ビタミンB1とは?作用や食事摂取基準、摂取源となる食品を紹介

ビタミンB1とは?作用や食事摂取基準、摂取源となる食品を紹介

2024年02月05日

2024年02月21日

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「ビタミンB1にはどんなはたらきがあるんだろう?」

と気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ビタミンB1はヒトが生きていくのに必要なエネルギーをつくり出すはたらきに関与する栄養素です。

偏った食生活などによって不足するとさまざまな症状が現れるといわれています。

この記事ではビタミンB1のはたらきや食事摂取基準のほか、過不足による影響や豊富に含まれている食品などについて詳しく解説します。

普段の食事から過不足なくビタミンB1が摂れるよう、ぜひ参考にしてくださいね。

1.ビタミンB1とは

肌を気にする女性

ビタミンB1は「水溶性ビタミン」で、ビタミンB群の一種です。

水溶性ビタミンとは
水に溶けやすく油に溶けにくい性質のビタミンです。水溶性ビタミンには、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12、ビオチン、パントテン酸)とビタミンCがあります。

ビタミンB群は糖質、脂質、たんぱく質における「エネルギー代謝」に欠かせない栄養素です。

メモ
代謝とは食物などを体内で分解したり、他の物質に合成したりするはたらきのことです。エネルギー代謝とはヒトの体と外界の間で生じるエネルギーの出入りや変換をいいます。ヒトがエネルギー源となる糖質、脂質、たんぱく質を摂取すると体内でさまざまなエネルギーに変換され、身体活動や生命維持に利用されます。

このうちビタミンB1は主に糖質を代謝する際の「補酵素」としてはたらく他、皮膚・粘膜の健康維持をサポートしています

補酵素とは
酵素のはたらきを助ける物質です。酵素は代謝などの体内で起こる化学反応に必須の触媒で、単体で作用するものと補酵素を必要とするものがあります。補酵素の多くはビタミンからつくられます。

そのためビタミンB1が不足すると糖質からエネルギーがつくられにくくなり、さまざまな悪影響が生じることがあると分かっています

ビタミンB1は生きていく上で重要なはたらきをするのですね。

2.ビタミンB1の食事摂取基準と平均摂取量

「ビタミンB1は1日にどのぐらい摂ったら良いんだろう?」

このように気になっている方もいらっしゃるでしょう。

この章では食事摂取基準について厚生労働省「日本人の食事摂取基準」をもとに解説します。

ビタミンB1の1日当たりの平均摂取量も併せてご紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。

2-1.ビタミンB1の食事摂取基準

厚生労働省ではビタミンB1の食事摂取基準が設定されています。

1歳未満については「目安量」が、1歳以上では「推定平均必要量」および「推奨量」が設定されています。

メモ
目安量とは、十分な科学的根拠が得られず「推定平均必要量」や「推奨量」が設定できない場合に設定される数値で、一定の栄養状態を維持するのに十分な量です。推定平均必要量は、摂取不足の回避を目的として設定されている半数が必要量を満たす量です。推奨量は推定平均必要量を補助する目的で設定され、ほとんどの者が満たしている量です。

1歳未満の目安量は以下のとおりです。

【ビタミンB1の1日当たりの目安量】

男性 女性
0〜5カ月 0.1mg 0.1mg
6〜11カ月 0.2mg 0.2mg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

1歳以上の推定平均必要量、推奨量は以下のとおりです。

【ビタミンB1の1日当たりの食事摂取基準(男性)】

年齢 推定平均必要量 推奨量
1〜2歳 0.4mg 0.5mg
3〜5歳 0.6mg 0.7mg
6〜7歳 0.7mg 0.8mg
8〜9歳 0.8mg 1.0mg
10〜11歳 1.0mg 1.2mg
12〜14歳 1.2mg 1.4mg
15〜17歳 1.3mg 1.5mg
18〜29歳 1.2mg 1.4mg
30〜49歳 1.2mg 1.4mg
50〜64歳 1.1mg 1.3mg
65〜74歳 1.1mg 1.3mg
75歳以上 1.0mg 1.2mg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

【ビタミンB1の1日当たりの食事摂取基準(女性)】

年齢 推定平均必要量 推奨量
1〜2歳 0.4mg 0.5mg
3〜5歳 0.6mg 0.7mg
6〜7歳 0.7mg 0.8mg
8〜9歳 0.8mg 0.9mg
10〜11歳 0.9mg 1.1mg
12〜14歳 1.1mg 1.3mg
15〜17歳 1.0mg 1.2mg
18〜29歳 0.9mg 1.1mg
30〜49歳 0.9mg 1.1mg
50〜64歳 0.9mg 1.1mg
65〜74歳 0.9mg 1.1mg
65〜74歳 0.8mg 0.9mg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

また通常より多くの栄養素が必要になる妊娠中・授乳中の方については、年代別の推定平均必要量および推奨量に対し以下の付加量が設定されています。

【妊婦・授乳婦の付加量】

推定平均必要量 推奨量
妊婦 0.2mg 0.2mg
授乳婦 0.2mg 0.2mg

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成

2-2.ビタミンB1の平均摂取量

「普段の食事でビタミンB1が十分に摂れているのかな?」

と気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。

厚生労働省の「国民・健康栄養調査」では栄養素の摂取状況が報告されています。

ビタミンB1の1日当たりの平均摂取量は以下のとおりです。

【ビタミンB1の1日当たりの平均摂取量】

男性 女性
1〜6歳 0.68mg 0.62mg
7〜14歳 1.06mg 0.94mg
15〜19歳 1.17mg 0.98mg
20〜29歳 1.07mg 0.77mg
30〜39歳 1.02mg 0.83mg
40〜49歳 1.09mg 0.89mg
50〜59歳 1.00mg 0.83mg
60〜69歳 1.03mg 0.93mg
70〜79歳 1.05mg 0.94mg
80歳以上 0.93mg 0.80mg

厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査結果 」をもとに執筆者作成

このような結果から、男性は多くの年代で平均摂取量が推定平均必要量を下回っていると分かります。

一方女性は20〜50代の平均摂取量が推定平均必要量を下回っていると分かりますね[1]。

[1] 厚生労働省「 令和元年 国民健康・栄養調査結果

3.ビタミンB1の過不足による影響

落ち込む女性

「ビタミンB1は摂り過ぎたり、不足したりするとどうなるの?」

ビタミンB1は過剰に摂取しても体内で取り込まれる量が調整されます。

そのため通常の食事をしている場合、ビタミンB1の過剰摂取による影響は報告されていません。

しかし不足するとさまざまな症状が現れるといわれています。

この章ではビタミンB1の過不足による影響についてご紹介しますね。

3-1.ビタミンB1が不足した場合

ビタミンB1が不足すると体にはさまざまな悪影響が生じます

ビタミンB1の不足による不調は、食事からの摂取が長期的に不十分な場合に生じることがあります。

また糖質の代謝に関与する栄養素のため、糖質の多い食品やアルコールを過剰に摂取するとビタミンB1が多く消費され不足しやすくなります。

よく運動する方も糖質の代謝が盛んなため、不足しないよう注意が必要です。

ビタミンB1が不足すると糖質を主なエネルギー源とする神経や脳に影響が生じ「脚気(かっけ)」を引き起こします

脚気とは
「中枢神経」や「末梢神経」に影響が生じ、足元がおぼつかなくなるなどの症状が現れる病気です。中枢神経は主に脳や脊髄を指します。末梢神経は、中枢神経と全身の神経を結び情報伝達を行う神経です。末梢神経には体を動かす際にはたらく運動神経と、呼吸や血液循環などの体の機能を維持する際にはたらく自律神経があります。

脚気ではその他にも、全身の倦怠(けんたい)感や食欲不振、手足のしびれなどが現れます。

またアルコールを多く飲む方では「ウェルニッケ脳症」が引き起こされることがあります

ウェルニッケ脳症とは
ビタミンB1の不足により、脳の奥の脳幹部といわれる部分にわずかな出血が起こり、眼球運動障害や意識障害、ふらつきといった症状が急激に現れる病気です。

ビタミンB1が不足することによって全身にさまざまな症状が現れるのですね。

3-2.ビタミンB1を過剰摂取した場合

ビタミンB1は通常の食事をしている場合は過剰摂取による健康への悪影響は報告されていません

ビタミンB1を過剰に摂取すると、それに伴って尿からの排せつ量も増えるよう体内で調整されています。

ただし過去の報告では、ビタミンB1を長期的に過剰摂取した場合は頭痛や不眠、かゆみなどが生じることがあるとされています。

しかし十分なデータが得られていないため、摂取量の上限は設けられていません。

通常の食事では過剰の心配はありませんが、サプリメントなどを利用する場合には注意しましょう。

4.ビタミンB1を多く含む食品

「ビタミンB1を十分に摂るにはどんな食べ物が良いんだろう?」

と気になっている方もいらっしゃるでしょう。

ビタミンB1は豚肉などの「動物性食品」や穀類、豆類などの「植物性食品」に多く含まれています

メモ
動物性食品は肉、魚、卵、乳などの食材や、それらを加工した食品です。一方で植物性食品は穀類、野菜、豆類、海藻類、いも類、きのこ、果物などの食材や、それらを加工した食品です。

この章ではビタミンB1を多く含む食べ物を、動物性食品と植物性食品に分けてご紹介しますね。

4-1.動物性食品

豚肉

ビタミンB1は動物性食品のなかでも、魚類や肉類などから摂ることができます

ビタミンB1を多く含む動物性食品は以下のとおりです。

【ビタミンB1を多く含む動物性食品と可食部100g当たりの含有量】

食品名 加工状態など 含有量
豚ヒレ肉(赤肉) 1.32mg
豚もも肉(赤肉) 0.96mg
生ハム 促成 0.92mg
豚ロース肉(赤肉) 0.80mg
ばらベーコン 焼き 0.79mg
たらこ 焼き 0.77mg
うなぎ 蒲焼き 0.75mg
豚かたロース(赤肉) 0.72mg
豚ひき肉 0.69mg
ウィンナーソーセージ 焼き 0.38mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

肉や魚を使った食事から日常的にビタミンB1を摂ることができそうですね。

4-2.植物性食品

焼きのり

ビタミンB1は未精製の穀類や豆類などに多く含まれ、その他にも豆類や海藻類、種実類、きのこ類などから摂ることができます

ビタミンB1は穀物の胚芽部分に多く、皮や胚芽を取り除くことで大半が取り除かれます。

日本では玄米が主食として食べられていた時代から、白米が中心の時代に変化したことでビタミンB1が不足し脚気が生じるようになったといわれています。

当時の日本はおかずの量も少なかったため、玄米がビタミンB1の重要な摂取源だったのです。

白米を主食としている国・地域では脚気が生じやすいことが分かっているため、ビタミンB1を十分に摂るようにしましょう。

ビタミンB1を多く含む植物性食品は以下のとおりです。

【ビタミンB1を多く含む植物性食品と可食部100g当たりの含有量】

食品名 加工状態など 含有量
ごま 乾燥 0.95mg
黄大豆(米国産) 乾燥 0.88mg
焼きのり - 0.69mg
味付けのり - 0.61mg
しいたけ 乾燥 0.48mg
玄米 - 0.41mg
発芽玄米 - 0.35mg
強力粉(全粒粉) - 0.34mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

普段の食事に加えるだけで、手軽にビタミンB1の摂取量を増やすことができそうですね。

5.ビタミンB1についてのまとめ

ビタミンB1は糖質の代謝を助けたり、皮膚や粘膜の健康を維持したりする栄養素です。

ビタミンB1は糖質の多い食品やアルコールを多量に摂取した場合に不足しやすく、体にさまざまな悪影響を及ぼします。

ビタミンB1が不足すると糖質を主なエネルギー源とする神経や脳に影響が生じ、脚気やウェルニッケ脳症を発症することがあります

脚気では全身の倦怠感や食欲不振、手足のしびれなどが、ウェルニッケ脳症では意識障害やふらつきといった症状が急激に現れます。

一方でビタミンB1は過剰に摂取しても、その分尿から排せつされるため健康への悪影響は報告されていません。

ビタミンB1は肉類、魚類、豆類、穀類、海藻類、種実類などに多く含まれています

動物性食品では豚ヒレ肉、豚もも肉、たらこ、うなぎの蒲焼きなどから、植物性食品では黄大豆、焼きのり、ごま、玄米などから摂ることができます。

ビタミンB1を過不足なく摂れるよう、この記事を参考にしてみてくださいね。

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