サウナで血圧はどう変化する?高血圧・低血圧の注意点

サウナで血圧はどう変化する?高血圧・低血圧の注意点

2023年11月24日

2023年11月21日

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「サウナから出た後にだるくなったり、めまいを起こしたりすることがあって健康面が気になる……」
「サウナと血圧って何か関係があるのかな?健康的にサウナを続けたいけど、今のままだと心配」

サウナに入るとたっぷり汗がかけるので、運動が苦手な方でも汗を流したいときに気軽に利用できます。しかし、サウナは温度差が激しく、血圧への影響が気になる方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、サウナに入ったときの血圧の変化や高血圧・低血圧の方がサウナに入る際の注意点について解説します。

1.血圧とサウナの関係性

ロウリュ

血圧が高くなったり低くなったりするのは、サウナの温度が関係しているといわれています。サウナに入ると血圧は上がり、体が温まり血管が拡張すると、最高血圧・最低血圧ともに下がり始めます。

ただし、血圧が下がるのは一時的なので、高血圧が改善するわけではありません。入浴後は通常の血圧に戻ります。

2.高血圧の人はヒートショックに注意

悩んでいる女性

高血圧の方は、血圧が正常な方に比べて血管が詰まりやすく、サウナに入ると急激な血圧上昇や心拍数増加が起こりやすいため注意が必要です。

特に、高血圧の方はサウナで起こるヒートショックに注意しましょう。ここからは、サウナでヒートショックが起こりやすい状況について、具体的に解説します。

2-1.サウナ後の冷水浴はヒートショックのリスクを高める

サウナと冷水浴を交互に行う交代浴は、自律神経を整えるのに役立つといわれています。サウナに入って体を温め、血管が拡張しているところで水風呂に入ると血管が収縮します。その反動で普通に入るよりも体が温まりやすいのです。

しかし、この方法は血管の収縮にとって悪影響であり、「ヒートショック」を起こす可能性を高めてしまいます。急激な血圧上昇を防ぐために、高血圧の方はサウナを控えましょう。

そもそもヒートショックとは、気温差によって血圧が上下し、心筋梗塞や脳梗塞などの疾患を引き起こすことです。ヒートショックは寒い時期に温かい部屋から脱衣所に移動し、お風呂に入るときなどに起こります。

血圧は寒さに適応するために上がり、お風呂に入るとさらに上昇します。体が温まると血管が広がり血圧が下がりやすくなるのです。

サウナで体を温めてから冷たい水につかると血圧の急な変動を起こし、思わぬ事故の原因にもなりかねないため注意が必要です。

2-2.90℃以上の高温サウナは避ける

サウナにはさまざまな健康効果が期待できますが、健康的にサウナを活用するには温度設定に気を付ける必要があります。

60℃の遠赤外線サウナで行った研究によると、心不全や高血圧に対して良い結果がみられたと報告されています。ただし、90℃以上の高温のサウナは熱刺激が強く、息苦しさを感じることもあるようです。

熱さから無意識に息をこらえてしまうと血圧が上がりやすくなるため、高血圧の方は高温サウナの利用を避けましょう。

3.低血圧の人は水分補給を意識する

水を飲む女性

低血圧の方は高温の環境を避けることが推奨されていますが、サウナに入って調子の良さを感じる方もいます。サウナで体を温めると血管が広がり、血圧を改善する効果が期待できるからです。

ただし、サウナは汗をかきやすく脱水のリスクが高いため注意が必要です。脱水症は血圧を低下させる要因となるため、こまめな水分補給を心掛けましょう。体調が心配な場合は無理をせず、事前に医師に相談しましょう。

3-1.自律神経が乱れている人にはおすすめ

サウナは自律神経を整えるのに役立ち、あらゆる健康効果が期待できます。自律神経が整うと血の巡りも改善しやすくなります。

低血圧の方のなかには自律神経が乱れている方も多く、サウナで調子が良くなるケースもあるようです。特にサウナと冷水浴を繰り返す交代浴は、温度変化により自律神経を調整するはたらきがあるためおすすめです。

3-2.高温の環境は血圧低下を引き起こしやすい

サウナに入ると血管が広がるので、血圧を正常値にするのに役立ちます。しかし、低血圧の方は高温の環境下では血圧低下を引き起こしやすいため注意が必要です。

体には暑さ寒さに順応するために、体温調節機能が備わっています。暑い環境では血管が開いて熱を外に逃そうとして汗が出やすくなります。そのため、十分な水分補給を行わないと体内の水分が不足してしまい血圧が下がってしまうのです。

そのため、高温の環境下ではいつも以上に水分補給を心掛けることが大切です。

4.血圧が気になる人が入浴・サウナで気を付けたいポイント

サウナには血液循環を良くして、疲労物質を排泄し、神経の調整機能を高めるなどさまざまな健康効果が期待できます。その効果を十分に得るためにも、自分の体力や健康状態に合わせた入り方をすることが大切です。

最後に、血圧が気になる方に向けて入浴やサウナの注意点を紹介します。

4-1.入浴前に脱衣場と浴室を暖める

暖かい部屋から寒い部屋へ移動するなどで温度差が生じると、ヒートショックのリスクが高まります。特に寒い時期の入浴は、ヒートショックが起こりやすいため注意が必要です。急激な血圧の昇降を防ぐために、入浴前に脱衣所と浴室を暖めておきましょう。

寒い日は脱衣場や浴室の温度が極端に低くなりがちです。寒い場所で衣服を脱ぐと、体温が奪われて血管が収縮するため血圧が急上昇します。この状態で湯船につかると血管が拡張して急激に血圧が下がります。

そのため、脱衣場に小型のヒーターを設置したり、浴室の壁や床に温水シャワーをかけたりしながら、なるべく入浴前後の温度差をなくすことが大切です。

ほかにも、お湯を張るときにシャワーを使うのもおすすめです。高い位置からシャワーで温水を流せば、浴室全体が暖まりやすくなり適度な湿度も保てます。

4-2.入浴前にシャワーやかけ湯をする

寒いとすぐに湯船につかりたくなりますが、ヒートショックのリスクを高めてしまうためおすすめできません。体が冷えている状態で熱い湯船につかると、血圧が急激に低下してしまいます。

できるだけ温度差が生じないように、シャワーやかけ湯をしながら少しずつ体を温めていきましょう。シャワーやかけ湯をするときは、心臓から遠い足先などの体の末端部分から順番に行うと、体への負担を減らせます。

4-3.湯船の温度はぬるめに設定して長湯はしない

湯船の温度が高いと血圧も急上昇しやすくなるため、ぬるめの温度に設定することをおすすめします。

熱い湯船につかると、交感神経が緊張しやすくなり血管の収縮を引き起こして血圧が急激に上昇します。さらに、長湯をすると血管が拡張して血圧が急激に低下し、血流が緩やかになるため脳貧血が起こりやすくなります。

血圧の変動が大きいと、血管に大きな負担がかかってしまうため、湯船の温度の目安は41℃以下、湯船につかる時間も10分以内に調整しましょう。

特に高齢者は皮膚感覚が鈍くなり、お湯が高温でも気付かない場合があります。温度調節できるお風呂でないときは、湯温計などでお湯の温度をチェックしてみてください。

4-4.入浴前後はコップ1杯の水分補給をする

のどの渇きを感じたときは、すでに脱水が始まっているサインです。特に入浴すると汗をかくため、脱水になりやすく水分補給が欠かせません。脱水予防のために、入浴前後にはコップ1杯の水分補給を習慣にしましょう。

水分補給といってもアルコールやカフェインは避けましょう。入浴後にビールを飲むと、アルコールの利尿作用により尿として水分が排出されやすくなり、脱水を引き起こしやすくなります。カフェインの多いコーヒーも同様に利尿作用があるため、水分補給には向いていません。

水での水分補給が基本ですが、大量の汗をかいたときは、塩分を補うために経口補水液やスポーツドリンクなどを飲んでも大丈夫です。ただし、大量に飲むのではなく、少量ずつ摂取しましょう。

4-5.食後すぐの入浴・入浴前のアルコールは控える

食事やお酒を飲んだ直後は入浴を控えましょう。食後すぐに入浴をすると、胃腸の血液循環が悪くなり、消化不良を起こしてしまいます。

また、お酒を飲んでから入浴すると、血圧が下がってしまい体に悪影響を及ぼします。酔ったまま入浴すると、湯船につかりながら寝てしまう恐れもあります。

酔い覚ましにお風呂やサウナに入る方もいますが、入浴しても血中アルコール濃度は下がりません。かえって危険なので、入浴前のアルコール摂取は控えましょう。

4-6.半身浴にする

半身浴は全身浴に比べて水圧がかからないので、体への負担が少なく高血圧の方におすすめの入浴法です。

湯船につかっている間は体に水圧がかかっている状態で、手足の血流が押し戻されて血圧が高くなりがちです。また、湯船から上がると水圧から解放されて、手足に血流が流れやすくなります。

湯船につかって体が温まると血管が拡張して血の巡りが良くなりますが、血管の調節がうまくいかないと一気に血液が手足に移動してしまうため、血圧が下がりやすくなってしまうのです。

その点、半身浴は体に負担が少ない分、長く湯船につかることができます。ただし、全身浴より温まるまで時間がかかるので、寒い時期は上半身が冷えないように注意しましょう。

4-7.ゆっくりと動作する

湯船から急に立ち上がると、体調不良の原因になりやすいため注意が必要です。湯船から出るときに立ちくらみを経験した方は、「のぼせた」だけでなく、血圧の変動が関係している場合があります。

湯船につかっているときは水圧がかかっている状態です。その状態から急に立ち上がると今までかかっていた水圧がなくなります。体がお湯の圧迫から解放されて血管が一気に広がり、脳に血液が届きにくくなるため貧血状態を引き起こしやすくなります。

そのため、湯船から出るときはゆっくりとした動作を心掛けましょう。立ち上がるのではなく、浴槽の縁に腰掛けてから洗い場にゆっくりと出ると体に負担がかかりにくくなります。必要に応じてバスボードや椅子を使用しましょう。

5.サウナが血圧に与える影響についてのまとめ

サウナによる温度差は、血圧の変動に影響を及ぼします。

高血圧の方は、ヒートショックに注意しましょう。サウナと冷水浴の交代浴は、血管の急激な拡張と収縮のリスクが高まります。また、90℃以上の高温サウナは熱さや息苦しさを感じやすく、血圧が上がりやすくなるため気を付けましょう。

また、サウナは自律神経を整えるのに役立つため、低血圧の方におすすめです。ただし、脱水になると血圧低下の原因になるため、こまめな水分摂取を心掛けましょう。

血圧が気になる方は、温度差を極力なくすような工夫が有効です。ゆるめのお湯で半身浴をすると体に負担がかかりにくいので、ぜひ試してみてください。体調が心配な方は、無理をせず事前に医師に相談してからサウナに入りましょう。

この記事の監修者

小鷹 悠二
小鷹 悠二
おだかクリニック
副院長

【経歴】
総合病院・大学病院での勤務を経て、2018年よりおだかクリニックの副院長として診療・経営にあたる。専門の循環器疾患(虚血性心疾患、心不全、不整脈など)はもちろんのこと、高血圧や高脂血症、糖尿病等の生活習慣病や内科疾患全般の診療に従事。現在は、医療コンサルト・アドバイザー業務や、ライティング業務などにもあたっている。

【おだかクリニックのHP情報】
»医療法人日和会 おだかクリニック

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