シトルリンに期待できる効果は?摂取量や含まれる食べ物について解説

2022年10月20日

2024年11月11日

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「シトルリンってどんな効果があるの?」

このように、シトルリンがどんな成分なのか気になっているという方もいらっしゃるかもしれませんね。

私たちの体内にも存在しているアミノ酸の一種がシトルリンです。

シトルリンは、アミノ酸が分解される過程で発生する有毒物質「アンモニア」の解毒に関わっている成分です。

また、血管を広げて血流を促す作用が期待できることでも知られています。

この記事では、シトルリンに期待できる効果や適切な摂取量、含まれる食べ物などについて詳しく解説します。

1.シトルリンとは

シトルリンはアミノ酸の一種です。

アミノ酸はたんぱく質を構成する成分として知られていますが、シトルリンはたんぱく質の構成成分とならずに単体で体内に存在し、それぞれのはたらきを発揮している「遊離アミノ酸」の一つです。

メモ
人体のたんぱく質を構成している20種類のアミノ酸は、体内で作ることのできない9種類の「必須アミノ酸」と、体内で合成できる11種類の「非必須アミノ酸」に分類されます。[1]またたんぱく質を構成せずにバラバラに存在しているアミノ酸を「遊離アミノ酸」といいます。

また、シトルリンは肝臓内で有毒なアンモニアを無毒化する「尿素サイクル」に関わる成分でもあります。

尿素サイクルとは
食べ物から摂取するたんぱく質から体内で作られるアンモニアを、無毒な「尿素」に合成する経路のことです。

さらに、シトルリンが作り出す物質「一酸化窒素(NO)」には血管拡張作用があり、血流を促すことが期待されています

シトルリンは、体内でさまざまなはたらきを担うアミノ酸なのですね。

[1] 厚生労働省e-ヘルスネット 「アミノ酸」

【関連情報】 「アミノ酸とは?期待できる効果や食品、摂取する上でのポイントも解説」についての記事はこちら

2.シトルリンに期待できる効果

「シトルリンには何か良い効果が期待できるのかな?」

シトルリンに期待できる効果について、さらに詳しく知りたいと考えている方も多くいらっしゃるかもしれませんね。

ここでは、シトルリンに期待できる効果について詳しく解説していきます。

シトルリンに期待できる効果

効果1 血管をしなやかに保ち血流改善に役立つ

靴下を履こうとしている人

シトルリンから作り出される一酸化窒素(NO)は血管を拡張させ、血流を良くする効果が期待できるといわれています。

そもそも一酸化窒素(NO)は、血管の内側を覆っている組織(血管内皮)で非必須アミノ酸の一つ「アルギニン」と酸素から作られますが、アルギニンはシトルリンから変換されます。

そのため、シトルリンも一酸化窒素(NO)を作り出すために不可欠な物質として考えられているのです。

一酸化窒素(NO)は「動脈硬化」を予防したり血流の悪化から生じる手足の冷えなどの症状を改善したりする効果が期待できるとされています。

動脈硬化とは
動脈の内側に沈着したLDLコレステロール(悪玉コレステロール)や高血圧などさまざまな要因が重なり、血管が弾力を失い固くなってしまった状態のことです。動脈硬化が進行すると、血管が狭くなったり詰まりやすくなったりして、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こします。

一酸化窒素の材料となるシトルリンの重要性が分かりますね。

また脳の血流を高めることで、記憶力や集中力の向上に役立つとも考えられています。

効果2 運動時の持久力向上などに役立つ

シトルリンが作り出す一酸化窒素(NO)には、運動時の持久力を向上させる効果なども期待できるといわれています。

一酸化窒素(NO)には血流促進のほか、運動時など筋肉が使われることで発生する「乳酸」の再利用を促す作用があります。

乳酸とは
筋肉を動かすためのエネルギー源を「筋グリコーゲン」から作り出す過程で生じる物質のことです。筋グリコーゲンは筋肉に蓄積されている糖の一種です。作られた乳酸は血中に放出され、肝臓で再びグリコーゲンに合成されエネルギー源として再利用されます。

シトルリンを補うことで血流を促進したり乳酸を除去したりすることは、疲労感や筋肉痛の軽減につながり、運動時の持久力向上に役立つと考えられているのです。

メモ
筋トレやスポーツをする方の間では、シトルリンはパフォーマンス向上を目的として運動前に摂取する「プレワークアウトサプリ」としても注目されています。

効果3 肌の若々しさを保ったり保湿力を高めたりする

肌の調子を気にする女性

シトルリンには紫外線のダメージから肌を守ったり肌の水分量を保ったりする作用が期待されています。

紫外線を浴びることで、体内には肌のダメージにつながる「活性酸素」が過剰に発生します。

活性酸素とは
呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部が変化したもので、体内で免疫機能などの役割を担っています。しかし過剰になると細胞を傷害し動脈硬化などの生活習慣病、がんなどを引き起こす原因となることが分かっています。

活性酸素は肌の細胞を傷つけることでシワやたるみの原因となりますが、シトルリンにはこの活性酸素のはたらきを抑えたり除去したりする「抗酸化作用」があるといわれています。

また、シトルリンは私たちの皮膚に備わっている「天然保湿因子」を構成する成分の一つです。

皮膚の表皮に存在する天然保湿因子の量が減少すると、肌が水分を保持する力が低下し乾燥肌を引き起こすとされています。

シトルリンを十分に摂取することは、肌の老化を予防したり乾燥を防ぎ弾力やハリを保ったりといった美肌対策にもつながるといえるのですね。

3.シトルリンの適切な摂取量

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」においては、シトルリンの摂取目安量などは設けられていません。

しかし、栄養補助食品や機能性表示食品として販売されている健康食品のなかには1日の推奨摂取量を800mgとしているものもあります。[2]

メモ
「日本人の食事摂取基準」では一つひとつのアミノ酸について食事摂取基準は設けられていませんが、参考資料としてたんぱく質の必要量に対する必須アミノ酸の必要量が示されています。

[2] 食品安全委員会「遺伝子組換え食品等評価書CPR 株を利用して生産されたL-シトルリン」

4.シトルリンを含む食べ物

カットされたメロンのアップ

シトルリンはすいかやメロン、きゅうり、にがうり(ゴーヤ)、冬瓜などウリ科の野菜や果物に多く含まれています

なかでも多いのが「シトルリン」の名前の由来となったといわれている「すいか」です。

メモ
シトルリンはすいかの果汁から発見されました。「シトルリン(citrulline)」という名前もすいかの学名「Citrullus vulgaris」から名づけられたとされています。

しかし、シトルリンの1日当たりの摂取推奨量を食べ物だけで摂取することはとても困難です。

例えば、100g中にシトルリン180mgを含むすいかは1/7個、50mg含むメロンは1.3個、9.6mg含むきゅうりは56.5本食べなければ1日当たりの推奨量である800mgには届きません。[3]

シトルリンを十分に摂取したいという方は、サプリメントなどの活用も視野に入れる必要があるのかもしれませんね。

[3] 林 登志雄「動脈硬化症とアルギニン、シトルリン」(日本生化学会邦文誌「生化学」第86巻第3号352-359)

5.シトルリンと一緒に摂ると良い成分

競技場で走る人たち

シトルリンの効果をより高めたい場合は、非必須アミノ酸の一つ「アルギニン」を一緒に摂ると良いといわれています。

シトルリンもアルギニンも、血管の弾力を保ち血流促進作用のある一酸化窒素(NO)を作り出すことに関与している物質です。

血流を促す作用を持つ一酸化窒素(NO)には、動脈硬化の予防や運動時に良い影響をもたらすなどさまざまな効果が期待されています。

この一酸化窒素(NO)を直接作り出している物質がアルギニンですが、アルギニンは体内でシトルリンから変換されるため、シトルリンも一酸化窒素(NO)の産生に不可欠な物質であると考えられています。

シトルリンとアルギニンを同時に摂取することで血液中のアルギニンの濃度が上昇し、より効率的に一酸化窒素(NO)を増やすことができると考えられているのです。

6.シトルリンに体への悪影響はある?

体内にも存在するアミノ酸の一種であるシトルリンは、適切に摂取する場合には安全性の高い成分であると考えられます。

シトルリンの摂取に注意が必要な方や相互作用のある医薬品、過剰摂取による健康被害の可能性などは現時点では報告されていません

ただし妊娠中や授乳中の方がシトルリンを多く摂取した場合にどのような影響があるかはまだ不明なので、妊娠中や授乳中の方は自己判断でサプリメントなど濃縮されたシトルリンを摂取しないようにしましょう。

またシトルリンを意識的に摂取するためにサプリメントなどの利用を考えている方は、パッケージに記載された1日当たりの摂取目安量を守って利用しましょう。

メモ
摂取した食品によって、医薬品の作用が増強したり打ち消されてしまったりする現象を「相互作用」といいます。食品と医薬品のほか、医薬品と医薬品の間にも相互作用が起こる場合もあります。

7.シトルリンのまとめ

シトルリンはたんぱく質の構成成分とならない遊離アミノ酸の一種です。

シトルリンはすいかやメロン、きゅうりなどウリ科の野菜や果物に多く含まれています。

血管を拡張させ、血流を促す効果を有する一酸化窒素(NO)を作り出すことに関与するシトルリンには、動脈硬化を予防するといわれる一酸化窒素の材料となったり、運動時の持久力を向上させたりする効果が期待されています

シトルリンと一緒に摂取すると効果的な成分にアルギニンがありますが、この二つの成分は筋トレやスポーツをする方の間では、運動前に摂取する「プレワークアウトサプリ」としても注目の成分です。

安全性の高い成分であるとはいえ、サプリメントなどから摂取する場合には過剰摂取に注意しましょう。

シトルリンを適切に摂取して健康に役立ててみてはいかがでしょうか。

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