寝具には、加齢臭が発生しやすい頭皮や耳の後ろ、首の後ろ、背中などが長い時間触れるため、加齢臭が移りやすいのです。
加齢臭が残ったままの寝具で就寝すると、そこから体に加齢臭が付いてしまいます。
このため枕カバーとシーツはできるだけ毎日洗濯するようにしましょう。
洗濯する際は、皮脂汚れに強い洗剤を選ぶのがおすすめです。
毎日洗濯するのが難しい場合、枕カバーやシーツの上にタオルを敷いて、タオルを小まめに交換しても良いでしょう。
ポイント5 加齢臭対策用の製品を使う
加齢臭の対策に特化した製品も販売されています。
体や髪を洗うときは加齢臭対策用のシャンプーやボディーソープを使うと良いでしょう。
また加齢臭に対応したデオドラント剤を肌に塗ると皮脂の分泌が抑えられ、臭いの軽減効果が期待できます。
3.加齢臭を予防するためのポイント
「加齢臭を予防する方法ってあるのかな?」
加齢臭の発生を予防したいという人もいらっしゃるでしょう。
加齢臭を予防するためには、加齢臭の原因であるノネナールの生成を抑えることが大切です。
この章では加齢臭を予防するためのポイントを解説します。
ポイント1 脂質が多い食事を控える
加齢臭を予防するためには、脂質の多い食事を控えましょう。
脂質の多い食事を摂ると皮脂が過剰分泌され、加齢臭の原因であるノネナールが多くつくられてしまいます。
肉の脂身部分や揚げ物など脂質を多く含む食べ物は摂り過ぎないようにしましょう。
和食中心の食生活にすると、脂質の摂取量を抑える効果が期待できますよ。
脂質を多く含む食べ物について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
脂質は1日にどれくらい摂取して良い?摂取目標量や過不足による影響
ポイント2 抗酸化物質を含む食べ物を摂る
抗酸化物質を含む食べ物を摂取することは、加齢臭の予防につながります。
加齢臭の原因であるノネナールは、脂質やパルミトレイン酸が活性酸素によって酸化することでつくられます。
抗酸化物質を含む食べ物を摂ることで活性酸素のはたらきが抑制され、加齢臭を予防する効果が期待できます。
代表的な抗酸化物質としてビタミンAやビタミンE、ビタミンCが挙げられます。
ビタミンAはレバーやにんじん、ビタミンEはアボカドやアーモンド、ビタミンCはブロッコリーやじゃがいもなどに多く含まれます。
またポリフェノールも抗酸化物質の一つです。
主なポリフェノールにはブルーベリーやなすに含まれるアントシアニン、緑茶や紅茶に含まれるカテキンなどがあります。
加齢臭を予防するために、抗酸化物質を含む食べ物を積極的に摂取してくださいね。
抗酸化物質について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
抗酸化作用とは?活性酸素による悪影響に対抗するためのポイント
ポイント3 お酒を飲み過ぎない
加齢臭を予防するためにはお酒を飲み過ぎないことも大切です。
アルコールが肝臓で分解されるときに活性酸素が発生するため、お酒を飲み過ぎると体内で活性酸素が増加します。
活性酸素が増えると皮脂中の脂質やパルミトレイン酸が酸化し、加齢臭の原因であるノネナールの生成につながります。
加齢臭を発生させないためには、お酒は飲まないようにするのが理想的といえます。
とはいえ、どうしてもお酒をやめられないという方もいらっしゃるかもしれませんね。
その場合はお酒を飲み過ぎないようにし、適量にとどめるようにしましょう。
厚生労働省は「節度ある適度な飲酒」を「純アルコール量」で1日平均約20gとしています[1]。
一般的に飲まれているお酒の純アルコール20gに相当する量は以下のとおりです。
公益社団法人 アルコール健康医学協会「お酒と健康 飲酒の基礎知識」をもとに執筆者作成
加齢臭を予防するためにも、適量を超えてお酒を飲み過ぎないように気を付けましょう。
適切な飲酒量について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
アルコールとは?体への影響や健康的なお酒の飲み方、注意点を解説
[1] 厚生労働省「アルコール」
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「飲酒量の単位」
ポイント4 ストレスを解消する
ストレスを解消することも加齢臭の予防につながります。
精神的なストレスが続いたり過度な運動をしたりすると、体内で活性酸素が生成されます。
活性酸素が増加すると脂質やパルミトレイン酸の酸化が促進され、加齢臭の原因であるノネナールが増えます。
仕事や家庭、人間関係でさまざまなストレスを抱えている方もいらっしゃるかもしれません。
小まめにストレッチする、ゆっくりと深く呼吸する、十分な睡眠をとるといったストレス解消法を試してみましょう。
自分に合った方法でストレスを解消し、加齢臭を予防してくださいね。
ストレスを解消する方法について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ストレス発散に効果的な方法は?手軽にスッキリできるおすすめ解消法
ポイント5 禁煙する
加齢臭を予防するために、禁煙を心掛けましょう。
たばこの煙には活性酸素が含まれるため、喫煙すると体内の脂質やパルミトレイン酸の酸化が促進されます。
その結果ノネナールが増え、加齢臭が生じやすくなります。
加齢臭にたばこの煙の臭いが加わり、加齢臭以上の悪臭を発生させる恐れもあるので注意が必要です。
加齢臭を予防したい方は、たばこを吸わないようにしましょう。
ポイント6 十分な睡眠時間を確保する
十分な睡眠時間を確保することも加齢臭の予防になります。
睡眠不足が続くと、体内の活性酸素が増加するといわれています。
活性酸素が増加すると脂質やパルミトレイン酸が酸化し、ノネナールが増えて加齢臭が発生しやすくなります。
加齢臭を予防するためには十分な睡眠が欠かせないといえるでしょう。
必要な睡眠時間は人によって異なるため、自分に合った睡眠時間を知ることが大切です。
日中の生活に支障を来すほどの眠気がなければ、睡眠時間は足りていると考えられます。
自分にとって十分な睡眠時間を確保し、加齢臭を予防してくださいね。
ぐっすり眠るための秘訣(ひけつ)を知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
睡眠は時間だけでなく質も重要!ぐっすり眠るための7つの秘訣とは?
ポイント7 適度に運動する
適度な運動は加齢臭の予防につながります。
適度に運動して汗をかくと毛穴に詰まった皮脂が押し出されるため、皮脂の酸化による加齢臭の発生を予防できます。
また運動することで脂肪が燃やされ、皮脂の分泌量が減少する効果も期待できます。
ただ適度な運動といっても、具体的にどれくらいの運動をすれば良いのか分かりませんよね。
厚生労働省は30分以上の運動を週2日以上行う習慣を持つことを推奨しています[3]。
ウォーキングやジョギングなど、息が弾み軽く汗をかくくらいの運動を行うと良いでしょう。
一方で、過度な運動は体内の活性酸素を増やして加齢臭を悪化させる可能性があるので注意が必要です。
自分が好きな運動を無理なく生活に取り入れ、体を動かす習慣を持つよう心掛けましょう。
[3] 厚生労働省 健康日本21「身体活動・運動」
ポイント8 紫外線を避ける
加齢臭を予防するためには紫外線を避けることも大切です。
紫外線を浴びると体内で活性酸素が増え、脂質やパルミトレイン酸が酸化しノネナールがつくられて加齢臭が生じやすくなります。
加齢臭を予防するために日焼け止めを使う、日傘を使う、帽子をかぶるといった工夫をして紫外線の影響を減らすようにしましょう。
4.加齢臭の対策についてのまとめ
加齢臭は加齢に伴って生じる特有の臭いです。
加齢臭は皮脂に含まれるノネナールという物質が原因で生じます。
ノネナールが含まれた皮脂を取り除くことで加齢臭を軽減する効果が期待できます。
湯船につかって体を温め、頭皮や首の後ろ、耳の後ろ、背中、胸元、脇など皮脂が多く分泌される部位を丁寧に洗いましょう。
また衣類や枕カバー、シーツを小まめに洗濯して皮脂を残さないようにすることも大切です。
加齢臭対策用の製品を使えば、体や衣類の皮脂を効率的に落とせますよ。
加齢臭の原因であるノネナールの生成を抑えるために、ノネナールのもととなる脂質の量を減らしたり酸化を防いだりすることも重要です。
脂質が多い食事を控え、抗酸化物質を含む食べ物を摂ると良いでしょう。
お酒やたばこを控え、十分な睡眠時間を確保するといった生活習慣の改善も加齢臭の予防につながります。
ご紹介した加齢臭の対策を実践して、加齢臭を軽減してくださいね。