PFCバランスとは?たんぱく質・脂質・炭水化物の理想的なバランス

2024年10月22日

2024年11月11日

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「PFCバランスって何だろう?」

「適切なPFCバランスを知りたい」

と疑問を持っている方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

PFCバランスとは「エネルギー産生栄養素」であるたんぱく質、脂質、炭水化物のバランスのことです。

健康的な食生活を送るにはこれらの栄養素をバランス良く摂ることが重要です。

この記事ではPFCバランスについて詳しくご説明し、適切な栄養素の摂取比率や量の計算方法についても解説します。

各栄養素の摂取源となる食品もご紹介するので、健康的な食生活を送りたいと考えている方はぜひ参考にしてみてくださいね。

1.PFCバランスとは?

「そもそもPFCバランスって何なの?」

このように思っている方も多くいらっしゃるかもしれません。

PFCバランスとは「エネルギー産生栄養素」の「たんぱく質(Protein)」「脂質(Fat)」「炭水化物(Carbohydrate)」から摂取するエネルギー量の比率(%エネルギー)のことで、それぞれの英語の頭文字を取って名付けられました。

PFCバランスを意識することでエネルギー産生栄養素やその構成成分の各種栄養素の摂取不足を回避することにつながります

さらに、生活習慣病の発症・重症化を防ぐことも期待できます。

なお「日本人の食事摂取基準(2015年版)」からはPFCバランスは「エネルギー産生栄養素バランス」という呼称に変更されています。

【関連情報】 「栄養バランスの取れた食事とは?主食・主菜・副菜のポイントを紹介」についての記事はこちら

2.エネルギー産生栄養素のはたらき

「エネルギー産生栄養素にはそれぞれどんなはたらきがあるのか知りたい」

このように思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここからはPFCバランスを構成するたんぱく質、脂質、炭水化物のそれぞれが持つはたらきを見ていきましょう。

2-1.たんぱく質のはたらき

お皿に乗った油揚げ

たんぱく質は筋肉や臓器、皮ふ、毛髪、神経などの体構成成分、ホルモンや酵素、免疫物質などの体調節機能成分として重要な栄養素です。

たんぱく質は20種のアミノ酸によって構成されています[1]。

その内訳はヒトが体内で合成できない9種類の「必須アミノ酸」と糖質や脂質から合成できる11種類の「非必須アミノ酸」です[1]。

このうち一つでも欠けるとたんぱく質は合成できなくなってしまうのです。

特に必須アミノ酸は体内で合成できないため食事から摂取する必要があります。

食事の際は必須アミノ酸をバランス良く含む「良質なたんぱく質」と呼ばれる食品を積極的に摂取するようにしましょう

良質なたんぱく質には卵類・肉類・豆類などが該当します。

たんぱく質を含む食品については後ほど紹介しますね。

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「アミノ酸

2-2.脂質のはたらき

オイルを木のスプーンですくっているところ  

脂質は水に溶けない生体成分のことで、人によっては体内に水分の次に多く含まれているとされています。 

メモ
身体組成によっては筋肉や臓器、肌、髪の毛などの材料となるたんぱく質の方が多い場合もあります。

脂質はエネルギー産生栄養素のなかでも特に効率の良いエネルギー源です。

たんぱく質や糖質のエネルギーは1g当たり4kcalですが、脂質はその2倍以上の1g当たり9kcalのエネルギ―を持っています[2]。

またエネルギー源としての役割の他にも、細胞膜や角膜を構成したり、体の機能や生理作用を一定に保ったりするはたらきがあります。

さらに脂溶性ビタミンの吸収を促す作用もあり、脂質はさまざまなはたらきを担っています。

脂質は不足するとホルモンバランスの乱れやエネルギー不足、体力低下などの症状を引き起こす恐れがあります。

ただし、現代の食生活では脂質の摂取不足は起こりにくいと考えられます。

一方で、過剰に摂取し余ってしまうと中性脂肪として体内に蓄えられ肥満を引き起こします

その結果、生活習慣病のリスクを高めてしまいかねません

重要なはたらきがある脂質ですが、摂取量には注意しましょう。

[2] 国立研究開発法人国立循環器病研究センター「栄養に関する基礎知識」                     

2-3.炭水化物のはたらき

炊いたご飯と稲

炭水化物は糖質と食物繊維に分けられます

炭水化物から摂取できるエネルギーのほとんどは糖質に由来するものであり、食物繊維から得られるエネルギーはごくわずかです。

糖質には、ブドウ糖のみをエネルギー源とする脳や神経、赤血球などの組織にブドウ糖を供給するはたらきがあります

糖質が不足すると疲労感や集中力の低下が見られ、そのなかでも脳や神経でブドウ糖が不足すると意識障害を引き起こす恐れがあります

また糖質が不足するとエネルギー不足になり、体内ではたんぱく質を分解してエネルギーに変えます。

筋肉はたんぱく質で構成されているため、同時に筋肉も分解され筋肉量が減ってしまいます。

一方で、糖質を過剰に摂取しエネルギーとして使い切れなかった場合は、中性脂肪として蓄積され肥満や生活習慣病の原因となります。

3.理想的なPFCバランスと計算方法

「理想的なPFCバランスはそれぞれどんな感じなのかな?」

「PFCの計算方法について知りたい」

健康のために理想的なPFCバランスや計算方法を知りたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここからは年齢別の理想的なPFCバランスと、それに基づいたたんぱく質・脂質・炭水化物の摂取カロリーや摂取量の求め方について紹介します。

ここからは理想的なPFCバランスを年齢別にご紹介します。

たんぱく質、脂質、糖質から摂取するエネルギー量の比率や摂取量の求め方についても解説するので、参考にしてくださいね。

3-1.理想的なPFCバランス

理想的なPFCバランスは以下のとおりです。

【エネルギー産生栄養素バランス(%エネルギー)】
たんぱく質 脂質 炭水化物
1~2歳
13~20
20~30
50~65
3~5歳
13~20
20~30
50~65
6~7歳
13~20
20~30
50~65
8~9歳
13~20
20~30
50~65
10~11歳
13~20
20~30
50~65
12~14歳
13~20
20~30
50~65
15~17歳
13~20
20~30
50~65
18~29歳
13~20
20~30
50~65
30~49歳
13~20
20~30
50~65
50~64歳
14~20
20~30
50~65
65~74歳
15~20
20~30
50~65
75歳以上
15~20
20~30
50~65

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

理想的なPFCバランス

脂質のなかでも乳製品や肉などの動物性脂肪やパーム油などの植物性油脂に多く含まれる「飽和脂肪酸」は男女ともに3~14歳までは10%エネルギー以下、15~17歳は8%エネルギー以下、18歳以上は7%エネルギー以下に抑えることが望ましいとされています[3]。

また妊娠している方は妊娠期によって理想とされるエネルギー産生栄養素バランスが異なります。

妊婦と授乳婦のエネルギー産生栄養素バランスは以下のとおりです。

【妊婦・授乳婦のエネルギー産生栄養素バランス(%エネルギー)】
たんぱく質 脂質 炭水化物
妊娠 初期
13~20
20~30
50~65
妊娠 中期
13~20
20~30
50~65
妊娠 後期
15~20
20~30
50~65
授乳婦
15~20
20~30
50~65

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

[3] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

3-2.PFCバランスの計算方法

理想的な食事をするためには、1日に摂取すべきエネルギー量からたんぱく質・脂質・炭水化物の摂取量を求める必要があります

身体活動レベルが「普通」の18~29歳の女性を例にそれぞれの栄養素の摂取量を求めてみましょう[4]。

身体活動レベルとは
日常生活や運動などの活動量に応じて三つの段階に分けられる指標のことです。1日のうちほとんどを座って過ごしている人は「低い」に、デスクワーク中心の生活だが軽い運動や散歩をする人は「普通」に、立ち仕事が多い人や活発な運動習慣がある人は「高い」に該当します。

18~29歳の女性の理想的なエネルギー産生栄養素バランスは、たんぱく質が13~20%エネルギー・脂質が20~30%エネルギー・炭水化物が50~65%エネルギーとなります[4]。

身体活動レベルが「普通」の18~29歳の女性の1日に必要な総エネルギー量である「推定エネルギー必要量」は2,000kcalであるため、たんぱく質からは260~400kcal、脂質からは400〜600kcal、炭水化物からは1,000〜1,300kcalをそれぞれ摂取するのが望ましいことが分かります[4]。

そして各エネルギー産生栄養素の1g当たりのカロリーはたんぱく質が4kcal、脂質が9kcal、炭水化物が4kcalであるため、たんぱく質は65~100g、脂質は44~67g、炭水化物は250~325g程度が1日の摂取量の目安となります[4]。

飽和脂肪酸は7%エネルギー以下に抑える必要があるため、飽和脂肪酸からは1日140kcal以下に抑える必要があり、グラムに換算すると16g以下となります[4]。

自分にとって理想のエネルギー産生栄養素バランスと各栄養素の摂取量の目安を把握することができれば、無理なく効果的なダイエットや健康を維持することができます

[4] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

4.エネルギー産生栄養素の摂取源となる食品

「エネルギー産生栄養素をバランス良く摂るには何を食べたら良いのかな?」

このような疑問を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここからはたんぱく質・脂質・炭水化物の摂取源となる食品を紹介します。

4-1.たんぱく質を含む食品

生のささみ

肉類、魚介類、卵類、乳製品、豆類には多くのたんぱく質が含まれます

たんぱく質を含む代表的な食品は以下のとおりです。

【食品100g当たりのたんぱく質含有量(g)】
食品名 加工状態 含有量
まぐろ
26.4
かつお(春獲り)
25.8
くじら赤肉
24.1
ささみ
23.9
鶏むね肉(皮なし)
23.3
豚ロース肉
22.7
豚ヒレ肉
22.2
牛サーロイン
22.0
パルメザンチーズ
-
44.0
チェダーチーズ
-
25.7
油揚げ
23.4
納豆
-
16.5
卵黄
16.5
うずら卵
12.6

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

これらは豆類をはじめとする植物性たんぱく質と肉類、魚介類などの動物性たんぱく質に分けることができます。

それぞれのたんぱく質が異なる機能を持っているため、バランス良く組み合わせてたんぱく質を摂取しましょう

4-2.脂質を含む食品

まな板の上の豚バラ肉

脂質は油脂類や種実類、肉類、魚介類などに含まれています。

脂質を含む代表的な食品は以下のとおりです。

【食品100g当たりの脂質含有量(g)】
食品名 加工状態 含有量
マーガリン
-
84.3
無塩バター
-
83.0
有塩バター
-
81.0
マカダミアナッツ
いり・味つけ
76.7
アーモンド
フライ・味つけ
55.7
牛リブロース(脂身つき)
51.8
牛ばら肉(脂身つき)
44.4
豚ばら肉(脂身つき)
35.4
みなみまぐろ(脂身)
28.3
くろまぐろ(脂身)
27.5
さんま(皮つき)
25.6

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

脂質はヒトの体を構成する細胞膜の主要な成分であり主要なエネルギー源でもありますが、摂り過ぎれば肥満や生活習慣病を引き起こす恐れがあります

また脂質と一口にいっても「飽和脂肪酸」や「一価不飽和脂肪酸」「n-6系脂肪酸」「n-3系脂肪酸」などの種類があり、それぞれに摂取量の基準が設定されています。

脂質を摂取する際は摂取量だけでなく、脂質の種類にも気をつける必要があります。

脂質の種類については以下の記事で詳しく解説しています。

脂質の摂りすぎによる悪影響とは?摂取の目標量や悪影響を防ぐコツ

4-3.炭水化物を含む食品

小麦と茹でる前のスパゲッティ

炭水化物はこめや麺類、パンなどの穀類、さつまいもやじゃがいもなどのいもおよびでん粉類などに多く含まれています。

炭水化物を含む代表的な食品は以下のとおりです。

【食品100g当たりの炭水化物含有量(g)】
食品名 加工状態 含有量
コーンフレーク
-
83.6
こめ(精白米・うるち米)
-
77.6
マカロニ・スパゲティ
73.1
そうめん・ひやむぎ
72.7
オートミール
-
69.1
フランスパン
-
57.5
うどん
56.8
さつまいも(皮つき)
33.1
じゃがいも(皮つき)
15.9

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

この他にも果物や砂糖および甘味類などにも炭水化物は含まれていますが、甘いものは血糖値を急上昇させる恐れがあるため、穀類やいもおよびでん粉類から炭水化物を摂取しましょう。

5.PFCバランスについてのまとめ

PFCバランスとはヒトのエネルギー源であるたんぱく質、脂質、糖質から摂取するエネルギー量の比率のことです。

現在ではPFCバランスはエネルギー産生栄養素バランスという呼称が一般的となっています。

エネルギー産生栄養素バランスを意識した食生活を送ることで、各生栄養素の過不足を回避したり、生活習慣病の発症・重症化を予防したりすることにつながります。

理想的とされるエネルギー産生栄養素バランスは、たんぱく質が1歳から49歳で13~20%エネルギー、50〜64歳で14〜20%エネルギー、65歳以上で15〜20%エネルギーです[5]。

また脂質は全年代で20~30%エネルギー、炭水化物は全年代で50~65%エネルギーです[5]。

エネルギー産生栄養素バランスが整った理想的な食事をするには、1日に摂取すべきエネルギー量からそれぞれの栄養素の摂取量を求める必要があります。

1日の推定エネルギー必要量は個人の身体活動レベルや性別、年齢によって異なります。

自分に必要な栄養素の摂取量を正確に求めるためにも、自分の推定エネルギー必要量がどれくらいなのかを把握しておきましょう

[5] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)

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