「スイカにはどんな栄養素が含まれているんだろう?」
「スイカを食べるとどんな効果が期待できるのかな?」
スイカは夏の果物であると知られていますが、栄養素についてはよく分からない方もいらっしゃるでしょう。
スイカにはビタミンB群やビタミンCなどのビタミン、カリウムや鉄などのミネラルが含まれています。
この記事ではスイカに含まれる栄養素とその効果について紹介します。
また、スイカをおいしく食べるためのポイントも解説します。
おいしいスイカから栄養素をしっかり摂取するための参考にしてくださいね。
1.スイカの基礎知識
スイカは日本人にとって身近な果物ですが、その特徴やカロリーについて詳しく知らないという方もいらっしゃるかもしれませんね。
この章ではスイカの基礎知識やカロリーについてご紹介します。
【スイカに含まれる主な栄養素とその含有量(可食部100g当たり)】
栄養素 | 含有量 |
---|---|
ビタミンA | 69μg |
ビタミンB1 | 0.03mg |
ビタミンB6 | 0.07mg |
ナイアシン | 0.3mg |
パントテン酸 | 0.22mg |
ビタミンC | 10mg |
カリウム | 120mg |
マグネシウム | 11mg |
鉄 | 0.2mg |
銅 | 0.03mg |
シトルリン | - |
1-1.スイカとは
スイカはウリ科スイカ属に属する果物です。
スイカの旬は夏で、4〜6月は熊本県、6〜7月は鳥取県、6〜8月は長野県、7〜8月は東北や北海道の出荷量が多くなります[1]。
出荷量は熊本県、千葉県、山形県で多く、全国の出荷量の4割を占めています[1]。
日本で最も知られているのが「大玉スイカ」で、その他には「小玉スイカ」や「種なしスイカ」などが栽培されています。
スイカは大玉、小玉、正円形などの形や大きさと、黒しまのある緑色、黒色、黄色といった皮の色で分けられます。
さらに果肉の色で赤色、黄色、オレンジ色にも分けられるため、品種が豊富といえます。
いろいろなスイカを楽しめそうですね。
1-2.スイカのカロリー
スイカのカロリーは100g当たり41kcalです[2]。
この数値だけではカロリーが高いかどうか分かりませんよね。
そこで代表的な他の果物のカロリーと比較してみましょう。
【代表的な果物の可食部100g当たりのカロリー】
食品名 | 加工状態など | カロリー |
---|---|---|
スイカ | 生 | 41kcal |
バナナ | 生 | 93kcal |
マンゴー | 生 | 68kcal |
さくらんぼ | 生 | 64kcal |
キウイフルーツ(緑) | 生 | 63kcal |
ぶどう(皮なし) | 生 | 58kcal |
パインアップル | 生 | 54kcal |
りんご(皮なし) | 生 | 53kcal |
いちご | 生 | 31kcal |
スイカは他の果物に比べるとカロリーが低めです。
「果物は甘いから、スイカを食べたら太るんじゃないの?」
このように考える方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、スイカを食べ過ぎて摂取エネルギーが多くなると肥満につながる可能性もあるといえます。
しかし食事全体の量が変わらなければ、スイカをたくさん食べても肥満になることはありません。
主食を多く摂りスイカも多く食べるとなると摂取カロリーが増え太ってしまうリスクがあるので、スイカを多く食べた場合はその他の食べ物から摂取するカロリーを調整すれば良いということですね。
2.スイカに含まれる栄養素
「スイカにはどんな栄養素が含まれているのかな?」
このように気になる方もいらっしゃるでしょう。
スイカには皮膚の健康に欠かせないビタミンAやビタミンCをはじめさまざまな栄養素が含まれています。
ここでは、スイカに含まれる栄養素とそれぞれの栄養素のはたらきについて解説します。
この章ではそれぞれの栄養素の1日に摂取すべき量を簡単に紹介していますが、本来は年代別に設定されているものをまとめて記載しています。
詳しく知りたい方はそれぞれの章で紹介している別の記事や、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をご覧ください。
2-1.ビタミンA
スイカにはビタミンAが豊富に含まれています。
スイカ100g当たりのビタミンA含有量はレチノール活性当量で69μgです[3]。
ビタミンAは脂溶性ビタミンの一種であり、目の機能を正常に維持し皮膚や粘膜を健康に保つはたらきがあります。
そのため、不足すると夜盲症を引き起こしたり、皮膚や粘膜が乾燥したりします。
ビタミンAの1日当たりの摂取推奨量は18~64歳の男性で850~900μgRAE、同じく女性で650~700μgRAEです[4]。
令和元年の国民健康・栄養調査によると、日本人の平均摂取量は男女ともに摂取推奨量に達していません[5]。
スイカなどの食品からビタミンAを十分に補給し、不足しないように心掛けましょう。
ビタミンAの効果や摂取基準などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンAにはどんな効果がある?目標摂取量とおすすめの食品を紹介
2-2.ビタミンB1
スイカには「ビタミンB群」の一種であるビタミンB1も含まれており、100gあたりのビタミンB1含有量は0.03mgです[6]。
ビタミンB1は糖質からエネルギーをつくるのに欠かせない栄養素です。
そのため、不足すると糖質をエネルギー源としている脳や神経に悪影響を及ぼします。
ビタミンB1の1日当たりの摂取推奨量は18〜64歳の男性で1.3〜1.4mg、同じく女性で1.1mgです[7]。
食事で糖質を摂取するときは、ビタミンB1を含む食品を一緒に食べると良いでしょう。
ビタミンB1の摂取基準や多く含む食べ物などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB1が豊富に含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
2-3.ビタミンB6
スイカにはビタミンB6が豊富に含まれており、100g当たりの含有量は0.07mgです[8]。
ビタミンB6は主にたんぱく質の構成成分であるアミノ酸の「代謝」をサポートしています。
そのため、たんぱく質の摂取量が増加するとビタミンB6の必要量も増加します。
また、ビタミンB6は「免疫」機能の維持にも欠かせない栄養素といわれています。
ビタミンB6の1日当たりの摂取推奨量は成人男性で1.4mg、同じく成人女性で1.1mgです[9]。
ビタミンB6の摂取基準などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
2-4.ナイアシン
スイカにはナイアシンも含まれ、100g当たりの含有量はナイアシン当量で0.3mgです[10]。
ナイアシンはビタミンB群の一種で、動物性食品に存在する「ニコチンアミド」と植物性食品に存在する「ニコチン酸」があります。
エネルギーの産生、脂肪酸やステロイドホルモンの合成などさまざまな反応に関与しています。
不足すると皮膚炎や下痢などの症状がある「ペラグラ」という重篤な病気を引き起こす可能性がありますが、日本では発症することはほとんどないといわれています。
ナイアシンの1日当たりの摂取推奨量は18〜64歳の男性で14〜15mgNE、同じく女性で11〜12mgNEです[11]。
通常の食事では過剰摂取の恐れはありませんが、サプリメントなどを過剰摂取すると健康障害を引き起こす可能性があるため、厚生労働省では耐容上限量を設けています。
ナイアシンの摂取基準について詳しく知りたい方は厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をご覧ください。
2-5.パントテン酸
スイカにはビタミンB群の一種であるパントテン酸が多く含まれています。
スイカ100g当たりのパントテン酸含有量は0.22mgです[12]。
パントテン酸は糖質や脂質の代謝に深く関わっています。
そのため不足すると成長障害、手や足の痺れ、疲労、食欲不振、頭痛などを引き起こすことが知られています。
しかしパントテン酸はギリシャ語で「どこにでもある酸」という意味があるように、多くの食品に存在しているため不足することはほとんどありません。
パントテン酸の1日当たりの摂取目安量は18〜64歳の男性で5〜6mg、同じく女性で5mgです[13]。
パントテン酸の摂取基準について詳しく知りたい方は厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をご覧ください。
2-6.ビタミンC
スイカにはビタミンCも多く含まれており、100g当たりの含有量は10mgです[14]。
ビタミンCは水溶性ビタミンの一種で、皮膚や細胞などを構成するコラーゲンをつくるのに欠かせません。
また「抗酸化作用」を持つため、老化を予防したり免疫機能を維持したりする効果が期待できます。
ビタミンCが不足すると、血管が脆くなり出血しやすくなる他、疲労感や貧血などの症状のある「壊血病」を引き起こすこともあります。
ビタミンCの1日当たりの摂取推奨量は18歳以上の男女で100mgです[15]。
偏食などによる野菜や果物の摂取不足でビタミンCが不足する場合があるため、スイカなどの食品から十分に補給すると良いでしょう。
ビタミンCの効果や摂取基準などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンCの美容・健康効果は?目標摂取量と豊富に含まれている食品
2-7.カリウム
スイカにはカリウムというミネラルも豊富に含まれています。
スイカ100g当たりのカリウム含有量は120mgです[16]。
カリウムは細胞内液の「浸透圧」を一定に保つはたらきがある他、神経の伝達、筋肉の収縮、体液の酸性・アルカリ性のバランスの維持に関わっています。
さらに食塩の主成分であるナトリウムを体外に排出する作用があるため、高血圧の予防・改善に役立ちます。
不足すると食欲不振、精神障害、不整脈などの症状を引き起こすことがあります。
カリウムの1日当たりの摂取目安量は18歳以上の男性で2,500mg、同じく女性で2,000mgです[17]。
高血圧の予防や改善にも効果のあるカリウムをスイカなどの食品から補給していきたいですね。
カリウムの効果や多く含む食べ物などを詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
2-8.マグネシウム
スイカにはマグネシウムも豊富に含まれており、100g当たりの含有量は11mgです[18]。
マグネシウムはミネラルの一種で、骨や歯に存在しています。
体内のさまざまな代謝をサポートする他、筋肉の収縮や体温・血圧の調節にも関わっています。
マグネシウムが不足すると低マグネシウム血症になり、吐き気、眠気、脱力感、筋肉の痙攣(けいれん)、食欲不振などの症状を引き起こします。
また、長期にわたり不足すると「骨粗しょう症」や「虚血性心疾患」などのリスクを高める場合もあります。
マグネシウムの1日当たりの摂取推奨量は18〜64歳の男性で340〜370mg、同じく女性で270〜290mgです[19]。
スイカを食べることで、健やかな体づくりに欠かせないマグネシウムも補給できるのはうれしいですね。
マグネシウムのはたらきや摂取基準などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
マグネシウムを多く含む食べ物は?1日の摂取推奨量やはたらきを解説
2-9.鉄
100g当たりのスイカには0.2mgの鉄が含まれています[20]。
鉄は体に必要なミネラルの一種で、赤血球中の「ヘモグロビン」や筋肉中の「ミオグロビン」というたんぱく質の構成成分です。
体内に取り込まれた酸素を全身に運ぶはたらきがあります。
鉄が不足するとヘモグロビンの量が減り酸素が行き渡らず、息切れや集中力の低下などの症状がある鉄欠乏性貧血に陥る可能性があります。
また、ミオグロビンの量が減ると筋力低下や疲労感などの症状を引き起こします。
特に月経のある女性、妊娠中や授乳中の女性は鉄の必要量が増加するため、意識して摂りたいですね。
鉄の1日当たりの摂取推奨量は18〜64歳の男性で7.5mg、同じく女性は月経なしの場合で6.5mg、月経ありの場合で10.5〜11.0mgです[21]。
また妊娠中や授乳中の女性は鉄の需要が高まるため、妊娠初期および授乳期は2.5mg、妊娠中期と後期は9.5mgを推奨量に付加するように設定されています*21。
鉄はサプリメントなどで摂り過ぎてしまうと便秘や胃腸障害を引き起こす可能性があります。
できるだけスイカなどの食品から補給していきたいですね。
鉄を多く含む食べ物などを詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
鉄分が多く含まれる食べ物と効果的な摂り方は?貧血気味の方必見!
2-10.銅
スイカには銅も含まれており、100g当たりの含有量は0.03mgです[22]。
銅は体に必要なミネラルの一種で、主に筋肉や骨に存在しています。
たんぱく質と結合して、エネルギーの産生や鉄の代謝などにはたらく他、活性酸素の除去にも関わります。
通常の食生活を送っていれば、銅が不足したり過剰摂取したりすることはないといわれています。
しかしサプリメントを適切に摂取していない場合は過剰摂取になることがあるため、注意が必要です。
銅の1日当たりの摂取推奨量は18歳以上の男性で0.8~0.9mg、同じく女性で0.7mgです[23]。
銅の摂取基準を詳しく知りたい方は厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をご覧ください。
2-11.シトルリン
スイカにはシトルリンというアミノ酸も含まれています。
シトルリンはアミノ酸のなかでもたんぱく質を構成しない「遊離アミノ酸」の一種で、スイカなどのウリ科植物に多く含まれる栄養素です。
一酸化窒素(NO)という物質をつくり出すことで、さまざまな作用を発揮します。
シトルリンからつくり出された一酸化窒素(NO)は、血管をしなやかにしたり血管を拡張したりすることで血流を促進させます。
そのため、「動脈硬化」の緩和や運動パフォーマンスの向上などの効果が期待できるとされています。
スイカから血管の健康に役立つシトルリンが摂れるのはうれしいですね。
シトルリンのはたらきについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
3.スイカをおいしく食べるポイント
「スイカをおいしく食べるコツは何かな?」
せっかくスイカを食べるならおいしく食べる方法が知りたいですよね。
スイカは果肉の部分を食べるイメージがありますが、実は種や皮も食べることができます。
まず、果肉は冷やしてできるだけ早く食べることがおいしい食べ方とされます。
スイカは日数がたてばたつほど劣化してシャリっとした食感がなくなるため、買ってきたらすぐに冷やして早めに食べるのがおすすめです。
ただし冷やし過ぎると味が悪くなるため、10度くらいで保存するようにしましょう[24]。
一方で、種や皮は捨ててしまう方が多いかもしれません。
しかし種には「リノール酸」が含まれており、煎じて飲んだりフライパンなどでいってナッツのように食べたりすることができます。
また皮は漬物にするとおいしく食べられます。
こぶし大の小さいスイカを漬物用として、丸ごと漬物にして食べている地域もありますよ。
漬物にする際は、緑の硬い部分をむいて軽く干した状態で塩やぬかで軽く漬けると作りやすいとされます。
スイカはほとんど廃棄することなく食べられる果物なのですね。
4.スイカを選ぶポイント
「おいしいスイカってどんな特徴があるんだろう?」
このように気になっている方もいらっしゃるかもしれません。
おいしいスイカは皮につやがあり、しま模様がくっきりしていることが特徴です。
また、スイカを軽くたたくと弾むような音がするものが良いとされます。
スーパーや青果店で購入する際に参考にしてくださいね。
5.スイカの保存方法
スイカはすぐに食べるのがおいしいとされますが、場合によっては一度にスイカを食べきれないこともありますよね。
スイカおいしさをできるだけ長く保つためには、保存方法を工夫することが重要です。
丸ごとのスイカで保存する場合は、風通しの良い涼しい場所に保存するようにしましょう。
カットしたスイカは、水分が飛ばないようにラップで包んで冷蔵庫で保存するのがポイントです。
またスイカは冷凍させることも可能なため、一口サイズにカットして冷凍保存するのもおすすめですよ。
6.スイカの栄養と食べ方のコツについてのまとめ
スイカは夏が旬のウリ科の果物で、さまざまな品種があります。
皮膚の健康維持に役立つビタミンAやビタミンCなどのビタミン、血圧の調節に役立つカリウムなどのミネラルが多く含まれています。
さらにシトルリンというアミノ酸も含まれており、血流を改善する効果が期待できます。
スイカは収穫直後が一番おいしいため、できるだけ早く食べるようにしましょう。
また一般的にスイカは果肉を食べますが、調理することで種や皮も食べることができます。
選び方や保存方法のポイントを参考に、おいしいスイカから栄養素を十分に補給してくださいね。