血圧の上が高いとどうなる? 下が低ければ大丈夫?血圧の上下差に潜む危険な落とし穴

血圧の上が高いとどうなる? 下が低ければ大丈夫?血圧の上下差に潜む危険な落とし穴

2023年05月29日

2024年05月23日

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「血圧の上が高いみたいだけれど、下は正常値内だから問題ないのかな?」

「だんだん血圧の上と下の差が大きくなってきたのは、何が原因なんだろう?」

血圧の上と下の数値について、こんな疑問を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ひと口に血圧が高い、低いといっても、血圧の上も下も高い人、上だけ高くて下は低い人、上も下も低い人、上は低くて下だけ高い人……などいろいろなパターンがありますよね。

血圧の上と下の両方とも高いのは明らかに問題ですが、実は上だけ高くて下が低い場合や、血圧の上下差が大きい場合も気をつけた方が良いことが分かっています。

今回の記事では、血圧の上と下の数値の見方についてご紹介します。

あなたの毎日の血圧管理に役立ててくださいね。

1.血圧の「上」と「下」とは?

血圧記録表

まず、血圧の上が高い、下が低いというときの「上」と「下」とは何を意味するのか、確認しておきましょう。

血液は、心臓が収縮したり、拡張したりすることで全身に送り出されていますが、このとき血液が血管の壁を押す圧力を血圧といいます。

上の血圧=収縮期血圧(最高血圧)
「上の血圧」とは心臓がポンプの働きをして、血液を全身に送り出しているときの血圧で「収縮期血圧」または「最高血圧」とも呼ばれます。

送り出された血液は、心臓に直結した動脈に一気に流れ込むため、血管には最も強い圧力がかかり、血圧は最大の数値を示します。

下の血圧=拡張期血圧(最低血圧)
「下の血圧」とは、心臓が血液を送り出した後に、全身から戻ってきた血液をためて膨らんでいるときの血圧のことをいいます。

拡張期には血管にかかる圧力は最も低く、血圧は最小の値となります。

血圧の説明

【関連情報】 「高血圧とは?基準値や健康上のリスク、改善のポイントを徹底解説」についての記事はこちら

2.高血圧の診断基準

高血圧とは、血圧が基準値よりも高い状態が続いている病態をいいます。

日本高血圧学会が示した高血圧の診断基準では、「収縮期血圧は140mmHg以上、拡張期血圧は90mmHg以上」が高血圧とされています[1]。

ただし、これは病院や健診施設で測定した場合の「診察室血圧」で、家庭で測定した「家庭血圧」では低い数値が出る傾向があるため、それぞれ5mmHgを引いた数値となります。

この基準値を超えた場合に、高血圧と診断されます。

また、下の図で分かるように、収縮期血圧(上の血圧)、拡張期血圧(下の血圧)のどちらか一方だけが正常範囲より高い場合も高血圧と診断されます。

高血圧の基準

[1]特定非営利活動法人 日本高血圧学会『高血圧治療ガイドライン2019』

3.血圧の上が高いとどうなる? 「上の血圧だけが高い」のは実は危険

3-1.上の血圧と下の血圧の差「脈圧」とは

ここからは、上の血圧と下の血圧の数値の見方について解説していきます。

最初に知っておいていただきたいのが、「脈圧」という言葉です。

脈圧とは収縮期血圧(上の血圧)と拡張期血圧(下の血圧)の差をいいます[2]。

脈圧は大動脈の動脈硬化をチェックするときの重要なバロメーターとされているものですから、ぜひ覚えておいてください。

この脈圧はいつも一定というわけではなく、年齢によっても変わってきます。

一般に血圧は年齢とともに高くなりますが、このとき収縮期血圧も拡張期血圧も同じように上がっていけば二つの血圧は平行線を描くはずですが、実際は違っています。

50代くらいまでは上と下の血圧はほぼ平行線を描いて上昇しますが、還暦を過ぎる頃になると、下の血圧だけが緩やかに下がっていく傾向が見られます。

つまり、脈圧(=血圧の上下差)は、60歳くらいから徐々に大きくなるのが一般的な傾向というわけです。

[2]苅尾七臣ほか6名著『高血圧 脳卒中・心筋梗塞・動脈瘤 循環器内科の名医が教える 最高の治し方大全』(文響社)

3-2.上の血圧が高くて「脈圧」が大きい場合、大動脈の動脈硬化の可能性も

それでは、脈圧はなぜ大動脈の動脈硬化のバロメーターとされるのでしょうか。

また、「血圧の上は高いけれど、下は低いから安心」と考えるのは正しいのでしょうか。

これを知る前に、血液が心臓から大動脈を通って送られる仕組みについて詳しく見ていきましょう。

大動脈は心臓に直結した太い血管で、胸からおなかまでの体の中心にあります。

因みにこの大動脈から枝分かれして、もっと細くなった最小動脈から先の細い血管のことは末梢血管といいます。

心臓が収縮すると(=上の血圧のとき)、なかの血液が大動脈に流れ込み、そこから全身に送り出されます。

このとき、まず約6割の血液が先に送られ、残りの約4割の血液は大動脈が膨らんでため込みます。

膨らんだ大動脈は、心臓の拡張期(=下の血圧のとき)に血管の弾力性によって元の太さに戻り、そのときに血管内にため込まれていた血液は末梢の血管にまで送られる仕組みになっています。

大動脈の全体図

そのため拡張期血圧(下の血圧)は、大動脈の復元力を示すものといえ、「下の血圧が低い」ということは、大動脈が柔軟性を失って復元力が作用せず、残り4割の血液を送り出す力が落ちていることを意味します[3]。

つまり、大動脈の動脈硬化が進んでいる証となるのです。

特に高齢者では収縮期高血圧といって、拡張期血圧(下の血圧)は正常範囲内であるのに収縮期血圧(上の血圧)のみが高くなることがあります。

これは加齢のために動脈硬化が進んでいることによりますから、収縮期血圧を下げる治療が必要になります。

同様に脈圧(上下の血圧の差)が大きいということも、大動脈の動脈硬化が進行し、血管の弾力性や伸縮性が落ちて、うまく膨らんだり縮んだりできなくなっている証拠です。

なので、上下の血圧の数値だけでなく、その差である「脈圧」を確認することも大切なのです。

[3]苅尾七臣ほか6名著『高血圧 脳卒中・心筋梗塞・動脈瘤 循環器内科の名医が教える 最高 の治し方大全』(文響社)

3-3.動脈硬化のバロメーター「脈圧」に注意しよう

脈圧は大動脈の動脈硬化の程度を反映することが分かったところで、あなたご自身の脈圧を測定してみませんか。

脈圧の求め方
収縮期血圧(上の血圧)−拡張期血圧(下の血圧)

脈圧には明確な基準値は示されていませんが、正常範囲はおおよそ60mmHg以下で、60mmHgを超えた場合は、動脈硬化が疑われます[4]。

[4]高沢謙二著『「やわらかい血管」で病気にならない―血管博士が教える体の中からよみがえる方法』(ソフトバンク新書)

4.血圧の上が高い場合についてのまとめ

私たちは、ともすれば血圧の上と下の数値だけを見て一喜一憂しがちですが、その「差」に目を向けることが大切です。

特に60歳を超えると上下の血圧の差が広がる傾向にあるため、脈圧を確認しながら血圧管理を行っていかないと、思わぬ落とし穴に落ちてしまうことがあります。

脈圧が望ましいとされる目安を超えてきたら、塩分の摂り過ぎや肥満、ストレスの多い生活、睡眠不足など高血圧を引き起こしやすい生活習慣を見直していきましょう。

この記事の監修者

苅尾七臣
苅尾七臣
自治医科大学 内科学講座 循環器内科学部門
教授

【経歴】
1962年、兵庫県生まれ。1987年、自治医科大学卒業。1989年、兵庫県北淡町国民健康保険北淡診療所を経て、自治医科大学循環器内科学講座助手、コーネル大学医学部循環器センター/ロックフェラー大学Guest Investigator、自治医科大学循環器内科学講座講師、コロンビア大学医学部客員教授、自治医科大学内科学講座COE教授・内科学講座循環器内科学部門教授、2009年より現職。専門は循環器内科学。特に高血圧、動脈硬化、老年病学。

【HP情報】
»自治医科大学 内科学講座 循環器内科学部門

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