入浴・シャワーは血圧の変化が大きい!防ぐ方法は?

2023年05月14日

2024年11月11日

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考える女性

「シャワーや入浴の後の体調不良は何が原因なのだろう……」
「入浴後に心臓がドキドキするのは、血圧の変化が関係しているのだろうか?」

シャワーや入浴後の体調不良でお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

入浴後にみられる立ちくらみなどの症状は、血圧の変化によるものの可能性があります。

この記事では入浴時の血圧の変化と入浴後の体調不良で考えられる原因、入浴時の急激な血圧変化をやわらげる方法についてご紹介します。

シャワーや入浴後の体調不良でお悩みの方は、本記事を参考にしてみてください。

1.入浴・シャワーは血圧の変化が大きい!

顔を拭く女性

シャワーや入浴は、血圧変化の大きい動作といわれています。

入浴によって血圧はどのように変化するのでしょうか。入浴直後とお風呂から出るときに血圧に生じる変化をみていきましょう。

また、シャワーによる血圧の変化についても紹介します。

1-1.入浴直後は血圧が上昇する

入浴の際、血圧には急激な変化が起こります。お風呂につかると、その直後に血管が収縮し、血圧が上昇するのです。

とはいえ、上昇した血圧はそのままの状態でキープされるわけではありません。

しばらくお湯に浸かっていると、血管が拡張するのにともない血圧は徐々に低下します。

1-2.お風呂から出るときに血圧が低下する

お風呂から出る際も血圧には変化が生じています。浴槽から出た直後に血圧が低下し始め、脈拍の増加がみられるのです。

お風呂から出る際に生じる血圧の低下は、お風呂に浸かっているときに起こる血圧低下よりも大きいとされています。

浴槽から急に立ち上がると、ふらつきなどが起こりやすくなるため注意が必要です。

1-3.シャワー浴も血圧が上昇する

シャワーの場合、お風呂につかるのと違って「血圧には変化が起こらないのでは?」と感じる方もいるのではないでしょうか。

しかし、シャワー浴でも血圧に影響を与えることが分かっています。

日本看護研究会の報告によると、シャワー浴においては体位や動作によって血圧が上昇し、とくに前屈立位をとると血圧が急上昇したという研究結果が出ています。

研究対象者は心循環系疾患の既往がない19~22歳の女性(15名)で、前屈立位によるシャワー浴を行ったところ収縮期血圧が20mmHg以上、拡張期血圧が30mmHg前後上昇したとのことです。

その研究では、その体位のまま手を動かして体を洗う動作をするだけでも血圧が上昇することも分かりました[1]。

シャワー浴でも血圧の変化が生じていることから、それに伴う体調不良は起こり得ることが分かります。

[1]萩沢 さつえ, 河瀬 比佐子, 畑 裕子, 油木 幸代, 木津 由美子, 清島 千昌, 早崎 和也「シャワー浴模擬動作による心拍数、血圧の変化」(日本看護研究学会雑誌 Vol.1 No.1 1989)

2.入浴(シャワー)後の体調不良で考えられること

マッサージする女性

シャワーや入浴の後に起こりやすい体調不良として挙げられるのが、立ちくらみやめまいです。

入浴後にみられる立ちくらみやめまいは、血圧の変化によるものかもしれません。考えられるのは以下の二つの症状です。

2-1.ヒートショック

ヒートショックについては、耳にしたことがある方が多いのではないでしょうか。

ヒートショックは、急激な温度の変化によって血圧が上下に大きく変動することによって引き起こされる症状です。特に寒い冬の入浴時に起こりやすいことで知られています。

冬場はリビングなど過ごしている部屋は暖かくしていても、脱衣所や浴室は冷えていることが多いものです。

暖かい部屋から暖房を入れていない脱衣所や浴室に行き、そこで衣服を脱ぐと、寒さで血管が収縮します。その結果、血圧が急激に上がってしまうのです。

血圧が上がった状態で温かい湯船につかると、今度は血管が拡張するため血圧が急激に低下します。

このように入浴時の急激な温度変化と、それに伴う血圧の大きな変化がヒートショックを引き起こす原因です。

ヒートショックが起こると、めまいや立ちくらみといった症状のほか、ひどくなると呼吸困難、胸の痛みといった症状がみられます。

加えて、ヒートショックから失神や心筋梗塞、脳梗塞といった重篤な症状を引き起こす恐れもあり、注意が必要です。

ヒートショックは誰にでも起こり得るものです。以下に該当する方は、特に引き起こされるリスクが高いとされています。

  • 高齢者
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 肥満
  • 不整脈

立ちくらみやめまいといった比較的軽い症状なら、症状が治まるまで安静にするとともに、入浴の仕方を工夫するなどして予防に努めましょう。

2-2.起立性低血圧

起立性低血圧とは、重力によって下半身に血液が集まることで上半身に十分な血液が流れにくくなることにより引き起こされる症状です。

入浴後は血圧が低下することで、脳や上半身に十分な血液が流れることができず、立ちくらみや失神といった起立性低血圧の症状が引き起こされることがあります。

また、起立性低血圧は夜間高血圧の原因の一つであることが分かっています。夜間高血圧とは、夜間血圧の平均が120/70mmHg以上の場合に定義されるものです。

高血圧と低血圧は相容れないように思えますが、夜間高血圧を示す方でも起立性低血圧のリスクがあるため注意しましょう。

低血圧の種類や対処法については以下の記事で解説しています。

「血圧が低いとどんな症状が出る?低血圧の原因と自分でできる対処法」

3.入浴(シャワー)を控えるべきケース

浴室

血圧が高いときは、血圧が大きく変化するシャワーや入浴を控えた方が良いとされています。

具体的には、収縮期血圧が180mmHg以上または拡張期血圧が110mmHg以上の場合は、健康リスクが高いため入浴は控えた方が良いでしょう[2]。(家庭用血圧計であれば収縮期血圧160mmHg以上、拡張期血圧100mmHg以上)

入浴後に体調不良になりやすい方は、入浴前に血圧を測るのを習慣にするようおすすめします。

[2]厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧」

4.入浴(シャワー)時の急激な血圧変化をやわらげる方法

「入浴後に体調が悪くなりやすいけど、予防することはできないのだろうか……?」

このようにお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。

シャワーや入浴時の体調不良は急激な血圧変化によって引き起こされます。そのため予防するにはできるだけ血圧変化が起こらないようにすることが大切です。

ここからは入浴時に起こる血圧変化をやわらげる方法をご紹介します。

4-1.入浴前に脱衣場と浴室を暖める

脱衣所や浴室が寒いと、血管が収縮してヒートショックを起こしやすくなります。

入浴前には脱衣所や浴室を暖めておいて、温度変化による血圧の上昇を避けましょう。

例えば、脱衣所に小型のヒーターや電気ストーブなどを置いておくことが有効です。浴室内も暖房があれば事前に入れておく、ない場合は温水シャワーを壁や床にかけるなどして暖めておきましょう。

衣服を脱いだときに「寒い」と感じないで済むくらいの温度に脱衣所や浴室を暖めておくと、急な温度変化を感じずに済みます。これは血圧の急上昇・急降下を防ぐのに役立ちます。

4-2.入浴前にシャワーやかけ湯をする

寒い日は早く湯船に浸かって体を温めたいと思うものですが、すぐにお風呂につかると血圧が急上昇し、体調不良を引き起こしやすくなります。

血圧の急上昇を防ぐには、シャワーやかけ湯で少しずつ体を温めることが大切です。

特に、寒い季節は手足が冷えている方も多くいるのではないでしょうか。お風呂につかる前に、手足の末端もかけ湯で温めておき、体温自体を少しずつ上げておきましょう。

十分なかけ湯をしてから湯船につかると、体温の上昇がゆるやかとなり、血圧変化をやわらげることにつながります。

4-3.湯船の温度はぬるめに設定して長湯はしない

お湯の温度が高いと、それだけ体温変化が大きくなり、ひいては血圧の急激な変化につながります。

寒い日は熱めのお湯で体をしっかりと温めるのが好きな方もいることでしょう。お湯の温度が低いと、なかなか体が温まらないように感じる方もいるかもしれません。

しかし、体のためにはぬるめのお湯に入るのがおすすめです。お湯の温度は41℃以下のぬるめに設定しましょう。

また、入浴時間は10分以内とし、長湯を避けることをおすすめします。

4-4.入浴前後はコップ1杯の水分補給をする

入浴すると汗などで水分が失われ、脱水を起こしやすくなります。

また、体内の水分が不足すると血流が滞り、ヒートショックのリスクが高まるため注意が必要です。

予防として入浴前にはコップ1杯の水分を補給しておきましょう。また、入浴後も同様にコップ1杯程度の水分を補給して失われた水分を補うことが大切です。

4-5.食後すぐの入浴・入浴前のアルコールは控える

消化吸収に悪いといった理由で食後すぐの入浴は控えるよういわれることが多くあります。同様に、急激な血圧変化を避けるためにも食後すぐの入浴は避けた方が良いといえます。

なぜなら、食事をすると一時的に血圧が下がるため、その状態で入浴すると血圧の急上昇につながるからです。食後はしばらく時間を置き、血圧が平時に戻ってから入浴すると良いでしょう。

アルコールについても同様で、アルコールを飲んだ直後は一時的に血圧が下がります。お酒を飲んですぐの入浴も避けましょう。

4-6.半身浴にする

お風呂の水圧が高くなると血圧上昇につながります。湯船につかる場合は、水圧が高くなり過ぎないよう半身浴がおすすめです。

半身浴では体が温まらないように感じる方もいるかもしれませんが、肩までつかるとそれだけ血圧に負担をかけるリスクが高くなります。

半身浴が寒く感じる場合は、湯船に浸かったままやさしくかけ湯をする、肩に温かいタオルをかけるなどしてみてください。

4-7.ゆっくりと動作する

動作に気を付けることも、急激な血圧変化を抑えるのに役立ちます。浴室では意識してゆっくりと動くことを心掛けてみましょう。

浴槽から出る際、急に立ち上がると血圧の急激な低下を招きやすいです。

すぐに立ち上がるのではなく、まずは浴槽のフチに腰掛けるなどしてゆっくりと出ましょう。

バスボードや浴槽内で使用できる椅子などを使うと、時間をかけて出る助けになります。必要に応じて、これらのアイテムを浴室に置いておくことをおすすめ します。

5.血圧とシャワーの関係についてのまとめ

入浴やシャワーは、大きな血圧変化が起こりやすい動作です。

お風呂につかると血圧が上昇し、お風呂から出た直後から血圧低下がみられるなど、入浴によって血圧は上下に大きく変化しています。

また、シャワーを浴びる場合も体位や動作によって血圧の上昇がみられるといわれています。

こうした事情からシャワーや入浴による血圧変化によって体調不良が起こることは珍しくありません。

入浴後に立ちくらみやめまいといった症状がみられるなら、ヒートショックや起立性低血圧の可能性があります。

本記事を参考に、入浴時の血圧変化をやわらげる工夫をして体調不良を予防しましょう。

この記事の監修者

井上 志穂
井上 志穂
内科認定医・がん治療認定医

【経歴】
国立大学医学部医学科卒業後、公立病院にて初期研修の2年を終了後、3年目からはがん治療を専門としながら幅広く内科疾患の診療に従事。治療が必要となる前の生活習慣の改善、また病気についての正しい知識が大事であることを実感し、病気についての執筆活動にもあたっている。

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