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糖尿病の合併症とリスクを解決!早期発見が大切

2023年9月22日

ボディコンディション

「糖尿病は合併症を起こしやすいと聞くけど、具体的にはどのような合併症があるの?」
「健康診断で血糖値が高いと言われたけど、何か気を付けるべきことはあるの?」

糖尿病は、インスリンと呼ばれるホルモンの不足や作用低下が原因で血糖値が高い状態が慢性的に続く病気のことです。糖尿病は自覚症状がないまま合併症が起こりやすく、主に糖尿病性網膜症や糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害が三大合併症としてあげられます。

合併症が原因で生活に支障が出てしまうことがあるため、糖尿病の合併症にならないよう、日頃から予防策を講じておくこと大切です。

この記事では、糖尿病で起こる可能性がある合併症や、合併症を予防するためにできることについて解説します。

1.糖尿病の合併症は全身に起こる

肥満

糖尿病の合併症は、全身に影響を与えるため、さまざまな部位に症状が見られます。脳卒中や虚血性心疾患など、命に関わる合併症を引き起こす可能性もゼロではありません。

1−1.糖尿病の合併症とは

血糖値が高い状態が続くと、血管や神経が少しずつダメージを受けていきます。その結果、引き起こされるのが合併症です。脳や目、腎臓や腸、手足などさまざまな部位に影響を与えます。

しかし、糖尿病のほとんどの合併症は、かなり進行してからでなければ症状に現れません。医師の立場からみても、積極的な検査をしない限り見つけにくいのです。そのため、症状に気づいたときには、すでに糖尿病がかなり進行している可能性もあります。

1−2.糖尿病の合併症が起こるリスク

少し古いデータにはなりますが、日本透析医学会の調査によると1998年に透析導入になった患者のうち35.7%は糖尿病性腎症が原因でした。

また、糖尿病性網膜症により、年に約3,000人が視覚障害を抱えたというデータもあります[1]これほど、糖尿病は合併症の多い病気なのです。糖尿病の怖いところは、こういった合併症が自覚症状のないまま進んでいくところにあります。

糖尿病性網膜症や糖尿病性腎症などの三大合併症を引き起こすほか、動脈硬化が進行して心臓病や脳卒中の原因になることもあるため、糖尿病になった場合はなるべく早めに血糖値コントロールを始めることが大切です。

なお、世界で行われた調査研究では、血糖値をコントロールできれば、糖尿病の合併症が起こる可能性を押さえられ、仮に発症したとしても進行は遅いことが証明されています。

[1]厚生労働省「糖尿病」

2.糖尿病の主な合併症

検査

糖尿病には三大合併症と呼ばれる糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害のほか、糖尿病性足病変や動脈硬化性疾患、併存疾患などの合併症があります。それぞれどのような症状が起こるのか、詳しく紹介します。

2−1.糖尿病網膜症

糖尿病性網膜症とは、網膜にある細い血管が障害を受けることで発症する合併症です。眼底出血や白斑などを引き起こします。糖尿病性網膜症が原因で失明する方は年間3,000人にもおよび、20歳以降の失明の原因の多くを占めています[2]

糖尿病性網膜症になっても、眼底出血や白内障などが起こらなければ無症状のこと がほとんどであるため、糖尿病を発症した場合は定期的に眼科を受診することが大切です。糖尿病性網膜症になった場合、以前は血糖値をコントロールして網膜症が悪化しないようにするしか方法はありませんでした。

しかし、現在はレーザー光凝固による治療で進行を食い止められます。以前より失明のリスクが減少したのです。

[2]一般社団法人 日本臨床内科医会「糖尿病の合併症」

2−2.糖尿病性腎症

糖尿病性腎症とは、腎臓の働きが落ちることで血液中に老廃物が溜まりやすくなったり、尿中にたんぱく質であるアルブミンが漏れ出したりする状態を指します。

腎臓は、1日に150~200リットルもの血液を濾過することで、老廃物を排泄している臓器です[3]。糖尿病性腎症になると、腎臓が老廃物を排泄する機能が衰え、体内にどんどん不要なものが溜まっていきます。

症状が進行すると腎臓で老廃物を取り除けなくなり、透析を行う必要性も出てきます。糖尿病性腎症によって透析を開始する方は、年間で約10,000人以上にもおよびます[4]なお、腎症にも自覚症状はなかなか現れず、気づいたときには透析間近という人も珍しくありません。

糖尿病の治療を行い適切な血糖にコントロールしたうえで、130/80mmHg未満に血圧を抑えることで糖尿病性腎症の進行を遅らせることができることがわかっており、厳密な血圧コントロールを行うことも大切です[5]。

[3]厚生労働省 e-ヘルスネット「CKD / 慢性腎臓病」
[4]一般社団法人 日本臨床内科医会「糖尿病の合併症」
[5]日本医師会「糖尿病治療のエッセンス」

2−3.糖尿病性神経障害

糖尿病性神経障害とは、神経細胞への血流不足などにより神経の機能が落ちた状態を指します。血糖値が高い状態が続くと神経にダメージが蓄積されていき、足のしびれや下痢、便秘や頻尿、勃起障害や起立時のふらつきなど、多くの症状を引き起こすため注意が必要です。

糖尿病性神経障害は、早期に発見できれば血糖値コントロールをしっかり行うことで症状の軽快が期待できます。

2−4.糖尿病性足病変

糖尿病性足病変とは、糖尿病の患者の足に起こるさまざまなトラブルのことです。糖尿病になると、足の血管が狭くなったり神経の働きが落ちたりします。これらの症状によって潰瘍ができたり、細菌や真菌の感染を起こしたりしやすいなど、足にトラブルを抱えやすくなります。

足の感覚が低下するため、けがをしたことに気が付かない方も少なくありません。症状が進むと、足の組織が死んでしまい壊疽が引き起こされる恐れもあります。

2−5.動脈硬化性疾患

動脈硬化性疾患には、冠動脈疾患や脳血管障害、末梢動脈疾患などがあります。冠動脈疾患とは、心臓に血液を送り込む役割をはたしている冠動脈の血流が悪くなり、心臓に影響が出る疾患のことです。狭心症や心筋梗塞などが含まれます。

脳血管障害は、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などのことです。脳細胞が破壊され、意識障害や半身麻痺、言語障害などが見られる場合があります。

末梢動脈疾患は、足にある動脈が詰まったり血流が悪くなったりする疾患のことです。狭心症や脳梗塞などを合併することが多いといわれています。

2−6.併存疾患

糖尿病になることでリスクが高くなる疾患として、次の三つが代表的です。

  • 歯周病
  • 認知症
  • がん

血糖コントロールがうまくいかないと、歯周病を悪化させる原因となります。

糖尿病の患者では、認知症の方が多いのも特徴です。アルツハイマー型認知症においては、1.5倍も患者が多いことが分かっています。

また、糖尿病患者の死因の第1位はがんであり、肺がんや肝がん、膵がんなどの発症頻度が高いことが知られています[6]。

[6]日本医師会「糖尿病治療のエッセンス」

3.糖尿病の合併症は早期発見が大切!

診察

糖尿病の合併症は、症状がある程度進行してからでないと自覚症状が現れません。そのため、合併症を発症していることに気が付かず生活している方が多く見られます。

早い段階から糖尿病の合併症にかかっていないかを知るためにも、以下の行動をとっておくことをおすすめします。

3−1.年に1度は検査を受ける

糖尿病を早期に発見し、適切に治療を行うために、定期的に検査を受けましょう。指摘されたときに糖尿病の診断には至らなかったとしても、気づかない間に症状が進行し、糖尿病や合併症が重症化していることもあります。

たとえ症状がなかったとしても、高血糖を指摘されたことがある場合には年に1度の受診、もしくは検診を受けるようにしてください。

三大合併症である糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害を見つけるために は、眼底検査や尿中微量アルブミン検査、アキレス腱反射を診てもらうのがおすすめです。糖尿病の診断がついた場合、一般的には合併症の評価も行われますが、定期的な眼科受診などはご自身で継続することをおすすめします。

3−2.がん検診も重要

がんで亡くなる糖尿病の患者は大勢います。日本人の2人に1人ががんを発症し、3人に1人ががんで亡くなっています[7]糖尿病の合併症を見つけることももちろん大切ですが、がんを早期に見つけるためにも、がん検診を定期的に受けることが大切です。

[7]厚生労働省「がん検診」

4.糖尿病の合併症を予防するためにできること

糖尿病の合併症を予防するためには、血糖を適切にコントロールすることや、糖尿病を早期に見つけて適切に治療を行うことが大切です。

4−1.摂取エネルギーを摂り過ぎない

糖尿病の発症リスクは、体重が減るほど減少します。体重を適正にコントロールするためには、まず食事から摂るエネルギー量を見直すことが大切です。

目標体重は、以下の式で計算できます。後期高齢者の場合は、体組成や身長の短縮、食事状況などを考慮して目標体重を設定してください。

65歳未満[身長(m)]² × 22
前期高齢者(65~74歳)[身長(m)]² × 22~25
後期高齢者(75歳以上)[身長(m)]² × 22~25

4−2.バランスの良い食事を心掛ける

食事はバランス良く摂取することが大切です。炭水化物やたんぱく質、脂質やビタミン、ミネラルが不足しないよう、好き嫌いをせず多くの食品を摂りましょう。

ただし、脂質や塩分は 摂り過ぎないようにしてください。脂質の摂り過ぎは脂質異常症、塩分の摂り過ぎは高血圧を招く恐れがあります。合併症の予防には、1日20~25gの食物繊維を摂取する方法も効果的です。

4−3.運動をする

定期的な運動は、インスリンを働きやすくする効果があります。水泳やジョギングなど中強度の有酸素運動を週に3日以上行い、1週間の運動時間の合計が150分以上になるようにしましょう。運動をしない日が2日以上続かないようにするのがポイントです。

あわせて腹筋やダンベルなどのレジスタンス運動を行うことも推奨されています。レジスタンス運動は日を空けて週に2~3回行いましょう。

4−4.歯周病を治療する

歯周病が重症であるほど血糖値のコントロール不良となります。これは、歯周ポケットから放出された炎症関連の化学物質が血流にのって体内に放出され、インスリンの効き目を悪くすることによって起こります。歯周病を治療することで血糖コントロールが改善されるため、歯周病がある方は早い治療が重要です。

歯周病を予防するためには、毎日しっかりと歯磨きを行い、定期的に歯医者を受診して歯石を除去することが役に立ちます。

4−5.禁煙する

たばこは、インスリンの働きを悪くする作用があります。糖尿病の方が喫煙を続けると治療がうまくいかなくなったり合併症のリスクが高まったりすることが分かっています。

禁煙によって、心筋梗塞や脳卒中のリスクも下げることができます。

4−6.多量の飲酒を避ける

多量に飲酒すると、血糖値が上がります。アルコールの過剰摂取は、アルコール性肝硬変やアルコール性膵炎を引き起こす原因にもなるため、飲酒の習慣がある方は 適量を心掛けましょう。

ビールなら1日に中瓶1本、清酒なら1合、ワインなら1杯が目安です[8]

[8]厚生労働省「アルコール」

5.糖尿病の合併症についてのまとめ

糖尿病になると、糖尿病性網膜症や糖尿病性腎症などをはじめ、さまざまな合併症を起こすリスクが高まります。合併症になっても自覚症状がなく、治療が遅れてしまうことが少なくありません。

早期発見・早期治療によって重大な疾患へと発展するリスクを少なくできます。糖尿病の方は、合併症が起こっていないか確認するためにも、定期的に検査を受けることが大切です。

この記事の監修者

井上 志穂
井上 志穂
内科認定医・がん治療認定医

【経歴】
国立大学医学部医学科卒業後、公立病院にて初期研修の2年を終了後、3年目からはがん治療を専門としながら幅広く内科疾患の診療に従事。治療が必要となる前の生活習慣の改善、また病気についての正しい知識が大事であることを実感し、病気についての執筆活動にもあたっている。

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