れんこんに含まれる栄養素とは?おいしく食べるポイントも紹介!

れんこんに含まれる栄養素とは?おいしく食べるポイントも紹介!

2023年12月08日

2024年03月20日

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「れんこんにはどんな栄養素が含まれているんだろう……」

「れんこんの栄養素を効果的に摂るにはどうしたら良いのかな」

れんこんは身近な野菜ですが、れんこんに含まれている栄養素や食べ方のポイントについてはあまりご存じない方もいらっしゃるかもしれませんね。

れんこんには食物繊維をはじめ、ビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富に含まれています

この記事ではれんこんに含まれる栄養素やそのはたらきについて解説します。

またれんこんをおいしく食べるポイントについても併せてご紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。

1.れんこんの基礎知識

カットしたれんこん

れんこんはスイレン科ハス属の植物で、私たちが普段食用しているのは肥大したはすの地下茎の部分です。

1年中流通していますが一般的な旬は11~3月です[1]。

れんこんには中国種と在来種があります。

中国種は在来種に比べ粘りが少なくシャキシャキとした食感で、国内で主流となっている品種です。

在来種は中国種に比べて茶色みが強くて細長く、柔らかくて粘り気が強いのが特徴です。

国内産のれんこんは約5割が茨城県産で、残りは徳島県産、佐賀県産、愛知県産、山口県産などで占められています[1]。

れんこんは切り方や調理方法でさまざまな食感が楽しめる食材です。

シャキシャキの食感を楽しみたい場合は輪切りにしてきんぴらなどに、ホクホクに仕上げたい場合は乱切りにして煮物にすると良いでしょう。

またすりおろすことで、料理のとろみ付けに使うこともできます。

幅広い料理に活用できるれんこんは、穴が空いていることから「見通しがきく」と、縁起物として正月料理にも使われます。

このように身近な食材であるれんこんですが、どのくらいのカロリーがあるのかご存じない方も多いでしょう。

れんこんの100g当たりのカロリーは66kcalです[2]。

れんこんの100g当たりのカロリーは他の野菜と比べるとカロリーは少し高めです[2]。

【代表的な野菜のカロリー(100g当たり)】

野菜 加工状態など カロリー
れんこん 66kcal
ごぼう 58kcal
さといも 53kcal
だいこん 15kcal
たまねぎ 33kcal
にんじん 32kcal
ピーマン 20kcal
はくさい 12kcal
ほうれんそう 18kcal

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

れんこんのカロリーが他の野菜に比べやや高めであるのは、炭水化物(糖質)の含有量が多いためです。

ヒトの体がエネルギー源とできる栄養素(エネルギー産生栄養素)には炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質の3種類があります。

カロリーはヒトが食べ物から摂取したり生命活動や身体活動に消費したりするエネルギーの量を表す単位です。

炭水化物(糖質)とたんぱく質は1g当たり4kcal、脂質は1g当たり9kcalのエネルギーを生み出します[3]。

メモ
1cal(カロリー)は非常に小さいため通常はその1,000倍である1kcal(キロカロリー)が最小単位として用いられています。

れんこんはカロリーが他の野菜に比べやや高めですが、健康に役立つ食物繊維、ビタミンやミネラルを豊富に含んでいます

それではどのような栄養素を豊富に含んでいるのかみていきましょう。

[1] 独立行政法人農畜産業振興機構 「野菜ブック 根菜類⑤ れんこん」

[2] 文部科学省 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」

[3] 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2.れんこんに豊富に含まれる栄養素とそのはたらき

「れんこんにはどんな栄養素が多く含まれているんだろう?」

このように気になる方もいらっしゃるかもしれませんね。

れんこんには、食物繊維、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB6、パントテン酸、ビタミンC、カリウム、鉄、銅が豊富に含まれています

【れんこんに豊富に含まれる栄養素とその含有量(100g当たり)】

栄養素 含有量
食物繊維 2.0g
ビタミンE 0.6mg
ビタミンB1 0.1mg
ビタミンB6 0.09mg
パントテン酸 0.89mg
ビタミンC 48mg
カリウム 440mg
0.5mg
0.09mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

この章ではれんこんに豊富に含まれる栄養素とそのはたらきについて解説していきます。

メモ
この記事でご紹介する栄養素は基本的に食品表示基準にのっとって、100kcal当たりの含有量が「豊富」と表現できるものです。ただしれんこん100kcalは151gに相当するため、れんこんからこれらの栄養素を十分に摂取することは難しいと考えられます。

2-1.食物繊維

れんこんには100g当たり2.0gの食物繊維が含まれています[4]。

食物繊維は食品に含まれるヒトの消化酵素では消化できない物質で、炭水化物の一種です。

食物繊維は小腸で消化・吸収されることなく大腸まで達し、便の材料となったり善玉菌の餌となってこれらを増やしたりすることでおなかの調子を整える作用を持ちます

また食物繊維には脂質や糖などを吸着して体外に排出するはたらきがあり、これらが原因となる肥満や糖尿病などの生活習慣病を予防・改善する効果が期待されています

食物繊維の1日当たりの摂取目標量は、男性では18~64歳で21g以上、65歳以上で20g以上です[5]。

また、女性では18~64歳で18g以上、65歳以上で17g以上です[5]。

日本人のほとんどは食物繊維が不足した食生活を送っているといわれているので、れんこんやその他の食べ物から食物繊維を摂取できるよう心掛けましょう。

[4] 文部科学省 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」

[5] 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-2.ビタミンE

れんこんには100g当たり0.6mgのビタミンEが含まれています[6]。

ビタミンEは脂溶性ビタミンで、体内では細胞膜や脂肪組織に豊富に存在しています。

脂溶性ビタミンとは
ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKの4種類のビタミンのことです。油に溶けやすく水に溶けないという特徴があり主に脂肪組織や肝臓に貯蔵されています。

ビタミンEには抗酸化作用があります

抗酸化作用とは
活性酸素の発生やはたらきを抑制したり、活性酸素を取り除いたりする作用のことです。活性酸素は呼吸で体内に取り込まれた酸素が通常よりも活性化されたもので、微量であれば細胞伝達物質や免疫機能として有用にはたらきますが、増え過ぎると細胞を傷つけ、老化や免疫機能の低下、がんなどの原因となります。

ビタミンEにはそれ自体が酸化されることで、体内の脂質の一種である「不飽和脂肪酸」の酸化を防ぐ性質があります

動物実験ではビタミンEが欠乏すると不妊や肝臓の壊死、腎臓の障害などの障害が見られますが、ヒトにおいては通常の食生活を送っているかぎり不足による不調が問題になることはありません。

ビタミンEの1日当たりの摂取目安量は、男性では18~49歳で6.0mg、50~74歳で7.0mg、75歳以上で6.5mgです[7]。

また、女性では18~29歳で5.0mg、30~49歳で5.5mg、50~64歳で6.0mg、65歳以上で6.5mgです[7]。

ビタミンEについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

ビタミンEが多く含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説

[6] 文部科学省 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」

[7] 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-3.ビタミンB1

れんこんには100g当たり0.1mgのビタミンB1が含まれています[8]。

ビタミンB1は水溶性ビタミンの一種です。

水溶性ビタミンとは
水に溶け、油に溶けにくいビタミンのことです。ビタミンB群とビタミンCが該当します。ビタミンB群にはビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類が含まれます。水溶性ビタミンは体内では血液などの体液に溶け込んでおり、余分なものは尿として排出されます。

ビタミンB1は主に糖質やアミノ酸の代謝において必要な補酵素としてはたらきます

メモ
代謝とは栄養素を生命維持に必要な物質やエネルギーに変える作用のことです。代謝など体内で起こる化学反応には酵素と呼ばれるたんぱく質が触媒として必要になります。酵素のなかにはそれ単体で作用できず、補酵素という別の物質を必要とするものがあります。

ビタミンBは、食事からの摂取が長期的に不足した場合や、糖質の多い食品やアルコールを多量に摂取した場合に不足することがあります。

ビタミンB1の代表的な欠乏症として「脚気(かっけ)」があります

脚気の症状には食欲不振や倦怠(けんたい)感、手足のむくみやしびれがあり、悪化すると動悸(どうき)や息切れなどの症状もみられます。

ビタミンB1の1日当たりの摂取推奨量は男性では、18~49歳で1.4mg、50~74歳で1.3mg、75歳以上で1.2mgです[9]。

また、女性では18~74歳で1.1mg、75歳以上で0.9mgです[9]。

ビタミンB1をれんこんだけでなく、さまざまな食品から摂取することはもちろん、糖質やアルコールの量などの摂取量に気を付けることが大切ですね。

[8] 文部科学省 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」

[9] 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

ビタミンB1についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

ビタミンB1が豊富に含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説

2-4.ビタミンB6

れんこんには100g当たり0.09mgのビタミンB6が含まれています[10]。

ビタミンB6は水溶性ビタミンの一種でビタミンB群に含まれます。

ビタミンB6は体内でたんぱく質や脂質、炭水化物の代謝の補酵素として関わります

また一部の神経伝達物質を代謝する際の補酵素や、ホルモンの調節因子としてもはたらきます

ビタミンB6が不足すると湿疹や皮膚炎、口角炎、舌炎、免疫機能の低下などが生じる恐れがあります。

これらの症状は、食事からの摂取が不足している場合や、体内のビタミンB6を消費してしまう一部の降圧剤や抗リウマチ剤を服用している場合などに起こります。

また一般的に水溶性ビタミンは摂り過ぎても尿中に排泄されるため体への悪影響が少ないとされていますが、ビタミンB6は過剰摂取すると体に悪影響を及ぼすことが分かっています。

具体的には感覚神経の障害や骨の痛み、筋力の低下、精巣の萎縮、精子数の減少などが起こります

しかし、通常の食生活で過剰摂取による健康障害が出現したという報告はありません。

ビタミンB6の1日当たりの摂取推奨量は、18歳以上の男性で1.4mg、同じく女性で1.1mgです[11]。

ビタミンB6不足が単独で不足することは稀で、他のビタミン不足と同時に起こりやすいといわれているため、さまざまな食品をバランス良く摂取することを心掛けましょう。

ビタミンB6についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

ビタミンB6を豊富に含む食べ物は?効果や食事摂取基準も解説

[10] 文部科学省 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」

[11] 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-5.パントテン酸

れんこんには100g当たり0.89mgのパントテン酸が含まれています[12]。

パントテン酸は水溶性ビタミンの一種で、ビタミンB群に含まれます。

パントテン酸は補酵素の構成成分として体内で重要なはたらきをしている栄養素です。

特に脂質の代謝やエネルギーを生み出すはたらきに深く関わっています

不足すると、手足のしびれや頭痛、疲労の他、成長の停止や副腎の障害といった症状が起こるといわれています。

メモ
副腎は血圧や血糖、水分量、塩分量などを調節するホルモンをつくる臓器です。

パントテン酸の1日当たりの摂取目安量は、男性では18~49歳で5mg、50歳以上で6mgです。

また、女性では18歳以上で5mgです [13]。

ただし、パントテン酸はさまざまな食品に含まれているため不足することはまずありません 。

通常の食事をしている人であれば不足の心配はありません。

[12] 文部科学省 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」

[13] 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-6.ビタミンC

れんこんには100g当たり48mgのビタミンCが含まれています[14]。

ビタミンCは水溶性ビタミンの一種で、皮膚や腱、軟骨などを構成するたんぱく質「コラーゲン」を作るために必須の栄養素です。

コラーゲンには肌や骨、血管などの全身の細胞をつなげる役割があります。

また、ビタミンCは抗酸化物質としてはたらいたり、消化管では鉄の吸収を高めたりします

ビタミンCが不足すると倦怠感や疲労感、気力低下などの症状が現れます。

長期的に不足すると、歯ぐき(歯茎)や皮膚の出血、貧血、筋肉の減少、心臓障害、呼吸困難などの症状がみられる「壊血病」を引き起こします

ビタミンCの1日当たりの摂取推奨量は18歳以上の男性、女性共に100mgです[15]。

ビタミンCについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

ビタミンCの美容・健康効果は?目標摂取量と豊富に含まれている食品

[14] 文部科学省 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」

[15] 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-7.カリウム

れんこんには100g当たり440mgのカリウムが含まれています[16]。

カリウムはヒトの体に必要なミネラルの一種です。

体内では多くが細胞内液に存在し、浸透圧の調整を行っています

他に神経の興奮や筋肉の収縮に関わったり、体液の酸性とアルカリ性のバランスを保ったりしています。

またカリウムにはナトリウムの排せつを促し、血圧を下げる効果があることも知られています。

ナトリウムとはル
ヒトの体に必要なミネラルの一種で、体内では多くが細胞外液に含まれ、その浸透圧を調節しています。主に食塩(塩化ナトリウム)の形で摂取され、摂り過ぎるとむくみや口の渇きを招く他、高血圧や胃がんなどのリスクを高めるといわれています。

日本人はナトリウムの摂取過多を原因とする高血圧患者が多いため、積極的にカリウムを摂取すべきだと考えられています。

カリウムの1日当たりの摂取目標量は18歳以上の男性で3,000mg以上、同じく女性で2,600mg以上です[17]。

カリウムはれんこんだけでなくその他の野菜や果物などにも多く含まれているため、さまざまな食品から摂取しましょう。

ただし腎機能が低下している方はカリウムの排出量が低下し、血中のカリウム濃度が上昇してしまうためカリウムの摂取制限を行わなくてはならない場合があります。

腎臓に持病のある方は主治医の指示に従うようにしましょう

カリウムについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

カリウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を紹介

[16] 文部科学省 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」

[17] 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-8.鉄

れんこんには100g当たり0.5mgの鉄が含まれています[18]。

鉄はヒトの体にとって重要なミネラルの一種で、約70%は赤血球中の「ヘモグロビン」や筋肉中の「ミオグロビン」に存在しています[19]。

ヘモグロビンとは
赤血球中に含まれる赤色のたんぱく質のことです。鉄(ヘム)とたんぱく質(グロビン)が結びついた状態で存在しています。血液が赤色をしているのは、鉄が赤色の色素を持っているためです。ヘモグロビンは酸素の運搬を行ったり、細胞の呼吸に関わったりと重要なはたらきをしています。
ミオグロビンとは
主に心筋や骨格筋に存在する鉄と結合したたんぱく質のことです。赤血球中のヘモグロビンにより運ばれてきた酸素を筋肉組織で受け取り、筋肉組織の中で酸素を運搬したり、貯蔵したり、エネルギーを産生するときに供給したりするはたらきがあります。

鉄が不足した場合、ヘモグロビンがつくれなくなり、体の各器官に十分な酸素を供給することができなくなってしまいます。

この状態を「鉄欠乏性貧血」といい、集中力の低下や頭痛、疲労感、筋力の低下、動悸、息切れなどの症状が見られます

食品中の鉄には、肉や魚に含まれる「ヘム鉄」と、野菜などに含まれる「非ヘム鉄」があります。

日本人は植物性食品から非ヘム鉄を多く摂取していますが、非ヘム鉄はヘム鉄よりも吸収率が低いことが分かっています。

非ヘム鉄の吸収率は動物性たんぱく質やビタミンCと併せて摂取することで上げられるため、食べ合わせを工夫すると良いでしょう。

鉄の1日当たりの摂取推奨量は、男性では18~74歳で7.5mg、75歳以上で7.0mgです[20]。

また、女性の場合月経の有無で摂取推奨量が変わり、月経がある場合は18〜49歳で10.5mg、50〜64歳で11.0mgです[20]。

月経のない場合は18〜64歳で6.5mg、65歳以上で6.0mgです[20]。

鉄の欠乏を予防するために、れんこんと動物性食品を併せたメニューを取り入れてみてはいかがでしょう。

鉄についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

鉄分が多く含まれる食べ物と効果的な摂り方は?貧血気味の方必見!

[18] 文部科学省 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」

[19] 厚生労働省e-ヘルスネット 「鉄」

[20] 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

2-9.銅

れんこんには100g当たり0.09mgの銅が含まれています[21]。

銅は成人の体に約80~100mg存在し、その約65%が筋肉や骨に、約10%は肝臓にあります[22]。

銅はたんぱく質と結合し体内で起こるさまざまな反応に触媒として関わっています。

銅が関与する代表的なはたらきには、エネルギーの生成や神経伝達物質の産生、活性酸素の除去などがあります

また銅は鉄と共に血をつくるはたらきにも関わっています。

銅の1日当たりの摂取推奨量は、男性では18~74歳で0.9mg、75歳以上で0.8mgです[22]。

女性では、18歳以上で0.7mgです[22]。

先天的な吸収不全のある方や、外科手術後で高カロリーの輸液や経腸栄養剤を使用している方は、欠乏する恐れがあります。

不足すると、貧血、白血球の減少、骨髄神経系の異常などを引き起こす恐れがあります。

ただし、通常の生活で銅が欠乏することはほとんどないといわれています。

特殊な状況下にない場合は銅不足の心配はしなくても良いでしょう。

[21] 文部科学省 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」

[22] 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

3.れんこんに含まれる栄養素とそのはたらき

れんこんにはナイアシン、葉酸、ビオチン、マグネシウム、亜鉛などの栄養素も含まれています

【れんこんに含まれる栄養素とその含有量(100g当たり)】

栄養素 含有量
ナイアシン 0.7mg
葉酸 14μg
ビオチン 2.9μg
マグネシウム 16mg
亜鉛 0.3mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

ここでは、それぞれの栄養素とそのはたらきについてご説明します。

メモ
この章でご紹介する栄養素は食品表示基準に基づき、100kcal当たりの含有量が「含まれている」と表現できるものです。ただしれんこん100kcalは151gに相当するため、れんこんからこれら全ての栄養素を十分に摂取することは難しいと考えられます。

3-1.ナイアシン

れんこんには100gあたり0.7mgのナイアシンが含まれています[23]。

ナイアシンは水溶性ビタミンB群の一種です。

ナイアシンは食品から摂取する他に、体内で必須アミノ酸の「トリプトファン」から合成できます。

このため食品に含まれるナイアシンの量や食事摂取基準は、食品に含まれるナイアシンの量にトリプトファンから体内で合成されるナイアシンの量を合わせた「ナイアシン当量(mg NE)」で表されます。

メモ
アミノ酸とは、たんぱく質を構成する20種類の物質です[24]。食事から摂取する必要がある9種類の必須アミノ酸と体内で合成可能な11種類の非必須アミノ酸に分けられます[24]。

ナイアシンは体内で、エネルギーを生み出すための酸化還元反応の補酵素としてはたらく他、脂肪の構成要素である脂肪酸やステロイドホルモンの合成に関わっています

ステロイドホルモンとは
脂質の一種である「コレステロール」を原料とする「ステロイド」と呼ばれる物質をベースとし、副腎皮質や生殖腺などで合成されるホルモンの総称です。「コルチゾール」などの「副次皮質ホルモン」と、「テストステロン」「プロゲステロン」などの「性ホルモン」が該当します。

またナイアシンはビタミンCやビタミンEを介し活性酸素に対抗するはたらきにも関与します。

ナイアシンの1日当たりの摂取推奨量は、男性では18~49歳で15mgNE、50~74歳で14mgNE、75歳以上で13mgNEです[24]。

女性では、18~29歳および50~74歳で11mgNE、30~49歳で12mgNE、75歳以上10mgNEです[24]。

ナイアシンが深刻に欠乏すると皮膚炎や下痢、精神神経症状などの症状がある「ペラグラ」を引き起こす恐れがあります

治療しないと死に至る恐れもある疾患ですが、ペラグラ患者は日本ではごくわずかです。

れんこんなどから適宜摂取するよう心掛けましょう。

[23] 文部科学省 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」

[24] 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

3-2.葉酸

れんこんには100g当たり14μgの葉酸が含まれています[25]。

葉酸は水溶性ビタミンの一種で、ビタミンB群に含まれます。

体内ではDNAとRNAの合成やアミノ酸の代謝、たんぱく質の合成に関与しており、細胞の増殖に特に深く関わっています

葉酸の不足による不調は、食事から摂取する量が少ない場合や腸からの吸収が良くない場合に生じます。

葉酸が不足すると細胞分裂ができなくなり血をつくる機能に異常を来すことから巨赤芽球性貧血を引き起こす恐れがあります。

巨赤芽球性貧血とは
葉酸またはビタミンB12が不足することによって起こる貧血の一種で、新たに血液をつくることができなくなる病気です。多くはビタミンB12不足によって起こりますが、葉酸不足による巨赤芽球性貧血はアルコール依存症や消化器疾患による消化不良のある方、特定の薬剤を服用している方に多いといわれています。赤芽球性貧血では動悸や息切れ、疲労感の他、消化器系の以上もみられます。

この他、中高齢者においてビタミンB6やビタミンB12とともに葉酸が不足すると、動脈硬化の危険因子である血液中の「ホモシステイン」が増加し、心疾患や脳卒中のリスクが高まります

動脈硬化とは
心臓から全身の器官に血液を送る血管「動脈」の壁が本来のしなやかさを失い、厚く硬くなった状態のことです。血管が狭まったり詰まったりしやすくなるため、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの原因となります。

また、妊娠を計画している女性や妊婦が十分な葉酸を摂取していないと胎児の神経管閉鎖障害という先天性の異常を引き起こす恐れがあります。

メモ
神経管閉鎖障害とは脳や脊髄のもととなる「神経管」が正常に形成されない障害です。運動や排せつに障害が起こる場合や、脳が十分に形成されず死に至る場合などがあります。

葉酸の1日当たりの摂取推奨量は18歳以上の男性、女性共に240μgです[26]。

妊娠を計画している女性や妊娠の可能性がある女性および妊娠初期の妊婦は、400μgの葉酸をサプリメントなどから摂取することが望ましいとされています[26]。

葉酸についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

葉酸が多く含まれている食べ物とは?効果や摂取基準もあわせて解説

[25] 文部科学省 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」

[26] 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

3-3.ビオチン

れんこんには100g当たり2.9μgのビオチンが含まれています[27]。

ビオチンは、体内で補酵素として糖質やアミノ酸の代謝、脂肪酸の合成、エネルギー代謝などに関わっています

皮膚や粘膜、爪や髪の健康維持に必須のビタミンです。

不足すると、皮膚炎や脱毛、食欲不振、うつ症状などが起こるといわれています

ビオチンの1日当たりの摂取目安量は18歳以上の男性、女性共に50μgです[28]。

ビオチンはさまざまな食品に含まれているため、通常の食事をしていれば欠乏の心配はないでしょう。

[27] 文部科学省 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」

[28] 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

3-4.マグネシウム

れんこんには100g当たり16mgのマグネシウムが含まれています[29]。

マグネシウムはさまざまな代謝反応に必須のミネラルで、体内の300種類以上の酵素反応の補酵素としてはたらいています[30]。

カルシウムやリンといった他のミネラルと共に骨を形成する他、筋肉や神経の機能、血糖値や血圧の調整に関わっています

また、たんぱく質やDNAの合成にも関与しており、重要なはたらきを担うミネラルです。

マグネシウム不足による不調は、食事などからの摂取が十分でないときや、吸収不良のとき、排せつ量が増えたときなどに起こります。

長期に不足すると、骨粗しょう症、筋肉の収縮異常、不整脈、心臓や神経の病気、精神疾患などを引き起こす恐れがあります。

マグネシウムの1日当たりの摂取推奨量は、男性では、18~29歳で340mg、30~64歳で370mg、65~74歳で350mg、75歳以上で320mgです[31]。

女性では、18~29歳で270mg、30~64歳で290mg、65~74歳で280mg、75歳以上で260mgです[31]。

ただし、通常の食事をしている健康な方であれば不足することはほとんどありません。

れんこんには健康維持に大切なマグネシウムも含まれているのはうれしいポイントですね。

[29] 文部科学省 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」

[30] 厚生労働省 e-ヘルスネット 「マグネシウム」

[31] 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

3-5.亜鉛

れんこんには100g当たり0.3mgの亜鉛が含まれています[32]。

体内の亜鉛は多くがたんぱく質などと結合し、さまざまな酵素を構成したり、酵素反応を活性化させたりしています。

またホルモンの合成や分泌、免疫機能の調節、DNAやたんぱく質の合成にも関わっています。

不足すると、成人の場合は味覚障害、皮膚炎、食欲不振など、小児の場合は、成長障害や性腺の発育障害などが生じる恐れがあります。

亜鉛の1日当たりの摂取推奨量は、男性では、18~74歳で11mg、75歳以上で10mgです。

女性では、18歳以上で8mgです[33]。

日本人は高齢者を中心に亜鉛不足の状態にあるとされています。

実際に複数の疫学調査の論文において、日本人の 20-30%が亜鉛欠乏の状況にあると報告されています[34]。

亜鉛が含まれる食品を、意識して食事に取り入れることで、亜鉛不足にならないようにしましょう。

亜鉛はれんこんだけでなく肉、魚介類、ナッツ類、穀類など多くの食品にも含まれているため、バランス良くさまざまな食品から摂取することを心掛けましょう。

亜鉛についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

亜鉛に期待できる効果とは?摂取目安量やおすすめの食品を紹介!

[32] 文部科学省 「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023年」

[33] 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

[34] 神戸 大朋 「亜鉛トランスポーターの解析から亜鉛の生理機能を探る」(日本栄養・食糧学会誌 第 76 巻 第 4 号 207‒216(2023))

4.れんこんをおいしく食べるためのポイント

これから旬を迎えるれんこんをせっかくならおいしく食べたいですよね。

ここでは、れんこんをおいしく食べる際のポイントをご紹介しましょう。

ポイント1 断面が白く重みのあるものを選ぶ

カットしたれんこん

れんこんは表面に傷や色むらがなく、ふっくらとして重みのあるものが良いでしょう。

カットされたれんこんは、断面が白く、穴のサイズがそろっており、穴の中が黒ずんでないものが良品であるといわれています。

しっかり確認して選びましょう。

ポイント2 水にさらし過ぎず煮汁も一緒に食べる

れんこんの煮物

れんこんにはビタミンCやカリウムなど水に溶けやすい栄養素が含まれています。

そのため、水にはあまり長時間さらさない方が良いでしょう。

スープなどの煮汁も一緒に食べられる料理にすると、流れ出た栄養素も摂取することができるので、ご家庭で工夫して調理をしてみるのはいかがでしょうか。

ポイント3 ラップに包み冷蔵庫で保存する

ラップ

カットされたれんこんは、ラップでしっかり包み、野菜室に保存しましょう。

土や節がついているものは、濡らしたキッチンペーパーなどに包んでビニール袋に入れて野菜室で保存すると長持ちします。

変色を防ぎたい場合は、酢水(酢を少し加えた水)につける方法がありますが、ビタミンCなどの栄養素が流れ出てしまうため、なるべく早く食べるようにしましょう。

5.れんこんに含まれる栄養素についてのまとめ

れんこんの100g当たりのカロリーは66kcalで、他の野菜と比べると少し高めです[35]。

しかし、れんこんには健康維持に必要な食物繊維、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB6、パントテン酸、ビタミンC、カリウム、鉄、銅が豊富に含まれています

その他、れんこんには葉酸、ビオチン、ナイアシン、マグネシウム、亜鉛なども含まれているため、栄養価の高い野菜といえるでしょう。

ふっくらとして重みがあり、断面や穴の中に黒ずみや変色がないものを選ぶと良いでしょう。

れんこんは水溶性ビタミンを多く含んでいるため、あまり長い時間水にさらさないよう意識しましょう。

またスープなどにすれば、煮汁に溶け出した栄養素も摂取することできます。

豊富な栄養素を含むれんこんをぜひ食卓に取り入れ、健康維持に役立ててくださいね。

[35] 文部科学省 「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

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