「レタスって体に良いのかな?」
「レタスにはどんな栄養素が含まれているんだろう」
レタスは入手しやすく比較的食べる機会の多い野菜ではないでしょうか。
しかし、レタスにどのような栄養素が含まれているのかご存知の方は少ないかもしれません。
レタスには整腸作用のある食物繊維をはじめ、さまざまなビタミンやミネラルが豊富に含まれています。
この記事ではレタスに含まれる栄養素やそのはたらき、おいしく食べるポイントなどもご紹介しますので参考にしてくださいね。
1.レタスの基礎知識
レタスはキク科の野菜で、日本名で「ちしゃ」とも呼ばれます。
レタスは玉レタスに代表される「結球レタス」、リーフレタス、グリーンリーフなど「葉レタス」、サンチュなど茎も食べられる「茎レタス」、ロメインレタスなど「立ちレタス」の主に4種類に分けられます[1]。
普段私たちが食べているレタスのほとんどは国産で、出荷時期により「春レタス」「夏秋レタス」「冬レタス」に分けられ産地が移行します。
生産量の多くを長野県と茨城県が占め、群馬県などが続きます。
レタスのカロリーについて知りたい方もいらっしゃるかもしれませんね。
レタスは100g当たり11kcalです。
他の野菜のカロリーも見てみましょう。
【主な野菜の可食部100g当たりカロリー】
食品名 | 加工状態など | カロリー |
---|---|---|
きゅうり | 生 | 13kcal |
セロリ | 生 | 16Kcal |
ほうれんそう | 生 | 18kcal |
赤色トマト | 生 | 20kcal |
青ピーマン | 生 | 20kcal |
たまねぎ | 生 | 33kcal |
長ねぎ | 生 | 35kcal |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
レタスは野菜のなかでもカロリーが低めであることが分かります。
健康を気遣う方もカロリーを気にせずに食べられるのはうれしいですね。
2.レタスに豊富に含まれる栄養素
「レタスにはどんな栄養素が多く含まれているのかな?」
レタスには食物繊維の他、さまざまなビタミンやミネラルが豊富に含まれています。
この章では成人男女向けに1日当たりの摂取量の目安(食事摂取基準)を紹介しています。
17歳以下の方は乳児・小児の食事摂取基準を、妊娠中・授乳中の方は必要量が増える栄養素もあるため、妊婦・授乳婦の食事摂取基準で付加量をご確認ください。
では、早速レタスに豊富に含まれる栄養素についてみていきましょう。
【レタスに豊富に含まれる栄養素(100g当たり)】
栄養素 | 含有量 |
---|---|
食物繊維 | 1.1g |
ビタミンE | 0.3mg |
ビタミンK | 29μg |
ビタミンB1 | 0.05mg |
ビタミンB6 | 0.05mg |
葉酸 | 73μg |
パントテン酸 | 0.20mg |
ビタミンC | 5mg |
カリウム | 200mg |
鉄 | 0.3mg |
銅 | 0.04mg |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
2-1.食物繊維
レタスには食物繊維が豊富に含まれています。
レタス100g当たりの食物繊維の含有量は1.1gです[3]。
食物繊維は途中で消化されることなく大腸まで届き、整腸効果を促し便秘を予防します。
他にも血糖値の上昇の抑制や、血中のコレステロールの低下など、体にとってさまざまなメリットをもたらすことが報告されています。
しかし食生活の変化により食物繊維の摂取量が減少し、現代ではほとんどの日本人が食物繊維不足に陥っているといわれています。
必ずしも必要ではないものの健康との関わりが大きい栄養素であるため、積極的な摂取が推奨されています。
食物繊維の1日当たりの摂取目標量は男性の場合18~64歳で21g以上、65歳以上で20g以上です[4]。
女性は18~64歳で18g以上、65歳以上で17g以上です[4]。
レタスを摂ることで、食物繊維の摂取量を底上げできると良いですね。
食物繊維についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
食物繊維は1日にどのくらい摂ればいい?期待できる効果や食材を紹介
2-2.ビタミンE
レタスにはビタミンEも豊富に含まれています。
レタス100g当たりのビタミンEの含有量は0.3mgです[5]。
ビタミンEは脂溶性のビタミンで、体内では細胞膜や脂質に多く存在しています。
また「抗酸化作用」を持つビタミンの一つです。
通常の食生活によって、ビタミンEが不足することはほとんどないといわれています。
厚生労働省による「日本人の食事摂取基準(2020年版)」において、ビタミンEには目安量が定められています。
ビタミンEの1日当たりの摂取目安量は、男性の場合18~49歳で6.0mg、50~74歳で7.0mg、75歳以上で6.5mgです[6]。
女性の場合18~29歳で5.0mg、30~49歳で5.5mg、50~64歳で6.0mg、65歳以上で6.5mgです[6]。
ビタミンEについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンEが多く含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
2-3.ビタミンK
レタスにはビタミンKも豊富に含まれています。
レタス100g当たりのビタミンKの含有量は29µgです[7]。
ビタミンKは脂溶性のビタミンで、血液凝固を正常に行う役割があります。
また骨の形成に必要とされ、骨粗しょう症の治療にも使用されています。
通常の食生活においてビタミンKが不足することはほぼありません。
ビタミンKの1日当たりの摂取目安量は18歳以上の男女共に150μgです[8]。
ビタミンKについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンKにはどんな効果がある?摂取目安量とおすすめの食材を紹介
2-4.ビタミンB1
レタスにはビタミンB1も豊富に含まれています。
レタス100g当たりのビタミンB1の含有量は0.05mgです[9]。
ビタミンB1は、体内で糖質やアミノ酸の代謝を行う際の補酵素としてはたらきます。
食事からの摂取が不十分な場合、また糖質を多く含む食品やアルコールを多く摂った際にはビタミンB1が不足し、その必要性が高まります。
ビタミンB1は糖質の代謝に関わっているため、不足すると糖質を主にエネルギーとして利用している脳や神経のはたらきに影響します。
ビタミンB1の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~49歳で1.4mg、50~74歳で1.3mg、75歳以上で1.2mgです[10]。
女性は18~74歳で1.1mg、75歳以上で0.9mgです[10]。
ビタミンB1についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB1が豊富に含まれる食べ物は?効果や摂取基準も詳しく解説
2-5.ビタミンB6
レタスにはビタミンB6も豊富に含まれています。
レタス100g当たりのビタミンB6の含有量は0.05mgです[11]。
ビタミンB6は水溶性ビタミンで、体内ではたんぱく質、脂質、炭水化物や神経伝達物質を代謝する際の補酵素としてはたらきます。
他にもホルモンのはたらきを調節するなどの役割を担っています。
ビタミンB6の不足は主に単独ではなく、他のビタミンが不足した場合に同時に生じます。
不足により、湿疹、口角炎、貧血などの症状が見られる他、免疫機能が低下することがあります。
ビタミンB6 の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18歳以上で1.4mg、女性は1.1mgです[12]。
ビタミンB6についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
2-6.葉酸
レタスには葉酸も豊富に含まれています。
レタス100g当たりの葉酸の含有量は73μgです[13]。
葉酸は水溶性ビタミンで、ビタミンB群の仲間です。
葉酸は細胞が増殖する際に必要とされるDNAの合成に関わるビタミンです。
また、たんぱく質の合成やアミノ酸の代謝を行う際にも葉酸が関与しています。
葉酸は妊娠初期には特に多く摂りたい栄養素です。
この時期は胎児の細胞増殖が活発に行われるため、葉酸が不足すると、胎児の神経管の成長が正常に行われず「神経管閉鎖障害」と呼ばれる先天性異常の発症率が高まります。
葉酸の1日当たりの摂取推奨量は、男女共に18歳以上で240μgです[14]。
葉酸についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
葉酸が多く含まれている食べ物とは?効果や摂取基準もあわせて解説
2-7.パントテン酸
レタスにはパントテン酸も豊富に含まれています。
レタス100g当たりのパントテン酸の含有量は0.20mgです[15]。
パントテン酸は水溶性のビタミンで、体内では補酵素として、脂肪の材料である脂肪酸や糖の代謝に関わっています。
パントテン酸はさまざまな食品に含まれているため、不足の心配はほぼありません。
パントテン酸の1日当たりの摂取目安量は、男性は18~49歳で5mg、50歳以上で6mg、女性は18歳以上で5mgです[16]。
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所が「『健康食品』の安全性・有効性情報」というサイトでパントテン酸の情報を公開しているので、参考にしてみてくださいね。
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報」
2-8.ビタミンC
レタスにはビタミンCも豊富に含まれています。
レタス100g当たりのビタミンCの含有量は5mgです[17]。
ビタミンCは水溶性のビタミンで、ヒトの体内ではつくることができないため食品から摂らなくてはならない栄養素です。
ビタミンCは皮膚や軟骨の材料であるコラーゲンをつくるために必要な栄養素です。
また抗酸化作用として重要なはたらきをする他、消化管での鉄の吸収を高める役割を担っています。
食事の偏りや喫煙の習慣があるとビタミンCが不足し、倦怠感や疲労感、気力の低下などの症状が見られることがあります。
ビタミンCが不足するとコラーゲンが十分につくられず、血管が劣化し出血しやすくなることがあります。
さらに欠乏すると、歯肉や皮下からの出血、筋肉の減少、心臓の障害などの症状が現れます。
ビタミンCの1日当たりの摂取推奨量は、男女共に18歳以上で100mgです[18]。
ビタミンCについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンCの美容・健康効果は?目標摂取量と豊富に含まれている食品
2-9.カリウム
レタスにはカリウムも豊富に含まれています。
レタス100g当たりのカリウムの含有量は200mgです[19]。
カリウムはミネラルの一種で、体内ではほとんどが細胞内に存在しています。
カリウムにはナトリウムを体外へ排出するはたらきがあるため、過剰に摂取した塩分の調節に役立ちます。
また、細胞内液の浸透圧を一定に保つ他、筋肉の収縮や体液の酸性・アルカリ性のバランスを調整するはたらきがあります。
カリウムが不足すると、脱力感や食欲不振、精神障害、不整脈などの症状が現れることがあります。
カリウムの1日当たりの摂取目標量は、18歳以上の男性で3,000mg以上、女性で2,600mg以上です[20]。
カリウムについてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
カリウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を紹介
2-10.鉄
レタスには鉄も豊富に含まれています。
レタス100g当たりの鉄の含有量は0.3mgです[21]
鉄はミネラルの一種です。
人体では多くが赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンに含まれ、残りが肝臓や骨髄、筋肉などに蓄えられています。
ヘモグロビン中の鉄は体内で酸素の運搬を行う他、酵素の材料となるなど重要な役割を果たしています。
成長が著しい乳幼児や月経のある女性、鉄の需要が多くなる妊婦や授乳婦においては鉄不足のリスクが高まります。
鉄の欠乏症の主なものに鉄欠乏性貧血があり、頭痛やめまい、動悸、息切れなどが主な症状です。
重症化を防ぐためにも、日頃から不足しないように気を付けなくてはなりません。
鉄の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で7.5mg、75歳以上で7.0mgです[22]。
女性は月経がある場合18~49歳で10.5mg、50~64歳で11.0mg、月経がない場合18~64歳で6.5mg、65歳以上で6.0mgです[22]。
鉄についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事をご覧ください。
鉄分が多く含まれる食べ物と効果的な摂り方は?貧血気味の方必見!
2-11.銅
レタスには銅も豊富に含まれています。
レタス100g当たりの銅の含有量は0.04mgです[23]
銅はミネラルの一種で、多くは骨や筋肉、血液に含まれます。
体内ではたんぱく質と結合して銅酵素となり、酸素の運搬などに関わる他、鉄の代謝や輸送、活性酸素の除去など重要なはたらきをしています。
健康で通常の食生活を送っている人の場合、銅が不足することはほとんどありません。
銅の1日当たりの摂取推奨量は、男性は18~74歳で0.9mg、75歳以上で0.8mgです[24]。
女性は18歳以上で0.7mgです[24]。
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所が「『健康食品』の安全性・有効性情報」というサイトで銅の情報を公開しているので、参考にしてみてくださいね。
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報」
3.レタスの栄養素を効率良く摂る方法
「レタスの栄養をできるだけ無駄なく摂る方法ってあるのかな?」
せっかくレタスを食べるなら栄養素もしっかり摂りたいですね。
レタスに含まれる水溶性ビタミンのうち、ビタミンB1やビタミンB6はゆでるとゆで汁や煮汁に溶け出してしまい、食品中の栄養素は減少してしまいます。
ただし、ゆで汁や煮汁を一緒に食べることで、元々の量をほぼ摂ることができます。
スープなどは水溶性ビタミンもしっかり摂ることができるメニューですね。
一方ビタミンEやビタミンKなどの脂溶性ビタミンは油となじみやすいため、ドレッシングと食べるサラダや、炒め物など油を使う料理によって効率良く摂取することが可能です。
食品に含まれる各栄養素の残存率は、調理法によって異なるため、生で食べる、油と一緒に調理するなどの方法を組み合わせることで、それぞれの栄養素を効率良く摂ることができますね。
4.レタスをおいしく食べるためのポイント
「おいしいレタスってどうやって選んだら良いのかな?」
スーパーなどでレタスを手に取って、このように思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この章では、おいしいレタスの選び方や調理・保存の方法についてご紹介します。
ポイント1 包丁は使わず手でちぎる
レタスは包丁ではなく、手でちぎって使うのがおすすめです。
刃物を使うと切り口が酸化し色が茶色に変わるだけでなく、苦みも出やすくなります。
手でちぎることでドレッシングなど調味料の絡みも良くなります。
ポイント2 ふわっとして軽いものを選ぶ
レタスは巻きがゆるくふわっとしたもの、軽いものを選びましょう。
キャベツは巻きがしっかりしていて重いものが良いとされますが、レタスの場合は固くて重いと鮮度が落ちている場合があります。
また、切り口の大きさが10円玉ほどで小さめのものは味が良く、さらに切り口が白いのは新鮮な証拠です[25]。
[25] 独立行政法人農畜産業振興機構「レタス」
ポイント3 野菜室に保存して早めに食べる
レタスは低温での貯蔵に適しているため、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
低温の冷蔵庫内で保管することで、パリッとした状態を保つことができます。
夏はレタスが裸のまま販売されていることがありますが、その場合はラップに包むかビニール袋に入れてから冷蔵庫に入れることで乾燥を防ぐことができます。
ただし、レタスは傷みやすいため早めに食べるようにしましょう。
5.レタスに含まれる栄養についてのまとめ
レタスの種類は主に「結球レタス」「葉レタス」「茎レタス」「立ちレタス」 に分けられ、普段食べられているレタスのほとんどは国産のものです。
レタスは100g当たり11Kcalで、他の野菜と比べてもカロリーは低めです。
レタスには、整腸作用で知られる食物繊維や脂溶性ビタミンであるビタミンE、ビタミンK、水溶性ビタミンのビタミンB1、ビタミンB6、葉酸、パントテン酸、ビタミンCが豊富に含まれています。
また、カリウムや鉄、銅といったミネラルも豊富に含まれます。
レタスに含まれる水溶性ビタミンはゆで汁や煮汁に溶け出しやすいため、効率良く摂るためには汁も一緒に食べると良いでしょう。
また脂溶性ビタミンは油とのなじみが良いので、油と一緒に摂ることで効率良く栄養素を摂取することができます。
レタスは巻きがゆるくふわっとしたもの、切り口が小さめで白いものがおいしいといわれます。
傷みやすいため、早めに食べるようにしましょう。
日々の食事にレタスを取り入れて、不足しがちな栄養素の補給をしてみてはいかがでしょうか。